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「この人、おもろいね。」 すると彼女はボクが普段過ごしている部屋をゴソゴソして、留守の間に片づけたらしい書棚から1冊の文庫本を持ち出してきていいました。
「まあ、私、まだ読んでないわよ。」
「ああ、そうなん。あっちのミシンの横に置いてあったから持って行って読んだけど、イイネ、この人。」
「あのね、私の本とかもあるからね。たまには片付けようね。」 あのー、 同居人 は、この 文庫本 が出た頃まで、市内の大学の生協の 本屋さんのパートさん やったんですね。20年以上お勤めでしたから、まあ、 書棚に本を並べるプロ です。 医学部店 やったから、お店にあるのは 医書 ばっかりなのですが、一棚だけ、和書というか、小説とか文庫本とか、彼女の おすすめの棚 を作っていて、その棚に並べた本が売れるのが楽しみやった人です。
「えっ、掃除したん?」
「まあ、それはいいけど、その人の始まりはこれなのよ。」
「何、それ?」
「カエルの詩人の草野心平が東京の新宿とかで酒場やってはったって知ってる?」
「うん、ゴールデン街やろ、聞いたことある気がする。知らんけど。」
「そこで、この人、ママさんやってたらしいのよ。」
「えーっ?そんな年やった?今年で50くらいちやうの?草野心平って、カエルの人やろ。もう、死んでから30年くらいたつんとちゃうの。」
「そやから、「学校」っていうお店の名前やねんけど、草野心平が亡くなったあとも、そこを継いではった女の人のお店を手伝わはって、それを本にしはったのがこれ。私、この本お店に並べたのよ。」
「売れた?」
「誰も買わへんから、自分で買って読んだら、おもしろかった。金井さんっていう人、人の話聞くのが上手やと思う。書き方は、軽そうやけど、うっとうしないねン。」
「うん、イラストもええやんな。」
うっとうしないんです。 病院で読んだ 「テヘランのすてきな女」 には、登場人物のポートレイトの書き方、描き方に 玄人のタッチ を感じましたが、こちらは 初々しいん です。ある意味、素人丸出しというか、嘘のなさというかが元本屋のパートさんがおっしゃる
「うっとうしない」理由でしょうね。
玄人として作り上げはったところでしょうね。人柄から湧いてくるかの文章やイラストが人柄だけで書いたり描いたりできるはずがないですからね。
追記
ところで、このブログをご覧いただいた皆様で 楽天ID
をお持ちの方は、まあ、なくても大丈夫かもですが、ページの一番下の、多分、楽天のイイネボタンを押してみてくださいね。ポイントがたまるんだそうです(笑)
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