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しばらくぶりの更新です。今うちの畑では、ズッキーニがたくさん採れてそろそろ終わり間近です。新じゃがと新玉ねぎの収穫も終わりました。これからは、キュウリ 茄子 トマト ピーマン 唐辛子など夏野菜が取れてきます。 画像はクレーム・ヴィシソワーズ・グラッセ。よく冷たいジャガイモのポタージュと言われる夏の定番のスープですね。 料理の起源つまり誰がどこで考え出したか?というのは、けっこう不明なことが多く古典的なフランス料理でもその由来がはっきりしないものも多いんですが、このヴィシソワーズほど由来がはっきりしている料理は無いでしょうね。20世紀のアメリカのリッツ・カールトンホテルの総料理長だったフランス人のルイ・ディアが創ったものです。彼の生まれ故郷はパリ郊外のヴィシー。鉱泉で有名なところで、湯治場的なリゾート地でした。そのヴィシーにちなんで、料理名をヴィシソワーズつまりヴィシー風と名付けたわけです。彼のお母さんが料理上手だったそうで、ポタージュ・ボンファムという田舎風のポロ葱とジャガイモを煮崩したところへ生クリームを加えるスープを作った次の日の夏の朝、そのスープを牛乳でのばして冷たくして出してくれたのを思い出して作ったと言う事です。 一般的に日本ではジャガイモの冷たいスープといわれることが多いですが、本来はポロ葱とジャガイモの冷たいスープというのが正しいんです。弱火でよく炒めたポロ葱の甘味と旨味を楽しむためスープで、ジャガイモは主役というよりむしろつなぎなんですね。 うちの畑の新玉と新じゃががとても美味しいので、私の場合は新玉ねぎと新じゃがで作ります。まずスライスした玉ねぎをバター少しでスエします。少し塩を振って鍋に蓋をして弱い火でゆっくり火を入れます。じっくり時間をかけることで、玉ねぎの甘味を引き出します。ネギが透明になり充分甘みが出たらジャガイモを入れ薄いブイヨンをひたひたに加えて煮込みます。時間は沸騰してから18分くらい。あまり長く煮ても香りが失われるだけですからせいぜい20分くらいでしょう。ミキサーにかけるんですが、あまり滑らかにし過ぎないようにして、ちょっとジャガイモのざらつきを残すくらいが私の好みです。粗めのシノワで漉してよく冷やし、牛乳少しでのばします。隠し味として、イギリスの本場ウスターシャーのリー・ペリンソースを10人前につき一滴たらします。冷やしたスープカップに盛り付け、青ねぎの小口切りを散らし、若草の香りがするアブルッツォ産のオリーヴオイルを少し垂らす。ちなみにリー・ペリンソースは日本製のウスターソースとは違ってアンチョビが入っているので独特の旨味があります。 ルイ・ディア氏の作り方だと生クリームをたっぷり使うのだが、私の場合は牛乳少しだけです。うちの畑の新玉ねぎがいくら甘くておいしいとはいっても、しょせん野菜ですから生クリームたっぷりではせっかくの旨味が楽しめないと思います。牛乳で軽く仕上げることでジャガイモや新玉の旨味が活きると思います。日本の梅雨時の鬱陶しい時期に冷やしてさっぱりしたスープが良いですよね!それを生クリームたっぷりでは日本の風土には合わないと思います。 それから、世界一の地鶏フランスブレス産プーレを味わうコースが引き続き大好評です!鶏はもちろんなんですが、このコースのポタージュ、 自家菜園の新玉ねぎの甘いピュレポタージュ、フォアグラのソテーを浮かべて が特に評判良いですね。玉ねぎがこんなに甘いのか?というくらいの甘さとカリッと焼けたフォアグラのマリアージュが素晴らしく美味しいです。7月も引き続きやりますので、ぜひブレスの鶏を召し上がってみてください。 先週はわが友クリヤマコトと新潟在住のジャズシンガー吉川ナオミさんが来てくれて、そのとなりのテーブルではさかもとこーひーの坂本さんも、、みなさんにブレスのコースを召し上がっていただきました。もちろん大好評!そして、デザートとさかもとこーひーのブレスの鶏のコース専用ブレンドとのマリアージュもばっちりで、これも大好評ですね。
Jun 24, 2013

