蘇芳色(SUOUIRO)~耽美な時間~

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2005/10/18
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カテゴリ: 韓流ドラマ&映画
昭彦だった。みるみる顔色が変わる。

葉子が驚いて振り向く。
「あなた・・・!」
昭彦は無言で葉子に近づいた。
「おかえりなさい。・・・ソンジェが子どもたちを助けてくれて」
そう言ったところで、葉子ははっとして口をつぐんだ。
「それはそれは、見ず知らずの方に家族がとんだご迷惑をかけてしまって・・・。お送りします」
冷淡にそう言うと、昭彦はソンジェを玄関に連れて行った。

「少ないですが、お受け取りください」
ソンジェは心に冷たいものを感じた。
「いりません」
きっぱりと断るが、昭彦は食い下がる。
「そうおっしゃらずに。どこのどなたか存じ上げない人に、ここまでしていただいて。私の気が済みません」
そう言って、ソンジェの背広のポケットに、無理やり金をねじ込んだ。
これ以上断っても、昭彦はソンジェが戻した金を絶対に受け取らないだろう。
ますます葉子の立場を悪くしてしまうだけだ。
「失礼します」
ソンジェは力なく言うと、井手家をあとにした。

今頃葉子はどうなっているのだろう。激昂しやすい昭彦のことだ。彼女がソンジェの記憶を取り戻し、その事実を隠していたことを知って葉子に対しての怒りに震えているのではないだろうか。

『僕はまた同じことを繰り返している。自分の気持ちを抑えきれず、最愛の人を窮地に追い込んでしまうんだ。葉子さん、殴られていないだろうか?泣いているのだろうか?僕は貴女を見守っていくと誓ったのに・・・。貴女を不幸にしているだけなのかもしれない』
いたたまれなくなり、陸橋の上で葉子の家のほうを振り向く。見えるのは暗い夜道だけだ。
葉子の身を案じながら、ソンジェは重い足どりで佳織と宗太の待つ家へと向かった。

ガチャリと小さく音を立て、ドアを開けた。暗い玄関に入る。しかしそこには人が住んでいるぬくもりがあった。
佳織も宗太も、もう眠ってしまったのだろう。ソンジェは佳織を起こさないように、そっと食卓に座った。耳を澄ますとかすかな寝息が聞こえる。規則正しく聞こえてくるそれを聞いていると、ふいに涙がこぼれた。

そう思えば思うほど、葉子と2人で過ごした甘い日々が脳裏によみがえってくる。その記憶を消すかのように、ソンジェは頭を振る。そのまま食卓にうつ伏せて、眠ってしまった。

朝日が頬を照らしている。ソンジェは起き上がり、窓に近づいた。葉子はどんな思いで、朝を迎えているのだろう。忘れようと努力すればするほど、彼女の記憶が鮮明になってくる。ソンジェは葉子へ思いをはせる。
そのときふすまが開いた。ピンク色のパジャマを着た佳織が立っている。
「帰ってたの」
「ごめん、遅くなって」
後ろめたい気持ちを見透かされないように、ソンジェは微笑む。
「ソンジェ、けがをしているよ」
佳織はソンジェを見つめている。
「あ、これ?転んだの」
ギクリとしたソンジェに、佳織が言う。
「どうして、嘘をつくの?」
ソンジェは佳織から視線をそらした。
「昨日、金田から電話があったわ。ソンジェ、葉子さんのところへ行っていたんでしょ?店でのボヤのときも葉子さんを助けたんでしょ?そういうこと、どうして話してくれないの?」
佳織は知っていたのだ。
「佳織によけいな心配かけたくなかった」
「何も話してくれないほうが、もっと不安」
本当は佳織には、葉子への気持ちを知られたくなかった。葉子を大切に想う気持ちは、誰にも知られずに、そっと自分の胸だけにしまっておきたかったのだ。
「ごめん」
2人の声に気づき、宗太が起きる。
「ママ?」
「宗太、おはよう」
振り返った佳織の肩越しにソンジェの姿が見えたのだろう。宗太は大声を上げて走ってきた。
「あ、パパ!」
「おはよう、宗太」
ソンジェは宗太を抱き上げた。
「パパ、遊ぼう!」
「何して遊ぶ?」
「ウルトラマン・ゴッコ」
無邪気な宗太の顔を見ながら、ソンジェは葉子への気持ちを封印するべきだと思い始めていた。






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最終更新日  2005/10/19 01:12:50 AM
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