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「子供時代」(新潮クレストブック)
という絵本というか、童話というかを、偶然、手にして、
「この人、凄いんじゃないか?!」と思った リュドミラ・ウリツカヤ という、 現代ロシア文学 の 女性作家 ですが、 市民図書館 の蔵書を検索して、 彼女 の一番新しい作品らしいと見当をつけて 「緑の天幕」(新潮クレストブック) を予約して借り出してみると、なんと 700ページ をこえる分厚い本で
たじろぎました(笑)。 で、読み始めたのですが、
これが、ボク好みというか、凄かった!ですよ。
書き出しの 最初のページ です。 1953年3月のある朝の出来事です。 そういうと、すぐに ピン! とくる人には、この作品はチョーおススメです。タマーラは水っぽいスクランブルエッグの皿を前にして、まだ夢見心地のままそれを口に運んでいた。母ライサ・イリイニシナは、目の粗い櫛を彼女の髪に差し、この生きたビロードを傷めないように、この上なく優しい手つきで梳っていた。ラジオから流れる音楽は荘厳だがそれほど大音量ではなかった。仕切りの向こうでは祖母が眠っていた。ふと音楽が止んだ。長すぎる間が、何か意味ありげにしばらく続いた。それから誰もが知っているアナウンサーのおなじみの声が聞こえてきた。「みなさんこんにちは、こちらはモスクワ放送局です。ソヴィエト連邦の全ラジオ局共通放送により、政府の発表をお伝えします・・・・・。」タマーラの髪をとかしていた櫛が止まった。タマーラもはっとして、スクランブルエッグを飲みこんでしまうと、寝起きのかすれ声で言った。「ねぇママ、たぶんちょっとした風邪でも引いただけなのに、すぐそれを国中に・・・・・」彼女は最後まで言い終えることができなかった。というのも、不意にライサが力いっぱい櫛を引っ張ったので、タマーラの頭は後ろにぐいっとのけぞって、歯と歯がかちんと音を立てたほどだったからだ。「静かに!」ライサは声を押し殺して言った。
詩人ブロツキー というのは、 1987年 に ノーベル文学賞 を受賞した ロシアのユダヤ人詩人 、 ヨシフ・ブロツキー のことです。 ブレジネフ 政権下で投獄、流刑され、作品は西側での地下出版で知られた人です。ついでに、最初の引用でニュースになっている人物は ヨシフ・スターリン ですね。 レーニン 亡き後のソビエトの政治家で、20世紀の世界史上、まあ、ボクの偏見かもですが、 ヒットラー とどっこいの 悪人 です。1996年1月28日の夜中の1時過ぎだった。その夜、詩人ブロツキーはこの世を去ったのだった。
「普通の人々」の物語でした。
この作品は傑作だ!
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