蘇芳色(SUOUIRO)~耽美な時間~

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2005/07/29
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カテゴリ: 韓流ドラマ&映画
眠ってしまったかのような表情のソンジェ。


韓国・利川にあるソンジェのおじさんの窯にやってきた。
「ソンジェ、着いたよ」
葉子はそっと囁く。

ソンジェの指が、微かに動いた。
紙のように白かったソンジェの頬に、朱がさしてくる。
固く閉じられていた彼の瞳が、ゆっくりと開く。
周りの景色を確かめるように、見回している。


ソンジェは立ち上がった。
快復はムリだと昭彦に言われていた足を踏ん張り、窯へと歩いていく。

ゆっくりと葉子のほうへ振り向くソンジェ。
葉子が愛したソンジェの笑顔。
葉子はただただ涙を流して、立ち尽くしていた。
『神様、ありがとうございます。ソンジェはこれから1年も2年も、いいえそれ以上生きるんですよね』

あれから2年の時間が過ぎていった。
葉子は利川の窯で、陶芸を続けている。
彼女が扱っているろくろの後ろには、2年前陶芸祭に出品したソンジェと葉子の作品が飾られ、隣には「最優秀賞」の盾が置いてある。

日本を離れる時、安岡から渡された日本の土と、ここ利川で取り寄せた韓国の土をあわせて作品を作ろうと2年前に決心し、それからはずっとそうしている。
そして両国の土の他に混ぜているものがある。


葉子はろくろを止め、休憩することにした。
昼食をとるために、自転車で家に帰る。
途中、近所の女性に会い、先日もらった西瓜のお礼を言った。
韓国語を自由に操る葉子。すっかり韓国に馴染んでいる。

息を切らせて家にたどり着いた。

そういいながら、ドアを開ける。

「おかえり」
笑顔で振り向いたのは、ソンジェその人だった。
「ごはん、もうできていますよ」
「わぁ~、うれしい!今日のメニューはなにかしら?」
「さあ、なんでしょう?」
微笑みながら、ソンジェは食器を並べ始める。
「ねぇ?ソウタは?」
葉子の問いに、ソンジェは「あっち」とでも言うように、リビングの方に目を向けた。
リビングに行く葉子。
ソウタと呼ばれた男の子がスヤスヤと寝息を立てている。
「さっきミルクを飲ませたら、すぐ寝てしまいました」
ソンジェの言葉を聞きながら、葉子はソウタの頬を撫でる。
「そうでちゅか~、ソウタはいい子でちゅね~。パパがお守をするときは、よくネンネしてくれまちゅね~」
「葉子、ボクだってちゃんとソウタの面倒を見られますよ」
ソンジェは拗ねたように軽く唇を尖らせる。
「ごめん、ごめん。ソンジェは最高のパパだもんね」
顔の前で手を合わせながら、葉子はソンジェの側にやってくる。
「そして、最高の夫、最高のパートナーよ」

ソンジェは葉子を抱きしめ、キスをした。
「私、あの時ソンジェが死んじゃったかと思ったのよ。2年前、日本から利川に戻ってきたバスの中で」
葉子は当時のことを思い出していた。

陶芸祭に出品する2人の作品に、自分の遺骨を混ぜてくれと言ったソンジェ。
「ヤクソクしてください」
というソンジェの言葉に、葉子は従わなかった。
「ソンジェは生きるのよ、これからもずっと」
葉子がそう言い切ったのに、ソンジェは力なく首を垂れている。
葉子は恐ろしかった。
「ソンジェ、どこにも行かないで!」
声を振り絞る。

しかし奇跡が起きた。
おじさんの窯に着き、意識を失ったソンジェに到着を告げると、ソンジェは再び立ち上がったのだ。

それから時間を追うごとに、ソンジェの体はどんどん快方へ向かった。
まるで利川の土地全体が、彼の快復の後押しをしているように。
昭彦が紹介してくれた利川の医者も、「奇跡だ」と驚いていた。

「奇跡は起こるものじゃない、起こすものよ」
葉子は愛するソンジェとソウタの顔を交互に見ながら、そう思っていた。

「そうそうソンジェ、例の粉、もうそろそろ無くなりそうなのよ。また由紀に言って送ってもらおうか?」
「ええ、そうですね。日韓両国の土とあの粉を入れないと、私たちの作品とは言えませんからね」
ソンジェはそう言って、いたずらっ子のように片目を瞑ってみせた。

「ふふふ。そうよね。あの粉を土に混ぜている時、私いつも思い出すの、あの時のことを」
「え?どの時?詳しく教えて下さいよ」
ソンジェがからかうように、葉子の肩を揺さぶる。
「もう、私に言わせるの?恥ずかしいじゃない」
葉子は顔を赤らめて、ソンジェの胸をたたいた。
「ボク達は夫婦で、子どもまでいるというのに、何照れているんですか?」
「いいでしょ、あの時のことを思い出すと、今でもドキドキして体が震えるんだから」
そういう葉子をソンジェは抱きしめた。
「葉子のそういう所が大好きです。あの時、ボクは葉子を初めて抱いたんですよね」
葉子はますます顔を赤らめる。
「ええ、江ノ島まで行った日・・・。」
「江ノ島はボクたちの思い出の場所です」
「そう、だから私たちは日韓両国の土と一緒に江ノ島の砂も混ぜるようにしたのよね」
「ええ、作品の手触りに影響がないように、細かく砕いて粉状にしていますが」

葉子はソンジェの肩にもたれかかり、ソンジェと出会ってからの出来事を思い出していた。

「ソンジェ、私たちはたくさんの人を傷つけてきたわ。もう会えない、会っちゃいけないと思ったときもあった。でも今思うの。傷つけた人たちにすまないと思うのなら、不幸になっちゃいけないって。傷つけた人たちに感謝しているし、彼らのことをいつまでも忘れることはないわ。でも私たちはそれだからこそ、今を精一杯誠実に生きなければいけないのよ」

そういう葉子を見つめながら、ソンジェは微笑む。
「ボクもそう思います。1度死にかけた命だから、よけいに大切にしなければいけないと思っています。ボクや葉子を助けてくれた人たちに感謝しながら、これからの人生を葉子とソウタと一緒に生きていきます」

「ソンジェ」
「葉子」

手を取り合い見詰め合う2人を祝福するかのように、窓から差し込む利川の光は輝きながら2人を包み込んでいた。



END





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最終更新日  2005/07/30 12:36:54 AM
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