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ゴールデンウイークも通常通り営業いたします。30日は月曜なので定休日です。他はいつも通りの営業です。ただ、ゴールデンウイーク中は、ほとんどの仕入れ先がお休みですので、シェフスペシャルコースなどのいくつかは、食材の手配が出来ないこともありますので、その場合はご容赦願います。4月5月のコースは、食材を少し多めに手配してありますので、前日までに予約いただければ大丈夫です。 筍も昨日伊勢から届きました。これで今シーズンは入荷終了です。ゴールデンウイークから休み明けの少しの間くらいまでは、付け合わせやサラダに筍使ってますよ! 4月5月のコースも好評です。まだ食べてない方は是非どうぞ!大盛りの生ハムとマンガリッツァ豚の自家製生ベーコンで始めて、、、 春野菜アーティーチョークを添えたフォアグラソテー。ソースは、名門ドディー家の熟成バルサミコ”ボーン・コンディメント” 続いてシェフの必殺技イカ墨リゾット!高級珍味サルディニア島産のボッタルガも美味いですよ。 メインは、一羽500グラム弱のフランス産雛鶏のポワレ。これも繊細で上品で美味しいです。 デザートは、かりんヴィネガーと蜂蜜のグラニテを添えたイチゴのスープ仕立て。合わせるこーひーがまた大好評のさかもとこーひーの4月5月コース専用ブレンド!デザートを一口、こーひーを一口、デザートをもう一口、こーひーをもう一口というスパイラルが止まりません(笑)このマリアージュは、体験してみないと分かりませんよ!
Apr 27, 2012

今年の筍は、伊勢から取り寄せました。というのも、千葉県は各地で放射能汚染が確認されているようで、、、例年は成田の自家菜園のそばの竹林から掘ってくるんです。成田市は出荷自粛にはなっていないのですが、隣の印西市は出荷自粛なんです。うちの畑は車で5分も走れば印西市ですから、今年はやめておこうと、、、。というか、当分は駄目でしょうね。でも、筍を楽しみにしているお客様が多いので、筍無しというわけにもいきませんよね、、、。というわけで、ネットで調べてお取り寄せしました。 御覧のようにサイズがまちまちですが、味は結構良かったです。栗やナッツを思わせる香りが好ましい感じです。来週末も入荷の予定です。メインディッシュの付け合わせやマリネにして前菜のサラダに添えたりします。来週分で多分入荷はないと思いますから、、、、まあ、今月いっぱいくらいですね。 これは、自家製の鹿のスモークハムとイノシシのスモークハムともち豚のスモークハムに生ベーコンの端っこをためておいたものです。これにもち豚の生肉も少し足して、ラグーを作りました。幅広変形パスタのマファルデで召し上がっていただきます。 こんな感じ。スペシャルメインで出してます。ハムを煮込んだので、風味があってうまいですよ!
