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2017年01月17日

平成の終焉(正月十四日)




 いろいろな方々とさまざまな話をさせていただいたのだが、一番驚いたのが、平成が三十年で終わりそうだという話だった。昨年の今上陛下のビデオメッセージを受けて、政府で譲位と即位、そして改元についての話し合いを始めていることは知っていたが、いつものことで、何かの進展があるまでには、まだまだ時間がかかると考えていた。何せ、保守系の論客たちさえ現状では譲位は難しいのではないかという発言をしていたようだし。

 話によると、2019年の一月一日に新天皇が即位し、改元も行なわれるということのようだ。ということは平成は、三十年の十二月晦日までで、新元号の元年が一月一日から始まるということになる。平成元年のように、一年が二つの元号にまたがるというのを避けるためなのだろう。そうなると、日本人にとっては未だに重要で在り続けている年賀状などのために、新元号は早めに発表されることになりそうだ。
 昭和に生まれ、昭和に人格形成期を送ったので、平成という年号にはあまり思い入れはない。当時の元号の発表の際、官房長官の発音が何か変でちゃんと聞き取れなかったのも一因かもしれない。それに、昭和までは、元号を使用するのが一般的だったのに、平成に入って次第に西暦を使用するのが一般的になっていったのも、それから、日本以外での生活の方が長くなってしまったのもその理由になっているか。

 それでも、次の元号が何になるのかは気になる。とっさに候補となりそうな言葉が頭に浮かぶほど、中国の古典に詳しいわけではないし、過去の元号をすべて覚えているわけでもないので、これがとは言えないのだが、「和」の字は使ってほしい気がする。平成の「平」は、地の平らかならんことを、つまり平和を祈念しての使用であったであろうことを考えると、すでに昭和で遣われて入るけれども、次は「和」を使う番かなと。
 兵革のことにかかわりそうな、「武」の字は避けた方がよさそうだ。現行の制度では、年号が、崩御の後の諡号として使われることは確実だが、象徴天皇に天武、桓武など、武断派で強権を発揮したイメージのある天皇とつながる諡号はそぐわない気がする。鎌倉幕府を倒したものの好き勝手やって南北朝、観応の擾乱の引き金を引いた後醍醐の選んだ年号が建武だったのも縁起が悪い。

 まあ、素人の一般人があれこれ想像してもあたることはないだろうから、いわゆる識者達の発言を待つとしよう。近年の流行に流されて、公募するとか、候補をいくつか挙げて一般の人に投票させて決定するなどというのは絶対にやめてほしい。あの手の一見民意とやらを尊重しているらしいやり方は、単なる責任の放棄に過ぎない。ここは本物の有識者、古典に詳しい人たちに厳密な審議をして、今上陛下、および新天皇の意向もくんだ上で、有象無象どもの雑音を排し断固とした態度で新年号を決めてもらいたい。どんな元号が選ばれたところで、いちゃもんをつける輩は出てくるものだし、最初のうちは違和感を感じてしまうものだ。平成も慣れるまでに時間がかかったし。

 思い返せば、昭和六十三年の後半、日本社会は天皇不予とそれに伴う自粛の嵐に翻弄されていた。テレビも軒並み特別番組で、東京の人に言わせると、テレビ東京が普通の番組を放送していたというのだけど、民放が二局しかない田舎を舐めちゃいけない。両方とも延々特別番組を流していた。
 当時はテレビ東京なんて存在も知らなかったし、そもそも地方局にチャンネルを合わせているわけで、番組が東京のどのテレビ局で制作されたものなのかなんて、意識したこともなかった。受験勉強を口実に、家族と一緒にテレビを見ることも少なくなっていたから、テレビの内容はあまり気にしていなかったようなきもする。
 それよりも心配は、天皇の崩御と入試の日程が重なったらどうなるのだろうというもので、高校の先生たちがあれこれ対策を考えていたのではなかろうか。平成の終焉は、このような混乱とは無縁のものになりそうだけれども、その後の来るべき上皇の崩御の際に、どのような対応をとるのか、今回の譲位改元に関する議論の中で、ある程度の合意を形成しておいたほうがいいのではないだろうか。ただ、今回だけの特別の事例にしようとする政府側の意図が見え隠れしていることを考えると、場当たり的な対応に終始して、昭和末年ほどまでは行かなくても、自粛ブームが再現されて社会に混乱を巻き起こすのではないかという懸念が拭い去れない。

 実現まであと二年、外つ国から気楽に眺めさせてもらうことにする。
1月15日15時。


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