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2025.03.31
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​弘理子「鹿の國」元町映画館​
信州 諏訪大社 を撮ったドキュメンタリーということで、まあ、旅行とかあんまり縁のない 徘徊老人 ですが、珍しく行ったことがあって、なんだか面白そうな印象もあって、またしても、天気の悪い土曜日でしたが見に行きました。
 見たのは 弘理子 という 監督 「鹿の國」 です。
元町映画館 では、今日が初日だったのですが、地味そうな映画にも拘らず結構な人出でした。
「なんで、こんなに人がいるの?」
「結構、評判らしくて、遠くからもいらっしゃっているようですよ。」
 それを聞いて、ちょっと期待して見終えました。
「御室神事」 という、中世から伝わる、まあ、あやふやな伝承を、劇中劇的に再現して見せているのが、多分、この映画を 作っている人
​「見せたいもの」 ​​
​  のようでしたが、ボクには
​ピンボケ!でしたね。 ​​
​ 結局、何が言いたい映画なのかわからなかったですね。ボクが、首を傾げた理由はハッキリしていて、映画が伝承をテーマにしながら、映像というか、展開に歴史性が感じられないんですね。
諏訪大社 は、新年だかのお祀りに 「鹿の首を祀る」 らしいのですが、 建御名方神(たけみなかたのかみ) という、多分、 出雲系の神さん が、 中世 に、一旦、仏教の 普賢菩薩 習合 し、 明治の廃仏毀釈 で、まあ、 神道系の神さん が復活して、今に至るというのが、多分この神社の縁起なのだと思いますが、その変遷の中で、
「なぜ、『鹿なくてハ御神事すべからず!』なのか」​
という疑問に対して
​​ 「いのちの循環」 ​​
​  とかいう返事は、答えにならないですよね。
 映画のはじまりにそなえられる鹿の首とか、ヘビの紋とか、カエルとか、 動物崇拝の象徴 が提示されて、 サクラの大木 に対する 信仰 とか、 稲の成長に対する祈り とか、が、それはそれで美しく映し出されます。でもね、歴史的に考えれば
​​「なんか変だ!」​​
​  ​とわかると思うのですが、信仰の対象として動物と稲は、信仰そのものの時代がずれそうですし、サクラは、野生種はともかく、文化的には、かなりこっちの時代の花なんじゃないでしょうかね。まあ、そんなふうに
​「オイ、ちょっと!」 ​​
と言いたくなる映画でしたね。​​
おばーちゃん が、杖をつきながら苗代のことを教えたり、腰高のまま、畦草を刈ったり、なかなかいいシーンがあって、懐かしかったんですけど、拍手はしません(笑)。
​​​​ 誰に見せようという意図の作品なのか判然としませんが、あまりに杜撰な解釈を、あたかも歴史的であるかのムードだけで見せようとしている印象です。
 それ自体、とても貴重で不思議な信仰の形態ですし、多分、地元の方の真面目な参加もあるのですが、なんだか、 神妙な顔をして わかりやすく という見掛けですが、結果的に意味不明 ​​ でした。
なんなんですかね、これは?

監督 弘理子
撮影 毛利立夫  三好祐司  明石太郎  矢崎正和
編集 髙橋慶太
語り 能登麻美子  いとうせいこう
2025年・98分・G・日本
2025・03・15・no042・元町映画館no291




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最終更新日  2025.03.31 23:50:45
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