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2018年07月01日

カロウセクに勝った再(七月一日)





 この外国からの荷物にチェコの消費税がかかるかからないの境目となる金額があるらしいのだが、その額がいくらなのかはっきりしない。20ユーロという説があったかな。我が畏友は、日本に行ったときに、日本で買ったものをチェコに送る場合には、すべて開封して、販売できない状態にしたうえで箱詰めし、伝表に内容物はゴミのようなものと書き、価値は5000円と書くらしい。それで今まで一度もチェコの消費税を取られたことがないと言うのだが、ゴミなんて書いたら発送を拒否されるんじゃないか。ちょっと信じられない話である。
 実家から送ってもらうような荷物は、価値が5000円ぐらいになっていても、税金を取られたような記憶もあるので、最近は小分けにして2kg以内で手紙扱いで送ってもらっている。手紙扱いにしたものに関しては税金を取られたことはない。ただ、本来のこの制度の対象であった国外のネットショップで買った商品に関しては、商品の重さにかかわらず課税されることになっていたはずである。


 結局、かねてからほしいと思っていた小右記研究会が刊行した『小右記註釈』を注文したのだが、考えてみれば、上に書いた試す云々は、この本を買うために必要だった言い訳に過ぎない気もする。ジャパンナレッジの年会費と大差のない本を、今の低収入で購入するには自分を騙すための言い訳が必要なのである。ジャパンナレッジでさえも、いくつも口実を用意する必要があったし。

 注文すると、hontoには在庫がなく、版元から取り寄せるので発送まで時間がかかるという連絡があった。版元で絶版になっている場合には買えない可能性もあったのかな。それから一週間ほどして発送完了のメールが来たときにはほっとした。ほっとすると同時にしまったと思ったのは、送料が3300円を越えていて、SAL便の料金表で確認すると、重さも2kgを越えていることが判明したからだ。そいうえばこの本二冊組だったか。研究書はハードカバーで造本もしっかりしているから重くなるのだった。hontoには、海外の顧客向けに本の重さもデータとして提供してほしいものである。
 これで重さは手紙扱いのリミットを越え、金額も非課税の額を超えたのは確実である。届いたら、チェコの消費税、へたすりゃ20パーセント取られることになるのを覚悟した。願うのは円での2万円の20パーセント4000円の円をコルナに換えただけの税額にならないことだけである。これまで何度も、どのような計算で出てきたのか理解不能な額の税金を請求されたことがある。時間をお金で買うつもりでクレームもつけずに素直に払ったけど、カロウセク許すまじなのである。

 それなのに、あっさりと無税で受け取れてしまった。例によって在宅していたのに不在の連絡票が入っていて郵便局まで取りに行くことにはなったが、税関で停まっているので手続きの代行をするという郵便局からの連絡は入っておらず、取りに言ったら普通に渡してくれた。
 カロウセクを出し抜くことに成功したのだが、自分の功績ではない。理由を考えてみると、hontoで使われている梱包のおかげではないかと思えてきた。社名も、店名も入っていない無地のダンボールに、取り立てて特徴のない住所の印刷されたラベルがはってあるだけで、一見通信販売の商品には見えない。専門家が見るとまた違うのかもしれないが、素人目にはそうは見えない。宛名ラベルなんて個人の荷物の発送には使わないといわれればそれまでだけどさ。

 どういう規準で税金がかかるのか、かからないのかは相変わらず判然としなかったけれども、日本で買う値段+1500円ほどで、この大部の本を買うことができたのは、何より喜ぶべきことである。日本で買うと本屋までの交通費もかかったはずだと考えれば、お買い得感はさらに大きくなる。
 だけど、しばらくは大人しくしていよう。このままずるずると気軽に本を買うようになると、給料が本代だけで消えてしまうということになりかねない。クレジットカードは、お金が見えないだけに高額の買い物をする際に葛藤がなくて危険である。一冊2万円を越えるような本を買う際には、日本で毎月云万円も書籍に費やしていた時代でも、今回よりははるか悩んでいたのに、あっさりと購入に踏み切った自分が恐ろしくなる。
2018年7月1日0時25分





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