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昔、冷蔵庫も缶詰もなかったころはトマトは干物にしてオイル漬けにして保存したわけですね。その保存用のドライトマトは、もうカチカチに干してあとで水で戻して使うわけなんですが、やはりカチカチですから食感は良くないです。出汁というか旨味は出るんですけどね。魚を水で煮て作るアクアパッツァという料理には欠かせない材料となります。 私が作るセミドライトマトは、そのまま食べて美味しいイメージなのでセミドライにします。半分に切ったトマトを切り口を上に天板に並べ、120℃くらいのオーブンで3時間くらい水分を抜きます。 この夏のトマト、前半はやたらに皮が硬かったので、湯剥きにして塩とシェリーヴィネガーでマリネしたものを作っていたのですが、2週間ほど前からトマトの皮がだいぶ柔らかくなってきたので、例年通りセミドライトマトを作りました。 120度で水分抜きしたトマトをニンニクの微塵切り少しとハーブ(マジョラム、バジル、オレガノ、タイム)とシェリーヴィネガー、バルサミコとオリーヴオイルと塩でマリネします。冷凍保存がきくので、これからトマトが取れたら、どんどん作って保存しておきます。 いろんなものに使えるので便利なんです。温製冷製のパスタ(これはほとんど賄い用)魚や肉料理のソース代わりや、なんと言っても生ハムの付け合わせ!生ハム、セミドライトマト、シェリー酒の組み合わせはもう最高です! スズキのポワレ、ドライトマト風味。スズキは皮をカリッと身はしっとりにポワレして、ゲランドのフルール・ド・セルをパラリと振りかけ、サルディニア島産の極上オリーヴオイルをかけ、温めたセミドライトマトをソース代わりに添えます。イタリアの辛口白ワインやプロヴァンスの白やロゼなんかが合いそうです。
Aug 30, 2012

ラカンの鳩のロースト。セニャン(生焼け)で火を止め、休ませることで、しっとりとしたア・ポワン(ちょうど良い火入れ)にもってゆく。 フランス産ホロホロ鳥のポワレ。白身の鶏の胸肉は、皮はパリパリで身がしっとりに仕上げる。これも余熱のなせる技。鶏と魚のポワレは、火を通すイメージがかなり近い。 ヴァンデ産雌鴨のフィレ肉のポワレ、オリーヴ風味。今、8月9月のコースでやっている鴨。鴨も鳩と同じく、セニャンで火からはずし、休ませてア・ポワンに、、、。 皮はパリパリ、身はしっとりの尾長鯛のポワレ。魚の場合、皮側から半分以上火を通すイメージ。皮をパリパリにするため、澄ましバターとサラダオイルをやや多めに使う。火は強め。皮が焼けて、身に少し火が入ったら、脂を捨て、クッキングペーパーで鍋の余分な油をふき取る。魚をひっくり返したら火を止め、あとは余熱で仕上げる。 エゾ鹿の背肉のローストとフォアグラのソテー、マデラソース、トリュフのピュレ添え。脂肪が全くない鹿の赤身は、びっくりするほど弱い火でゆっくりと火を通す。よく料理の常識として、「強火で焼きつけて、壁を作り、旨味を中に閉じ込める」などと、いまだにまことしやかに言う人がいるが、全く非科学的妄言としか言いようがない。本当は反対なんです。 肉は強い熱に合うと縮みますね。表面を強火で焼きつけると、表面積が縮まります。でも強火ですから、肉の中は冷たいまま、、、。という事は、表面だけ縮むので中に対する圧力が高まります。結果的に肉汁が出てきてしまうわけです。強く焼けば焼くほどそうなります。水を含んだスポンジの表面積が縮まるとします、つまり絞るようなもんです。当然水が出てしまうでしょ? ですから、縮まないように弱い火でゆっくりと中まで温める感覚でローストします。鋳物の鍋に澄ましバターを入れて、プラックのだいぶ端のほうに置きます。温度が低いところです。肉を置いてもジュージューバチバチいわなくて、耳を澄ますと微かにチリチリというくらいの火加減です。何回も向きを変えながら、少しずつ中心まで熱が伝わるようにゆっくり焼きます。感覚的には温泉卵ですね。あれは68℃くらいのお湯で作りますが、火が通っているのに固まっていないでしょ?肉をあんな風に焼き上げたいわけです。 肉に火が通ったら、最後に煙が立つくらいに熱した鍋で表面を焼きつけます。これはメイラード反応(俗に言う焼きおにぎり効果)で、肉の香ばしさを出したいからです。だから、強火は最後だけです。 エゾ鹿のうちもも肉と対馬の猪のフィレ肉のロースト、グランブヌール・ソース。鹿のモモ肉もイノシシのフィレ肉も赤身肉ですから、弱火でゆっくりです。オーブンは使いません。常に目の前に置いて焼きます。オーブンは、全方向か熱が来るので、肉が縮みやすいんです。