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阪神電車が走る尼崎の下町の風景 です。
「杭瀬と大物の間の線路のカーブのところを歩いていて、警笛に振り返りもせんかった。」 と、その電車の運転手さんがいう様子で線路を歩いていたらしくて、遺体と会おうとする ゆみ子 に
「見てもわかりませんよ。」 という姿になってしまう。
「どうか、もう、何も起きないでいいから。」 変な話ですが、そんな、祈るような気分で、 能登 の海ぞいの村での ゆみ子と勇一の新しい生活 を見守っています。
「いい陽気になりましたね」 と声をかけると
「いい陽気になった」 とポツンと返事が返ってきて映画が終わりました。
いえ、これが生きるということです。 と答えたくなる作品でした。 傑作 だと思いました。 拍手!
今まで見た 是枝裕和
の作品にも、 石段の上から眺める海
の風景とか、 暗い洞窟を抜けて光の中に出て行く子供たち
とか、印象に残るシーンがたくさんありますが、この作品の 尼崎の下町の暗い商店街
、 棟割長屋の階段
、 阪神電車の小さなプラットホーム
、 奥能登
の支線の 小さな駅舎や線路
、 縁側からの海の風景
、馴れ馴れしく家の周りを うろつく犬
、海に向かって歩く 葬儀の行列
、 台所の窓
から見える 家の裏の坂道
、そして、
風が運んでくる雪 多分、忘れられないシーンとして、ボクの中に残るでしょうね。
音を待ちながら静かなスクリーンを見ていた のでしょうね、最後のシーンでも 「いい陽気になりましたね」 の声を聴いて、ようやくホッとしたのでしょうか、見ていた老人は
「尼崎の杭瀬の駅って、どんなんだったけ?」 と浮かんでこない記憶をたどりながら涙をこぼしました。
これが一番いい! と思いました(笑)。
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