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着物を着こんだ夫人が、町内会で準備した夏祭りの舞台に見入っている。都会にいる子供や親戚と久しぶりに過ごしたお盆が過ぎると、やがて秋の気配だ。(島根県仁多郡奥出雲町) と、キャプションが付けられていて手がとまりました。 島根県 の 奥出雲 なんてもちろん行ったことも、地名として聞いたこともありません。 「ヤマタノオロチ」 か、映画 「砂の器」 の舞台だったか、そんな場所です。
夕刻、大馬木地区小峠集落では、小さな煙が谷間のあちこちから上がっていた。
「そろそろすっか。」日が暮れるのを待って、蔦川家の大きいじいちゃんと小さいじいちゃんが家を出る。小さいじいちゃんが藁の束に火をつけると、小川にかかる土橋の上に置いた。燻っている間、しゃがんだ姿勢で川の流れを眺めてから、「こいで、おわり。なあに、あっという間よ。」
八月十六日、小峠集落の人々は送り火を焚き、送り団子を供える。十三日にお迎えしたときと同じやり方で、団子はもち米粉を練ってきな粉をまぶす。今では貴重になった桐の葉の上にのせてお供えするのが昔ながらのやり方だ。 ページを繰ると、次のページにはお墓の写真があります。

この地方の墓には皆、やさしい色合いの オミナエシの花 が供えられていた ぼくは、無縁仏が並ぶ故郷の墓を思い浮かべながら、苔でしょうか、白く変色して、江戸時代の元号がやっとのことで読み取れる、ちょっと傾いた石塔に オミナエシ と ミソハギ を配り、線香を置き、水をかけてまわった記憶に引き戻されていました。
奥出雲町 はかつて、たたら製鉄の一大操業地だった。粘土で造った炉に火力として木炭を使い、砂鉄を投入して純度の高い鋼を作る日本古来の製鉄技術だ。その鋼の塊を用いて、鍛冶屋は刀や農機具を作った。 文章を書いているらしい 阿部直美さん に、ここのところ関心があって注文した本です。
「鍛冶屋は、見たことなんてねえよ。だって、もうずーっと前のことだもの。ここに嫁に来たときに話に聞いたんよお」。蔦川家では、嫁に来たらこの話を引き継ぐのだろう。
裏山に続く小径に、角の取れた古い墓石が並んでいる。たたら製鉄所で死んだ男たちの墓だ。
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