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2020.07.21
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100days100bookcovers no16」
​ルイージ・マレルバ 「スーパーでかぶた」(松籟社)
​  イタリア の、ほとんど無名の作家の童話集です。 1985 に出版されたこの本は、今では図書館でも見つけることは難しいかもしれません。
 我が家の童話の棚の隅にあった本を取り出して読み返しながら、最近の出来事を思い出して笑ってしまったお話がありました、少し長いですが、ここに載せてみますね。​
​​ ​  「よごれた空」
 ジェット機がすごいスピードで飛びさり、青い空に、白いジェット雲がのこりました。セラフィーノくんは、ときどきそれを見て泣きだし、あいつらなぜ空をよごすんだと、悲しがるのでした。

​​ ​​「もし、ぼくが塀に一本線をひいたら、みんな、ぼくのことをおこるのに、空に線をひくものがいても、だれもなんにもいわないなんて。」
​ おとうさんは、空にかかれた線は、ちょっとのあいだに、ひとりでに消えてしまうのだからと、セラフィーノくんに説明しました。
「でも。はくぼくでかいた線だって、そのうち消えてしまうよ。」
 おとうさんは、飛行機は交通のだいじな手段なんだから、がまんしなくちゃいけないのだと説明しました。人びとは。旅行することがひつようだし、また、うんと遠くの国へ手紙を送るときも、航空便がひつようだ。つまり、飛行機で旅行する手紙のことだがな、などともいいました。
​​​  でも、セラフィーノくんはなっとくしようとはしませんでした。セラフィーノくんはいいました。空に線をかくのは、おもに戦闘機などの軍用機だし、あんなのは、ガソリンのむだ使いをして、空を飛びまわるより、じっとしてたほうがましだろう、といったのです。おとうさんは、そういわれると、どうやってもこたえを見つけることができなくなりました。息子のいうことはもっともなことなのです。でもセラフィーノくんをなっとくさせるために、軍用機だって、戦争のときにはひつようだろうといいました。セラフィーノくんは、いまは戦争もないし軍用機なんて、いちばんのよごし屋だ、空にいちばん太い線をかき、いちばんうるさい音をだしていると、いいかえしました。
​​​
 ある日曜日、セラフィーノくんは、いなかに住んでいるおばあちゃんの家へつれていってほしいと、いいました。おとうさんは、ガソリンが高くつくから、だめだといいました、セラフィーノくんは泣きだし、飛行機がガソリンをみんな使っちゃうから、いけないんだと、わあわあいいました。そこで、おとうさんは汽車でおばあちゃんの家へ行くことにしました。
 セラフィーノくんは、おばあちゃんと、長いあいだ、おしゃべりをしました。まだ飛行機がはつめいされていなかった、うんとむかしの時代のことも話しました。
​​
 帰りの汽車のなかで、セラフィーノくんは、ずうっとむかしには、空を飛んでいたのは、天使だけだったと、おとうさんにいいました。それから、天使たちは、空に線をかいて、空をよごすこともなかったし、いるさい音をださず、ガソリンのむだ使いもしなかったんだから、ジェット機の不行使より。ずっとしつけがよかったんだ、ともいいました。おばあちゃんがそういったのですから、まちがいのないことなのです。
 おまえのいっていることは、ほんとうだと、おとうさんはいいました。たしかに、天使たちは空もとごさないし、うるさい音もたてないし、ガソリンのむだつかいもしない。だがな、と、おとうさんはつけくわえていいました。
​​ 「天使たちのなかには、下を歩いている人間の頭に、おしっこをひっかけたやつもいるんだぞ。うんとしつけの悪いやつは、うんちまで落っことしたんだからな。」
​その日から、セラフィーノくんは、もう天使のことも、飛行機のことも話さなくなったということです。 ​​​ ​​​​
 まあ、さほど面白いとも言えないお話しだったかもしれません。こんな風なショート。ショートが 30 話ほど入っています。
