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今日は 養老孟司・池田清彦・奥本大三郎「虫捕る子だけが生きのびる」(小学館新書)
です。 爺さんたちの虫捕り談義 なわけで、ボクなんかの世代には 「昆虫採集」の思い出 がありますが、今の若い人には、あんまり一般的じゃないわけで、
まあ、お好きな方たちでどうぞ! というムードの本なのですが、読んでみると、さにあらずでしたね。
「オッと、これは!」 という話も出てきて、飽きませんね。
養老 今、なぜ、子どもに虫を捕らせた方がいいのか。その問題を考えるときに、世間の皆さんに、ぜひ気づいてほしいことがあるんです。それは要するに、脳みそは総合なんだということです。言いかえると、脳の機能は回転なんだということ。 脳 が
奥本 なるほど。それで?
養老 まず、外界から情報が感覚を通して脳に入ってきますよね。これがインプット。脳の中で計算して、考えて、その結果が肉体の運動として出て行く。これがアウトプットです。たとえば、今、ここにコーヒーカップがある。すると、まず、「目の前にコーヒーが入ったカップがある」という情報が視覚を通して脳にインプットされる。脳で計算して、「しゃべり疲れたから、ちょっと飲んでみるか」と考える。その結果が、手を伸ばしてコーヒーを飲むという運動としてアウトプットされるわけ。
池田 入力した情報を脳の中で解釈して、出力するわけだ。
養老 そしてコーヒーを飲んでみたら、「もうぬるいや」と感じる。すると脳は「もう一度入れ直そうか」と考える。そういう具合に、インプットとアウトプットが連鎖していくわけですよ。アウトプットが再入力されながら、ぐるぐる回っているんです。
奥本 なるほど、回転ですね。
養老 感覚→脳→身体→感覚・・・・という具合に、情報をぐるぐる回していくことがとても大事なんです。このことの重要性に気づいたのは、脳研究の世界でも、実は比較的最近のことなんですけどね。
池田 再入力あるいは再代入するプロセスとして、脳を捉えるわけですね。
養老 そうです。だから、赤ん坊がハイハイすることには、たいへん大事な意味があるわけ。ハイハイした瞬間から、自分の手足を使って世界の中を移動するという、とても知的な作業が始まるんです。これが、脳の発育にとって、とても大きい。脳性麻痺の赤ちゃんの場合、かわいそうだから歩かせないでおくと、言葉が出てこないんです。
奥本 一歩動いたら、すべてのものの角度が変わって見えてきますものね。
池田 赤ん坊の目に見えているものが変化していく。
養老 でも、そういうふうに次々に変化していくものを全部覚え込もうとすれば、脳は壊れちゃうんです。情報量が多すぎる。それでどうするかというと、自分が移動することで違った世界がどんどん現れるけど、その世界は根本的には一つの同じ世界で、違うように見えているだけだというふうに、脳がまとめていくわけですよ。概念にまとめ上げていく。(P61~P62)
感覚→脳→身体→感覚・・・・という具合に、情報をぐるぐる回していくことによって活性化する。 というあたりの話は知っていました。
「おっ!」 というのは、まず、
「脳性麻痺の赤ちゃんの場合、かわいそうだから歩かせないでおくと、言葉が出てこないんです。」 というところでした。
「変化していくものを全部覚え込もうとすれば、脳は壊れちゃうんです。」 で、
概念化! 言葉の登場 なのですね。
おー!そうか! そうか! でしたね。いや、ホント、面白いと思いませんか?
脳を壊さないために、ことば! ですよ。
「昆虫採集?虫?」 といぶかしむタイプの方には、退屈、あるいは、ええかげんにしてほしい話かもかもしれませんが、なかなか、興味津々でしたよ。
追記
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