これだけおいしい地鶏の後のデザートとなると、あまりつまらんデザートは出せませんね!左手前のケーキがマスカルポーネチーズのムース。これは、イタリアのティラミスをフレンチ流の解釈でより上品でまろやかに表現してみました。軽くコニャックを使っているのがみそです。ケーキ1台作るのにマスカルポーネを125グラムと100ccの生クリームを八部立てにして合わせ、卵白1個分のメレンゲで空気を入れます。固めるためのゼラチンは板ゼラチンを5グラム、それを溶かすのに牛乳35ccと砂糖はたったの45グラムですからかなり甘みは軽くなっています。ティラミスはたいてい甘ったるい感じが多いですから、マスカルポーネのクリーミーさを前面に出したかったんです。 奥のパウンドケーキには、赤ワインでコンポートにして木イチゴのヴィネガー少しで風味をつけたフランス産の小粒サクランボ、グリオットが入っています。パウンドの生地はキャトル・カールQuatre quartsといって意味は1/4が4つです。つまり、バター、卵、砂糖、小麦粉が全部同割ということですね。あと、少しベーキングパウダーも入ります。フランスではおばあちゃんに習う最初のケーキ生地といわれていて、非常に基礎的なケーキ生地なんですがこれを本当に美味しく作るのは実は結構難しいんです。プロのケーキ屋さんでもたまにちゃんと出来てないのを見ますからね、、、。この生地は最初に室温に戻して柔らかくした無塩バターに粉糖を混ぜて、そこに卵を入れていくんですが卵とバターは水と油ですから、基本的には混ざりにくいんです。それを砂糖の力を借りて、しっかり乳化した状態で卵とバターを混ぜるのが肝要です。クッキーを焼いたらこちこちになってしまった経験を持っている方がいると思います。あれが最悪に分離した生地の最悪の結果です。パウンドケーキの場合分離した生地でもこちこちにはなりませんが、バターが透明になって下に沈んで、上はぱさぱさした感じなってしまいます。日本の場合、甘さを控えようとキャトル・カールの生地の砂糖を減らす人が多いのですが、砂糖を減らすと生地がまとまりにくくなるししっとり感も少なくなります。私はこの生地に関しては、フランスのレシピでいいと思っています。たしかに少し甘すぎかもしれませんが、ほかのデザートでバランスが取れるので大丈夫なんです。それに美味しいこーひーがありますからね! 赤い氷菓はフランス産木イチゴの濃厚ソルベです。私はシャーベットに全く水分を加えないのでかなりパンチがきいています。酸っぱいのが苦手な人はまれに食べられないこともあるくらいですから、、、。鶏の料理なのでメインのときはブルゴーニュ系のワインを飲んでいただきたいですから、その後味のこともあってブルゴーニュの赤ワイン果実味に通じる木イチゴやサクランボを使ったデザートにしました。 今回のデザートは軽くてまろやかなマスカルポーネチーズのムースとしっかり甘いパウンド生地に甘酸っぱいグリオット入りのケーキと濃厚で酸味がきいた木イチゴのソルベという組み合わせで強弱をつけてあります。もちろんあわせるこーひーは、さかもとこーひーサンク・オ・ピエのブレス鶏のコース専用ブレンドです。 今回もまたいい仕事してます!味わいの濃さやニュアンスが違う3種類のデザートに少しずつ表情を変えながら、心地よくデザートを上げてくれるこーひーです。特に一番コーヒーに合いそうにない木イチゴのソルベともまるで昔からの友人のように平然と語りあいますね。この辺のさかもとさんのブレンド能力にはいつも驚きます。
Jun 8, 2013