​  作者の ルイージ・マレルバ という人は、映画の世界の人だったようです。 ビットリオ・デ・シーカ の脚本を書いていた チェーザレ・ザヴァッティーニ なんかと仲が良かったらしいのですが、自分でも映画を撮っていた人です。童話や小説も書いています。日本では、当時も、今も、さほど知られていません。​
​​ その マレルバ という作家を探し出してきたのは翻訳者である 「福井あおい」 という女性です。
 彼女は エルマンノ・オルミ監督 「木靴の樹」 をこよなく愛し、 デ・シーカ から フェリーニ に至る、 イタリア 「ネオ・リアリズモ」 に強い関心を抱く若き研究者でしたが、 「マレルバ童話集​​
1 という、たった一冊の本を残してこの世を去りました。 35 年前のことです。
 版元の 松籟社 イタリア文学 の老舗ともいうべき出版社ですが、その後 「マレルバ童話集
2 が出版されることはありませんでした。
 彼女は神戸の丘の上の学校の読書室で、文学や映画のおしゃべりに夢中だったぼくたちの仲間の一人でした。
​​ ​ みんながおしゃべりをしたり、お弁当を開いたりしていた部屋がありました。その部屋とは本棚で区切られた向うの小部屋で 「経哲草稿」 「ドイツイデオロギー」 なんていう、国文学とは畑違いの本と格闘しながら、 「パヴェーゼがいいよ。」 と、のちに ERIKOさん の配偶者になった IRRIGATEくん が言ったことばや、 「ポリーニの新しいベート―ヴェンのLP聞いた?ハンマー・クラヴィア。ステキなのよ。足は短いけど。」 なんてことしゃべっていた あおいちゃん のことばが、ぼくの 「イタリア文学」 入門でした。​​
 もう 40 年も昔のことなのですが、そういえば、 78 になった ポリーニ はまだ現役でピアノを弾いているようです。
​​  ERIKOさん から 須賀敦子 「ミラノ 霧の風景」 を差しだされて、すぐに思い浮かんだのがこの本でした。どこか、きっぱりとした 須賀敦子 の文章の爽やかさにはとても惹かれました。夢中になって読んだ記憶があります。しかし、いつも夢の途中で去った 福井さん 一乗寺下がり松町 の交差点で、買い物袋を下げ、12個入りの卵のパックを抱えて立っている姿を、ふと思い浮かべてしまう読書でもあったように思います。​
​ 思い出を語ってしまいました。これもありかなって、お許しください。​​
それでは。 YAMAMOTOさん 、初登場ですよ。ちょっと引き継ぎにくい展開かもで、申し訳ありませんね。よろしくお願いします。 (2020・06・05 SIMAKUMA)
追記2023・02・01
​ つい先日のことです。 1月30日 月曜日 、人と会う用があって 京都 まで行きました。 JR京都駅 の階上、11階だかのレストランで出会いの用を済ませて、フト、思いついて 四条河原町 まで歩きました。町屋の間の路地のような道をウロウロ北に向かって歩きながら、 40数年前 に、上で紹介した 「福井あおい」 さんと 四条大橋 のたもとにあった音楽喫茶で会ったことを思い出しました。
 どんなことを話したのか、それからどうしたのか、全く覚えてはいないのですが、確かに会ったことは事実です。
​​  そんな記憶に促されて、 四条大橋 の西のたもとまで歩きましたが、件の音楽喫茶は見つけられませんでした。40年たって、記憶の引き金のようなものだけが頭の中にあることが不思議ですが、二十代の半ばで不慮の事故死を遂げた彼女の顔立ちさえ思い出せないまま、ボンヤリ立ち尽くしました。
「行く川の流れはたえずして…」 といった人がいましたが、彼が見たのも、この川だったのでしょうか。

追記2024・01・20
 ​100days100bookcoversChallenge の投稿記事を ​​​100days 100bookcovers Challenge備忘録 ​ (1日目~10日目) ​​  (11日目~20日目)  ​​​ (21日目~30日目) ​ 
​​​ (31日目~40日目)  という形でまとめ始めました。日付にリンク先を貼りましたのでクリックしていただくと 備忘録 が開きます。​​​​​​



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最終更新日  2024.01.25 20:31:14
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