Que sera, sera

April 23, 2023
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カテゴリ: 母のこと
今、人生でも数少ないであろう苦境に陥っております・・・。

子育ての次は親の介護、とはよく言ったものですが、私の場合、介護ではなく、高齢になっても働き続けている母の仕事の尻拭いです。

母は80歳を超えるというのに自分に「もしものことがあったら」というリスク管理をする気がまるでない人。ずっと、何かあったらどうなるんだ?と心配していたのですが、とうとうその心配が現実になってしまいました。病気で長期療養が必要となりました。

そして母が仕事できない間の尻拭いを私がひっかぶることになったのですが、まだまだ仕事を続ける気でいるのです。仕事を増やし、それを入院先で暇に飽かして私にラインで指示を送り、私は自分の仕事だけで手一杯な中、指示に従いながら母の仕事を3月、4月と継続しました。正直、私は自分の仕事を収入換算で10万円以上棒に振って、母の仕事の尻拭いをしました。しかしそれは、「母のため」ではなく、あくまでもきちんとした後処理をするための時間稼ぎのつもりでした。「母の仕事に関わっている人たちのため」でした。

しかし。昨日、私はやっと理解したのでした。母は、私に仕事を押しつけておきながら、「まだまだ自分は仕事を続けられる」と甘く考えているということに。治癒が簡単な病気ではないのに、簡単に治る、と高をくくっていることに。

楽観的、というのは良いことなのですが、リスク管理なしの楽観主義はただの無責任です。仕事を継続する上では周りの人たちを振り回すことになってしまいます。

実際、私は母の仕事の後を継ぐ気は全くないので、このまま母の仕事の尻拭いで自分の仕事を断り続けたら私の仕事がなくなります。母の病気が治癒して元気に仕事に復帰できたとして、その先、私はどうやって自分ちの家計を支えればいいのか?母は、そんなことは全く考えていないようです。

昨日、母の仕事関係者との話し合いがありました。私は、それまでも遠回しで伝えてきた「母の仕事のリスク管理」についてはっきりと仕事関係者の方々にも話をしました。母が復帰するまで、現在の仕事の規模を縮小して簡略化した形で私が継続する、という案でした。1週間ほど前に母にも話をしていて、母から「そうね、それも考えないとね」と返事をもらっていました。しかし、この話し合いで私がこの話を持ち出したら、母は寝耳に水のような表情をして、母はそんなことは今判断できないと言い続けました・・・え、忘れたの、前にやりとりしたこと??結局、私が話をしたことは母の中では全部スルーされていたようです。関係者の方々に「こんなに親孝行な娘さんいませんよ」と言われたことに対して、「私は子孝行してきたつもりだったのに」とか訳の分からないことを言い出す始末。私は、「お母さまから受けたご恩は自分の子に返す」と思ってやってきたのですが、母は見返りを求めて子育てしたようです。

さて、結局、もはや選択の余地なく仕事の規模を縮小、簡略化した形で継続、ということになり、それを周知するための文書を母が作成しました。そしてそれを見て私は激怒しました。「私は娘とラインでやりとりをしながらうまく仕事を継続してきたつもりでしたが、娘が超多忙だというので、仕事を縮小します」と書いてありました。え?ちょっと待って、仕事の縮小は私のせいじゃないでしょ、あなたの病気のせいでしょ!  母は心の中で、「自分はうまく簡単にできると思っているのに、娘がそれに因縁付けて邪魔をした」と思っているフシが透けて見えました。

高齢者に「病識」を持ってもらうというのはなかなか難しいです。特にこれまで大きな病気をしたことがない健康人だった母は「病気は治る」と思っています。治るのだからそれまで「ちょっと」仕事を続けてくれててもいいでしょ、簡単なのだから・・・母はそう考えています。でも、高齢になるほど病気は簡単には治らないことが多く、そして治らないかもしれない。もちろん家族としては母にそんな風には考えてほしくはないのですが、仕事は別の話です。趣味道楽ではない社会的責任がつきまとうことなのだから、長期療養が必要な場合、リスク管理をしっかり考えるのも事業主の勤めです。でも、そんな考え、母の頭の中にはみじんもありません。自分のアイデンティティとしての仕事を維持するために皆が協力するのは当たり前・・・もはや私は、娘を不幸にしてでも仕事にしがみつこうとする母の醜態が悲しくなりました。


結局、私がしばらくの間仕事を継続することになりました。規模縮小とはいえ、私の仕事、勉強、健康はかなり犠牲になるでしょう。でも、母にはそれが「当たり前の親孝行」のようです。私は昔から母の自己実現のための「道具」だったのです。



さて、身内の醜態をここでさらすのには理由があります。

日本は世界唯一の超高齢社会となりました。数年後には65歳以上の高齢者が日本の人口の30%超を占め、4人に1人が75歳以上となります。そして政府は70歳まで現役で働く社会を目指しています。中には80歳を過ぎても元気に現役として働き続ける高齢の方々も増えてくるでしょう。そのとき、母のケースのように、仕事の後始末を付けられない高齢者に周囲が巻き込まれて大混乱するのではないかと危惧しています。高齢ドライバーがなかなか免許を返上しないということが社会問題になったように、これからは働く高齢者の引き際をどうしたらよいのかが問題になるのではないでしょうか。

母の仕事への執着はとても強く、引き際の話をすることは並大抵のことではありません。実はいまだにできていません。もしもの時のことを考えて、と言えば、「私のことを殺す気か!」と言われかねず、引退を勧めれば先々の生きる支えを奪う可能性もあります。母のように本人が楽観的に何も考えていないと、本当に手の打ちようがないのです。

この素晴らしい反面教師から私が学べることは、せめて私たち世代は、自分の引き際は早めに考えておこう、ということだけかもしれません。そして、高齢者が安心して働きたいだけ働ける社会の仕組みも、社会全体として考えなければいけないのかもしれない、と思うのです。

・・・簡単ではないですけどね。


#超高齢社会 #引き際





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Last updated  April 23, 2023 04:09:27 PM
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英玲 @ Re[1]:私のレゾンデートル~美しい音を聴くために(03/27) 音楽って素晴らしい🎵さんへ コメントあ…
音楽って素晴らしい🎵@ Re:日フィル横浜定期演奏会with神尾真由子(みなとみらいホール)(04/01) 演奏会、堪能されたようでよかったです。 …
音楽って素晴らしい🎵@ Re:私のレゾンデートル~美しい音を聴くために(03/27) 息子がご子息、ご子女と同窓で、同じ市内…
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