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2020年08月09日

投票義務化?(八月六日)




 1990年代に日本で毎回選挙権を行使していた人間としては、投票に行かないのはもったいないとは思うが、投票率の低下を政治への無関心のせいにして済ます考えにはまったく賛成できない。仮に政治への無関心がその主要な原因になっているとしても、その無関心の原因であるろくな政治家、候補者が存在せずに選びようがないという現実を無視してはなるまい。

 かつて選挙には、地方選挙も含めて毎回通っていたが、一回か二回、よんどころない事情でサボったことはあるかもしれないけど、国政選挙において候補者の名前を書いたことは1回しかない。能力も知力もないのに議員の子供というだけで候補者に納まっている二世議員、三世議員、官僚上がりだか崩れだか、マスコミ上がりってのもいたし、宗教関係者いた。現実を見る能力のない左翼の活動家崩れとか市民活動か上がりなんてばかりで、誰を選べというのか。
 という諦念と共に投票所に出向くのをやめようと思ったこともあるが、無駄にまじめだったので投票には出向いて、白票を投じていた。違う、白票ではなく無効票である。実在しない人物の名前や、友人の名前を、書くことが多かった。比例代表のほうは、絶対に政権を取らせてはいけないが、議席がゼロになるのもまずい、政権批判だけなら、批判するネタを見つけるだけなら日本一の共産党に投票していた。必要悪というやつである。地方議会のほうは近所付き合いで公明党の候補者に入れることもあったけど、となりに住んでいた創価学会の叔母ちゃんに頼まれたときだけ。

 ゴミとしかいいようのない候補者リストで、投票を義務化して、投票しない人間に罰則を与えるのなら、導入すべきことがあるだろう。増加するであろう白票、無効票に込められた有権者の意志をくみ上げるシステムなしに、投票を義務化したところで、政治への無関心が解消されるとも思えない。罰則の設定いかんによっては、これなら投票しなくても問題なしと考える人の方が多くなりそうだ。
 こういう誰も選びたくないという層の意見を反映させる方法として、マイナス票みたいなもの、当選させたくない人を選んでの投票を導入することを主張する人もいるようで、これはこれで悪くないとは思う。ただ、議員として誰も選べないということは、落としたい人を一人だけ選ぶのも難しいということになりかねない。

 それなら白票などの、明確に選ばないことを選んだことがわかる票だけ集約して、候補者の一人として扱った方がよさそうだ。誰も選ばないに入った票が一番多かった選挙区では、選挙を無効にして当選者を出さないのである。当然比例での復活も認めない。そして一年ぐらい期間をおいた後に再選挙を行うが、無効になった選挙に立候補した候補者は同じ選挙区では立候補できないとしておけば、候補者の代謝も進んで、そのうちまともな人も出てくるかもしれない。議員はおろか、首相候補と呼ばれるような人たちですら、二世議員、三世儀意ばかりの現状を変えることが、政治への無関心を変える第一歩だと考えれば、これぐらいのことはしないと将来は暗い。
 比例代表のほうも、どの党も選ばない票を一党扱いして、議席配分の対象にすればいい。つまり、選ばない票が多ければ多いほど議員の数が減るのである。党内事情で選ばれた箸にも棒にもかからないような候補者が並んでいる上に、小選挙区で落選しても比例で復活などという有権者の誰も望まない制度があるのも、政治への無関心の原因の一つなのだから、選ばないを選べば無駄な議員がいなくなるという制度にすれば、政治はともかく選挙への関心は高めることができはすまいか。

 こういう後援会以外には、誰にも望まれていない国会議員を減らすための改革は、その手の議員ばかりの自民党政権にはできまい。民主党政権が何かやるかなと思っていたけど、パフォーマンスに終始して、自民党の政治家と同じ穴の狢に過ぎないことを露呈していたから、政権交代があっても実現はしないだろうけど。
 ここに書いたぐらいのことは、とっくに誰かが思いついて発表していてもおかしくないと思うのだが、マスコミで取り上げられたという話は、寡聞にして知らない。権利、権利というのなら、候補者を選んで議員にする権利だけでなく、候補者をすべて拒否する権利も有権者にはあるはずである。いや、選ぶに値する候補者を得る権利と言い換えてもいいか。

 チェコでも、選挙の投票率は低下する傾向にあって、EU議会や上院議員選挙の二回目の投票など危機的なレベルにあるけれども、選挙の義務化という話は聞こえてこない。それは、共産党政権下で民主主義を標榜するために形だけ行われていた選挙で、事実上義務として投票を強制されていた過去があるからである。
2020年8月7日12時。










タグ: 選挙
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