全24件 (24件中 1-24件目)
1
オスプレイの被災地支援にバッシングを浴びせる左派系メディアの「的外れ」をぶった斬る!ヘリコプターは垂直離着陸やホバリングが可能だが、速度が遅く、航続距離も短い。一方、固定翼機は速度が速く航続距離も長いが、垂直離着陸やホバリングができない。オスプレイは、ヘリと固定翼機の“良いとこどり”をしたといえる。旧型の大型輸送ヘリCH46に比べ、速度は約2倍、荷物の搭載量は約3倍を誇る。新型ヘリのCH47と比べると積載量は劣るが、速度や行動半径では圧倒する。主翼に備えた2つのプロペラの角度を変えることで、飛行形態を固定翼モードと垂直離着陸モードに切り替えることができる。陸上自衛隊幹部は「固定翼機並みのスピードで目的地に急行し、滑走路のない山間地のような場所に着陸することもできる。有事や大規模災害時の際に有効なオペレーションを展開できる」と指摘する。東日本大震災の際、在沖米海兵隊は「トモダチ作戦」を展開したが、オスプレイはまだ配備されていなかった。当時の主力だったCH46ヘリが出動したが、飛行距離が短いため途中給油を余儀なくされ、現地に到着するまで3日もかかった。もしオスプレイが日本に配備されていたら、3時間程度で展開できたといわれる。陸自もオスプレイ17機を順次配備し、離島防衛や大規模災害支援に活用する計画だ。ただ、オスプレイは開発段階や訓練中に事故を起こしたことから、日本国内の一部でいまもアレルギーが残る。すでに技術的な問題点はクリアされているものの、在日米軍や国内配備に不満を持つ反対派は聞く耳を持たず「日米同盟の政治的象徴のように扱われしまっている」(防衛省幹部)のが実情だ。そんな米海兵隊のオスプレイが、熊本地震で日本国内初となる災害支援任務に就いた。安倍晋三首相は非常災害対策本部の会合で「米国が示してくれた友情に対し、日本国を代表して感謝したい」と述べ、謝意を示した。ところが、朝日新聞など一部のメディアは米国の厚意やオスプレイの実績に対し、感謝どころか「政治利用」「実績作り」といった批判を浴びせている。一部メディアが指摘するように、今回の輸送支援はオスプレイの強みの1つでもある航続距離を特に必要とする任務ではなかったかもしれない。ただ、米海兵隊が現在の主力輸送機であり、災害支援に威力を発揮するオスプレイを投入することに違和感はなく、批判の対象とする理由にはならない。また、日米両国は日頃から大規模災害時の防災訓練を共同で行い、そこにはオスプレイも参加している。訓練通りに実任務を遂行するのは軍事組織として自然なことで「政治利用」や「実績作り」という指摘も当たらない。仮に日米両政府にそうした思惑があったとしても、多くの被災者が救われている事実に変わりはない。海上自衛隊幹部は「オスプレイへの批判はイデオロギーや感情論の域を出ていない。支援に当たってくれた米軍に申し訳ない気持ちだ」と閉口する。緊急時に手を差し伸べてくれた相手に唾するような報道が、正当な批判といえるのだろうか。根拠のない“オスプレイ叩き”に躍起になる姿が、支援を受けた被災地や国際社会の目にどう映るのか、左派系メディアは冷静に見つめ直してはどうか。---オスプレイの問題点は、以前に取り上げたことがあります。オスプレイはそんなにすごいか確かに、地震という災害に際して、使えるものは何でも使う、ということ自体は間違いではないと私も思いますが、その限りでは、オスプレイだろうがなんだろうが、役に立つなら使えば良い。ただし、実際のところオスプレイが本当に役に立ったのかは、きわめて疑わしいところです。自衛隊は、引用記事もオスプレイより積載量が多いと認めているCH47ヘリを70機も保有しています(陸自55機と空自15機)。しかし、今回の地震では、自衛隊からは60機以上のヘリが動員されているにもかかわらず、CH47は数機程度が動員されているに過ぎないようです。なぜか。ヒントは、オスプレイが運んだ荷物の量に隠れているような気がします。引用記事は長いので省略しましたが、元記事によると、オスプレイは6日間で36トンの支援物資を輸送したそうです。この間動員された機体は2機から4機でした。オスプレイの最大搭載量は約9t(今回の輸送距離は近距離なので、スペックどおりの荷物を搭載することは充分可能)ですから、36tという荷物は、4機なら1回飛べば運べてしまう量に過ぎません。それを6日間かけたということは、毎回の搭載量はかなり少なかった、ということになります。つまり、少量の荷物をあちこちに運ぶ任務が中心なので、より小型のヘリのほうが使い勝手がよかった、ということでしょう。大きすぎるCH47は、そしてもちろんオスプレイも、オーバースペックだった、ということではないでしょうか。このことから考えて、オスプレイの派遣は必要性に基づくものというより、政治的都合に基づくものであったと評されても仕方がないだろうと私は思います。「オスプレイは、ヘリと固定翼機の“良いとこどり”をしたといえる。」と産経は言うのですが、本当にそうでしょうか。もし本当にそんな優れものならば、類似の機体(ティルトローター機)が数多く開発されているはずですが、実際には軍用のオスプレイ以外に実用化にこぎつけたものはありません。その技術を流用した民間仕様のAW609という機種もありますが、2003年に初飛行したものの、13年も経っていまだ実用化に至っておらず、昨年には試験飛行中の試作機が墜落する事故を起こしました。それ以外に、開発中のティルトローター機はありません。で、売上げのほうはと言うと、オスプレイは米空軍と海兵隊だけが現在装備し、日本の陸上自衛隊も購入予定です。それ以外には、購入予定の国はありません。イスラエルが購入すると言われていましたが、キャンセルしたようです。また、米軍の中でも陸軍は購入しません。民間仕様のAW609も、他に類似の機体が存在しないにも関わらず、受注数は60機から70機程度にしか過ぎないようです。だいたいにおいて、この種の「あいのこ」的な兵器や乗り物は、中途半端で使い勝手が悪く、失敗に終わる例が非常に多いものです。航空戦艦とか潜水空母とかが典型的です。オスプレイの場合も、おそらく同じではないでしょうか。「すでに技術的な問題点はクリアされている」ともありまが、果たしてそうでしょうか。そもそも、ティルトローター機というカテゴリの飛行機自体が、前述のとおりオスプレイとAW609以外に存在しません。そして、その両機種とも試験飛行段階で事故を起こしている。AW609は目下のところ1度だけですが、オスプレイは何度もです。結局、ティルトローター機というもの自体が、かなり無理があるのだろうと考えざるを得ません。開発中のAW609も墜落事故を起こした、というところから考えると、ティルトローターという仕組み自体に無理があるのだと私は思います。具体的にどこに無理があるのか。容易に想像がつくのは、エンジンとローターの向きを飛行中に変更する間に不安定になるであろうこと、ローターが飛行機のプロペラよりは大きく、ヘリのローターよりは小さい、その中途半端さが大きな要因になっているのであろう、ということです。他にも、きわめて高価であるという問題(オスプレイは、予備エンジン・予備部品と搭乗員の訓練費込とはいえ、CH47ヘリの4倍の値段)もありますが、これは以前の記事で指摘済みです。「東日本大震災の際~CH46ヘリが出動したが現地に到着するまで3日もかかった。もしオスプレイが日本に配備されていたら、3時間程度で展開できたといわれる。」というのも、以前にも指摘しましたが、沖縄から東北(仙台)までオスプレイが3時間で飛ぶことは、物理的に不可能です。那覇から仙台までの距離は1800kmで、オスプレイの巡航速度は50km弱なのだから、何をどうやったって4時間以上かかる。それも、離陸から着陸までの所要時間です。乗員の準備、荷物や燃料の積み下ろしなどがあるから、「展開時間」ということならそれよりはるかに時間がかかります。また、逆の現在のヘリ(自衛隊ならCH47、米海兵隊ならCH53)は、CH46より速度も航続距離も大きく、空中給油もできるので、那覇から仙台まで3日もかからないでしょう。もう一つ、以前の記事の時点では気がつきませんでしたが、オスプレイは垂直離着陸時に真下に高熱の排気を噴出します。それが原因で、芝生が出火したこともあります。ヘリでは、そういうことは起こりません。オスプレイのエンジンはターボプロップ、ヘリのエンジンはターボシャフトで、どちらも広い意味ではジェットエンジンの一種で、本質的な原理は同じですが、実用上はいくつかの違いがあるためです。ヘリコプターは、ローターは上向きですがエンジンは横向きなので、エンジンの排気は後方に吐き出されます。一方、オスプレイのエンジンは、垂直離着陸時には真下を向くので、排気が真下を直撃します。さらに、ヘリのターボシャフトエンジンは、排気は純然たる排気ですが、ターボプロップエンジンは、排気も推進力に使います。見た目はプロペラがついていますが、実際にはプロペラとジェット噴流のあわせ技で推進力を作るのです(推力の8割以上はプロペラが生み出すようですが)。芝生が燃えちゃうほど高熱の排気なので、離着陸場所はヘリほど自由には選べないし、ヘリコプターがよく行う、災害や遭難の現場で要救助者をロープで吊り上げることは、オスプレイ(というか、ティルトローター機全般に)はできません。吊り上げた人が火傷を負ってしまいます。ということは、救難目的ではほとんど使い物にならない、ということです。「オスプレイへの批判はイデオロギーや感情論の域を出ていない。」のだそうですが、どうも産経のオスプレイ愛のほうこそ、イデオロギーや感情論の域を出ておらず、ありていに言って気持ち悪さを感じます。
2016.04.30
コメント(2)
国連見解「沖縄の人々は先住民族」に自民議員が猛反発「民族分断工作だ」 政府も「撤回働きかける」国連の人種差別撤廃委員会が2014年9月に沖縄の住民を「先住民族」と承認するよう日本政府に検討を求めた見解に対し、木原誠二外務副大臣は27日の衆院内閣委員会で「事実上の撤回、修正をするよう働きかけたい」と述べ、政府として対応する考えを示した。自民党の宮崎政久氏の質問に答えた。国連では人種差別撤廃委や自由権規約委が「琉球・沖縄の人々を先住民族として承認しない立場を遺憾に思う」などとしてきた。外務省の飯島俊郎参事官は27日の内閣委で「政府が先住民族と認識している人々はアイヌ以外に存在しない。これらの(国連の)委員会による最終見解や勧告などは法的な拘束力を有するものではない」と強調した。沖縄県を地盤とする宮崎氏は質問で「(日本人に)沖縄県民が先住民族だと思っている人はいない。誠に失礼な話だ。民族分断工作と言ってもよい。放置しないでほしい」と、政府に毅然と対応するよう求めた。また、自由権規約委は14年8月、「コミュニティーの伝統的な土地や天然資源に対する権利を十分保障するためのさらなる措置をとるべきだ」などと日本政府に法改正まで求めている。この見解についても、宮崎氏は「尖閣諸島を含む沖縄の土地や天然資源が、どこに帰属するのかを問題にされかねない。沖縄は尖閣諸島を含めて日本の国土だ」と批判した。---ちなみに、国連先住民作業部会による先住民の定義は、先住の諸共同体、人々、諸民族とは、侵略及び植民地化以前に自身のテリトリーにおいて発達してきた社会との、歴史的な連続性を有し、これらのテリトリー、あるいはその一部において現在優勢を占めている、社会の別の構成部分と、自分たちを区別して考えている人々である。彼らは現在、社会の非支配的な部分を構成しているが、自分たちの継続的な民族としての存続を基盤として、伝来の土地と民族的(エスニック)なアイデンティティを、自身の文化様式、社会制度、法制度に従いながら、維持し、発展させ、将来の世代へと引き継ぐことを決意している。380. この歴史的な連続性には、以下の諸要素の一つあるいは複数の、現在までの長期に渡る継続が含まれうる。a) 先祖伝来の土地の、全部あるいは少なくとも一部の占有。b) これらの土地の元来の占有者を祖先として共有すること。c) 一般的な意味での、あるいは特定の表現(宗教、部族制度での生活、先住民共同体の成員、衣服、生計の手段、生活様式、その他)における文化。