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「動物」のモチーフ が出てくるということで、
「動物」 でいくことにする。
「内容がやや前衛的にすぎるきらいはあった」 と説明されている。この 「前衛性」 こそがこのシリーズ(類似本含む)の特徴と言っていい。
「デタラメ」 のことである。むろん、ただの 「デタラメ」 がおもしろいはずもない。 「知的」 に 「体系的」 に、そして ブラック に、さらに アイロニカル に
「デタラメ」 だからおもしろい。要は、 「フィクション」 として読めばいいということだ。
「前衛的」 であることが前提になってい本であるわけだし。
「架空」 と考えられている動物も取り上げられている。むろんここでは 「架空」 であろうはずもない(ただ 「エジプトの古い墓所に生息し死者もしくはそのたましいを常食としている」 「アメンシット」 については、 「実在」 を前提としながら、いくぶんそうでない可能性も残した表記になっている)。
「ここには明らかにイメージの混乱がある。 ユニコーン の角は回春剤として特に修道院などでひそかに珍重されたそうであるから、もしかしたらこれは、人々からその実像をおおい隠すための 『目くらまし』 としての情報だったかもしれない。ありそうなことである。しかも彼らは、 ユニコーン を動物学者たちの目に晒し、それに科学のメスをふるわすのを避けようとするあまり、つい近年まで、それらが実在の動物ではなく、伝説上の動物に過ぎない、とすら主張してきたのである。文献的には、紀元前数千年の昔からその存在が知られていながら、その実在が確かめられたのが、今世紀に入って1千九百三十七年だったという事実からも、彼等の陰謀のあくどさが知れようとというものである。」 と述べる。
「さすがに今日ではどんな素人でも、ぬえが 『伝説上の動物である』 とか、 『架空の動物である』 などの暴論を吐くことこそなくなったが、それでもまだ一部の地方には、ぬえが『動物ではなく植物である』ということを固く信じているところがある」 とする。
「我々の知っているぬえにおける最も特徴的なことは、彼がその体に或る穴を持っている、ということである」 と言う。
「もしかしたらぬえはそ穴によって、虚無を呼吸しているのではないか」 という説があり、
「微生物をはじめとするあらゆる生物が、その生命維持の過程で、『虚無』を呼吸する器官を養いつつあるというのが、生物学者たちの新しい主張なのである。つまり『虚無』がその生命現象を鼓舞するという作用を、重要視しはじめたのであり、ぬえにそのモデルを見ようというわけである。」 さらに
「もしかしたらその穴こそが、 ぬえ そのものではないか」「つまり。我々の言っている ぬえ は、単にぬえを取り巻いているものに過ぎないのであり、本来の ぬえ は、我々の言っているぬえによって、取りまかれているもののことでないか」 という考え方に言及する。そして、
「取り囲む実体がなくとも、穴が穴であることには変わりない」(この部分に関しては個人的には納得しかねるけれど) という考え方が多方面の支持を得つつあるとし、この考え方によれば
「つまり ぬえ というのは、それを取り囲む実体のない穴そのものなのである。それを取り囲む実体はないのであるから、それをそれとして確かめることは出来ないが、しかし、やっぱり ぬえ は ぬえ なのである」 という、結局、現状の我々の認識、つまり、 ぬえ の 「非存在」 に近い結論になっているのは
「なんじゃらほい」 とは思いつつ、しかしおもしろいのは否定できない。いや、おもしろい。
あほらしくて笑える。
「どことなく大衆に媚びているようなところがある」 ということもあり、著者は「俗説」とする、
「それなりの必然性と、どうしようもなくそうせざるを得ないような。突きつめた純粋性」 があり、それは 「トロント大学のジョン・スミス博士」 が、どのように飼猫 「ジュスティーヌ」 を「化ける」に至らしめたに表れている。
「今の今までそうであったような全身の怒りと憎しみを奇跡のようにふるい落として、むしろ悄然と、やや淋しげにそこにたたずんでいた。」 そして 博士 の 「あなたは、どなたですか」 という問いに 「アンナ・スミス夫人です」 と 夫人 に化けた ジュスティーヌ は答えるのだった。そのとき、
「灰色のフレヤースカートの間から、まるで小さな罪悪にように出た尻尾が、そのまま固定機につながっていた。」 ほかにも 「にわとり」 の項の
「果たして人類に、にわとりの卵を食べる権利があるのか」 や 「虎」 の項の
「『人食い虎』はなぜ人を喰うのか」 等、相当におもしろいが、これ以上記事を長くしても仕方ない。
「デタラメ」 ではあるのだが、冒頭の 「いるか」 の最初の部分に登場する、SF作家 ラリイ・ニーブン の 「既知空域(ノウンスペース)年表」 は、作家の名前も、「既知空間」という言葉も、「事実」ではある(私は作家の著作は未読だが)。さらに 「いるか」 というネーミングについては 「古事記」 の 「因幡の白兎」 の箇所を借用している。
追記2024・02・16
100days100bookcoversChallenge
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