蘇芳色(SUOUIRO)~耽美な時間~

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2005/10/02
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カテゴリ: 韓流ドラマ&映画
ボヤのあった翌日、安岡が「ゴールド・デビル」にやってきた。

もともと酒は好きな方ではないが、この店で働くようになって、ますます苦手になった。
「さ、そんな仏頂面してないでさ、このお酒をぐっと飲んでごらんなさいよ。きっと気持ちがぱっと明るくなるわよ」
客はソンジェに執拗に酒を勧める。今夜、いったい何杯飲んだのだろう?ソンジェは頭の中で数えてみた。
「早く飲みなさいよ」
グラスを持った手をつかまれ、口元にグラスを押し付けられる。仕方がない。
他のホストらのはやし立てる声の中、ソンジェはグラスの酒を空けた。焼けるような熱い感覚が、喉を伝って胃に流れていった。
『こんな生活、いつまで続けられるのだろう』


「ソンジェくん?」
ソンジェを呼ぶ、懐かしい声に驚いて振り向いた。
安岡が立っている。
「先生・・・」
ソンジェと安岡は客の嬌声を避け、店を出た。
「君だったんだろう?昨日の火事で井出さんを助けたのは」
やはり安岡は気づいていたのだ。
「葉子さんは?」
煙をだいぶ吸っていた葉子のことが気にかかる。
「うん、心配いらないよ」
その言葉に安堵した。

ソンジェは、ビルの陰に隠れた自分を見つめていた安岡の姿を思い出した。
「井出さんは、君のことを・・・?」
ソンジェは軽く頷いた。
中年の女性客が2人、店に入っていく。
安岡はその様子を眺め、ソンジェの方に振り向いて言った。

「・・・知り合いの店なんです」
「僕はね、君のことだからてっきり陶芸の仕事をしていると思っていたよ」
安岡の言葉がソンジェの胸に突き刺さる。
「ソンジェくん、君にはすばらしい才能がある。私はその才能をこんなところで埋もれさせたくないんだよ」
「こんなところですみませんね、先生」
恭一が姿を現した。安岡の顔色が変わる。5年前、ソンジェのパスポートを売りさばき、そのためにソンジェがさんざんな目にあったことを思い出していたようだ。
「君はこんな奴の下で働いているのか、あんな目にあわされたのに・・・」
ソンジェは安岡に合わせる顔がなかった。
「すみませんが、お帰りいただけますか」
恭一が安岡に言い放つ。
「まだ話は終わっていない」
安岡も食い下がるが、恭一は相手にしない。
「ここは女性専門の店なんですよ。女性同伴ならまだしも、男性の方の一人きりはご遠慮ねがっているんです。おい、ソンジェ、仕事に戻れ」
それだけ言うと、店に戻っていった。
こんな姿をこれ以上安岡に見られたくなかった。もう来て欲しくない。
「僕、陶芸はやめました。帰ってください」
「ソンジェくん」
「失礼します」
安岡の視線から逃げるように、店に戻ろうとしたソンジェの背中に、安岡は鋭く言った。
「君のこんな姿を見たら、彼女は驚くだろうね」
ソンジェは胸が痛んだ。もちろん葉子には、自分のこんな姿を絶対に見られたくない。
ホストという仕事をしている自分を、葉子は愛してくれないだろう。
そう思いながら、ソンジェは店に入った。

数日後、ソンジェは思い切って恭一に、給料の前借りを頼んだ。マンションの更新料が、どうしても捻出できなかったからだ。
恭一は無造作に封筒をソンジェに渡してよこす。
「ほらよ。来月分から引いておくからな」
「ミアネ(すまない)」
「昨日また客に酒をこぼしただろう。いつまでも嫌々やってるから注意力散漫になるんだよ。いい加減にしないと首にして、今までの前借り分一気に請求するぞ」
ソンジェは驚いて恭一の顔を見る。
「ヒョン(恭一さん)」
「ここではハングル使うなといっただろう!」
ソンジェは言葉を飲み込んだ。
「お前が首になったら、佳織が困るんじゃないのか?」
恭一はソンジェの弱い部分を突いてくる。彼の凶暴な部分を思い出し、ソンジェは警戒した。
「気をつけるから・・・」
恭一はソンジェの頬を大きな手でなでながら、ニヤけて言った。
「お前よう、主婦受けのいいツラしてんだから、もっと身ぃいれてやれば、ガッポリと稼げるんだよ。人生、愛より金だ」
恭一のその考え方には、ソンジェはどうしても同調できない。ソンジェにとって金は、なんの魅力もない。ソンジェにとって大切なものは、葉子の愛しかなかった。
「そうだ、お前、あの奥さんを客に引っ張って来い」
ソンジェはとっさに意味がわからず、恭一の顔を見た。
「ほら、医者の奥さん。忘れたのか?お前が手をだした女さ。何してるんだろうな」
恭一の言葉に、ソンジェは動揺した。と同時に、腹の中から怒りが湧き上がってきた。
『葉子さんをこんな場所には絶対に連れてこない』
葉子の悲しい顔が目に浮かぶ。安岡の言葉が頭の中で響いていた。
“君のこんな姿を見たら、彼女は驚くだろうね”
5年前は、ただまっすぐに葉子へと向かって行きさえすればよかった。どうしようもない自分の気持ちを、彼女に伝えるだけでよかった。しかし今は違う。背負ってしまったものの多さに、ソンジェは葉子へ向かうことが出来ない。もちろんソウルの母との約束もあった。
葉子への想いは何も変わっていないのに・・・。
ソンジェは葉子の笑顔を思い浮かべようと努力した。しかし彼女の悲しい顔しか思い出すことが出来なかった。





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最終更新日  2005/10/03 12:41:27 AM
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