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2016年07月27日
道路の上の(七月廿四日)
チェコの道を自動車で走っていると、路面に張り付いた野生動物の死体を目にすることが多い。市街地だとハリネズミ、町の外だとノウサギが一番多いだろうか。完全につぶれていてどの動物の死体なのか判然としないことも多いから、一番多いというのはただの印象でしかないのだけれど。
チェコという国には、意外と野生の動物が多い。しかも山の中の森林地帯だけでなく、市街地の近く、言い方を変えれば人間の生活圏のすぐ近くでも野生動物の影が濃い。人口十万人を誇るオロモウツでも、旧市街の周辺を取り巻いている公園の中では、木から木へと走り回るリスを頻繁に見かけるし、公園の中の池や、小川には鴨が泳いでいて、時に周囲の芝生の上を歩き回っていることもある。
市街地でも、潅木の茂みでガサゴソ音がするのでノラ猫かと思って見てみると、ハリネズミだったりする。ハリネズミは夜酒を飲んで家に帰る途中の路上で見かけることもあるから、運が悪いと夜の闇の中路上をのこのこと歩いているときに、車に轢かれて屍をさらすことになるのだろう。
街の外では、特に冬場になるとは、雪に覆われた畑の上で鹿の小さな群を見かけることがある。茶色い土の塊だと思っていたものが動き出して、ノウサギだと気づくこともある。コンバインが刈り残したり、収穫の際にこぼれてしまったりした小麦なんかを探して食べているのだろうか。鹿は森に餌の豊富な時期には畑で見かけることはないが、ノウサギは夏場でも、他よりも早く収穫を終えた畑で見かけることがある。
またモラビアには、畑に囲まれて小さな森が残っているところも多い。農業的にはつぶして農地にしてしまったほうが効率がよさそうなその手の森にも、猟師たちが使う見張り用の小屋が建っているところがあるから、事情があって残った森ではなく、意図的に残された、もしくは植林された森であるようだ。
そんな小さな森を住処とする動物たちが、運悪く事故に遭って無残な死体を残すことになるのだろう。モラビアの平原地帯では、鹿とぶつかる事故は滅多に起こらないようで、路面に張り付いているのは小さなノウサギの死体ばかりだが、山間部の本当の森に挟まれた道路の場合には、鹿とぶつかる事故も問題となっているようだ。
この手の、動物との接触事故は車を運転する側にとっても気持ちのいいものではないし、野生動物の保護、もしくは狩猟の対象となる動物の保護の観点からも防止したほうがいいのだろう。そのために、動物が道路を越えるための通路を道路の下に通して誘導するなんてこともしているようだが、人工物ということで避けられるのか、あまり効果は上がっていないようである。
ある程度の効果が上がっているのは、鹿やノウサギなどが忌避するにおいを発する泡状の物質をつけた棒を道路の両側に一定間隔で立てていくという方法らしい。ただ問題が二つ。一つはその物質のにおいを発し続ける期間が、当初の想定よりも短く、頻繁に新しいものに変える予算が足りないということで、もちろん、すべての道路で実行するには予算がかかりすぎるという問題もある。
もう一つの問題は、その棒が盗まれることである。自分の畑を動物から守るために、盗んでいく人が後を絶たなかったらしい。専業の農家ではなく、都市部に住んでいる人で別荘を持っている人や、菜園を借りている人たちがお金のかからない害獣対策として持っていくのだとニュースで言っていた。専業で大規模に農業を営んでいれば、害獣対策は予算の一部になるし、必要量を盗むのも難しくなる。
こんなのは、社会主義の時代に、盗めるものは盗めるときに盗んでおかないと後で困るというのが常識だったらしいチェコでは、当然のことなのかもしれない。もっとも当時は職場から資材を盗むのが常識だったらしいけど。発覚しないように毎日少しずつ職場から煉瓦などを盗んで、何年もかけて家を自力で建ててしまった人もいるなんて話を聞いたことがある。
とまれ、この野生動物が道路に飛び出して車に轢かれるという問題は、なかなか解決できないようで、オロモウツから南モラビアまでほぼ100キロほどの道のりで、十匹近くのウサギと思しき動物の死体を確認した。
野生動物を人間の考え通りに動かそうというのが間違っているのであって、人間の思い通りに動くのであれば、それは野生動物ではないと考えれば、自動車に轢かれての死すら野生の証明ということになるのかもしれない。そういえばイタチか何かが、自動車のボンネットの中のちょっとした空間を餌置き場にしてしまうという話も聞いたことがある。イタチよけの自動車用のスプレーも売られているみたいだし。
7月26日15時30分。
まとまらない、まとまらない。うーーん。7月26日追記。