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2020年02月23日
上院議長選出(二月廿日)
下院には、数人の副議長がいて議席を持つ政党が役職を分け合っているのだが、今回は第一副議長が担当になっていた。それが、第一副議長の職務なのか、議長不在の代理だったのかはわからない。問題はその第一副議長が共産党の党首だったことで、人権を抑圧してきたチェコスロバキア共産党の成れの果てに、人権を守るのが職務のオンブズマンが職務を全うすることを宣誓するの言うのはなかなかに皮肉である。
しかし皮肉はこれだけでは終わらなかった。共産党所属の副議長が、宣誓式が行なわれる前に心臓発作で倒れて病院に運ばれてしまうのである。その結果、内裏が必要となり、代理を務めたのが副議長の一人、SPDの党首オカムラ氏だった。これは偶然の産物なのだろうけど、ゼマン大統領に推薦されて、極右と極左の手によって任命されたオンブズマン。この組み合わせに、思わずチェコ語で「kombinace jako prase」と言ってしまった。
実際には、他の政党に所属する副議長が担当していたとしても、オンブズマンの仕事が変わるわkではないし大差ないのだけど、こういう役職にはイメージというのが大切だと考えると、オンブズマンの将来を暗示しているような気もしてくる。上院以上に目立たない役所ではあるけれども、重要な役所なんだけどね。
さて、この日はもう一つ重要な役職が決まった。先月急死した上院議長のヤロスラフ・クベラ氏の公認を決める選挙が上院で行われたのだ。候補者として名を挙げたのは、二人。クベラ氏が所属していた市民民主党の候補と、上院の最大会派である市長連合とTOP09が立てた候補者である。こういう議会の役職が、個々の議員の選択ではなく、党利党略、もしくは政党間の事前の談合によって決まるというのはチェコも日本も変わりない。だから、クベラ氏のような特別な個性を持つ人でない限り、誰が議長になったかはあまり意味を持たない。重要なのはどの党から議長が出るかである。
政党間の談合では、上院の第一党から議長を選出することになっているようだ。これに関しては異論をはさむ政党はなかった。問題は、どの時点の第一党かというところにある。前回の上院の選挙が行われ、クベラ氏が選ばれた時点では、市民民主党が第一党だった。その後バーツラフ・クラウス若など3人の議員が党を除名された結果、市長連合とTOP09の統一会派が第一党になったのである。
上院の議席は、2年に1回、3分の1づつ改選さる。そのたびに新しい議長を選出するので、上院議長の任期は2年である。つまりクベラ氏の後任は、今年の秋の上院議員の選挙まで半年ちょっとの任期しかないわけだ。それで、今回の選挙に際しては、議長は改選時に第一党だった市民民主党の権利として認めるべきだという政党が多く、市民民主党の候補者が下馬評通り選出された。
負けた市民連合の候補者は、負けたことは予想通りだったけれども、これほど大きな差がつくとは思わなかったと語っていたが、市民民主党の候補者の半分以下の票しか獲得できていなかったから当然の感想である。市民民主党が支持を集めたというよりも、市民連合とTOP09に対する反発もあったのだろう。例のオンブズマン選出にかんしてデモを行うと主張している団体と一番近いと思われているのがTOP09なのである。市民民主党の政治家でさえやりすぎだという感想を漏らしたデモ団体に対する政治家の反発が、TOP09への反対につながったと考えるのである。
新しい議長は動詞の過去形を名字とする人で、クベラ氏が台湾訪問を計画したことに関して、中国からチェコ政府に脅迫文書が届いたことを受けて、台湾訪問については慎重に検討するとか言っていたかな。中国政府がチェコに対して、いわゆる「一つの中国」に反することはしないように脅迫するということは、日本など他の国に対してもやっているはずである。脅迫文書には「上院議長の台湾訪問が実現したら、中国で活動しているチェコ人、チェコ企業にどんなことが起こっても責任は持てない」なんてことが書かれていたらしい。こんなの外交的にありなのか?
平気でこんな内政干渉をしてくる国に対しては、あれこれ配慮する必要はなく、とっとと断交するのが一番だと思うのだけど、世界には金のことしか考えない政治家が多くて……。トランプ大統領を支持する理由があるとすれば、それは中国に対して強硬な政策を取り続けているところである。今の中華帝国の再現を目指す共産中国を野放しにしては、世界が悲劇に巻き込まれると思うのだけどなあ。
2020年2月20日24時。