d) 言語(唯一の言語であるか、母語であるか、家庭であるいは家族との会話の習慣的手段であるか、主要な、好んで、慣習的に、一般的あるいは通常もちいられる言語であるかを問わない)e) 国の一定の部分、あるいは世界の一定の領域での居住。f) その他関連する要素。となっているそうです。この定義に従って考えるならば、沖縄の人々は、先住民に該当する可能性が充分あるでしょう。あとは、沖縄の人たち自身のアイデンティティがどうか、ということに過ぎません。いうまでもなく、沖縄の人たちは日本人です、日本国籍を有する人という意味で。しかし、民族という概念で考えた場合に、日本人(日本民族)かどうかは、結局は当事者の自己意識次第です。米国にアメリカ民族というものはなく、ボリビアにボリビア民族というものはありません。アングロサクソンという民族の米国人、アイマラという民族のボリビア人はいますが。ドイツにはドイツ民族がいますが、ドイツ民族はオーストリアやスイスにもいます。日本は、日本という国家の領域と、日本民族(日本語をしゃべる、という意味で)の住む領域がほとんど一致しているという、世界的に見ても稀有な例なので、多数派の日本人は民族と国民を混同しがちですが、○○民族と〇〇国民という概念は、本来的には異なるものです。引用記事の宮崎議員は、沖縄が地盤だそうですが、生まれが沖縄というわけではないようです。いずれにしても、この人が沖縄の人のすべての意識を代表しているわけでもないでしょう。なんと言っても、自民党は沖縄ではすべての小選挙区と知事選で、敗北しているのですから。私は、沖縄の人が一般的にこの辺りについてどう考えているのかは、よく知りません(沖縄に行ったことがないし)。ただ、客観的な事実として言えるのは、もともと17世紀までの沖縄は、名実ともに独立国だったこと、それ以降は実質的には薩摩藩の属領なったものの、名目上は明治初期まで独立国だったこと、沖縄弁(あるいは琉球語)は、日本でこそ「日本語の方言」とされていますが、言語学的にはほぼ別の言語であること、です。現在においては、沖縄の方言はほぼ消滅寸前ですが、それは日本政府が先住民として公式に認めているアイヌも同じことだし、世界的に見れば、言語的には滅びたに等しい先住民族は数多くあります。とは言え、民族や言語の区分と国境線の区分は、本来的には無関係であるべきはずですが、現実には全く無関係ではありません。たとえば、中国語と言っても、北京語と上海語、福建語など各「方言」では、英語とドイツ語並みの違いがあると言われます※が、それなのに「中国語」と呼ばれるのは、中国が単一の国家であることと無縁ではないでしょうし、ゲルマン語のイングランド方言とドイツ方言と言わないのは、イギリスとドイツがべつの国家だからでしょう。※ただし、中国語は、話し言葉としては地域によってほぼ別言語ですが、文字は共通です。だから、聞くところでは、中国の映画館では映画に必ず字幕がつくそうです。沖縄弁も、沖縄が独立国のままだったら、日本語の「方言」という扱いにはならなかったでしょうし、沖縄どころか鹿児島弁や津軽弁だって同様でしょう。方言100%で話をされたら、一般の東京人には鹿児島弁も津軽弁も、まったく理解不能です。いずれにしても、「失礼な話」だの「民族分断工作」だのというのは、「民族=国民」という前提に基づく思い込みです。日本以外の国に、そのような前提はほとんど存在しない(もちろん、おそらく国連にも)ことを踏まえないと、少数民族圧殺の正当化とみなされかねません。
2016.04.28
コメント(2)
豪州の潜水艦12隻、日本は受注逃す フランス企業にオーストラリアのターンブル首相は26日、新しく導入する潜水艦12隻について、フランス企業に発注すると発表した。総額4兆円を超す大型発注で、日本は政府を窓口に売り込みを図ったが受注を逃した。「防衛装備移転三原則」に基づく初の兵器本体の技術供与になるか注目されていた。---日本は戦後ずっと、武器輸出で儲けるのではなく、民生品の輸出で経済的繁栄を得てきました。その影にはいろいろと問題はあったにしても、戦争の道具で金儲けはしない、という矜持は貫いてきた。(その反面、自衛隊は、バカ高い国産やライセンス生産の兵器を買い続けてきたという問題はありますが)ところが、安倍政権になって、この面でも日本は平和国家の矜持を放擲してしまった、と、言いたいところですが、これに関しては安倍政権だけの罪ではなく、民主党政権時代に武器輸出三原則の見直しの動きは始まっています。ただし、いくら武器輸出を華々しく打ち出したところで、現実に諸外国が日本製の武器を買ってくれるのか、というのはまた別の問題です。今回は、オーストラリアは日本製の潜水艦は購入しないことになりました。私はほっとしています。日本は武器輸出で稼ぐ国であるべきではない、と思うのが第一の理由ですが、もう一つは、仮に契約を取ったところで上手く行くはずがないと思うからです。先にちょっと書きましたが、自衛隊は国内で開発したりライセンス生産された武器を購入していますが、これが非常に高価です。航空機や戦闘車両、銃火器の場合は特にその傾向が著しいのです。艦艇の場合はそこまで著しい差はないでしょうが、それでも諸外国に比べると高価につくであろうことは想像に難くありません。それでも日本が頑張って契約を取ってしまった場合、赤字になる可能性が高かったのではないでしょうか。その赤字を、製造メーカーが被るのならまだしも、政府が補填する、なんてことになったら冗談ではありません。買う側のオーストラリアだって、潜水艦の輸出は初めての日本より、今まで何隻も輸出しているフランスやドイツから買うほうが安心というのが正直なところではないでしょうか。産経新聞あたりは、この潜水艦輸出の話を盛んに報じていましたが、実現の可能性は最初からあまり高くはなかったのではないかと思います。日本側も本音ではそう感じていたのかもしれません。メーカーがあまり積極的ではなかった、という報道もあります。まあ、それでよかったと私は思います。
2016.04.26
コメント(2)
国連特別報告者とは一体何者なのか? 実態と乖離した報告に反発強まる 政府は問題点を申し入れへ日本における表現の自由の現状を調査した国連のデービッド・ケイ特別報告者が報道の自由や教科書検定などについて懸念を示したことをめぐり、政府からは「政府が行った説明が十分に反映されていない点が多々あると感じる」(萩生田光一副長官)などの反応が出ている。昨年来日し「日本の女子生徒の13%が援助交際に関わっている」と発言した特別報告者も含め、相次ぐ実態とかけ離れた見解には国内の反発も強まっている。そもそも特別報告者は政府の説明を受け止めた上で公正な判断を下せる性格の制度なのだろうか。ケイ氏は時間の半分を省庁、残りをNGO関係者やジャーナリストや弁護士などとの面談にあてた。政府側は局長や審議官レベルが対応し、説明の不備を指摘されない対応で臨んだ。ケイ氏が会ったNGOやジャーナリスト、弁護士を含む市民社会については、面談者などの情報は明らかになっていない。特別報告者は国連人権理事会から任命され、政府や組織からは独立して特定の人権に関わるテーマについて各国で調査や監視、報告、勧告を行う。米国の大学教授で人権を専門とするケイ氏は2014年8月に任命された。特別報告者の訪問は国連側から各国に打診があって調整が始まる。訪問先について日弁連のホームページには「多くの訪問要請があると訪問が実現する可能性が高くなります」とある。政府内には「政府がいくら対応しても特別報告者側もNGOなどの訴えを受けている以上、政府の説明に理解したとは言えない立場にある」との声も漏れる。特別報告者をめぐっては深刻な人権侵害が行われている国で調査ができなかったり、調査できても勧告が無視されたりすることが多く、制度として事実上形骸化している実態も指摘されている。ケイ氏の日本での調査報告書は来年6月の人権理事会で報告される見通し。日本は今後、ケイ氏が19日に発表した見解の問題点を関係省庁で整理し国連側に申し入れる方針だ。---またも例によって産経新聞の記事です。国連特別報告者が報道の自由や教科書検定などについて懸念を示したことが、よほど気に入らなかったようです。要するに、政府の説明に「はい、分かりました」と納得しなかった特別報告者はけしからぬと、簡単に言えばそういうことです。だけど、ことは表現の自由、報道の自由に関わる話です。おおむね世界のどこの国でも、報道の自由に対して生殺与奪の力を握っているのは政府です。(政府の力が及ばぬ地域で、武力組織がその力を握っていする場合もありますが)政府が報道の自由を守っているかどうか疑念があるから、特別報告者は調査に来るわけです。それなのに、政府の説明を聞いて、「なるほど、ごもっとも、そのとおりですね」では、調査の名に値するわけがありません。そりゃ、政府にとって耳の痛い、あるいは腹立たしい指摘はあるでしょう。当たり前でしょう。日本における報道の自由の状況に問題があると考えるから特別報告者が調査に来るのです。何も問題がないと思っていたら、そもそも調査に来るわけがないんだから。産経新聞にとっては、「政府が右と言ったら右!」なのかも知れませんけど、それは産経が政府の(正確には自民党政府の)御用メディアに過ぎないからであって、まともな調査というものは政府の御用聞きではありません。それにしても、ここまで政府(自民党政権)と一体化して、特別報告者が政府の説明を聞き入れず、日本の報道の自由に懸念を示したというだけで「けしからぬ」と吹き上がってしまうのが産経新聞です。安倍政権が批判されると、「日本叩き」だというのですが、それは脊髄反射としか思えません。安倍政権と日本と産経新聞(や、それに近い保守メディア)が、彼らの頭の中では一体化されてしまっているのでしょう。まあしかし、報道の自由に関しては、安倍政権には幾多の問題があるものの、たとえば中国のように直接的に新聞を発行禁止にしたり、放送をブラックアウトさせたりしているわけではありません。裏でコソコソと圧力をかけているだけです。もちろん、それも許し難いことではあります。しかし、その圧力に易々と屈して、自ら自主規制してしまう報道機関の上層部は、ある意味ではそれ以上に許し難い。もちろん、自ら率先して政権のメガホン役を務める産経新聞などは論外ですけど。
2016.04.25
コメント(2)

エストレージャ・アンディーナ 演奏のお知らせ4月29日(祝)午後2時頃より高尾山のふもとの浅川金毘羅神社で演奏します。いろいろな出演団体があるようですが、我々の演奏時間は午後2時から20分程度(4曲を予定)です。野外での演奏なので、雨天の場合は中止もあり得ます。浅川金毘羅神社 中央線または京王線高尾駅から徒歩。高尾駅から山頂までの標高差が100mほどあり、神社までの道が「登山道」となっています。おそらく、足元は運動靴の必要がありそうです。革靴とかハイヒールでは、おそらく厳しいでしょう。(私も初めて行くので、詳細は分かりません)金比羅神社東登山道-三和団地それにしても、3月は教会で演奏、4月は神社で演奏。次はお寺で演奏かな。実はかつて、15年くらい前ですが、お寺でも演奏したこともあります。教会は、うちの子の幼稚園(教会併設の幼稚園)で演奏したのを含めると、3箇所で演奏しましたが、神社での演奏は初めてです。まあ、厳密に言うと、神社といっても境内で演奏するということで、建物の中で演奏するわけではないですけれど。このときとは、メンバーが少し異なる予定です。---以下追記ところで、北海道5区で自民党の町村議員死去に伴い補欠選挙が行われました。池田候補、善戦及ばず落選。とはいえ、過去8回の選挙で自民党が1回しか負けたことのない選挙区だし、もともと自民党の町村議員が持っていた議席ですから、自民党は勝って現状維持、野党側は負けて元々なので、そこで善戦したこと自体に意味があるでしょう。で、開票率100%で、池田候補12万3千票。前回選挙は民主党9万5千票、共産党3万1千票なので、投票率が前回より低いこと、新党大地が民主陣営から自民陣営に鞍替えしたことを考慮すると、ほぼ両党の票の合計がそのまま池田候補の得票になったようです。つまり、民主党(民進党)と共産党の共闘には効果があったということです。共産党との共闘に不服な民進党の保守票が逃げるとか、民進党に投票することを潔しとしない共産党票が棄権に回る、といったことはほとんど起こらず(個別には、多少あったでしょうけど)、両党の前回の得票の足し算どおりの結果になったわけです。そういえば、北海道5区で、過去たった1度だけ民主党が勝ったのは2009年の民主党大勝のときでしたが、そのときも共産党は候補を立てていないのです。
