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2021.04.03
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カテゴリ: 歴史
図書館で『アジア・太平洋戦争と石油』という本を手にしたのです。
石油の禁輸が強化されて、日米関係が緊迫していった史実があるわけで・・・・この本は開戦のメカニズムを知る上で興味深いと思ったのです。





岩間敏著、吉川弘文館、2018年刊

<「BOOK」データベース>より
石油に乏しい日本は、なぜアジア・太平洋戦争に踏み切ったのか。蘭領東インドとの輸入交渉、真珠湾攻撃での洋上給油作戦、石油備蓄と需給の予測、南方からの石油輸送と海上護衛戦の実態、本土空襲と製油工場の被害などを考察。石油のほか艦船・航空機など戦備に関する豊富なデータをもとに、あらゆる資源を動員した総力戦の実態と末路を解明する。

<読む前の大使寸評>
石油の禁輸が強化されて、日米関係が緊迫していった史実があるわけで・・・・この本は開戦のメカニズムを知る上で興味深いと思ったのです。

rakuten アジア・太平洋戦争と石油



終章で総力戦の末路が語られているので、見てみましょう。
p175~
<終章 石油から見る総力戦の末路>
 アジア・太平洋戦争は日本の政治・外交・軍事が行きついた一つの結論であり、日本人の行動、能力、思考、判断そのものの総力戦であった。開戦年、1941年の日米間の物量差は、鉄鋼生産量で米国が日本の11倍、原油生産量は796倍であった。「日本は戦争で米国の物量で敗れた」という戦争専門家が多いが、この差は開戦前から明らかであった。物量の差を敗戦理由とするだけではなく「なぜ、その物量的な大差を考慮せず無謀な戦争を始めたのか」が問われなくてはならない。

 物量差の無考慮は無謀そのものであるが、問題は物量以外の政策、外交、戦略、そして、何よりも情報の分析、理解、利用、判断において、日米間には大きな差があったことである。その差は、「こうすれば勝てた」などという問題ではなかった。

■戦死者の6割は餓死
 1941年12月1日に開催され、「対米英蘭開戦の件」を議題とした第8回御前会議で開戦が決められた。宣戦の詔書に記載された開戦理由は「自存自衛」であった。その結果としての戦争が、日本人の犠牲者310万人を生むことになった。

 その内訳は、軍人軍属など約230万人、外地での一般邦人約30万人、戦災死没者など約50万人である。また、アジア各国民の犠牲者は中国2180万人余、インドネシア100万人、ベトナム200万人、フィリピン111万人他の数値がある。

 日本陸軍の軍人、軍属の戦死者165万人のうち、補給の破綻による栄養失調を起因とする脚気、赤痢などの病死を含め60%は餓死である。この比率は東ニューギニアでは90%、フィリピンでは80%、ビルマでは78%に達したと推測されている。軍隊でこのような大量の餓死者を出した近代国家は他にない。日本の軍隊には、補給を無視した作戦計画など、立案、運営能力に根本的な問題があった。

 なぜ、このような状況になったのであろうか。それは、総力戦の概念が十分に理解されておらず、「補給」が欠如していたためであった。日本が過去経験した日露戦争の期間は1年7ヶ月であり、また、アジア・太平洋戦開始まで4年5ケ月も継続していた日中戦争は、装備も十分でない中国軍を相手にしていたため、動員兵力は多く、国内でも物資の逼迫は生じていたが、本格的な総力戦の段階に達していなかった。

 しかし、日本の実質的国民総生産は戦前、戦中を通じて1939年が最高で、以後、横ばいないしは下降していた。日本は経済が伸びない中で総力戦に入ったのである。

 中国での戦いでは、日本軍は食糧を現地調達に頼っていた。しかし実態は「徴用」という名の略奪であった。国力の貧困な日本は、兵器、弾薬、食糧、衣類、装備の大量生産を行ない、それらを前線に届ける油槽システムを構築することができなかった。これらのことが総合されて日本軍の貧弱な補給となり、略奪の対象がないニューギニアの密林、フィリピンの山中、南方の島々では、多くの兵士が飢餓のため倒れることに繋がった。

■日本の石油の量と質
 本書では、石油の観点から戦争を俯瞰した。石油については量だけでなく質も大きな問題であった。米国は国内産業、大学、研究機関を総動員して高性能航空揮発油の増産法を開発した。戦争後半には、米国の実戦機はほとんどオクタン値100の航空揮発油を使用していた。

 米国は高オクタン航空揮発油を日産約45万バレル(約7万k㍑)生産した。これは年産量で約2600万k㍑となる。この量は日本が戦争期間中に消費した重油を含む全石油量の約2000万k㍑より多い。日本は敗戦までオクタン価100の高性能航空揮発油を工業的にせいぞうすることができなかった。

 実戦で使用されたオクタン価92の航空揮発油も、戦争後半には量を稼ぐためにオクタン価87、アルコール混合へと低下した。当然のことに、その分発動機の能力は低下した。


『アジア・太平洋戦争と石油』4 :日本軍の兵站軽視
『アジア・太平洋戦争と石油』3 :航空機と航空揮発油
『アジア・太平洋戦争と石油』2 :石油をめぐる前哨戦
『アジア・太平洋戦争と石油』1 :日中戦争と日米対立

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Last updated  2021.04.03 08:05:04
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