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お勤め先の学校の図書館の貸出禁止処置から解放されて、久しぶりに借りた本が 岸田奈美
という方の 「国道沿いで、だいじょうぶ100回」(小学館)
というエッセイ集で、感想をブログに書き終えて、返す時に予約したのが、同じ 岸田奈美
という著者で 「家族だから愛したんじゃなくて愛したのが家族だった」(小学館)
でした。
気がつけば、作家になっていた。 本書 の まえがき の一節ですが、読んでいて笑いました。先に読んだ 「国道沿いで、だいじょうぶ100回」(小学館) で 大丈夫 を叫んだのは、 弟の良太くん を、危機一髪で助けた お母さん でしたが、この デビュー作 で 大丈夫 を繰り返したのは、 奈美さん が中学生の時に亡くなった お父さん でした。
いや、本当に作家なのかしら。代表作といえるものはないし、小説や詩を書いたこともない。下手の横好きが肥大化して、下手の縦横無尽好きのようになっただけだ。身のまわりに起こった愛しいことを言葉にして、花咲じいさんのように四方八方まき散らしたら、たくさんの人に読んでもらえた。ただそれだけだ。
中略
わたしは、父が大好きだった。
それなのに、反抗期だった中学2年生のわたしはいってしまった。ささいないい争いがきっかけで。「パパなんか死んでしまえ」って。目も合わさなかった。
その夜、父は急性心筋梗塞で病院に運ばれた。2週間、父は目を開けないまま、息を引きとった。
いちばん大好きな父との、最期の会話が、いちばん伝えたくなかった言葉になった。わたしはずっと後悔していた。どれだけ泣いても謝っても、父はもなにもいわない。
「パパはね、救急車に乗るとき、何回もいってた。 『奈美ちゃんは大丈夫や』 『奈美ちゃんはオレに似とる』 『だから絶対に大丈夫や』 って。たぶん、もう自分が助からんってわかってたんやろうね」
母はいった。わたしは、父が残した大丈夫の意味を、ずっと探し続けている。(P5~P7)
だいじょうぶ? だいじょうぶ! という、 問い と 答え の世界が描かれていて、
彼女を愛し、彼女が愛している家族 の姿 が活写されていてどんどん読めてしまいます。読んでいる、こちらも、いつの間にか
「ええー?だいじょうぶ?」「よかったね、だいじょうぶやったやん(笑)」 まあ、そんな言葉をつぶやきながら、次々ページを繰り続けて、ふと、時計を見ると、
あれ、まあ、もう、午前3時やん! の読了でした。 70歳 の 老人読書 、目もかすむのに、ちょっと、大丈夫ちゃいますね(笑)。
追記
ところで、このブログをご覧いただいた皆様で 楽天ID
をお持ちの方は、まあ、なくても大丈夫かもですが、ページの一番下の、多分、楽天のイイネボタンを押してみてくださいね。ポイントがたまるんだそうです(笑)
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