2016.04.24
コメント(5)
<熊本地震>原発報道「公式発表で」…NHK会長が指示NHKが熊本地震発生を受けて開いた災害対策本部会議で、本部長を務める籾井勝人会長が「原発については、住民の不安をいたずらにかき立てないよう、公式発表をベースに伝えることを続けてほしい」と指示していたことが22日、関係者の話で分かった。識者は「事実なら、報道現場に萎縮効果をもたらす発言だ」と指摘している。会議は20日朝、NHK放送センターで開かれた。関係者によると、籾井会長は会議の最後に発言。「食料などは地元自治体に配分の力が伴わないなどの問題があったが、自衛隊が入ってきて届くようになってきているので、そうした状況も含めて物資の供給などをきめ細かく報じてもらいたい」とも述べた。出席した理事や局長らから異論は出なかったという。(以下略)---公式発表を取り上げるな、とはもちろん言いませんが、それだけでは報道の名には値しません。政府とは無謬の存在ではなく、公式発表は間違いのない事実とは限らないし、事実の一部しか公開していない場合もあります。それをチェックし、独自の視点から取材し報道をしなければ、それは報道機関ではなく政府の広報機関でしかありません。要するに、籾井はNHKを安部政権の上意下達機関にしたいということでしょう。皆様のNHKではなく、安倍様のNHKというわけです。その結果、やってくるのは太平洋戦争中の大本営発表の再来でしょう。ミッドウェー海戦で大敗北を喫しても「勝った」と言い、ガダルカナルで飢餓地獄の果てに撤退したことを「目的を達して転進」と言い、東京大空襲に際しては「都内各所に火災を生じたるも、宮内省主馬寮は2時35分、その他は8時頃までに鎮火せり。」しか発表しなかった大本営発表を、当時の新聞やラジオは、ただただそのまま報じるだけでした。その結果、日本は破滅への道を転落することになりました。おなじことをまた繰り返したい、ということでしょうか。
2016.04.23
コメント(6)
「被災地支援の足引っ張っている」「ふざけるなよ、お前らホンマに」おおさか維新の足立氏、再び民進党を批判衆院総務委員会で民進党を「あほ」などと罵倒したおおさか維新の会の足立康史衆院議員が、21日の同委員会で再び「民進党は(熊本地震の被災地支援の)足を引っ張っている。ふざけるなよ、お前らホンマに」などと発言し、遠山清彦委員長(公明)から再三注意を受けた。足立氏は記者団に言葉遣いの不適切さは認めたが、事実関係に間違いはないと主張した。(以下略)---この議員の発言詳報が同じく産経新聞のサイトに載っていますが、ひとことで言って聞くに堪えません。【足立康史氏の発言詳報】「今日は高井崇志委員(民進党)がテレビカメラも呼んで、内閣府の松本文明内閣府副大臣を呼びつけた。週刊誌を読み上げて『お前けしからん』というわけだ。あほだと思う。本当、あほ」「国会議員は国民の負託を受けて仕事をしている。一国の総理大臣に『ヒトラー』と言ったり、『嘘つき』と何回も言ったり、あるいは日本国を取り上げて『死ね』という言葉を紹介するのは絶対にやめた方がいい」「私が今日、いろいろ口を荒だてて、大変失礼なことも申し上げたが、今日の高井委員の質疑については問題があると思う。テレビを呼んで、被災地で頑張ってきた副大臣を呼びつけ、週刊誌をもとに誹謗する。九州のために全力を尽くしているのが自公政権だ。おおさか維新の会も大阪では与党だから、全力で九州に人を送ってやっている。何もやっていないのは民進党だけだ。民進党は何をやっているか。足を引っ張っているんですよ、足を。ふざけるなよ、お前らホンマに」(抜粋)---松本文明といえば、熊本地震の現地対策本部長になったものの、災害対策用テレビ電話で食料の差し入れを要求する、屋外避難解消を知事に要求して不信感を持たれる(避難所がないからではなく、余震が怖くて屋外に避難している人が多かったし、実際にその恐怖感は直後の本震によって証明された)、「政府に文句を言うな」などと地元自治体職員に暴言を浴びせるなど、問題行動が多く、最終的に更迭されています。与党の自公ですら更迭に動くような人物を批判することが「アホ」だというのです。ならば、あの副大臣をそのまま熊本に貼り付けておくべきだった、ということなのでしょうか。そして、一国の首相をヒットラーと言うことが怪しからんというのですが、私の知る限り、国会の審議の場で、自民党の憲法改正案の緊急事態条項と、ナチスの全権委任法の類似性を指摘した質問(社民党福島議員)はあったけれど、安倍個人をヒットラーと言った議員はいないのではないでしょうか。もちろん、国会の外では、安倍はヒットラーだ、という主張はいくらでもあります(私も、ある程度そう思う)。しかし、それを言うなら、民主党(民進党)、社民党、共産党やその所属議員に対する、もっとひどい罵倒暴言も、国会の外にははいて捨てるほどある。国会の外でこんな物言いがあるからと言って、同じような暴言を国会の中でも吐いてよい、ということにはならないでしょう。TPOというものはあるはずですから。九州のために全力を尽くしているのが自公政権だ。おおさか維新の会も大阪では与党だから、全力で九州に人を送ってやっている。何もやっていないのは民進党だけだ。というのですが、民進党は今現在野党なんだから、政権担当者として九州のために何かをやる、というのは原理的にも不可能でしょうし、おおさか維新だって同じです。大阪では与党だから九州に人を送っている、というのですが、それをいえば、民主党が与党の自治体にも、九州に人を送っているところはたくさんあるんじゃないでしょうか。それにしても、ここまで露骨に自公政権をほめたたえ、野党第一党の民進党を罵倒する。それでもおおさか維新は野党だ、というのです。冗談じゃないなと思います。確かに閣僚は送り出していない、政府内に人は出していないけれど、事実上の与党みたいなものです。まあ、閣外協力に近いでしょう。そういうおおさか維新の立ち位置をもっとも忠実に体現したのが、この足立議員というわけです。
2016.04.21
コメント(2)
トランプ氏、ニューヨーク州で圧勝 共和党予備選米大統領選に向けた共和・民主両党の候補指名争いは19日、大票田の東部ニューヨーク州でともに予備選が行われ、共和党は同州出身の不動産王ドナルド・トランプ氏が圧勝する見込みとなった。米放送局各社が一斉に報じた。CNNによれば、開票率9%の時点でトランプ氏の得票率は65.1%と、テッド・クルーズ上院議員の13.7%、ジョン・ケーシック・オハイオ州知事の21.2%を圧倒している。---一時期失速の気配があったものの、トランプは大票田のニューヨークを押さえて、まだまだ勢いは止まっていないようです。残念ながら、共和党の大統領候補に選出される可能性は結構高いと思わざるを得ないでしょう。当ブログでも、過去何回かトランプ候補について批判的に取り上げました。でも、最近私は、トランプが共和党の大統領候補になるのも悪くないかも、と思わないではありません。誤解の内容に言っておくと、トランプが大統領になるのは最悪だと思っています。でも、トランプでは、多分本選では勝てないでしょう。一方、共和党のもう1人の候補者テッド・クルーズ、こいつは、トランプがトンデモぶりを炸裂させているので目立たないですが、実はトランプと大同小異の極右派です。トランプがもし米大統領になったら大変だけど、クルーズがなっても大同小異です。民主党のクリントンが良いとは全然思わないけれど、この二人に比べれば多少マシではあります。もちろん、いちばん良いと思うのはバーニー・サンダースですけどね。トランプが共和党の大統領候補になった場合、トランプは本選では勝てないでしょうが、クルーズはトランプよりは勝ち目が高そうに感じるのです。どちらが大統領になったとしても最悪なので、それならばトランプが大統領候補になってくれるほうが、当選の可能性を下げる意味では、まだマシかなと思うのです。もっとも、トランプはもし自分が大統領候補に選ばれなかったら、無所属で強行出馬することを匂わせています。そうなった場合は、共和党支持層は割れるでしょうから、クルーズ当選の目もなくなるかも知れません。サンダースは、残念ながらクリントンには最終的には及ばないようですが、まだまだ善戦中。少なくともトランプ対サンダースなら、本選もサンダースに勝ち目はあると思うんですけどね。
2016.04.20
コメント(6)
阿蘇地方、地震活動活発化…気象庁警戒呼びかけ気象庁は19日、18日夜に熊本県阿蘇地方を震源とする最大震度5強の地震が発生した後、同地方で特に地震活動が活発になっていると発表した。気象庁は、土砂災害などに警戒するよう呼びかけている。阿蘇地方では18日午後8時41分に強い地震が発生し、熊本県と大分県の一部で震度5強を観測した。この地震の後、19日午前9時23分頃までに、同地方を震源とする震度1以上の体に感じる地震が計12回観測されたという。---いつまでたっても余震が収まらないようです。余震活動は布田川-日奈久活断層周辺で起きています。その南西端に位置する川内原発近くでの新たな地震も怖いですが、北東側の阿蘇山周辺の地震もまた怖いです。地震と火山の噴火は、切っても切れない縁があります。東日本大震災は、目下のところそれによって誘発された火山噴火は発生していませんが、世界的に見ると、巨大地震の後には、それによって誘発された火山噴火の例は非常に多いのです。地震によって地下のマグマだまりが揺さぶられると、マグマの圧力が高まるからです。阿蘇山も、地震直後の16日朝に噴火しています。ただ、阿蘇山は頻繁に噴火しており、このときの噴火も「いつもの噴火」だったようですが。しかし、その後の阿蘇山の近辺で余震が続いていることは気になります。それによって「いつもの噴火」ではない噴火が起こってしまったら、とてつもないことになってしまうからです。以前から何度か紹介していますが、阿蘇山は9万年くらい前に、九州全土を火砕流で覆うほどの超巨大噴火を起こしたことがあるからです。そんな噴火が今起こったら、九州は文字どおり全滅、日本は破滅です。まあ、さすがに、そんな規模の超巨大噴火は、その前に明白な前兆現象があるだろうと思います。600立方キロ、つまり縦横高さ8km四方というとてつもない量のマグマが噴出するのです。その直前には、上昇してきたマグマによって、山の形が変わるくらい山体膨張があるだろうと思うのです。もっとも、今までにそれを見た人間はいないので、あくまでも推測に過ぎませんが。で、そうしたら、更に、地震の影響で、阿蘇山の監視機器が正常に作動していないみたいなんですね。ということは、山体膨張の有無なども、よくわからなくなっている、ということでしょうか。それでは、前兆現象があっても捉えることができないかもしれません。ともかくも、余震(あるいは更なる本震)ができるだけ早期に終息することを祈るばかりです。
2016.04.19
コメント(2)