Apr 21, 2012

実は各方面にご心配をかけないようにということで黙っていたのですが、去年の暮れに私の右手が麻痺状態になるという事件がありました。クリスマスディナーが終った夜、パソコンの前で肘掛椅子に座ってうたた寝をしてしまい腕の神経を変な風に圧迫してしまったのが原因なんですが、、、。よく腕枕したり、妙な寝相で腕がしびれることがありますが、あれのものすごくひどい状態です。まあ、布団に移ってちゃんと寝れば明日の朝には良くなるだろうと、たかをくくっていたんですが、それがとんでもないことに、、、。翌朝起きてみると、少しも良くなってません。手のひらは、幽霊のように垂れてまったく力が入らず、箸どころかスプーンすら持てない。パソコンのマウスをクリックする指が1ミリも上がりません。例えば、ピアノを弾くとして手のひらを下に向けて鍵盤を押す時に指を上げますよね!あの動作が完全にできない、指もパッと開かないわけです。当然包丁どころか鍋だって持てるはずがありません。 麻痺はほぼ手首から先に限られていて、同じ側の顔面の麻痺などという脳梗塞的な症状はないのですが、さすがにこれは大きい病院行くしかないなということで、習志野第一病院に行って診察受けました。私の親父は52歳で脳梗塞で亡くなっているんです。ちょうど私もその時51歳と11カ月でしたから、内心少しビビってました。 ベテランの外科の先生は、膝蓋腱反射(膝を叩くと足がぴょんと上がる反応)を調べるような、小さなプラスティックハンマーのようなもので私の腕のあちこちを軽くたたいて、指の反応を見るような診察をしてくれました。結果は、「かなり太い神経が圧迫されて、麻痺してるだけですな。神経が切れてしまったり、壊死しているわけではないから、いずれは回復しますが、こういうのって結構時間がかかることがあるんですよ。早くて、一月。長ければ数カ月。場合によってはリハビリが必要なこともありますよ。まあ、うちは良いリハビリの先生もいるからその時は頑張りましょう。」とのこと、、、マジですか!?数か月?えーーーー、仕事どうするんだよ!!! 幸いクリスマスディナーは終わっていたのが、何よりでしたが、毎年暮れはフォアグラテリーヌやスモークサーモンの販売があります。そのサーモンを5キロ余りスライスしたり、フォアグラテリーヌも5本も仕込まねばなりません。なのに、右手は全く使用不能というわけです。若いころから数々の修羅場をくぐってきたんですが、今回はもう無理かなとも思いましたよ。マダムも「皆さんにわけを話して今年はテリーヌとサーモンは勘弁してもらおうよ。」なんて言い出すくらいでしたからね、、、。 それでも、右手が取れて無くなっちゃったわけじゃないから、やれるところまでやってみようということで、まずは、練習のために自家製ハムを切ってみたんです。氷温庫に入っているので、-5℃前後ですからやや凍っているのでかたいです。左手で右手を開かせて右手に何とか刃渡り40センチの大きな牛刀を持たせます。幸い少しですけど握力は残っていたんです。たぶん普段の半分もないでしょうが、、握れても開けない感じです。それでやってみると、感覚としては別人の手に手を副えて切り方を教えているような妙な感じでしたが、切れたんです!たぶんその時、脳はかなりの成功報酬物質を分泌したでしょうね「よっしゃ!絶対にやって見せるぞ!」という気になりましたからね!ところがサーモンを切るのが難しい!マダムが「私手先の器用さには自信あるからやってみる」と言って切ってみたんですが、一切れもきれいに切れません。「こんなに難しいことをすいすいやってたんだね、、、。」と唖然とする始末。まあ、自分でやるしかないわけです。 右手に何とかナイフを持たせ、ナイフの微妙なコントロールは右手に担当させ、その右手に左手を副えて何とか5キロのサーモンを切りました。日ごろの修行の成果ですね。やればできるもんです。フォアグラテリーヌは、フォアグラを縦に裂いて中から太い血管を取り出す作業がかなりデリケートなんですが、これは左手がやってくれました。若いころから楽器をやったりして、左手もたぶん普通よりは器用なんでしょう。そうして何とか乗り切ったわけなんです。正月休み中も、平目の昆布〆を薄造りにしたりして、リハビリしてましたね。特殊なやり方で生牡蠣だってあけてました。一歩間違えば大怪我なやり方なんですが、、、。リハビリは真剣勝負です。 正月明けても、少しずつ回復はしているのですが、なかなか麻痺は良くならず、、、、往生しました。細かい物をつまみ上げたり、字を書いたり、楽器を弾いたり出来るようになったのはなんだかんだ、3月に入る頃でした。2月いっぱいは違和感ありましたね。 それで、怪我の功名なんですが、麻痺した右手が回復に向かう時に普段よりも一層集中して、ナイフを使うようになっていたんですね。4月になって生ハムが来てから、切っていると「あれ!なんだか前より上手になってんじゃねぇ!」と思ったんです。以前より力を使わずにハムをより薄く切れるようになりました。 しかし一時は、料理人生命もアウトか?と思ってしまったくらいひどい麻痺でしたからね。今じゃ笑い話ですが、大事件だったんですよ。というわけで、中村雅信52歳、転んでもただでは起きない親父です。 技の生ハムを食べてみてくださいね!美味いですよ!
