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2024.10.27
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カテゴリ: 気になる本
図書館で『遊牧民、はじめました。』という新書を、手にしたのです。
モンゴルといえば、今では大相撲で幅をきかせている民族であるが・・・
大草原で遊牧民として暮らしてきた民族であり、興味深いのである♪




相馬拓也著、光文社、2024年刊

<「BOOK」データベース>より
地平線の先までずっと続くモンゴルの大草原。そこに生きる“悠々自適”な遊牧民。大自然に囲まれた彼らの暮らしを想像して、一度は憧れたことがある人もいるだろう。しかし、彼らの暮らしは本当に“悠々自適”なものなのだろうか。一度で150㎞にも及ぶ遊牧、マイナス40℃を下回る極寒の冬、家畜という懐事情をご近所に曝け出した生活ー。本書では、そんな遊牧暮らしのリアルを、長年、彼の地でフィールドワークを続けてきた著者が赤裸々に綴る。ときに草原を馬で駆け、ときに大自然に牙を剥かれ、ときに遊牧民たちにどつかれる日々の中で気づいた、草原世界で生き抜くための「掟」とはー?

<読む前の大使寸評>
モンゴルといえば、今では大相撲で幅をきかせている民族であるが・・・
大草原で遊牧民として暮らしてきた民族であり、興味深いのである♪

rakuten 遊牧民、はじめました。


「第5章 ゴビ砂漠の暮らしを追う」で、過酷な砂漠暮らしを、見てみましょう。
砂漠は大使のツボでもあるわけだし。

ラクダ遊牧民をもっと知りたいと思うようになった理由が述べられているので、見てみましょう。
p286~289
<5-1  砂漠の暮らしを求めて>
■〝ゴビ〟の意味するところ
 ゴビ砂漠とラクダ遊牧民をもっと知りたいと思うようになった理由は、「ラクダが単純にかわいかったから」と「砂漠の暮らしが知りたかったから」の2つだけである。
 ただし、それだけだと科研費は採択されないし、研究計画書も書けないので、「極限環境に暮らすラクダ遊牧民の環境適応術」だとか、「砂漠の持続型コミュニティにおけるラクダ飼育の伝統知」だとか、「ヒトとラクダの関係性のエスノグラフィを探る」とか、もっともらしい理由をつけなくてはならなかった。

 新しい研究テーマのはじまりになんて、いつだってご大層なストーリーがあるわけでもない。ご大層な理由なんてないほうが、知的要求への純粋な反応なのだから、むしろ歓迎されるべきなのだろう。

 大人になってくると、研究者なんてやりたいことをして、行きたいところへ行くための理由づけの修辞術なのだ、と気づかされる。純粋な「これを知りたい」という知的要求ほど、失われやすく、もろく傷つきやすく、はかなく消えてしまうものはない。たくさんの言い訳や理由の渦巻くなかで、純真無垢な思いほど貴ばれないものはないのだから。

 少し話が逸れてしまった。元に戻そう。モンゴルの南部にはドント・ゴビ県、マンダル・ゴビ市、ウムヌ・ゴビ県など、「ゴビ」と名のつく地名が多い。「ゴビ砂漠」の名でも知られているが、ゴビとはもともと「乾燥性ステップ草原」を示すモンゴル語で、砂しかない砂漠を必ずしも意味していない。黄みを帯びた乾燥した土壌で、わずかに植生があるような土地が「ゴビ」と総称される。

 遊牧民と暮らしていると、この「ゴビ」の語法にはなかなか難しい部分があることに気づかされる。比較的草の生えた山岳草原なども、「ゴビ」と言ったりするからだ。モンゴルでは、単調な草原が大部分を占めるために、わずかでも地形や植生が変化した場所には、それに対応した地形名称が与えられることも多い。

 たとえば、見晴るかす平原のゴビでは、ちょっとした小丘や丘陵を「ハイルハン」と言い表すが、西部モンゴルの人間に話してみると、「おいおい! こんなただの低い丘が『ハイルハン』なわけねーだろ!」と吹き出す人もいた。ハイルハンとは、2000mを超えるような高山や霊峰を指す言葉として使用されるからだ。ただ、平野で地物に乏しいゴビの遊牧民たちが、ほんの数百メートルもないような丘陵を「ハイルハン」と呼ぶようになったのにも筆者はうなづける。

■ラクダ祭りを目指して
 ゴビで砂漠といえばラクダ、と考える人も多いだろうが、砂漠にはヒツジもヤギもいるし、ヤクが飼育されていることもある。
 西部モンゴルの調査では、ラクダはまれに駄載用に飼育されてはいるものの、数十頭という多頭飼育群を目にすることはなかった。サグサイ村の宿営地では、ラクダ所有者は一人のみで、その数は9頭だけ。アルタイ最奥地のダイン地方でも、ラクダの多頭飼育者は1家族のみで、こちらも15頭ほどであった。おもに駄載利用で、積極的にミルクを取ったり、食用にしたりしているところも観察できなかった。


『遊牧民、はじめました。』5 :モンゴルでもっとも〝辛い〟土地
『遊牧民、はじめました。』4 :遊牧暮らしのイロハ
『遊牧民、はじめました。』3 :遊牧民の心
『遊牧民、はじめました。』2
『遊牧民、はじめました。』1 :第一章の冒頭





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Last updated  2024.10.27 08:06:50
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