エクアドル地震、死者246人に 数百人の安否不明か南米エクアドルで16日に発生したM7.8の地震で、ホルヘ・グラス副大統領は17日、死者が246人、負傷者が2527人に増えたと発表した。現地では、倒壊した家屋やホテルの下敷きになった人々の懸命の救出活動が続けられている。地震が発生したのは16日午後6時58分で、揺れは約1分間続いた。米地質調査所によると、震源は首都キトの北西約170キロの海岸部で、多くの観光客が訪れる地域だった。被害が大きかった町の一つ、ペデルナレスの町長によると、多くの人々が倒壊したホテル約40軒の下敷きになっており、未確認の死者は最大で400人に上るとも推定される。グラス副大統領によると、最も被害の大きかった地域には治安部隊1万4000人、医療従事者241人が派遣された。英国のオープン大学のデービッド・ロザリー教授(地球科学)によると、M7.8という地震の規模は、16日に熊本で起きたM7.0(USGS公表値)の地震よりも「総エネルギー量でおそらく約20倍大きい」という。同教授は、2つの地震には因果関係はないとしている。---熊本の地震についての記事で、当ブログの常連さんで熊本在住の方がいる、と書きました。その後FB経由で、ご本人も無事、ご自宅も壊れてはいないらしいことがわかりました(が、まだ屋外に避難している模様です)。ほっと一安心ですが、実は、その方からメッセージをいただきまして、エクアドルの地震についてもブログで取り上げてくださいという御意向でした。で、そのエクアドルの地震です。アンデス諸国も地震が多い地域で、特にチリ、チリ地震津波に代表されるように、日本まで到達するような大津波を伴う超巨大地震が何回も発生しています。ついでペルー。それに比べると、エクアドルとボリビアは、あまり地震が多い印象はなかったのですが、それはあくまでも私の印象であり、実際にはエクアドルでも巨大地震はある、ということを改めて再認識させられました。マグニチュード(モーメント・マグニチュード)は、熊本の本震より0.8大きい。引用記事では総エネルギー量で20倍くらいとあります。単純計算では16倍になりますが、いずれにしても熊本の地震よりかなりでかいことははっきりしています。地震の規模と被害の規模は必ずしも比例するとは限りませんが、どうやら今回の熊本の地震とエクアドルの地震に関しては、人的被害の規模も比例しているようです。スペイン語のニュースサイトより写真を拾いました。コンクリート製と思われる建築物が軒並み倒壊しているあたりは、熊本の地震より被害規模が大きいことが歴然とわかります。こちらの地震についても、一刻も早い行方不明者の捜索と救出、それに復旧が進むことを祈念しております。
2016.04.18
コメント(2)
昨日の記事でも触れたとおり、熊本で2度にわたる大地震がありました。で、この地震があっても、川内原発は異常がなく、また施設内の揺れも基準内に収まってといたということで、運転は継続中なのだそうです。そのことについて疑問の声もありますが、原子力防災担当相を兼務している丸川環境相は「原子力規制委員会において停止させる必要はないと判断されている」と言っているそうです。確かに、原発における震度は4だったので、これで施設が損傷することはいくらなんでもないでしょう。だから、直ちに停止する必要はない、というのは、一連の地震がこれで終息という確実な保証があるならば、間違いではないかもしれません。が、しかし、それは確実な保障といえるでしょうか。すでに14日夜の最初の大地震の後、より大きな地震が16日未明に発生したという前例があります。そして、この16日の「本震」が本当に本震なのか、つまり、更に大きな地震が今後来ることがないという保証は、実のところまったくありません。それどころか、更に大きな、あるいは少なくとも16日と同程度の地震が今後もあるのではないか、という懸念を示す地震学者もいます。残念ながら、地震の予知は難しく、本当に更なる地震があるかどうかは、実際のところはわかりません。しかし、確実にいえることが2点あります。一つは、更なる大地震の発生可能性が絶対的にどの程度の高さかはわからないけれど、相対的に、平常時よりははるかに高い確率であろう、ということです。そして、もう一つは、二つの地震は布田川-日奈久活断層とその周辺で起きている、ということです。川内原発は、この活断層の南西端からそう離れてはいない場所に位置しています。この2つの条件を考えると、川内原発は確かにここまでの地震では問題なかったのは事実ですが、今後もこのまま稼動し続けることが問題ないのかどうか、かなり疑問の余地があるように思います。ネット上には、川内原発を止めたら九州は停電だ、というようなことを叫ぶ人たちがいますが、これはかなり眉唾です。川内原発の再稼動を九州電力が望んだのは、経済的な理由からであって、稼動しなければ停電になるほど電力供給が逼迫しているわけではありません。しかも、今は4月ですから、真夏に比べて電力需要は小さい。また、地震に伴って横野発電所、竜宮滝発電所、大平発電所の3つの水力発電所が停止したと報じられていますが、それらの発電所はきわめて小規模(横野1550KW、竜宮滝200KWに過ぎません。大平発電所は50万KWもありますが、揚水発電所なので、8時間で貯水を使い切った場合に発揮できる瞬間最大発電量です)なものなので、これらが使えないから電力が足りない、というようなものでもありません。これらの条件を考え合わせると、原発を動かさないと電力が足りない、という状況であるようには思えません。地震がある「かも」知れないからと新幹線や高速道路を止めるのか、という意見も見かけましたが、実際問題、九州新幹線も高速道路も止まっています。最初の地震の後の状況で、九州新幹線の運転再開はゴールデンウィーク頃と言っていました。2度目の地震を受けてどうなったかは知りませんが、それより早く復旧することはないでしょう。仮に再開したとして、乗るかどうかは利用者ここの判断になります。新幹線に乗らなければ事故にあうことはないので、地震が怖いから当面は乗らない、という選択は可能だし、そのように判断する人は少なからずいるでしょう。それに対して、原発はそうは行きません。原発が嫌でも電気を使わない生活は難しいけれど、仮に電気を使わない生活をしたところで、事故になれば一蓮托生、放射能が降り注ぐことになります。新幹線や高速道路と違って、個人の選択で被害にあうリスクをコントロールすることができません。ついでに、新幹線や在来線、高速道路などが寸断されているということは、次に万が一の事態が起こった場合に、避難には著しい支障がある、ということです。これらのことを考えると、川内原発を、少なくとも余震活動が終息に向かうことが明確になるまでは停止しておくべきだと私は思うんですけどね。
2016.04.17
コメント(22)
熊本で未明に震度6強、本震か 3人死亡、建物倒壊多数16日午前1時25分ごろ、熊本県で最大震度6強を観測する地震が発生した。気象庁はM7.3(暫定値)と発表した。この地震以降、同日午前7時までに同県内で3人の死亡が確認された。南阿蘇村や西原村、益城町、嘉島町などで多数の住宅やアパートが倒壊しており、救出作業が続いている。熊本市南区の済生会熊本病院によると、16日未明の地震以降に搬送された2人が死亡した。また、消防によると、同県八代市松崎町でアパートが全焼し、焼け跡から1人の遺体が見つかった。入居者の1人と連絡が取れていないという。気象庁によると、M7.3は1995年の阪神大震災級。震源の深さは12キロで、南阿蘇村、菊池市、宇土市、大津町、嘉島町、宇城市、合志市、熊本市で震度6強を観測した。気象庁はこの地震が本震で、14日夜以降の地震は前震という見解を示した。一時、津波注意報が発令されたが津波は観測されなかった。14日の地震以降、16日午前3時までに震度1以上の地震が165回発生しているという。---昨日の記事は一昨日の間に書いてあったもので、もし時間があれ地震の記事も書きたかったのですが、昨日は帰宅が遅かったので、その時間は取れませんでした。そこで、今朝改めて地震の記事を書こうとパソコンを立ち上げて、地震の記事を調べたら、何と、一昨日より更にでかい地震が未明に発生していたことを今知った次第です。(朝刊の締め切りには間に合わなかったのでしょう、今朝の毎日新聞には、一昨日の地震の記事しかありません)観測された最大震度は、一昨日の地震は震度7で今日未明の地震は6強ですが、マグニチュードは一昨日がM6.5で今日は7.3なので、実は一昨日の地震は今日の地震の前震だったようです。そういえば、3.11のときも2日前にM7.3の前震がありました。当時は、それが前震だなどとは誰も思いませんでしたが。一昨日の地震では死者9名と報じられていますが、今朝の地震はまだ被害の全貌がわかっていません。3名死亡とありますが、学生アパートの倒壊で多数の生き埋めが発生しているとの報道もあり、死者がこれから増えるのは、残念ながら確実な情勢です。報じられている生き埋めなどの被害状況から考えて、一昨日の地震の死者9名を上回ることになりそうです。実は、当ブログの常連さんに、熊本在住者がいます。一昨日の地震ではFB経由で本人も無事、住居も損傷なしと知らせがありました。今朝の地震でも本人の無事だけはわかりましたが、避難中の様子で、住居がどうなったかはわかりません。まあ、最低限本人が無事なのがわかったことだけは、よかったのですが。それにしても、私が子どもの頃から、東海大地震の脅威はずっと言われていますが、東海大地震が起こらない間に、日本海中部、北海道、阪神淡路、新潟中越、今回の熊本地震、それにもちろん3.11の東日本在震災も、東海以外の地域で大きな地震がずっと続いています。もちろん、東海地震も、いつかは必ず起こることははっきりしています。日本中に地震のない土地はないなと改めて痛感します。ところで、とりあえず、九州電力の川内原発と玄海原発は異常なしだそうです。川内原発で観測した震度は4だったそうなので、さすがに原発が壊れるような揺れではなかったようですが、余震あるいはひょっとすると更に大きな本震がより原発の近くで発生しない保証はないように思います。少なくとも、何もないときに比べて、その可能性は比較にならないくらい高まっていると思うのですが、それでも原発の運転は停止していない、と。それでいいのでしょうか。一方で、九州新幹線は、一昨日の地震で脱線が発生しました。その後まだ運転を再開していないので(もともと、今朝の地震は新幹線の終電後)、今朝の地震では新たな脱線は発生していません。ただ、施設の損傷は、おそらくあるだろうと思います。いずれにしても、新幹線は新潟中越地震、東日本大震災、今回の熊本地震と、大地震のたびに脱線には至っているものの、死者は発生していません。もちろん、幸運な偶然という要素は大きいのです。阪神淡路の際は、高架線が落ちたので、もしあれが日中の発生だったら、大惨事は避けられませんでした。今回も、地震で脱線したのが回送列車で、乗客なし、速度も80km/hという状況だったことが不幸中の幸いだった、ということになります。とはいえ、そういった幸運に助けられた側面はあったにしても、それでも新幹線の安全性はかなり高いな、ということを今回も痛感しました。ともかく、被害者の一刻も早い救援と、被害からの復旧を願っています。
2016.04.16
コメント(3)
露外相発言 北方四島の帰属交渉「拒否しない」は日本引き込む詐術だ北方領土について問題の存在さえ否定する発言を繰り返してきたロシアのラブロフ外相が、一部の海外メディアに対し、北方四島の帰属をめぐる交渉を「拒否しない」と語った。これだけでロシアが、領土交渉に前向きな姿勢に転じたと受け取るとしたら、あまりにも軽率かつ危険といえる。外相は平和条約の締結交渉と領土問題の切り離しを繰り返し主張した。むしろ、北方領土を返すつもりがないことが改めて分かったと、冷徹に分析すべきだ。会見は、15日の訪日を前に行った。内容を吟味すれば、およそ楽観などできないことが分かる。ラブロフ氏を筆頭に、ロシア政府高官は、領土問題の存在を否定する言動を重ねてきた。今回の会見でも、領土交渉に入る必要性など認めていない。四島をめぐる話し合いに応じるといっても、平和条約を結ぶ前に、実質的な領土交渉を行う気などないというのだから、とても信用はできない。あきれるのは、日本に対し、北方領土は第二次世界大戦の結果、ソ連・ロシア領になったと認めるよう、改めて迫っている点だ。到底、容認できない。ソ連は、日ソ中立条約を破って参戦し、日本がポツダム宣言を受諾して終戦となった後に、武力で四島を不法占拠した。何の正当性もない「力による現状変更」は、火事場泥棒といえる行為だった。それが歴史の事実である。四島は日本固有の領土であり、その帰属を明確にし、返還を実現することこそ、平和条約締結の大前提だ。政府はその一貫した立場を崩してはならない。安倍晋三首相は5月にロシア訪問を予定しており、その後に伊勢志摩サミットを主宰する。ロシアのクリミア併合問題も重要な議題となる。ロシアとしては、プーチン大統領との首脳会談の前に、領土交渉をめぐる発言を変化させ、議長国日本を懐柔する必要がある。原油安による経済的苦境が続いており、自国への圧力を少しでも減らしたいからだ。日本もサミット参加国も、この程度の詐術に惑わされてはなるまい。ロシアがなすべきは、領土を不法に奪ったことへの謝罪と返還だ。北方領土の軍事基地強化の方針も直ちに撤回すべきだ。---例によって産経新聞の社説です。右派陣営が平和運動などに対して発する批判用語のひとつに「空想的平和主義」というのがあります。