Apr 17, 2012

メインのフランス産雛鶏は1羽450gの小さな鶏です。このコースはリゾットをお出ししますので、メインはやや軽めの量です。手前から胸肉、モモ肉、手羽先です。はずした鶏ガラはオーブンでカリカリになるまで焼いてから香ばしい出汁を取ります。それが鶏のジュ。シンプルな肉汁とサルディニア島産の極上オリーヴオイルがソース代わりです。小さな鶏なので、正確に焼きあげねばなりません。うまく焼けば、しっとりとした胸肉がとても美味しいです。
Apr 15, 2012

ピオ・トジーニ社のパルマ産生ハムです。これは本当に美味いですよ! 前菜にその生ハムとハンガリーの国宝、マンガリッツァ豚の自家製生ベーコンをたっぷり!久々にマンガリッツァ豚登場です!やはり、美味いですね!綺麗な脂の美味さが魅力です。 イタリア産アーティーチョーク添えのフォアグラのソテー。ソースは、、、 ドディ社のボーン・コンディメント。熟成バルサミコタイプのヴィネガーです。法律で規定されたバルサミコの製造法からあえて逸脱した作り方をしているそうなんですが、ドディ家伝統のオリジナルな製法を守るためにあえて、法的規定は無視しているという事です。ですからバルサミコという表示はされていないんですが、味はまあ、最高級のバルサミコとしか言いようがないです。濃厚で旨味がたっぷりでとても柔らかい味わいです。 シェフ必殺のイカ墨リゾットです。これは私も大好きなんです。上にのっている黄色のものは、サルディニア島産のボッタルガ。ボラの卵のカラスミの粉です。 地中海地域でもカラスミを作る食文化があるんですね。ギリシャ料理で有名なタラモサラータ、あれは日本だと鱈子や明太子で代用しますが、本来はこのボッタルガで作るのが正式。たらこスパゲティも本来はこのボッタルガで作ります。日本風ではゆでたジャガイモをつぶして、鱈子とマヨネーズで作ることが多いようで、鱈子とイモだからタラモだと思っている方もいるようですがそれは間違いで、タラモサラータは、れっきとしたギリシャ語のメニューです。本来は、ギリシャの癖のあるオリーヴオイルとレモン汁で仕上げるようです。 このスメラルダ社のボッタルガは日本の商社が現地サルディニア島に赴いて、特にボラの卵巣の血管を綺麗に掃除することと、丁寧な血抜きをすることを要請して日本向けに作られた特上品です。血の気が残っていると、どうしても苦みや臭みの原因になりますからね。 黄金色のキャビアともいわれる高級珍味です。鯉やマグロの卵巣で作ったものもあります。魚卵を塩漬けにして、天日に干して作る保存食です。それの皮を剥いて、おろし金で粉に加工したものが、このボッタルガ・パウダーです。 メインはフランス産の雛鶏ちょうど私の手のひらサイズ。一羽が1ポンド、約450gくらいです。これで二人分。さばいてポワレして、ガラで取った鶏のジュで召し上がっていただきます。 とても繊細で軽い味わいで美味しいですよ! デザートは、花梨ヴィネガーと蜂蜜のグラニテを添えたイチゴのスープ仕立て。これにはもちろん、、、 さかもとこーひー、サンク・オ・ピエブレンド!このデザートには、普通のこーひーでは絶対に合わないでしょうし、紅茶でも難しいかもしれません。それが、何とも見事な液体同士の究極マリアージュです。いやー、こーひーでこんなことができるんですね!またしてもやられました。 花梨のヴィネガーと蜂蜜をミネラルウォーターでのばして、グラニテにします。グラニテというのは、直訳すれば御影石という意味で、シャーベット(ソルベ)よりは糖分が低く少しざらついたくらいに仕上げたもので、その舌触りからきた名前だと思います。 イチゴのスープは、フランス産のイチゴのピュレに少し糖分を加えただけのシンプルなもの。そこに国産の生のイチゴを少しの粉糖とコアントローで和えて入れてあります。フランスのイチゴは味も香りも色も濃いので、しっかりとした味わいです。そこにほんのり花梨が香る酸味のきいたさわやかなグラニテが浮かんでいます。この花梨ヴィネガーは1リットルで¥6000もする高級品で、アミノ酸も豊富なオーガニックヴィネガーです。春らしくて、ちょっとヘルシーな感じのデザートになりました。 4月5月のコース、ご予約お待ちしております。
