蘇芳色(SUOUIRO)~耽美な時間~

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2005/10/06
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カテゴリ: 韓流ドラマ&映画
ソンジェは「ゴールド・デビル」に着いてからも、葉子の悲しそうな顔が頭から離れなかった。

「おい」
先輩のホストに小突かれる。
見ると客のグラスがカラッポになっていた。
「すみません」
あわててグラスを取ろうとして、酒をこぼしてしまった。
「あなた、もういいわ。向こうへ行って」
客に冷たく言われ、ソンジェは席をはずす。

恭一がやってきた。
「お前、この間の話覚えているか。やる気がないならマジで首にするぞ」
「それは・・・」
「佳織のために、それは困るってか。ったく、あんな気の強い女のどこがいいんだ」
「気が強い?」
「前にお前が留守のとき、部屋に上がろうとしたら、いきなりひっぱたかれた」
恭一がのうのうと言う。
ソンジェは怒りがこみ上げてきた。
「いくら兄さんでも、佳織に手を出したら許さない」
そうだ、彼女はソンウの恋人だったんだ。恭一のような男が、ソンウが家族を捨ててまで愛した佳織にひどい目をあわせるのは許せなかった。
「ふん、格好つけやがって。お前と佳織は似合わねぇよ。それに、お前が欲しい女はあいつじゃねぇだろ」

『恭一さんにまで見透かされている。僕がまだ葉子さんのことを愛していると言うことを・・・』

数日後、ソンジェは焼き物の本を眺めていた。佳織は宗太を幼稚園まで迎えに行っていて留守だ。
もうどのくらい土に触っていないのだろう。あの感触を思い出そうとして、ソンジェはしばらく目を瞑ってみた。
ひんやりとした土に触れたときの心の震え。葉子と自分をつなげている細い糸。それが陶芸だった。
「ただいま」

ソンジェはあわてて、焼き物の本をトランクに隠した。佳織の顔がまともに見られない。
後ろめたい気持ちのまま、店に行くと告げ、家を出た。

店に着いてみると、志保がいた。
彼女は中学生の頃、当時ソンジェが働いていたクレープ屋によく来ていた。ソンジェに淡い気持ちを抱いていたのはわかっていたが、ソンジェの心には葉子しかいなかった。
志保が葉子の娘だと知ったのは、葉子とソンジェが結ばれた後だった。母親と自分の好きな男の恋愛に気づいた志保は、それから葉子に辛く当たったと聞いた。
ソンジェがソウルに帰り、兵役についていたとき、恭一が志保に近づいていた。「ソンジェとあわせてやる」と嘘をいって、いかがわしいアルバイトをさせていたというのだ。
大学生になった今も、志保は恭一の斡旋するバイトで金を稼いでいる。もともと自分が原因で、彼女がこういうところに足を踏み入れたのだと思うと、ソンジェは志保にも、そして葉子にも申し訳なかった。
「ソンジェ!今日はリッチだから閉店までいられるよ」
屈託なく言う志保があぶなかしくて、ソンジェはきつく言った。
「この間言った。もうここに来ちゃいけない」
志保はたちまち不機嫌な顔になる。
「私、自分で稼いだお金できてるの。誰にも迷惑かけてない」
「君はこんなところに来てはいけない」
ソンジェの剣幕に、志保はたじろいだ。
「ソンジェ・・・」
「もう二度と来ないで。わかった?」
志保はますます不機嫌な顔になったと思うと、グラスを手に取り、思い切りテーブルにたたきつけた。
ガシャーン。鋭い音が店中に響き渡る。
「志保さん!」
ソンジェは驚いて志保を見た。グラスを握った左手から鮮血が流れている。
志保は怒りに震える声で言った。
「二度とそんなこと言わないで」
志保のソンジェへの執着に、胸騒ぎがした。

数時間後、志保は泥酔して他のホストに連れられ、店を出て行った。
ソンジェは後を追う。階段を駆け下りると、志保の弟・和哉がホストたちに殴られているところだった。
ソンジェは5年前のことを思い出す。葉子と待ち合わせした公園に向かう途中、同級生にいじめられている小学生の和哉を見つけ、庇ったのだった。おかげで葉子との約束の時間に遅れ、ソンジェはその日葉子と会えなかった。その男の子が、葉子の息子・和哉だったのだ。
志保といい、和哉といい、葉子に関係のある人たちが、自分の周りに引き寄せられているような気がした。
あれから5年が経ち、葉子もソンジェもそれぞれの道を歩んでいるというのに、葉子に縁の人々は、まだソンジェの周りに集まってくる。やはり自分と葉子の縁なのだろうか。
ソンジェは複雑な気持ちで、倒れている志保と和哉を見つめた。

ホストが和哉に手を上げる。ソンジェはすばやくその手をつかんだ。
「2人は僕の友だちだ。手を出すな」
「なんだと!」
殴りかかってくる先輩ホストに一発お見舞いした。もう一人のホストが走ってくる。ソンジェがよけると、転がった。
「和哉くん、志保さん」
倒れている2人に声をかけていると、先輩ホストらに羽交い絞めにされた。容赦なくソンジェを殴る。今、自分がやられてしまったら、和哉と志保がどうなってしまうかわからない。そうなると葉子がどれほど悲しむだろう。宗太と一緒に暮らしてみて、ソンジェは葉子の親としての気持ちがわかったような気がした。どうしても和哉と志保を助けたい。渾身の力をふりしぼって、ソンジェは先輩ホストらに殴りかかった。

酔ったまま寝ている志保をおんぶして、和哉とともにソンジェは葉子の家に向かった。懐かしいこの道。これから葉子に会えると思うと、うれしい反面不安でもあった。
佳織とのことを誤解されたままなのだ。
よろよろと歩く和哉がようやく着いた自宅の玄関を開ける。
「和哉!」
葉子の声がする。葉子に会える。ソンジェは高まる自分の胸の鼓動を聞きながら、玄関に足を踏み入れた。





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最終更新日  2005/10/07 12:07:03 AM
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