「平和」「平和」と念仏を唱えていれば平和が守られるのか、というわけです。産経新聞も、その種の批判をよく行う新聞です。しかし、この「主張」(社説)を読むと、産経新聞のような「愛国主義者」(自称)こそが、空想的愛国主義であることがわかります。ここには、何一つ具体策がない、「北方領土を返せ」と叫び続けろ、というだけです。「北方領土を返せ」と念仏を唱えていれば、北方領土は帰ってくるのですか?帰ってきません。全日本国民が「北方領土を返せ」と叫んだところで、返ってはこないのです。それは、逆を考えればわかることです。10億の全中国人が「釣魚諸島を返せ」と叫んだら、日本は尖閣諸島を中国に引き渡すんでしょうか?以前にも何度か書いたことがありますが、「固有の領土」などという言い方自体が、硬直思考の産物です。それに、旧ソ連の北方領土占領が不法なものであったことは確かですが、サンフランシスコ条約で日本はその状態を一度は受け入れています。外務省は、サンフランシスコ条約締結前後の時期は、国会答弁において「国後・択捉はサンフランシスコ条約で放棄した千島列島に含まれる」と明言しています。ところが、後になって「国後・択捉は千島列島には含まれない」という奇妙な説を持ち出して、国後・択捉は放棄していない、と言い始めたのです。尖閣諸島に関して、中国はかつては領有権を主張していなかったのに、後になって領有権を主張し始めた、というのはよく言われる話です。しかし、実のところ北方領土に関しての日本の主張も、それと同じなのです。いずれにしても、北方領土は帰ってきません。少なくとも、国後・択捉の2島が帰ってくることはない、これは間違いありません。それに対して、歯舞・色丹が帰ってくる可能性は、皆無ではない。平和条約を結び、相応の経済協力や投資などと交換でなら、両島が返還される可能性はある。ただし、産経の言い分のとおりに行動している限りは、歯舞・色丹が帰ってくる可能性もゼロです。しかし、もし日本政府が2島返還で北方領土問題を妥協しようとしたら、産経などの右派勢力は発狂して妨害を図るでしょう。もちろん、安倍政権がそんな解決を図ろうとするとは思えませんが。産経や右派勢力の深層心理としては、むしろロシアに対する敵愾心を煽ることは自らの商売、支持拡大のタネになるので、北方領土問題は永久に解決しないほうがいいのと思っているのではないか、と思ってしまいます。
2016.04.15
コメント(5)
田母神元空幕長を公職選挙法違反の疑いで逮捕一昨年の東京都知事選挙で落選した田母神俊雄元航空幕僚長が、選挙運動の報酬として複数の運動員に現金を渡していた疑いがあるとして、公職選挙法違反の疑いで東京地検特捜部に逮捕されました。田母神元幕僚長はこれまでの取材に対し、「現金を配ることを了承したつもりはなく、指示したこともない」などとみずからの関わりを否定していました。~東京地検特捜部の調べによりますと、田母神元幕僚長は一昨年2月の東京都知事選挙のあとに、選挙運動の報酬として、島本元事務局長に現金200万円を渡したほか、元事務局長とともに、陣営の運動員5人に合わせて280万円を渡していたとして、公職選挙法違反の運動員買収の疑いが持たれています。一昨年2月の東京都知事選挙の前に設立された資金管理団体「田母神としおの会」は、1年間に集めた政治資金、1億3265万円のうち5000万円余りを使途不明金として記載していて、特捜部は先月、業務上横領の疑いで関係先を捜索し、使いみちの解明を進めていました。関係者によりますと、田母神元幕僚長は、現金を配るために作られた運動員のリストを島本元事務局長から見せられ、政治資金の一部を運動員に渡すことを了承していた疑いがあるということです。特捜部は、田母神元幕僚長の陣営が支援者から集めた政治資金を運動員の買収に使っていたとみて実態解明を進めるものとみられます。田母神元幕僚長は逮捕前の取材に対し、「元事務局長から現金を配ると報告を受けたが、了承したつもりはなく指示したこともない」などと、みずからの関わりを否定していました。---田母神陣営に強制捜査が入って以来、どうなるかと思っていたら、とうとう本人逮捕という事態に至ったそうです。引用記事には「政治資金の一部を運動員に渡すことを了承していた疑いがある」とありますが、別の記事によると、田母神が了承している場面を撮影した動画もあるとのこと。こりゃもう、真っ黒としか言いようがありません。「陣営の運動員5人に合わせて280万円を渡していた」とのことですが、実際の使途不明金は5000万円に及ぶので、それ以外のあんなお金の使い方、こんなお金の使い方も、明らかになっていくのでしょう。それにしても、本人の口からはいろいろな言い訳が飛び出しましたが、当時は違法と知らなかった、というのは論外です。もちろん知らなかったから罪が許される、なんてことがないのは言うまでもありませんが、曲がりなりにも政治家を志して選挙に出て、一度は60万票も獲得した人間が、そんなことも知らなかったのか、と。いや本当に知らなかったのか、そう言っているだけなのかは知りませんけど。もともと、この人がネトウヨ界の寵児になったのは、アパホテルグループの懸賞論文騒動によってです。絵に描いたように典型的な、ネトウヨ理論を並べ立てただけの粗雑で低レベルな「論文」も、「航空幕僚長」という肩書きだけでもてはやされ、あがめられたけど、その実態はこんな人間だった、と言うわけです。まあ、信じた人たち、人たちはいい面の皮ですね、同情しないけど。
2016.04.14
コメント(6)
<菅官房長官>「鉄壁」一転「民共」批判のスポークスマン?菅義偉官房長官が相次いでテレビ出演や講演を行い、民進党と共産党批判のボルテージを上げている。衆院北海道5区補選や参院選に向けた両党の選挙協力をけん制するのが狙いで、さながら「民共合作」批判のスポークスマンと化している。菅氏は国会開会中は原則、記者会見以外のメディア露出を避けてきた。慎重な物言いで「鉄壁」の異名を持つが、12日夜のBSフジの番組では「共産党の政策がひどいことを訴えていく」と露骨な批判を展開した。さらに13日の東京都内での講演では「共産党の綱領は日米安保条約破棄、自衛隊解散だ」と述べ、同党と民進党の安全保障政策の違いを強調。「野党に国民の生命と平和な暮らしを守ることができるのか」と訴えた。菅氏の異例の言動に対し、与党内では「補選や参院選の情勢が厳しいのに気づき、尻に火が付いた」(幹部)との見方が出ている。---この種の露骨なネガティブ・キャンペーンは、そういえば2009年の総選挙の際も、盛んに行われました。もちろんそのときの標的は民主党でしたが。その結果は自民党の大敗だったのは、周知の事実です。自民党が大勝した2012年や14年の総選挙、13年の参院選では、もちろんネガティブキャンペーンがなかったわけではないでしょうが、そんなに目立っていた記憶もありません。ということは、今回ここまで露骨にネガティブキャンペーンを繰り広げるのは、北海道5区の補選は自民党が結構追い込まれている、ということでしょうか。いやいや、こういうことは、投票が締め切られるまでわかりません。過剰な期待をして、後でがっかりしたくない。でも、野党側は少なくとも圧倒的な劣勢ではないのでしょう。そして、そこには民進党と共産党が共闘した効果も、多少はあるのだと思います。効果があるからこそ、敵は躍起になって攻撃するわけで。民進党に対しても共産党に対しても、私はいろいろと思うところがあります。が、少なくとも自民・公明が大勝して、憲法改正に道が開かれる事態だけは、何としても阻止してほしい。その一里塚が、おそらく今回の補選ということになるのだろうと思います。衆参同日選の可能性が言われていますが、もし野党側が勝った場合は、果たしてそれでも同日選に踏み切るかどうかは何とも言えません。(もちろん、それでも解散に踏み切るかもしれませんが、可能性は下がるでしょう)ちなみに、官房長官は「共産党の綱領は日米安保条約破棄、自衛隊解散だ」と言ったそうですが、確かに綱領にはそのような記述が残っているのでしょうが、「国民連合政府」構想を発表したときに、共産党は綱領のその部分は凍結することも明らかにしています。安保政策の本音の部分では民進党と共産党に違いはありますが、共産党は政権をとった場合はそこは民進党に合わせるとしているわけだから、その違いが問題となることはありません。だいたい、共産党が自衛隊解散の主張を維持し続けたとしても、単独過半数をとらない限り(いや、単独過半数をとっても、それだけでは)自衛隊解散などできるわけがないのですが。
2016.04.13
コメント(4)
NYの国連関連イベントで「慰安婦は性奴隷ではない」と訴えたところ…3月にニューヨークを訪問し、国連女性の地位向上委員会(CSW)のパラレルイベントに参加してきました。その様子を「まるで学級崩壊のよう」とブログに書いたところ、たくさんの反響をいただきました~女性の地位向上委員会は毎年3月にニューヨークの国連本部で開かれます。この委員会に参加できるのは「協議資格を持つNGO」に限られていますが、協議資格を持つ、持たないにかかわらず、国連周辺の関連施設で「女性の地位」をテーマに講演会やパネルディスカッションなどを開催することができ、2週間の委員会開催期間に合わせて全世界から450もの団体が集まってきます。これを「パラレルイベント」と呼ぶのです。さて、「歴史の真実を求める世界連合」(GAHT)の主催で、私たちは3月16日に日本人の保守系団体として初めてパラレルイベントを開くことができました。イベントのタイトルは「Comfort Women Not Sex-Slaves」(慰安婦は性奴隷ではない)。このタイトルで一体どのくらい人が集まるのかしら…。正直言って不安でした。~ジュネーブの国連委員会で発言した時とはまた違う意味で驚きでした。中国や韓国の主張はかなり浸透し、アメリカ人を始め、多くの人々が信じ込んでいます。左派勢力の長年にわたる国際発信が功を奏したのでしょう。それを放置してきた政府や外務省の責任は大きいといえます。まだまだ長い道のりだと改めて感じました。---長いし、彼らの宣伝に手を貸す気もないので、内容は引用しません。要するに、ニューヨークまで行って「慰安婦は性奴隷ではない」と叫び、自分自身の自尊心を満足させて帰ってきた、というお話です。本人たちは、まじめにそれが「日本の国際的立場を取り戻す行為」だと思っているわけです。当ブログで過去に何回か言及したことがありますが、9年前の2007年に、米国の下院が121号決議、慰安婦に対する日本政府の謝罪を求める決議を採択したことがあります。この動きが明らかになったとき、日本の右翼は躍起になって、THE FACTS(真実)と称する意見広告を、ワシントンポスト紙に出しました。まさしく、彼ら自身が広めたいと願う、「歴史の真実」と証するものを、米国の著名な新聞を通じて米国に広め、彼ら自身の自尊心は大いに満足させることができたのでしょう。が、その結果、121号決議は撤回されるどころか、むしろ賛同者を増やし、満場一致で採択されました。彼らの自己満足的主張は、何ら賛同を呼ぶことなく、むしろ逆効果になったことは明白です。ところが、彼らはこの失敗を失敗とは認識していないようで、相変わらず国外で自己満足的主張を繰り返しているわけです。本人たちは、それが「日本の誇りを取り戻す」「日本の国際的立場を高める(あるいは回復する)」行為だと、まじめに思っており、実際には日本の評判を落とす行為だという認識は、まるでないようです。そして、今後もそうやって日本の評判を落とす行為を続けていくつもりなのでしょう。まさしく、「愛国者が国を滅ぼす」の、これまた典型の一つであろうと思います。(まあ、太平洋戦争とは違って、このことだけで日本が滅びることもないでしょうけど)
2016.04.11
コメント(4)
![]()