Apr 12, 2012

大分産のイサキがもう出てきました。本来は夏が旬の魚ですから、まだ脂の乗りはいまひとつですが、その分身が締まっているので軽くスモークをかけてみました。ホタルイカはもちろん最高級品の富山湾産。これは最近体脂肪を落とす働きがあるとかテレビで紹介されたらしく、相場が高いです。例年ならだいぶ安くなってくる時期なんですが、、、。例によって、ホタルイカはピンセットで目玉と軟骨とクチバシを取ってから、シェリーヴィネガーとニンニク、オレガノ、オリーヴオイル、ハライス・デラ・ベラ産のパプリカと塩でマリネしました。 イサキは、私の大好きな魚の一つです。真鯛にも負けないくらいで、刺身でも焼いても美味しい魚ですね。食べてちょうど良いくらいに塩をして、冷燻にかけました。結構美味いですよ! ホタルイカは、ハライス・デラ・ベラ産のパプリカがポイントです。これは、スペインで唯一原産地呼称を持つパプリカ(スペインではピメントンと言います)で、一度燻製にかけてから、粉にした特殊な製法で作られたものです。通常の赤ピーマンの香り、唐辛子系の香りに加えて、上質な葉巻のような独特の燻煙香があって、サンク・オ・ピエの定番前菜のタコのガリシア風には欠かせないものです。それから、パエリアにも欠かせません。これを使うととにかく一気に地中海料理的な雰囲気なるから不思議です。料理において、香りはとても重要ですね!
Apr 5, 2012

31日は、11周年コースの最後の仕上げともいえるいつものK氏のワイン会(さかもとこーひーの坂本さんも参加する会)でした。このお花は、その会に参加された外科医のO先生にいただきました。O先生は20年来のお客様です。この春は、たくさんお花をいただきました。ありがとうございました。他にも3月の初めにはO先生の後輩であるIクリニックのI先生に私の大好きなエグリ・ウリエのシャンパーニュをいただいたり、このワイン会からということでK氏からも開店年2001年のジブレ・シャンベルタンをいただいたり、いまでやさんのO君からもお祝いのワインをいただきました。みなさん、ありがとうございました。 11周年記念コース、今回は大盛況で合計50名も来ていただきました。¥11000という高額なコースのため、実は「30名来てくれたら凄いなぁ」と思っていたので、ちょっと驚きでした!11周年記念コースにご来店いただいた皆様ありがとうございました。今回のメニューは、ラカン産の鳩という最高級の素材を使ったことも含めて、技術的にも自分の限界に近いメニューでしたから、このひと月余り結構緊張していたようです。 昨日1日も昼夜と予約も多く、忙しかったのですが、11周年記念コースと違って、普段のレギュラーメニューだけだと、「あれ?こんなに楽だったっけ?」と思ってしまいました。やはりそれだけ緊張していたんだと思います。毎年、クリスマスディナーとこの周年記念コースは特別な思い入れで臨みますからね。クリスマスは4~5日のことですが、周年コースはひと月余りやりますから、ここ一月は好きなワインも控えめにして節制してました。仕込みが追いつかないので、3月は何回も早朝出勤しました、、。 忘備録も兼ねて、11周年記念コースを振り返ってみたいと思います。前菜盛り合わせは、私の中の定番の美味しいもので、、、スモークサーモンとイチゴ、対馬産イノシシの自家製スモークハムとフランス産ドライイチジク、帆立のスモーク(後半はホタルイカのマリネ)、フォアグラのフォンダン、ジビエのリエット。 