鍋だけで焼くと、鍋肌に触れていない側は常に休ませることができるので、肉にストレスがかからないのが良いんです。 ちょっと前のブログで、さかもとこーひーの坂本さんが、うちのことを書いてくれました。 プロのつぶやき650回目と味覚の怖さ 味覚の怖さは私もいつも感じていて、自分が美味いと思ったらお客様が皆美味いと思うとは基本的に考えていません。自分の楽しみと商売とは別物だからです。だから美味しいものを作ろうというよりも、精度の高い正しい仕事をすることを一番心がけてます。科学的に見ても理にかなったことをやっているつもりです。で、究極的に言ってしまえば、正確に塩を振って、正確に焼き上げること。これが私の料理の一番のテーマです。 ここでちょっと坂本さんのブログを引用させてもらいます。 そうそう、都内に行った時に、仲間との食事で、ワインを中心にしたお店に行ったんです。まぁ、気軽な店ですが。で、フォアグラとか鹿肉を頂いたのですが...まぁ、あれが普通なのかもしれませんが...サンク・オ・ピエのフォアグラや鹿肉が基準になっていますので...その雑な火の通し方にビックリしました。両方ともに、見ただけで雑な火加減が分かってしまうんです。食べたらもっと分かります。調理している人は満足しているんでしょうか。それ以上のイメージが無いのでしょうか。高いとか安いとかの問題とは別に、目の前の素材をどう美味しくするかって...イメージと技術の問題ですからね。頂きながら...スペシャルティコーヒーのことを考えてしまいました。 と、書いてありました。料理をしてお金をいただくものが、雑な火の通しとは、、、とほほですが、、まあ、でもそういうのが多いのは事実ですね。自分の中に正しく焼けた肉とはどういうものか?という事をつきつめたイメージが無ければ、何年やっても進歩はないでしょうね。長く携わっていれば、ベテランだと思いこんでいる人が結構多いですからね。 いまだに「肉の表面を強火で焼きつけて、、」なんて言っているくらいですから、業界自体のレベルがそんなものなのかもしれません。こーひー業界でも、素材を手に入れるだけで満足してしまって、せっかくの豆のポテンシャルを不細工な焙煎やブレンドでかえって台無しにしているというのがあるようですが、常に自分の仕事に疑問を持って、客観的にまた科学的にやっていないとだめですね。 そんな姿勢が、私と坂本さんの大きな共通点だと思います。坂本さんの焙煎の話を聞くと理路整然で筋が通っているのでとてもよく分かりますし、坂本さんは私の料理の理屈の一番の理解者の一人であると思います。だから、少しメニューの説明をしただけで、坂本さんはそれに合わせたブレンドを作ってくれるんです。まあ、いわゆるツーカーというわけですね!(笑) それに坂本さんとよく話すのは、こーひー屋はこーひー、料理人は料理だけやってちゃ駄目!という事。専門バカになってしまうと結局独りよがりの偏狭な世界にこもってしまうんです。味というのは、とてもとらえどこらが無くあいまいなものです。こーひーを作るのにこーひーだけ勉強しても限界があります。色々な料理やデザートや様々なワイン、それに非食品、金属の味や土や樹や海や川の香りなどあらゆる香りや味に敏感でないと、味の判断や記憶はできません。もっといえば、本を読んだり映画を見たり音楽をきいたりすることも、知性感性を磨くという点で欠かせないと思います。良いものを見たり聞いたり感じたりしないと、本当に良い物を見極める力がつかないと思います。 坂本さんは、豆を焼く。私は肉や魚を焼く。仕事はシンプルなんですが、やって見ると結構奥が深いです。
Aug 28, 2012

これは自家菜園のブルーベリーで作ったシャーベット。水を一滴も入れてません。ブルーベリーは、取ってきたら冷凍してしまいます。半解凍でグラニュー糖といっしょにミキサーにかけ、種を取るためにシノワで漉します。それをアイスクリーマーにかけて作ります。 去年も今年もブルーベリーがよく採れました。ちょっと気まぐれで一回くらいシャーベットにしますが、ほとんどはコンポートにして秋冬のジビエのソース用に取っておきます。シカや猪のローストに添えるグランブヌール・ソースにするんです。 ブルーベリーはかなり色が濃いんですが、味わいはさほど濃いわけではありません。同じような色ならカシスや木苺(フランボワーズ)のほうが味はずっと濃いです。特にカシス(黒スグリ)は、身震いするくらいの酸味があったりしますが、ブルーベリーは穏やかな味ですね。
Aug 27, 2012

13日から16日までゆっくり休みました。遠出はしないで、ゆっくり家で過ごしてました。料理人というのも、重労働というほどではないにしても、この暑い時期に毎日火の前での仕事ですから、夏のこの時期少し休みを取るのはとても理にかなっていると思います。それにこの時期は市場や業者さんも休みが多いので、仕入れができませんからちょうど良いんです。 ゆっくり休めたので、体調良いです。