TPP文書黒塗りなのに西川氏が内幕本 野党反発 特別委が空転TPPに関する交渉経過が開示されない問題で、8日の衆院特別委員会で西川公也委員長(自民)が近く出版予定だった自著「TPPの真実」をめぐり審議が紛糾した。民進党の緒方林太郎氏が関係省庁職員の執筆への協力の有無などをただしたが、政府や西川氏は確認を拒否。反発した民進党が退席し、審議は予定された7時間のうち約6時間にわたって中断した。政府はTPP交渉の経過は非公開だとして、ほぼすべてを黒塗りにした文書を特別委に提示している。民進党は「西川氏の著書はTPP交渉の内幕に触れ、守秘義務違反ではないか」と追及を強めている。緒方氏は、西川氏の著書のコピーとされる文書を示し、執筆の経緯や内容についてただした。だがTPP担当の石原伸晃経済再生担当相は「(コピーが本物かどうか)確認できないので、コメントできない」と繰り返した。民進党は、石原氏の答弁が不十分なまま審議を進めようとする西川氏の議事進行は不公正だなどとして、退席した。民進、共産、社民、生活4党は、自民党に対し、西川氏が本のコピーの存在を認めることなどを申し入れたが折り合わなかった。西川氏は同日夕に民進、共産両党欠席のまま審議を再開し、おおさか維新の会の質疑が行われた。西川氏の著書の出版を予定していた中央公論新社は8日、本紙の取材に対し、著書は5月6日に発売予定だったが、特別委で取り上げられた4月7日の段階で出版日が未定になったと説明した。---政府が国会に「開示」したTPP交渉過程に関する資料は、すでに報道されているので、目にした方も多いでしょう。タイトル以外ほぼすべて黒塗り、要するに国会には(ひいては国民に対しても)秘密だ、ということです。その理由は、「外交交渉は相手国との信頼関係などの観点から、内容を公開することに制約がある」(石原伸晃経済再生相)だそうです。一見するともっともらしい言い分ですが、「内容を公開することに制約がある」はずの交渉過程を、TPP特別委員会の西川公也委員長自身が出版しようとした、というのだから驚きです。ちなみに、石原大臣は、コピーが本物かどうか確認できないとしてコメントを拒否したそうですが、西川自身がそのゲラ刷りが本物であることを意図せず告白しています。野党議員が退席したあと、委員長席のマイクを切り忘れたまま「あれは全部文書からはね。いまの新しいやつは消えているんですよ」「自分できれいに整理したやつじゃなくて、一番古いのが出てるんですよ」「書きなぐったやつが」などと発言しているのが、テレビカメラにとらえられています。つまり、ゲラ刷りは本物であり、自分で書いたものである、ただし、それは初稿であり、出版する原稿はそれとは異なるものだ、というわけです。「秘密資料を出版するわけではない」というつもりで言ったのでしょう。だけど、その「書きなぐったやつ」は、少なくとも出版社には渡っており、それがゲラ刷りまではなったわけです。そして、そのゲラ刷りが民進党緒方議員の手に渡った。いや、緒方議員だけではありません。ざっと調べたところ、少なくとも「赤旗」の記者の手にも渡っていることが確認できます。おそらく、他にも入手したマスコミ関係者はいるのではないでしょうか。要するに、ダダ漏れなわけです。それで、「内容を公開することに制約がある」とか、笑わせてくれるにもほどがあります。まあ、西川があくまでもゲラが本物であることを認めないのであれば、自分で書いたものではない=自分に著作権はない、ということになりますから、いっそのこと、どこかの出版社がそれを出版してみるのもいいのではないでしょうか。あるいは、そこまでは無理だとしても、「引用の範囲」で核心部分を公開してほしいものです。
2016.04.10
コメント(2)
音楽離れは「有料の音楽」離れに限らず「音楽そのものから距離を置く」と共に昨今の音楽業界、特にCD市場の不調要因として、インターネットや携帯、スマートフォンの普及などのメディア環境の変化・競合の登場以外に、視聴者の音楽離れが進んでいるのではないかとする意見がある。そこで今回は日本レコード協会が2016年3月に発表した「音楽メディアユーザー実態調査」(2015年9月に12歳から69歳の男女に対してインターネット経由で実施。有効回答数は2014。性別・年齢階層・地域別(都市部とそれ以外でさらに等分)でほぼ均等割り当ての上、2010年度の国勢調査結果をもとにウェイトバックを実施)から、「主に音楽と対価との関係から見た、世代・経年における音楽との関わり合いに対する姿勢、考え方の相違」について見ていく。全体的には少しずつだが確実に「音楽へ対価を支払う層」が減り、「既知の曲のみを聴きまわす」「音楽そのものに無関心」の人が増え、「有料音楽離れ」だけでなく「音楽離れ」が進んでいる。現状で対価を支払わない層でも新曲に興味を持つのなら、今後「魅力ある、お金を出す価値があると認めた新曲」を購入し、「有料聴取層」に転じる可能性はある。しかし「新曲にすら興味を持たない」場合、何か特別なきっかけが無ければ、購入層に転じる可能性は低い。その観点から今回答値を見直すと、市場の活性化を期待できない層が増加している状況は、音楽業界にとってはあまり好ましいとは言えない。特に2015年における「無関心(曲聴かず)」の急増は由々しき状態。せめて「無料聴取」層が増加してくれればよいのだが、2013年まではほぼ変わらない値で推移していたものの、2015年ではそれも大きく減ってしまった。ちなみにこの層は、無料動画配信サイトなどでの視聴が該当しうるため、増えても良さそうなものだが、現実としてはむしろ減った結果が出てしまっている。(要旨・以下略)---音楽の無料視聴が音楽産業を圧迫している、という話はよく聞きますが、そうではなくて、無料であっても人々は音楽に興味を示さなくなりつつある、という、ある意味興味深い、ある意味深刻なお話です。今更いうまでもなく、私はフォルクローレ大好きだし、フォルクローレ以外でも、音楽のない人生なんてありえない、と思っている人間なので、「音楽そのものに無関心」という人が増えているという話にはびっくりしてしまいます。どうして、と言っても仕方がないですね、好みは人それぞれなのだから、音楽に興味がないという人に、興味を持てといっても仕方のないことです。それに、私だって、少なくとも日本の音楽産業の主流が提供している音楽には、ほとんど興味がないです。たとえば、なんとか48とかスマップ※とかを、聞きたいとも思わない。もっとも、それも「すべてに興味がない」というわけでもないんですけど。※私は、司会者としての中居とか、その他のメンバーの俳優としての作品などは結構好きです。でも、スマップの音楽そのものは、そんなに興味はありません自分自身が興味のある音楽ジャンルで見ても、まずCDの購入量はめっきり減りました。ということは、もっぱら既存の過去の曲を中心に聞いている、ということになります。ただし、YouTubeなどで初めて聞く音源というのは、よくありますけど。もっとも、それにしても、「好みの音楽ジャンル(フォルクローレであったり、フルート曲であったり、クラシックギター曲であったり)、好みの音楽家の未知の演奏」が大半であって、たとえば、今からハードロックを聴きたい!とか、前述の何とか48が聞きたい!とか、そういうことはあまり思わないことも事実です。なんとか48の「総選挙」商法みたいなのが音楽産業のすべてでは、もちろんありませんけど、ああいうやり方が負の遺産を残している、という側面は否定できないのではないかと思います。いっては何ですが、実情以上に肥大化してしまった産業としての規模が、適正に戻る過程ではないのか、という気がしないではありません。ただ、それにしても、無料ですら音楽に興味がなくなるというのは、やはり、あまり好ましい状況でもないように思うのですが、これに関しては果たして原因は何なのでしょうね。
2016.04.09
コメント(4)
広島訪問探るオバマ氏の事情 米に根強い原爆正当化論オバマ米大統領が、5月末の伊勢志摩サミットで訪日した際に被爆地広島を訪問する可能性を探っている。「核なき世界」を訴えるオバマ氏はこれまでも広島訪問の意義に言及。ただ、米国内では反対論も根強いだけに、ケリー国務長官の広島訪問への国内外の反応を見極めて、慎重に判断する方針だ。オバマ氏は、就任間もない2009年4月のプラハ演説で「核なき世界」を訴え、「核兵器を使った唯一の国として行動する道義的責任がある」と踏み込んだ。大統領として初来日した09年11月の記者会見では、「広島、長崎を将来訪れることができれば、非常に名誉で、私にとって有意義なことだ」と話した。ただ、当時は米国内に慎重論が強かった。日本の外務省高官も初来日の前に、水面下で「大統領の広島訪問は時期尚早だ」と否定的見解を米側に伝えていたことが、米政府の公文書で明らかになっている。オバマ氏は過去3度の訪日でいずれも広島訪問を見送る一方、10年には当時のルース駐日米大使が米政府代表として平和記念式典に初出席。その後もオバマ政権の要人が相次ぎ広島を訪問。来週のG7外相会合でも、ケリー長官が米政府の閣僚として初めて平和記念公園を訪れる。---オバマの本音としては、広島訪問をしたいわけですが、世界一の核大国、唯一実戦で核を使用した国の大統領という立場がそれを阻んでいるわけです。日本のネトウヨもどうしようもない連中ですが、米国の保守派の連中もまたどうしようもなくて、原爆投下は正しかったと信じて疑わない人たちが大勢いて、オバマもそれを無視できないわけです。が、何と、実はそれだけではなかったんですね。日本の外務省高官も初来日の前に、水面下で「大統領の広島訪問は時期尚早だ」と否定的見解を米側に伝えていたことが、米政府の公文書で明らかになっている。要するに、日本側(外務省)が、大統領が広島になんか来てくれるな、と言ったわけです。その理由は何でしょうか。要するに、米国の「核の傘」こそが大事で、本音のところは核の廃絶なんてしてほしくない、ということでしょう。あるいは、日本の反核勢力を勢いづかせたくない、というようなこともあったのかもしれません。オバマが初来日した2009年11月は日本でも民主党政権が成立した直後の時期ですが、政権が変わろうがなんのその、外務省は自分たちの理論を最優先したわけです。それを制御できなかった(そもそも、安保外交政策について党内が一致していなかった)民主党も能力不足ではあったにしても、これはあまりにひどい話です。鳩山政権の失速の原因となった普天間基地移設問題にしても、鳩山自身の実務能力不足は大きいにしても、徹底的に鳩山を妨害した外務省の幹部クラスの責任もまた巨大です。かつて、田中真紀子が「外務省は伏魔殿」と言いましたが、その時代の田中真紀子の政治姿勢の当否はともかくとして、この点に関してはまさしくそのとおり、と言うしかないでしょう。米国などは、政権が変われば省庁の幹部クラスは総取替えになります。メキシコなどは、大統領が変われば公用車の運転手まで代わる、とも言われます。猟官制などと言われ、それはそれで不正の温床にはなるのですが、日本の高級官僚の現状がこのままでよいとは、とても思えません。
2016.04.08
コメント(4)