フランスブレス産プーレPulet de Bresse A.O.C Eleve en pleine nature aux Cereales de Bresse et au lait ブレス産の穀物と牛乳を与えて育てた完全放牧のブレス産若鶏AOC指定というこれが本当に美味しいです。 ちなみにフランスでは、鶏(ニワトリ)を雌雄や成長段階でいろいろと呼び分けます。まず一番小さいのが。poussinプッサンこれはひよ子という意味ですが、料理用語としては250~300グラムの雛鶏です。次がcoqueletコクレでこれが500~600グラム、韓国料理のサムゲタンにするくらいのサイズ。そして若鶏Pouletプーレ小さいので1キロ、ブレス産は長期飼育なので1.7から2キロくらい。このサイズが鶏としては一番美味しく、あらゆる鶏料理に使われますね。それからちょっと特殊な物で、poulardeプラルドは肥育雌鶏chaponシャポンは肥育した去勢雄鶏それぞれフォアグラの鴨のようにトウモロコシをたくさん食わせて脂を乗せた高級な鶏です。肥育鳥はクリスマスから年明けくらいの期間しか出荷されません。残念ながらまだ私も食べたことはありませんが、ブレスの肥育鶏は相当美味いらしいです!そのほかに普通の雄鶏はcoqコック雌鶏はpouleプールです。それでニワトリ全体のことをvolailleヴォライユといいます。ただヴォライユは家禽類も意味しますので、広義では鶏や七面鳥、ホロホロ鳥やガチョウや鴨またウサギなんかも含みます。まあ、肉屋さんや料理人がヴォライユというときはたいてい鶏のことを言います。 さて、ブレス産プーレのコース、前菜はお好みでお選びいただけるので、2皿目のスープから、、、Puree doux aux oignons nouveaux avec foie gras chaud自家菜園の新玉ねぎの甘いピュレポタージュ、フォアグラのソテーを浮かべて うちの畑の新玉ねぎは驚異的に甘みがあります。玉ねぎを荒く切り、軽く塩をして、バターを少し、蓋をして超弱火で2時間ほど火を通します。玉ねぎ自身の水分だけでグスグスに煮えて透き通るくらいにゆっくり加熱するんです。もちろん色づけてはいけません。鉄板の厚いフランス式ガスレンジ、プラックがないと難しいかもしれません。玉ねぎが煮えたら薄いブイヨンを加えて水で溶いた小麦粉で少しとろみをつけます。あとでミキサーにかけるので、小麦粉が少しくらいダマになっても大丈夫です。ミキサーにかけて塩で味を決め、牛乳少しでのばします。カリッと焼いたフォアグラのソテーを浮かべて、クルトンも少し散らします。荒挽きの黒コショウも少し。甘い新玉ねぎのポタージュと香ばしくとろけるフォアグラが素晴らしいマリアージュ!バケツ一杯ほしいと言った常連さんがいましたよ。 Poulet de Bresse poeree avec son jus世界一の地鶏フランスブレス産プレのポワレ、ジュを添えて 手前がほんのりピンク色に焼けた胸肉、奥が軽く赤みが残る程度に焼いたモモ肉。ブレス鶏のガラで取ったジュ(肉汁)をかけてサルディニア島産極上オリーヴオイルをかけてあります。 ブレスの鶏は、素人や腕の悪い料理人では絶対焼けません。肉焼きを25年余り追求してきた私にとっても最も難しい素材であると言えます。若いころ一度トライして見事弾き飛ばされました。まったく美味しさが表現できなかった。もう50歳になろうという3年前にようやく今の自分の技術ならそろそろブレスの鶏も焼けるだろうとやってみたんですが、やはりその難しさに驚かされました。まあ、さすがにイメージ通りに焼けるんですが、かなり緊張感を持つことは確かですね。 とにかくブレス鶏をさばいておろしているときに、あまりに素晴らしい肉質としっかりした骨格やスジに敬意すら覚えるくらいです。出汁をとって味を見るとそのあまりの美味しさに言葉が無いくらいです。 料理って素材が大事なのは言うまでもないんですが、あまりにレベルが高い素材になると調理技術も最高のものを必要とします。18か月も外で遊んで育ったこのブレスのプーレはもうアスリート並みの筋肉です。ですから、100点満点に近い絶妙な火入れの加減が表現できないと美味しさは伝わらないでしょう。 それから、もうひとつ皮が凄いです!こんな美味しい鶏の皮ってあるのか!?と思いますよ。その皮をパリパリに香ばしく焼くのも技術です。 予約が多くなってきましたので、早めにご連絡いただかないと鶏の調達が間に合いませんので、お早目のご予約をお願いします。 ご予約はホームページからどうぞ。
Jun 7, 2013
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