Aug 17, 2012

8月13,14,5,16日夏休みをいただきます。17日金曜日はディナーのみの営業です。夏休み中のご予約やお問い合わせは、メールでお願いします。 これは、新作プチトマトのマリネ。今年は自家菜園のプチトマトの皮がやたら硬いので、湯剥きにすることにしました。小さいトマトなんで、100個くらい剥くのはかなりの手間ですが、食感がグンとよくなります。剥いたトマトに強めに塩を振って、ざるに上げて一晩冷蔵庫に入れます。それでかなりの水分が抜けます。それをシェリーヴィネガーとサルディニア島産の岩塩漬けケッパーでマリネします。旨味たっぷりのケッパーが良いアクセントになります。 生ハムに添えて、シェリーのマンサリーニャを合わせると最高です。 これは、ランド産のプレ・ジョーヌ。直訳すれば、黄色の若鶏です。たしかに鶏肉にしては黄色みが強いです。トウモロコシをたくさん与えているので色が濃くなっています。もちろん味も良いです。ホロホロ鳥やキジを思わせるくらいの味わい。本来はかなり高価な肉なんですが、少量ですが安価で入ったので、今お勧めで出しています。あと6人前くらいですけどね。 これは、西瓜のシャーベット。3年ぶりくらいに自家菜園で西瓜を作ってくれたので、作りました。西瓜の果肉をスプーンですくってミキサーにかけて、シノワで漉してから砂糖とゲランドの塩を混ぜてから、シャーベットマシーンにかけて仕上げます。 一口食べると、頭の中でセミ時雨が鳴るような気がしますよ(笑)田舎のおばあちゃんの家の縁側に座って西瓜をかじっている気分です。
Aug 10, 2012

Cinq au pied.Menu Aout et Septembre 2012サンク・オ・ピエ8月9月のコース2名様より承ります¥5600Consomme glacée au tomate冷製トマトのコンソメProscuitto di PARMA « Pio Tosini » avec legumes d'étéパルマ、ランギラーノ村、ピオ・トジーニ社の生ハム夏野菜色々を添えてFoie gras chaud avec oignon carameliséeフォアグラのソテー、新玉ねぎのカラメリゼを添えてFilet de canette aux olives vertsà la façon de « Allard »雌鴨のフィレ肉のポワレ、グリーンオリーヴ風味パリの老舗ビストロ"アラール"風Cake aux amandes et abricotsSorbet de pêche de FranceBlancmanger aux sésame blancアプリコット入りアーモンドケーキフランス産桃のソルベ白ゴマのブランマンジェCafe de SAKAMOTO pour Cinq au piedou the 2painsさかもとこーひー、サンク・オ・ピエ8月9月のコースのためのブレンドとのマリアージュ又は紅茶2種のパン 初めに冷製のトマトのコンソメ。これはときめき鶏のコンソメをベースに自家菜園のトマトをたくさん使って、完全に澄ませたもので、味わいはトマトが主役なのだが、トマトの姿は一切見えないというトリッキーな品。猛暑、残暑の食事の初めに爽やかな味わいで食欲増進です。 ピオ・トジーニの生ハムは、コンソメを楽しんでいただいている間に手切りにした切りたてを味わっていただきます。美味しいラタトゥイユやピクルス、それから生ハムの上には、新登場のプチトマトのマリネ。これがまた美味い! 自家菜園のプチトマトは、味がとてもいいんですが、露地栽培だし今年は雨が少ないせいか、皮がやたら硬いんです。ちょっと許せない硬さなんです。そこで例年作っているセミドライトマトはやめにして、全部湯剥きにしました。それにちょっと濃いめにシシリア島のトラパニの塩田の塩を振って、ざるに上げ一晩冷蔵庫に入れます。かなりの水分が抜けます。これにサルディニア島産塩漬けケッパーとシェリーヴィネガーで味をつけます。これを生ハムと一緒に食べて、シェリーのマンサリーニャを飲むと最高の組み合わせだと思います。 続くはフォアグラのソテー新玉ねぎのカラメリゼ添え。フォアグラは付け合わせで大分印象が変わるし、合わせるワインも変わります。アルザスワインのゲヴェルツトラミネールは大抵の付け合わせに良く合いますが、これが焼きリンゴだったら、ロワールワインのヴーヴレかコート・デュ・レイヨンなしには楽しめないです。ゲヴェルツトラミネールにベストマッチなのはローストしたイチジクか洋梨のコンポートのクローヴやアニス風味。