人生最後の挑戦が招く「登山前遭難」とは登山人口の増加とともに、毎年報道されるのが遭難などの事故です。年代別で見ると、全遭難者の50.1%が60歳以上。なぜでしょうか?中高年登山者の実態調査によると、膝の痛みや異変、息切れ、腰痛など体に様々な不安を感じる人が多く、登山中に何も問題を感じない人は3割程度。遭難事故の原因は、体力不足や、体力以上にハードな山の選択などが考えられます。最近は、自身の体力や準備が十分ではないのにハードな登山を目標にする高齢者も目立ちます。「キリマンジャロに登りたい」と意気込む70歳代の女性は、登山らしい経験はなく、年に数回、ハイキング程度しかしたことがないとのことです。「人生最後のチャレンジ」とハツラツとした笑顔ですが、とても危険です。雑誌やテレビなどの影響もあり、こういった無謀な「挑戦者」は少なくありません。大学時代は体育会に所属し、体力に多少自信があるという60歳代の男性は、高血圧などの持病を抱えていました。こうした持病を抱えている例も中高年に珍しくありません。登山中の事故の代表的なものに、「転倒」「滑落」があります。登山のトレーニングとしてウォーキングを行っている人は多いですが、平地を30分~1時間程度のウォーキングでは、負荷が軽くて登山の準備にはなりません。体力不足に加え、疲労が溜まると、筋力やバランス力、そして注意力が極度に低下するため、「転倒」「滑落」が起こります。登山中に急に全身の力が抜けたような状態になるケースがあります。原因の一つが「シャリバテ」。食べ物や水分をとらずエネルギー不足のまま登山を続けると、低血糖症のような状態になってしまうのです。「のどは乾いていないから」「お腹が空いていないから」「水分ばかり飲むとバテてしまう」「食べると体が重くなって動けなくなる」という誤った知識が原因になります。登山事故は午後3時ごろに集中しています。長時間の登山の疲労とエネルギー不足が重なって事故が起きやすくなるのでしょう。今日から実践!3つのトレーニング階段の昇降平地のウォーキングでは負荷が少ないので、山登り目的なら坂道や階段があるコースを取り入れたり、普段から階段を使うことを心がけましょう。荷物を背負って歩くことも有効なトレーニング。吹き矢健康診断などで肺機能が低下していると言われたことはないでしょうか。呼吸筋をトレーニングすることで、肺機能が向上します。息を吐く時に抵抗をかける「吹き矢トレーニング」がお勧め。身近にあるストローと綿棒で作った吹き矢で、効果は十分期待できます。バランス転倒や滑落を防ぐために必要なバランス力は、筋力よりも低下が急激で、40歳を過ぎると急速に衰え、60歳は20歳の30%に低下します。バランス力を鍛えるには「重心」をしっかり捉えること。片脚立ちを意識的に繰り返しましょう。まず、目を開けて2分間、次は目を閉じて、ザックを背負って行うなど徐々にレベルを上げていきましょう。登山を楽しむためには、日頃からトレーニングや準備をしっかり行い、体力的にも精神的にも余裕を持った状態でいることが大切です。年齢に関わらず、体力の維持や増進は可能です。「人生最後の挑戦」などと気負わず、登山を安全に、何度でも楽しんでください。---なるほど、参考になります。私自身は、一応月間100kmを目標にランニングをしています。ただ、今年は1月は目標をクリアしましたが、2月と3月は全然クリアできていません。腹の周りがちょっと・・・・・。この記事を書いている4月7日は走りましたけど。ちょっと走り込みを強化すると、足腰のどこかを痛めるのです。最近は左足首ですね。年齢を感じます。まさしく引用記事にあるとおりです。日帰りや小屋泊まりではそういうことはありませんが、テントを担いで山に登ると、腰にはきます。歩いているときに痛い、ということはさすがにありませんが、山から下りた後に影響が残ることは、なくはありません。私の場合、現在の体力との兼ね合いでいうと、先日の八ヶ岳・赤岳は、小屋泊まりだったので、技術的にはともかく、体力的にはかなり余裕がありました。一方、昨年夏に登った北岳・間ノ岳は、体力的にはギリギリ(というか、限界越え)でした。テント山行で、しかも全荷物を担いだままで北岳山頂を越えたからです。同じテント山行でも、昨年の西穂高岳(上高地から西穂山荘までテントを担いで、その先は空身で山頂まで往復)は、体力的には北岳よりは楽でした(技術的には北岳より厳しい山ですが)。その前年に登った前穂高岳も同様です。シャリバテというのは、実はよく経験します。急に体に力が入らなくなるのです。何度も経験しているので、自分ですぐわかります。すぐに、何か食べ物を口に入れるようにします。そうなる前に食べればいいのですが、たとえば夜行で到着してすぐ歩き始めるような場合、食欲がなかったりすることがあります。そういう時は、とりあえずお腹が空くまで歩く。そうすると必然的にシャリバテが起こるわけで。3つのトレーニングのうち、階段と吹き矢は全然問題ないかな、と思います。前述のとおり、月間100km目標のランニングは平地ですが、それ以外に日常生活では基本エレベーターとエスカレーターは使わないようにしています。1日に階段を登る高さは、自宅と職場と通勤電車で、どんなに少ないときでも14~15階分にはなります。時には、1日で標高差100mを登ることもあります。山では、前述の北岳は1日で標高差1600mくらいを登るので、それに比べたら全然たいしたことはないように思えます。が、継続は力なり、と言います。山ではなく、通勤と職場で階段を登る累計標高差は、ざっと計算すると1年間では1万mくらいにはなりそうです。北岳登山6回分近くになります。もっとも、荷物の重さは全然違いますが。吹き矢は、へー、と思いました。でも、私の場合は、どう考えても必要ないでしょう。ケーナ・サンポーニャ・フルートのほうが吹き矢より呼吸筋への負荷は大きいでしょうから。逆に言えば、笛も山登りのトレーニング手段になっている、ということですね。バランス、この記事でいちばんドキッとしたところです。脚力の衰えも実感しますが、バランス感覚の衰えはもっと実感します。30代の前半までは、電車に乗るとき、階段を駆け下る際、普通に1段抜かしで駆け下りていました。まだ50代にもなっていませんが、今は階段を1段抜かしで駆け下ることは自信がありません。まったく不可能ではないと思うけど、やっていません。おそらく、手すりに手をかけながら出ないと、足がもつれたとき、即転倒するでしょう。山でも、実はよく転んでいます。一昨年の南アルプス・聖岳がいちばんやばかった※ですが、テントを担いでいるときは、たいていどこかで転びます。もっとも、転倒が即事故につながるような場所では、不思議と転ばないものです。当然、先日の赤岳の地蔵尾根の急降下とか、西穂高岳のやせ尾根とかでは転倒していません。もちろん、荷物の重さの違いもあります。そういう危険な場所では、テントは担がないので。※2014年7月、聖岳からの下山途中、テントを担いだまま転んで、たいした場所ではなかったけれど、膝の内側を岩に強打してしまいました。あまりの痛さに、その場で10分くらい身動きできず、やっと歩き出したものの、踏ん張りが利かず、そのあと30分くらいの間に更に2回か3回転倒。しかし、その場所は標高2000m、登山口まであと標高差900mもあって、背中には15kgくらいの荷物が容赦なくのしかかる。しかも雨。それでもひたすら歩いて下山し、さわら島でテントを張るつもりが、ギブアップで小屋に泊まってしまいました。ズボンを脱いだら、膝は真っ青に晴れ上がっていました。私は、キリマンジャロはそんなに心は動かないけれど、ボリビア・アンデスのワイナポトシにはいつか登りたい。できればアコンカグア(アンデスの最高峰)にも。でも、体力的に登れるのは、今のランニングを継続したとしても、せいぜい60代前半までだろうなあ。あと15年くらいか。それまでにチャンスをつくれるだろうか。
2016.04.07
コメント(2)
租税回避地の秘密ファイル 2.6TB 流出 露大統領周辺の資金の流れもカリブ海の英領バージン諸島などのタックスヘイブン(租税回避地)に設立された21万余の法人に関する電子ファイルを、南ドイツ新聞と非営利の報道機関「国際調査報道ジャーナリスト連合(ICIJ)」が入手した。ICIJがファイルを分析したところ、中には、ウクライナのポロシェンコ大統領やサウジアラビアのサルマン国王、アイスランドのグンロイグソン首相、アルゼンチンのマクリ大統領、ロシアのプーチン大統領の友人らの関係会社の記録が含まれていた。タックスヘイブンは、法人税や所得税の税率がゼロか極めて低い国や地域。低税率や秘密保持を売りにして、国外資本の会社の設立を促し、資金を呼び込んでいる。脱税や資金洗浄(マネーロンダリング)の温床になっているとの批判も根強い。近年、多国籍企業や富裕層がタックスヘイブンを使って合法的に租税を回避することで各国財政が悪化しているとして問題化。乱用を防ぐためのルール作りが国際社会で検討されている。今回ICIJが入手したのは、タックスヘイブンの会社設立などを手がけるパナマの法律事務所「Mossack Fonseca & Co.」の内部のメールや電子ファイル1150万で、2.6TBに及ぶ。1977年から2015年にかけて作られたもので、バージン諸島やインド洋のセーシェル、英仏海峡のガーンジーなど各地のタックスヘイブンにある会社など法人の株主や役員などの情報が含まれている。そのほとんどはこれまで秘匿されていた情報だ。ICIJは、提携先の朝日新聞、共同通信など、76カ国の百以上の報道機関、400人近くのジャーナリストとともに、これらのファイルの分析を進めてきた。(要旨)---これはまた、きわめて衝撃的な大スクープでした。引用記事は途中で切れていますが、他に、パキスタンのシャリーフ首相の子、イギリスのキャメロン首相の亡父や中国の習近平国家主席の親族も顧客に含まれていると報じられています。で、一方日本人・日本企業関連はどうかというと租税回避地の秘密ファイル、日本からも400の人・企業南ドイツ新聞とICIJが入手したタックスヘイブンの秘密ファイルには、日本国内を住所とする約400の人や企業の情報が含まれている。ICIJと提携する朝日新聞が分析・取材したところ、政治家ら公職者は見当たらなかったものの、医者や実業家らが資産や利益を租税回避地に移そうと試みていたことがわかった。(以下略)---個人では、セコムの創業者の名が報じられているものの、大手広告主に遠慮しているのかどうか知りませんが、企業の具体名は報じられていないようです。バンダイ、大日本印刷、大和証券、ドリームインキュベータ、ドワンゴ、ファストリ、ジャフコ、JAL、石油資源開発、丸紅、三菱商事、商船三井、日本紙、双日、オリックス、日本郵船などの名が挙げられているようです。ソースを確認はしていませんが。破綻して国に救済してもらったJALが税金逃れとは!!と、一瞬思ったのですが、1977年から2015年までの資料なので、破綻して以降のJALが租税回避を行ったのかどうかは、これだけではわかりません。今のところ、日本では政界からは名前が挙がっている人はいないようです。ただし、2.6TBという膨大な量のデータなので、まだすべて解析されてはおらず、完全版のデータは5月に明らかにされるとのことです。一般庶民の給与所得者は、節税もへったくれもなく、源泉徴収で有無を言わさず税金を取られるけれど、億万長者と大企業は、こうやって資産を海外に逃避させて税金を逃れている、というのは、非常に腹立たしい話です。一応、その行為は合法ということになっているようですが、その話からは「巨大な犯罪ほど合法的である」というフレーズを想起せざるを得ません。すでに、アイスランドでは名が挙がった首相が辞任を表明したと報じられています。これは、リーマンショックの際、アイスランドは危機的な状況に陥り、預金封鎖が行われていたからです。その裏で政治家だけが事故の資産を安全な海外に移して、しかも税の支払いを逃れていたというのは、法的には違法でなくても、有権者の理解を得られることではないからでしょう。その一方で、中国では習近平国家主席の親族の名が文書にあるという件、そもそも「パナマ文書」そのものが報道管制の対象になっているようです。今や年間1億人が海外に渡航するというのに、そんなことをやったって無駄だと思うのですが。で、日本はというと、菅官房長官が「軽はずみなコメントは控えたい」とコメントし、文書を調査する考えはないとのことです。そんなことでいいのだろうか。あるいは、これから政界にも波及するから今は何もいえない、ということでしょうか。
2016.04.06
コメント(0)
