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今日
は 12月20日
の 土曜日
です。
2025年 も、あと10日。 今年は初めての体験がいろいろありました。ちょっと弱気です。まあ、そんな気分で、思わず振り返ってしまう 1年 でした。
「Y」の箱
「歳月」は、詩人茨木のり子が最愛の夫・三浦康信への思いを綴った詩集である。伯母は夫に先立たれた一九七五年五月以降、三十一年の長い歳月の間に四十篇近い詩を書き溜めていたが、それらの詩は自分が生きている間には公表したくなかったようである。何故生きている間に新しい詩集として出版しないのか以前訊ねたことがあるが、一種のラブレターのようなものなので、ちょっと照れくさいのだという答であった。そして伯母はその詳細について多くを語ることなく、二〇〇六年二月十七日、突然伯父の元へと旅立ってしまった。急逝から一週間後の二月二十五日、岸田衿子さんのご尽力で「櫂」のメンバーや知人が集まった際、花神社の大久保さんに初めてお会いし、伯母が夫への気持ちを綴った挽歌の出版の意思を、生前大久保さんに伝えていたことを改めて知った。その後、伯母の遺言に従って密葬を行い、お別れの手紙を二百通余り郵送し、伯父の眠る山形県鶴岡市の菩提寺での納骨を済ませ、毎日妻と二人で伯母の家を片付けていた。もうすぐ伯母の誕生日という六月の初旬に、書斎の書類の中から、原稿の入ったクラフトボックスを発見した。小さく「Y」とだけ書かれていたが、それが伯父のイニシャルであることですべて理解できた。箱を開けてみると、その中には推敲が済み、清書され、几帳面に一篇ごとにクリップでとめられた未発表の詩と、詩のタイトルを順番に並べた目次のメモ、草稿のノートなどが収められていた。
以下略(P147)
歳月 茨木のり子
真実を見きわめるのに二十五年という歳月は短かったでしょうか九十歳のあなたを想定してみる八十歳のわたしを想定してみるどちらかがぼけてどちらかが疲れはてあるいは二人ともそうなってわけもわからず憎みあっている姿がちらっとよぎるあるいはまたふんわりとした翁と媼になってもう行きましょう とお互いの首を締めようとしてその力さえなく尻餅なんかついている姿けれど歳月だけではないでしょうたった一日っきりの稲妻のような真実を抱きしめて生き抜いている人もいますもの
夜の庭 茨木のり子
匂い 流れてはじめて気づく花々の咲そめを庭に一本の金木犀粒粒の花はクリームいろから鬱金へとたちまちに色を変え惜しげもなく妖しい芳香を放ち出す
ぼんやりのところがあったあなたはヘアトニックとシェービングローションをひんぴんとまちがえてふりかける人でもあったから
「歳月」 からは、詩人という肩書をも外した一人の女の声が聞こえてくるが、しかし逆説的、そのことをもって、詩人としての新しい境地を広げたともいえる。巻末の解説 で 小池昌代さん がおっしゃっている言葉です。
追記
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