2品目は、ブルゴーニュ産エスカルゴ。これは、本場ブルゴーニュで、ブドウの葉っぱを与えて育てたブルゴーニュ種の“本物”のエスカルゴです。「やはり違うね!」という声が多かったですね!缶詰のエスカルゴとは、全く違う食感と風味の良さに納得された方が多かったようです。 次が、牛蒡とトリュフのポタージュ。牛蒡と言うと田舎くさい野菜のイメージがありますが、このところ使っているうちに牛蒡の香りの上品な部分だけを何とかうまく使ってみたいという気持ちになりまして、、それなら、やはり土系の香りであるトリュフと組み合わせたら面白いに違いないと、思ったわけです。実はこの考えはさかもとこーひーの影響があるような気がします。元来コーヒーは、雑味が多くてお茶(紅茶や中国茶や日本茶)やワインなどに比べるとあまりきれいな飲み物とは思っていませんでした。それがさかもとこーひーに出会って、仕事の上でもさまざまにコラボしているうちにそのコーヒー離れした綺麗な風味と雑味の無さに色々と感じるものがありました。 さかもとこーひーはスペシャルティーコーヒーですから、素材の良さはもちろんなんですが、いくら材料が良くても表現する技術が伴わなければ美味しくはなりません。今回のラカン産の鳩もそうですが、最高の素材をたしかな技術で仕上げてこそというわけですよね。それで、さかもとこーひーを味わっていると、コーヒーの良いところだけを引き出すような焙煎とブレンドのクオリティーの高さを感じるわけです。それで、牛蒡とトリュフを使ってさかもとこーひーのような、一見サラッとしているのに実は核に確固とした風味を感じる綺麗なポタージュを作りたいという気持ちでやりました。ポタージュと言うとピュレスープというのがあります。ジャガイモのピュレとかトマトのピュレとか言いますけど、、ピュレというのは、英語でいえばピュア、つまり純粋なる物という意味です。まあ、調理用語としては裏漉ししたものという事なんですが、、、。 牛蒡は薄切りにして薄い鶏のブイヨンで約10分火を通します。灰汁を引き、塩で味を整えてミキサーにかけます。目の細かいシノワで漉します。出来た液体は、ほとんどサラサラで牛蒡のお茶みたいな感じです。そこに生クリームをほんの少し加えて、トリュフのみじん切りをたっぷり加えて、最後にウルバーニ社のトリュフオイルをポトリと落とします。このポタージュは香りが命ですから、作り置きはできません。コーヒーやお茶が淹れ立でないと話にならないのと一緒です。ですから、エスカルゴを召し上がるタイミングを見ながら作るわけです。こういうア・ラ・ミニュート(作り置きせずにその都度作りたてを供するやり方)な仕事は、厨房スタッフが充実した大きなお店でやることなんですが、私の場合常々ア・ラ・ミニュートで危ない橋を渡りまくっているので慣れてはいるんですが、このように瞬間をとらえねばならない仕事は、やはり難しかったですね。出来たスープはあえてコーヒーカップに盛り付け、手に取って口に近付けてカップからの香りを楽しんでいただくようにしました。思い通り“牛蒡の高貴さ”が表現できたと思います。 4品目は、フォアグラと牡蠣のソテー。これにはナツメヤシで作ったヴィネガーのソースを添えました。フォアグラと牡蠣の組み合わせはサンク・オ・ピエでは定番のひとつですね。ナツメヤシのヴィネガーは、黒くて濃度があり酸が穏やかで甘み旨味ともに最高級のバルサミコにも引けを取らないかんじで、フォアグラにも牡蠣にも良く合いました。 そして、ラカン産の鳩!今回ポワレという調理法にしたのは、鳩をさばいてばらし、出たガラで美味しいジュを取りたかったからです。それに丸焼きよりパーツごとに正確に焼けるので、あえてポワレにしました。