健在「写ルンです」30歳…若者のおしゃれアイテム?レンズ付きフィルムのさきがけ、富士フイルムの「写ルンです」が発売30周年を迎える。発売当初はともかく、今は身近にデジタルカメラやスマートフォンのカメラなどがいくらでもある時代。レンズ付きフィルムはもはや役割を終えたのではないかと思いきや、いまだ健在だ。若者の間で人気が高まっているという。「写ルンです」が発売されたのは1986年7月1日。レンズ付きフィルムは「使い捨てカメラ」などと言われることもあるが、厳密に言うと「カメラ」ではない。あくまで「レンズとシャッターを付けて、写真を撮れるようにしたフィルム」。「『使い捨て』の部分も、リサイクルしているので間違い」という。同社は創業50周年記念に安価なカメラを作ろうとしたが難航。カメラでなくても写真が撮れればよいという逆転の発想でできたのがレンズ付きフィルムだ。業界では、フィルムなので数えるときも「台」ではなく「本」だとか。当時、一般的なカメラは1台3万円以上。そこに1本1380円で発売した「写ルンです」は、発売開始から予想以上の売れ行きを見せた。他社も次々にレンズ付きフィルムを発売し、97年のピーク時には出荷本数8960万本を記録した。しかし、デジタルカメラやスマートフォンの出現で、2012年にはピーク時の5%以下となる430万本にまで落ち込んだ。消えゆくかと思われたレンズ付きフィルムだが、今、愛用する若者が増えている。活躍の場はSNSだ。「写ルンです」を愛用して作品を発表するアーティストもいる。フィルム特有の淡く、どこか懐かしい風合いを「おしゃれ」と感じるのだという。現像するまでどんな写真かわからないのも新鮮なのだそうだ。しかも、「写ルンです」は27枚撮り、撮影できる枚数が非常に少ない。やり直しがきかない分、写真一枚一枚を大事に撮影することになる。ピンボケや指が写りこむこともあるが、それも面白さ。デジタルデータ化してもらう手間も含めて楽しんでいるようだ。東京・原宿にある同社直営の「WONDER PHOTO SHOP」では、2年前は販売本数が月に約20本だったが、昨年12月には100本になった。意外な用途は「過酷な環境で使う」というものだ。フィルム、レンズ、シャッターというシンプルな構成で壊れにくく、撮影に電池を使わないため、高山や寒冷地など、電池切れや故障を起こしやすい場所での撮影に持っていく人も多い。探検家で写真家の石川直樹氏はエベレストや南極に「写ルンです」を持っていった。南極では、他のカメラ3台が故障したが、レンズ付きフィルムは無事に撮影できた。いわゆる「アナログ回帰」現象は、レコードやカセットテープなどでも話題になっている。レンズ付きフィルムも、デジカメにはない味わいをアピールすることで、新たな愛用者を取り込んでいるようだ。(要旨)---以前の記事にも書きましたが、私は長らくフイルムの一眼レフを使ってきましたが、とうとうこの2月にデジタル一眼レフを買ってしまいました。ただ、フィルムをやめてしまったわけでもなくて、依然としてフイルムも併用しています。ただ、さすがに山には、デジタル一眼レフを購入して以来、フイルム一眼レフは持っていかなくなってしまいましたが。と言っても、デジタル一眼レフを買って以降山に行ったには、まだ3回ですけど。リバーサルフィルムは、同時プリントかせできないため、写ルンですなどのネガフィルムより、一段と手間がかかります。フィルムそのものも、現像とプリントの値段もネガより高いし。正直なところ、リバーサルフィルムがネガくらいの手軽さだったら、まだもう少しフィルムカメラで頑張ったかもしれません。しかし、逆に言うと、私はフィルム一眼レフで1本36枚撮りのリバーサルフィルムでの撮影に慣れきっているので、「一枚一枚を大切にシャッターを切る」という感覚は慣れきっています。シャッターチャンスが来るまでは容易にシャッターを切らない感覚というのはあります。それでも、リバーサルフィルムは露出補正をするので、特に冬山では必ず同じ写真を2回シャッターを切るのですが。それでも、実のところ36枚撮りのフィルムを日帰りなら1~2本、泊りがけなら2~3本山に持っていって、たいていは数枚分はフィルムを使い残して帰り、帰路の中央線から八ヶ岳や南アルプス、富士山を撮る、なんてことがよくありました。ただ、これもよく考えると、iPad miniを買ってからは、フィルム一眼レフよりiPad miniの方が、たいていは撮影枚数が多いのです。まず、山頂での記念写真の類は、iPad miniでしか撮りませんでした。でかいカメラを人に渡しにくい、というのもありますけど。ちょっと難所の記録、みたいな写真もそうです。だから、フィルム一眼レフは、「ちゃんとした写真」を撮るもの、という意識は、自分の中では拭いがたいものがあったのでしょう。まあ、リバーサルフィルムは、36枚撮で800円以上、現像代も同じくらいですから、慎重にもなります。レンズ付きフィルムは故障しない、というのは盲点でした。確かに、フィルム一眼レフも、電池で動くので、低温には弱いです。厳冬期の八ヶ岳では、マイナス14度の赤岳鉱泉では問題なく動きましたが、稜線上では何回かシャッターが凍結して、動かなくなったことがあります。おそらくマイナス20度前後が限界なのだと思います。もちろん、故障ではなく、稜線から降ればすぐに動くようになります。デジタル一眼レフはどうでしょう。今年は暖冬だったので、木曽駒ケ岳でもマイナス10度程度で、まだそれ以下の環境では試したことがありません。それにしても、減ったとはいえ、まだ400万本というのは凄いと思いますね。しかも、これはレンズ付きフィルムだけの数ですから、フィルム全体としては、まだ1000万本以上は販売されているということでしょう。これは依然として巨大な売り上げでしょう。
2016.04.04
コメント(4)
なんと地球5周分!? 民進・山尾志桜里政調会長、驚愕の“ガソリン代疑惑”待機児童問題で安倍晋三首相を厳しく攻め立て、民進党政調会長に大抜擢された山尾志桜里衆院議員に“ガソリン代疑惑”が浮上した。山尾氏が支部長を務める政党支部で、1年間で約230万円分ものガソリン代が計上されていたのだ。「地球5周分に匹敵する距離を走った計算になる」との指摘もあり、説明が求められそうだ。ガソリン代疑惑は、31日発売の「週刊新潮」が、《山尾志桜里代議士の奇妙な政治資金》という記事で報じた。夕刊フジでも、山尾氏が支部長を務める「民主党愛知県第7区総支部」の政治資金収支報告書を確認したところ、2012年分の報告書に約230万円分のガソリン代が計上されていた。資源エネルギー庁の「石油製品価格調査」(12年)などをもとに、当時のハイオクガソリンの平均価格を1L=160円、燃費を1L=15kmで計算すると、約230万円の走行距離は約21万kmに達する。これは地球5周分に相当する。(以下略)---この「ガソリン代疑惑」は、引用記事にあるように週刊新潮が最初に取り上げ、大手マスコミの中では目下のところ産経新聞とフジテレビだけが取り上げているようです。何故他のマスコミは取り上げないか?ネトウヨだもなら「偏向報道だ」と言うのでしょうが、実際のところは安倍首相、菅官房長官、馳文科相、岸田外相が支部長をつとめる自民党支部でも同じことが起こっているからです。安倍首相の自民党山口4区支部が山尾議員と同じ2012年に計上したガソリン代は600万円だそうで、上記引用記事の計算でいくと地球13周分になるようです。以下、馳文科相320万円、岸田外相280万円、菅官房長官220万円と続くようです。自民党山口4区支部2012年収支報告書(ガソリン代は63ページ以降)政治的公平性を保つのであれば、野党側と与党側両方の「ガソリン代疑惑」を報じるか、両方とも報じないか、どちらかになるでしょう。私は、両方報じるべきなのではないかと思うのですが、各マスコミは両方とも報じないことを選択したようです(これまでのところは)。それはそれで、選択として間違ってはいないでしょう。一方、産経とフジテレビは引用記事のとおり、山尾議員のガソリン代疑惑は報じていますが、自民党の各政治家のガソリン代疑惑についてはどうなのでしょうか。このままダンマリのつもりでしょうか(笑)。自民党の不祥事は隠蔽する、野党の不祥事だけ追及する、公平性は放棄して自民党とネトウヨの機関紙としての政治的役割に特化した新聞、ということなのですね。実にわかりやすいことです。
2016.04.03
コメント(4)

「世界でいちばん貧しい大統領」 ウルグアイのホセ・ムヒカ前大統領が4月に来日「世界でいちばん貧しい大統領」として知られるウルグアイの前大統領、ホセ・ムヒカ氏が4月に初めて日本を訪問することが決まった。出版大手KADOKAWAの子会社である出版社「汐文社」の招聘に応じたもので、東京都内で記者会見や講演会などを予定しているという。KADOKAWAによると、滞在は4月5日から12日の予定。ムヒカ氏は「日本との相互理解を深めるものにしたい。日本社会に、ウルグアイを待ち受けている事柄の、何らかのサインがあるように思う。日本の人々がどんなことを感じているかを、知りたいと思う」とメッセージを伝えてきているという。ムヒカ氏は1935年、モンテビデオ出身。2010年から15年までウルグアイ大統領を務めた。任期中の12年に、ブラジルで開催された「国連持続可能な開発会議(リオ+20)」でのスピーチが話題を集め、ノーベル平和賞の候補にもなった。(以下略)---産経新聞の記事からの引用です。産経には珍しく、左派政権の大統領経験者に対して好意的な記事内容です。ホセ・ムヒカは、現在の好々爺的な風貌とは裏腹に、かつては左翼ゲリラ組織トゥパマロスのメンバーであり、受けた銃弾は6発、逮捕歴4回という筋金入りの闘士(彼の妻ルシア・トポランスキーもトゥパマロスのメンバーだった)ですから、もし日本で彼が首相になったら、産経新聞が発狂することは確実です(笑)ただ、1985年に釈放されて以降、トゥパマロスは武力闘争を放棄、Movimiento de Participación Popular(人民参加運動)という政党を作り、更に中道左派~左派政党の連合体である拡大戦線に加わっています。ウルグアイという国は、独立以来コロラド党と国民党という保守系の二大政党が、時には内戦を交えて政権を交互に担ってきました。しかし、2004年に拡大戦線が選挙に勝ち、ウルグアイ史上初めてコロラド党、国民党の二大政党以外の政党が政権をとります。このとき大統領に当選したのがタバレ・バスケスで、ムヒカはこのとき農業大臣として入閣しています。その後、バスケスの大統領任期切れに伴い、後継候補者としてムヒカが2009年の大統領選に当選、2015年に任期を終えています。ムヒカの後継は再びバスケス大統領です。ウルグアイは大統領の連続再選を禁じているので、大統領の再選はこのような飛び石でしかできません。ムヒカも、したがってバスケスの次の大統領に立候補することは可能ですが、さすがに現在80歳では、もう次の立候補はしないでしょう。左派政党の連合体である拡大戦線の中でも、ムヒカは最左翼に位置しますが、複数政党の連合体という条件もあって、その政策はそれほど過激なものとはなりませんでした。注目される実績としては、カトリックの国であるウルグアイで禁じられていた人工妊娠中絶の合法化、同性結婚の承認、大麻の合法化などです。ラテンアメリカで歴史に名を残す大統領はいずれも、演説の達人です。フィデル・カストロ、サルバドル・アジェンデ、ウーゴ・チャベス、みんなそうですが、ムヒカは、高齢で滑舌がよくなくなっているためか、正直なところ話し方という意味ではそんなに演説の名人とは思われません。リオ+20でのスピーチが、話の内容が人のこころを掴む、という意味ではやはり演説の天才なのだろうと思います。「世界一置貧しい大統領」と言われますが、実際のところウルグアイの大統領の給料はかなり高額なものの、彼はそれをほとんど寄付してしまうので、実際の生活費はとても安上がり、ということです。保有する唯一の資産は1987年型のフォルクスワーゲン・ビートルだとか。彼のいろいろな発言が紹介されていますが、中でも「貧乏なひととは、少ししかものを持っていない人ではなく、無限の欲があり、いくらあっても満足しない人のことだ」というのは、ドキッとしますね。「私たちは、代表民主制と呼ばれるものを発明しました。これは、多数派の人が決定権を持つ世界だと私たちは言います。ならば、私たち(各国の指導者たち)は、少数派ではなく多数派のような暮らしをすべきだと私には思えるのです」なるほどね。ただし、彼は金持ちを否定しているのではありません。「こと政治においては、きちんとすみ分けがなければいけない。政治と金。これを完全に分離して考えられなければ、世の中はひとつとして良くはなっていかない。お金に関心があるならば、産業や通商に精を出したほうが、よっぽど健全さ。でも政治だけは違う。みんなの幸福のための闘争なんだよ」ということです。確かにそのとおりだと私も思います。話は変わりますが、ムヒカというのは割と珍しい苗字だなと思ったら、バスク系なんですね。バスク系と言えば、南米独立の父シモン・ボリバルはバスク系であり、かのチリ大統領サルバドル・アジェンデもそうです。ということは、同じ苗字を持つメキシコ独立の英雄の1人イグナシオ・アジェンデもそうであるはずです。何と、アジェンデ政権をクーデターで倒したピノチェト将軍も、母親がバスク系。チリからは2人のノーベル文学賞受賞者が出ています(ガブリエラ・ミストラルとパブロ・ネルーダ)が、その2人ともバスク系。アルゼンチン出身の革命家ゲバラもバスク系。ラテンアメリカの政治家・軍人の系譜はバスク系で溢れているのです。
2016.04.02
コメント(2)
全24件 (24件中 1-24件目)
1