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2021.04.03
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カテゴリ: 歴史
図書館で『アジア・太平洋戦争と石油』という本を手にしたのです。
石油の禁輸が強化されて、日米関係が緊迫していった史実があるわけで・・・・この本は開戦のメカニズムを知る上で興味深いと思ったのです。





岩間敏著、吉川弘文館、2018年刊

<「BOOK」データベース>より
石油に乏しい日本は、なぜアジア・太平洋戦争に踏み切ったのか。蘭領東インドとの輸入交渉、真珠湾攻撃での洋上給油作戦、石油備蓄と需給の予測、南方からの石油輸送と海上護衛戦の実態、本土空襲と製油工場の被害などを考察。石油のほか艦船・航空機など戦備に関する豊富なデータをもとに、あらゆる資源を動員した総力戦の実態と末路を解明する。

<読む前の大使寸評>
石油の禁輸が強化されて、日米関係が緊迫していった史実があるわけで・・・・この本は開戦のメカニズムを知る上で興味深いと思ったのです。

rakuten アジア・太平洋戦争と石油

油槽船


「第6章 海上護衛という隘路」で日本軍の兵站軽視を、見てみましょう。
p108~112
■南方油田の占領
 12月8日、日本は真珠湾への奇襲を行う。それは第1章で詳しく述べたが、同日、マレー半島への上陸作戦を開始した。それに続いて12月17日、日本軍はボルネオ島北部(英領)のミリ油田と近郊のセリア油田、ルトン製油所を占領した。続いて1942年1月13日、ボルネオ島北東部(蘭領)のタラカン油田を、1月25日には同島南東部のバリクパパン製油所を占領した。

 蘭印最大の油田群の中心であるスマトラ島のパレンバンには、2月14日、陸軍の挺進第二連隊(陸軍落下傘部隊)が降下して占領した。スマトラ島南部の油田地帯の占領は3月4日のジャンビー油田の制覇で終了した。最重要拠点であったパレンバン東製油所は撤退する蘭印軍の計画的爆破によって約8割が破壊されていたが、西製油所はわずかに4基の揮発油槽が焼却されているだけであった。しかし、2月19日から連合国軍の飛行機が飛来するようになり、30基近い残存油槽が被害を受け、最も貴重な100オクタン価の航空揮発油が焼滅した。

 主要設備のトッピング(常圧蒸留)、クラッキング(炭素結合切断反応)装置も被害を受けた。なお、2月23日には旭石油所属の「橘丸」(6539総トン)がボルネオ島北部のセリア原油6000k㍑を積んでルトン港を出港した。開戦後、初の南方石油の還送であった。

 南方石油の還送は1942年度149万k㍑、1943年度265万k㍑と順調に行われ、開戦前に企画院が予測した戦争1年目30万k㍑、戦争2年目200万k㍑よりも多い量が日本へ還送された。しかし、1944年度の還送量は米国海軍の制海権確保により106万k㍑(予測は450万k㍑)に減少した。
(中略)

 日本から南方の石油地帯に1944年9月現在で、徴用会社167社から徴用者6993人、非徴用者5483人、計1万2476人が送られ、その他に軍人2689人が働いていた。油田の修復、精製施設の復旧が行われた結果、開戦1年目の1942年度には原油の生産量は戦争前の水準にほぼ回復した。しかし、日本への石油の還送量は、米国海軍に制海権を取られる前でも生産量の4割以下、戦争期間を通じて3割程度であった。

 パレンバンの製油所周辺の水路には軍用に向かない灯油などが垂れ流されている状態であった。その最大の理由は油槽船の不足であった。

<第6章 1 当初から不足していた油槽船>
■開戦時の油槽船数
 日本の開戦時における油槽船保有量は113隻、約55万総トンであった。これに対して米国が保有する油槽船は1941年7月1日現在で347隻、406万総トンと日本の7倍強であった。第二次世界大戦開戦前の1939年6月30日現在、英国は435隻、ノルウェーは272隻、ドイツは37隻、イタリアは84隻を保有していた。連合国の油槽船の保有量に比較し、枢軸国の保有量は圧倒的に少なかった。

 開戦後の1942年の4月に策定された「第一次船舶建造計画」による日本の油槽船建造量は1942年度5万総トン、1943年度14万総トンに過ぎず、南方油田が復旧し原油生産が本格化すると油槽船が不足するのは明らかであった。このため既存、建造中の貨物船、鉱石船の油槽船への改造が進められた。すでに建造済みの貨物船20隻が選ばれ、海軍工廠、主要民間造船所で簡易改造が1942年末までに行われた。

 1942年11月から第一次改造として貨物船11隻、鉱石船6隻の6万総トンが油槽船に改造された。1943年8月から第二次改造が実施され、1944年末までに148隻が竣工し、主に南方海域で石油集積輸送に投入された。
(中略)

 日本海軍が開戦時に徴用していた油槽船は1隻平均約6900総トンであったが、敗戦時には1隻平均約1400総トンと小型化していた。それは、米国海軍の潜水艦、航空機に制海権、制空権を奪われ航路途上で撃沈された結果であった。

■海上護衛戦略の失敗
 なぜ、このような状況になったのであろうか。それは日本海軍の海上護衛戦略の失敗と米国海軍の補給路遮断戦略の成功の結果であった。日本海軍は戦争概念の把握が「艦隊決戦」と前時代的で、総力戦に伴う長期持久戦、戦争経済維持に必要な海上護衛戦の概念が視野に入っていなかった。日米開戦1年前の1940年12月に決定された「昭和16年度海軍作戦計画」では、「本邦周辺海域の海上交通を確保する。南シナ海、海洋群島方面の海上交通は情況が許す限りこれを確保することに努める」程度の認識しかなかった。

 また、この計画の策定には「対一国作戦」を前提にしており、米英両国を同時に相手にする「対複数国作戦」は考慮されていなかった。
(中略)

 船舶に関しては、「国家総動員法」に基きすべて国家が使用し、一元管理を行うとの方針で、1942年3月25日に「戦時海運管理令」が公布された。この管理令によって同年4月1日、「船舶運営会」が設立され、船舶の管理は船舶運営会、運行は船会社が行うことになった。


『アジア・太平洋戦争と石油』3 :航空機と航空揮発油
『アジア・太平洋戦争と石油』2 :石油をめぐる前哨戦
『アジア・太平洋戦争と石油』1 :日中戦争と日米対立

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Last updated  2021.04.04 07:00:01
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