ただ、鳩をばらすと胸肉2枚モモ肉2本手羽先2本と6個のパーツに分かれますから、2人前でも12個、31日のように7名ですと42個(実際にはサービスで一人前多い8人前で48個)ものパーツを正確に焼きあげねばならないので、結構大変です。手がもう数本欲しいぐらい。鶏系は皮の香ばしさが大事ですから、皮目は最強の火加減で焼いてゆきます。赤身のほうはそのままさっと焼くだけです。特に胸はレアくらいに焼きあげて、プラックの棚の上で休ませてちょうどよく火が入るように、スープを出した直後に焼き上げます。 デリケートなスープを出したらすぐに鳩の焼きに入りますから、この時間帯は緊張感がピークになってます。絶対に邪魔されたくないので、11周年コースの予約が入った日は、他のお客さんの予約はちょっと制限してました。他の料理を作りながら出来る仕事ではないからです。全霊を込めてと言ってはオーバーかもしれませんが、真剣勝負で焼き上げたラカンの鳩はおかげさまで大好評でした! 31日のワイン会で、さかもとこーひーの坂本さんの反応を見ていたら、一口食べた後に「なんだこれ?」とつぶやいたのを聴き逃しませんでした。そのくらい鳩離れ肉離れした別次元の美味しさなんです。坂本さんがブログにもアップしてくれました。 デザートについては、自分の過去ログと坂本さんのブログを引用させていただきます。 デザートは、ヴァローナ社のグランクリュのショコラ"カライブ"(トリニタニオというカリブ海地方産のカカオ1種類だけで作られたショコラ)のテリーヌ・ド・ショコラにカリスマパティシェ、ピエール・エルメ氏の有塩バターとシナモン風味のカラメルアイスクリームをのせて、イチゴの12年熟成バルサミコ和えを添えてあります。 このアイスクリームは作るのが大変に難しいんです。かなりの量の砂糖を焦がしてカラメルを作るんですが、甘くするために入れる砂糖の量の3倍近い量なので、ギリギリまでしっかりと焦がして甘味を殺さないと、べたべたに甘くなってしまうから、本当に炭なる寸前まで焦がさなければならないのだ。一歩間違えれば、苦くて使い物にならないし、少しでも焦がしたらないと甘くなりすぎる。そのちょうどいいタイミングは、色と香りで見極めるしかない。記憶と感覚だけが頼りの仕事です。 イチゴに使ったバルサミコは12年熟成の品で、250ccで数千円もするもので、やはり風味が良いです。濃厚なショコラとアイスクリームですから、さっぱりとしたイチゴとバルサミコの酸味が良い感じでバランスが取れます。 これに合わせる、さかもとこーひー11周年記念ブレンドがまた最高です!とても繊細で軽い味わいなんですが、ショコラとアイスクリームの濃厚な余韻を優しく受け止め、イチゴとバルサミコの味わいにも心地よく寄り添います。本当にどうやったらこうも旨くマッチするブレンドを作ることができるのか?と不思議に思うくらいです。新しい焙煎機に変えたさかもとこーひーはますます絶好調ですね! 昨日今シーズンの初生ハムが出ました。若いカップルでしたが、「香りが良いし、ちょっと噛むととけちゃうんですね!どうやって切ってるんですか?」と訊かれたので愛用の刃渡り40センチ近い特大の牛刀を見せてあげました。「凄ーい!」と言って驚いてましたね。 生ハムを特大の牛刀でスライスする人は多分あまりいません。普通は細身の生ハム専用ナイフで、削るように切るんです。私の切り方はちょっと独特ですが、肉の繊維を断つ方向に切るので、うまくいけば口解けが良いんです。昨日久しぶりに生ハムを切ってみたら、また一段と薄く切れるようになった気がします。「何だこれだったのか?」という感覚ですね。以前より力まずにサラッと切れる気がします。長く仕事やっているとこういう瞬間がたまにあります。スーッと生ハムを切って、「またつまらぬ物を切ってしまった、、、。」という感じですかね(笑)
Apr 2, 2012
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