この玉ねぎロースト添えには、ハンガリーはトカイのフルミントのレイトハーベストが玉ねぎの甘みとベストマッチかもしれません。 メインは、雌鴨のフィレ肉のポワレグリーンオリーヴ風味、パリの老舗ビストロ「アラール」風です。 上の画像、左が今回使う雌のバルバリー鴨、左がシャラン産の窒息鴨。最高級のシャラン産窒息鴨を作っているのと同じ作り手です。バルバリー鴨はフランスではごく一般的な鴨の品種なんです。私もあまり期待せずに久しぶりに食べてみたのですが、作り手が違うと鴨もこうも違うものか!?とびっくりしました。小さい頃から私の料理を食べ慣れれているうちの子供たちに食べさせても、この鴨美味しいね!でもシャランじゃないでしょ?なんて言ってました。 とにかく雌の若い鴨なんで柔らかいですし、シャランとは逆によく血抜きをしますから、味わいがさっぱりしています。それにバルバリー鴨は脂も少なめで、全体的に夏向きと言えるかもしれませんね。綺麗な味わいです。もちろん焼き加減も最高です! ソースは、鶏のジュ(肉汁)でグリーンオリーヴをゆっくり煮込んで、少しトマトコンサントレ(ペースト)を加えたもの。塩分はほとんどオリーヴの塩分だけです。これがワインに実によく合います。ブルゴーニュの赤ワインはもちろん、軽めのボルドーでも良いし、ローヌや南仏のワインでもいけるでしょうし、イタリアやスペインのワインでも強すぎないものなら大抵合うでしょうね。 デザートは、アプリコット入りアーモンドケーキ、フランス産桃のソルベ、白ゴマのブランマンジェの3種盛り合わせです。 アーモンドケーキは、アーモンドのカトルカール生地にアプリコット入りです。カトルカールとは、quatre-quartsと書きますが、1/4が4つという意味で、つまり、砂糖、アーモンド粉、バター、卵が同割という基本的なケーキ生地です。小麦粉でやるのが普通ですが、その場合はベーキングパウダーを少しだけ入れます。( パウンドケーキの美味しいのは大体この生地が多いです。)旬の杏子を入れて焼きました。 フランス産桃のソルベは、桃と砂糖だけしか使ってないのですが、フランスの桃は味も風味も濃いので、日本の完熟桃を食べるよりずっと味が濃いです。ちょっと酸味もあって杏子っぽさも感じますね。美味しいです。 もう一つ白ゴマのブランマンジェです。 これはかなり久しぶりに昔のレシピで作ったんですが、我ながらこんな上品で美味しかったけ?と思ってしまいました。(笑)普通ブランマンジェでなくても、ゴマを料理に使うときは炒るのが基本です。炒ることで香りを立てるんですね。ところが昔読んだ本で料亭吉兆のゴマ豆腐のゴマは生の皮むきゴマを使うと知ったんです。そうすることで、吉兆のゴマ豆腐は雪のように白く、味わいも淡くて上品なのだというのを見て、私もゴマのブランマンジェに皮むきの生ゴマを使っています。それと隠し味に少しの塩を入れてます。一番柔らかい味のゲランドのフルール・ド・セルですね。和菓子的発想です。 炒りゴマを使うと、確かに香りは立つのですが、ちょっとゴマ油っぽいというかどうも強すぎるきらいがあります。このブランマンジェはとても上品だと思います。 そしてもちろん、デザートに合わせるのは、さかもとこーひー「サンク・オ・ピエ8月9月のコース専用ブレンド」!!坂本さんのメールによると、、(ボリビアNSアルベルト、コロンビアCOEブエナビスタ、モカ・イルガチェフェ)の3種のブレンドとのこと。どれも最高級のシングルオリジンの豆で、ブレンドにはもったいない位な気がしますが、坂本さんのブレンドにはいつもデザートに合わせる必然性があるので、手持ちの豆で最良のブレンドを作るとたまたまこういう組み合わせになったということなんでしょう。今回は桃のソルベがこーひーにとっては曲者のはずなんですが、合わせてみると違和感全くないです。昔からの知り合いのように桃やアプリコットとなじんでますね。しかもこーひー自体がとても上品!(当たり前のことですが、、、)ゴマのブランマンジェも炒りゴマを使わなくて正解でした!炒りゴマでゴマの風味がたちすぎていたら、このこーひーには嫌われてしまったかもしれません。 楽しい食事の〆が、さかもとこーひーによってより幸せな時間になると思います。紅茶党の方にもぜひ試していただきたいと思います。重く苦い雑味が多いようなそこいらのまずいコーヒーとは違います。むしろ綺麗なお茶に近い味わいなんですよ。さかもとこーひは、、。 ご予約限定メニューです。ご予約やお問い合わせはホームページからどうぞ。
Aug 2, 2012
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