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「あっ?!?」 と思いました。 「遺言未満、」 という書名の横に、夕日の逆光で影でしかない著者、 椎名誠 の写真です。
ガハハハの椎名誠が「影」になって写っている! のです。
テーマは「死」です。 葬式 とか 遺書 とかの話ばかりです。
一人の人間がどのくらいの蚊に刺されたらどうなるか。具体的に調べた研究者グループのことが紹介されている。場所は北極圏。おびただしい蚊の雲に1分間とりまかれたあと急いで屋内に戻って被害を調べたら、一人につき約9000回刺されていた。やっぱり、 椎名誠 でしたね。。健在ですね。でも、やっぱり、そうはいっても 80歳 で、あのころから50年たっているのですね。
一人の人間の体には5リットルほどの血液が流れている。蚊が一回に吸う血液の量は5マイクロリットル(100万分の5リットル)だからものの数に入らないようなものだが9000回となると話が違ってくる。
同書は続いて恐ろしい推算をしている。
― 我慢強く、15分間そこに立ち続けていると、その人は血液の15パーセントを失い、30分たつと血液の30パーセントを失ってしまう。40分たつと2リットル。45分たつと刺され死にするというのだ。(P131)」(遺言状と死にそうになった話-無数の蚊に刺されつづけたら)
「あの頃は面白いことをけっこうたくさんやったよなあ」 文庫版のあとがき として書かれた 北上次郎 、またの名を 目黒孝二 との別れのシーンの一節です。ちょっと笑えません。でも、まあ、このまじめさも 椎名誠 なわけです。
「そうだったなあ」
話は二分くらいしかできなかった。
「いろいろ楽しかったよなあ」
「そうだったなあ」
そうしてしばらく互いに黙った。彼は最初すこし笑ったような気配があったがとても疲れてきているのがわかった。
いくらか沈黙があった。
やがてどちらからともなく言った。「じゃあな」「じゃあな」あっけなかったけれどおれたちの「さらば友よ」の挨拶はそれだけだった。(P269「さらば友よ」文庫版のためのあとがき)
【目次】 結局、振り返ってのは、ボク自身の 「老い」 でしたね。遺言とか、遺書とか、考えたことのないテーマを、何となく刻み込まれた感じです。まあ、 読む というのは、そういうことなわけで、しようがないですね。
「死」を知る生物
念願のお骨佛をおがみに
家のいのち
遺骸と地獄好き
四万十川での死
孤立死はいやだ
身のまわりの「死」のことなど
多死社会を迎えうつ葬祭業界
遺言状と死にそうになった話
葬列の記憶
鳥葬へのあこがれ
東京のイスラム教モスクに行く
墓のない国
ハイテク納骨堂の周辺
骨を喰らう。骨を撒く
遺言未満
八丈島の海へ~あとがきにかえて
追記
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