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2025.12.21
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中国引き揚げ漫画家の会「ボクの満州-漫画家たちの敗戦体験」(亜紀書房)  以前 「案内」 した 千葉一郎 「ちばあきおを憶えていますか」 (集英社) という本で、こういう本があるということを知りました。
中国引き揚げ漫画家の会「ボクの満州-漫画家たちの敗戦体験」(亜紀書房) です。 1995年の初版 ですから、今から30年前に出版された本です。 市民図書館 の棚にありました。
ちばてつや が描き続けている​ 「ひねもすのたり日記」 ​の中で、 86歳 ちばてつやさん が繰り返し思い出していらしゃる ちば一家 戦争体験 なのですが、この 中国引き揚げ漫画家の会 に集まって本書に登場するラインアップを見て驚きました。お一人お一人が、 満州 とかでの 敗戦体験、帰国体験、帰国後の戦後体験 を語っていらっしゃるのですが、その顔触れがこれです。
上田トシコ ハルビン  「フイチンさん 」(虫コミックス ; 42) 虫プロ商事 昭和44 (1917年8月14日~2008年3月7日)
赤塚不二夫 奉天・現瀋陽  『おそ松くん』『ひみつのアッコちゃん』(1935年9月14日~2008年8月2日)
古谷三敏 奉天・北戴河  『ダメおやじ』(小学館) (1936年8月11日~2021年12月8日)
ちばてつや 奉天  『あしたのジョー』(原作高森朝雄・週刊少年マガジン)、『ハリスの旋風』(週刊少年マガジン)、『あした天気になあれ』(週刊少年マガジン)、『のたり松太郎』(ビッグコミック)、「ひねもすのたり日記」(小学館)(1939年1月11日 86歳)
森田拳次 奉天  「丸出だめ夫」(週刊少年マガジン)(1939年5月11日~2024年12月23日)
北見けんいち 新京・現長春  「釣りバカ日誌(原作やまさき十三、ビッグコミックオリジナル)(1940年12月11日85歳)
山内ジョージ 大連  「猫のための漢字絵本」(愛育社)・「トキワ荘最後の住人の記録・若きマンガ家たちの青春物語」(東京書籍)(1940年11月24日~ 2025年2月27日)
横山孝雄 南京・北京  『コミックアイヌの歴史 イ シカリ 神うねる河』全2巻(汐文社(1937年2月15日~ 2019年8月31日)
高井研一郎 上海 「総務部総務課山口六平太」(作林律雄、ビッグコミック)(1937年7月18日~2016年11月14日)
石子順 新京  『漫画は戦争を忘れない』(新日本出版社)(1935年1月10日90歳)
 いかがでしょう? こんな感じです。今の若い人には知らない、古い、漫画家ということかもしれませんが、70歳を越えても、 「プレイボール2」 とかで興奮している 1960年代から70年代にマンガ少年、少女マンガファンだったような人 なら​
「おーっ!」
​の連発でしょうね。
 最後にお名前がある、 司会進行役 である 石子順 という方は マンガや映画の評論 をなさってきた方ですが、ボクらの年ごろの人で、この顔ぶれを一人も知らないということはないでしょうね(笑)。
 で、 お一人、お一人 「体験記」、「回想記」 が、まず、読みどころなのですが、 巻末 に、 石子順さん が司会されてる座談会の中継が載せられていて、これがなかなか読みでがありました。ちょっとだけ紹介しますね。 ​
森田 
 ぼくも、 ちばさん と同じ 昭和14年生まれ です。あっちにいったのは数え年の三歳で、帰ってきたのが、数えだと七つくらいで、一年生す。
 弟が四つ違いでした。終戦の時奉天で中国人が弟を買いにきたんですが、売らなかった。たしか五円くらいだった。残留孤児がいっぱいいたでしょう。下手をすると弟はその一人だったんです。
 ぼくの親父は、現地で召集されてやっぱりシベリア送りで、途中から脱走して便所のベン壺なんかに隠れたりして逃げてきた。帰る寸前に合流しましてね、それで家族いっしょに舞鶴に着いたんです。(P219)
古谷
 一番ドラマチックなのは、玉音放送があったあとです。
 そのとき親父が手榴弾を持ってきて、ぼくは、親父から安全ピンの抜き方を教わったんですね。そのときには北戴河にいまして、すぐ前は海でした。そこに塹壕を掘っていました。日本軍がそこに機関銃を据えつけていて、敵が上陸してきたらそれに抵抗するという感じだったらしいです。完全な有事状態になっていました。
 そのときが必ず来るから、安全ピンを抜いてポケットに入れて、米兵が上がってきたら、おまえ抱きつけ、と。そしたら一人殺せる、と言うんです。それは小学校の二年生の時に父親から教えられました。
 実際に上がってきたんですけども、なんにもなかった。みんな万歳でした。みんな「ハーイ」という感じでした。(P224)
​ と 子どもの目 で見て覚えている 関東軍(日本軍)やソビエトロシア軍の振る舞い、残留孤児、栄養失調、知り合いの中国人の親切。 最近​ 「黒川の女たち」 ​という映画で 「女たちの満州」、 帰国した日本での差別」 が明らかにされていましたが、この本では 「子供たちの満州」 が語られています。
 戦争をすることを絵に描いた餅のように口にする政治家が登場し始めている昨今です。若い人たちに読んでほしい 「子供たちの戦争」 の、実に、リアルで真摯な 証言集 です。今、読み返しても古びていないというよりも、​
今だからこそ読み返すべき本!
 ​ではないでしょうか。
 本が出てから 30年 です。 証言者の皆さん で、今でも、ご存命なのは ちばてつやさん、北見けんいちさん、石子順さん の三人です。語り続け、描き続けてほしいものです。
2025-no135-1208







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最終更新日  2025.12.21 10:06:05
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