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「ああ、これは見よう!」 そう思っていたドキュメンタリーですが、 元町映画館 、朝一番、 10時30分 のプログラムです。
ああ、朝から暑い、何とかして‼ とか何とかぶつぶついいながら、なんとかたどり着いた 元町映画館 でした。
正解でした(笑)!! 映画製作者、まあ、 アイリーン・ルスティック 監督ですが、 彼女 のスタンスというか、世界に対する向き合い方に、少なからぬ共感を感じた作品でした。
「人類の進歩と調和」 という 1970年 の 大阪万博のスローガン の底なし沼のような無根拠を照らし出したこの言葉を、何となくな、言い訳のための流行言葉にして
私に責任はありません! とばかりに開きなおっている 電力会社 や 経済優先主義者 の姿に
「アホか!?滅ぶぞ!」 と嘯くばかりの老人です。
リッチランド 要するに、あの 「マンハッタン計画」 の原材料を生産していた軍事都市でした。で、今では、町周辺の核物質汚染の浄化が問題になっているようです。
ワシントン州ベントン郡の都市、人口は約6万人。先住民族が古くから住んでいた土地に1900年代に移住者が入ってくるようになってできた田舎町です。
「リッチランド」 という地名は、当時の州議会議員ネルソン·リッチの名が由来だそうですが、1943年に核燃料生産拠点 「ハンフォード·サイト」 が設立され、あの マンハッタン計画 に従事する労働者や家族が住む町として発展し、数百人だった住民は約25,000人に増加し、第二次世界大戦終結後も、冷戦による核燃料生産の需要増によってさらに発展したようです。
町の成立当初は、政府により住民との接触は制限され、陸軍が管轄した軍事都市で、取材とかも軍の承認を必要とし、土地や建物、インフラまでも政府が所有、管理していたそうですが、1957年に政府は土地と建物の権利を住民へと移譲し、外部のメディアと住民との接触の制限が解除さたそうです。
1987年、最後の生産用原子炉が閉鎖され、環境浄化技術の開発の町になり、現在もリッチランド住民の多くは、 ハンフォード·サイトの浄化 に関する仕事に従事しているそうです。
ボクが一番驚いた! のはこれでした。

絶句! でしたね。
アイリーン・ルスティック 監督が目指しているのは、二項対立によって思考停止、あるいは、考えるということが抑圧されている反知性主義の蔓延する社会に対する、
イギリス生まれ、ボストン育ちのアメリカ人1世で女性です。両親はチャウシェスク政権下のルーマニアを政治亡命者として逃れてきた人。『リッチランド』以前にも、ご両親の人生を追った作品など、3作の長編を制作なさっているようです。現在は、カリフォルニア大学サンタクルーズ校で、映画およびデジタルメディア学教授として映画制作を教えいらっしゃるそうです。
「ちょっと待って!」 ですね。
ちなみに、最初の チラシ
の奇妙な写真が、その 「ファットマン」
です。 広島
出身の 被爆三世
の アーティスト川野ゆきよさん
の 「(折りたたむ)ファットマン」
というインスタレーション作品だそうです。映画の最後に映し出されますが、彼女の祖母の着物をほどいた布を、自らの髪で縫い上げ、 長崎に落とされた「ファットマン」
の造形を実物大の大きさで形作った、ちょっと凧のような作品でした。
まあ、これを見て、もう一度「核」について考えることを始めまてみませんか? 映画は、静かにそう呼び掛けているようにボクは感じました。 拍手!
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