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2017年03月11日

いくらチェコでも……(三月八日)




 それでも、いくらチェコでもそれはないだろうと言いたくなる、いや言ってしまうことがままあるのだが、それもチェコだからなのだろうか。こういうのは怒りを通り越してあきれてしまうから、ストレスはたまらないのだけど、チェコを「愛する」身としては、書くべきか書かざるべきか悩ましいところである。まあ、書いてしまうわけであるが。

 スポーツ新聞のネット上の記事の見出しを見ていたら、バスケットボールで自殺点連発みたいなことが書かれているのが目に飛び込んできた。バスケットでそんなこと可能なわけないだろうと、そのときには記事を読まなかったのだけど、バスケットの記事だったから読まなかった可能性もあるか、あんまり興味ないし。とにかく、読まず放置していたら、テレビのニュースで本当に自殺点というか、両チームとも相手に得点を与えようとして自陣にゴールを決め始めたことが放送された。
 ニュースで聞いて理解したところでは、チェコの女子バスケットの二部リーグでの出来事で、プレーオフ進出を巡って双方にいろいろ思惑があったという。その結果、フリースローを得ても、わざと外し、相手の得点後ゴールラインの味方からパスを受け取ってそのまま自陣のゴールにめがけてシュートするという理解できないシーンを作り出していた。
 もちろん、試合当初からそんな負けるためのプレーをしていたわけではなく試合終盤の話である。一つ目のチームクラルピはプレーオフに有利な立場で進出するために、9点以上の差で勝つ必要があったのだが、残り時間が少なくなりそれだけの差をつけるのは不可能になったので、延長に持ち込もうとして同点を狙い、相手のスパルタは、プレーオフに進出する際に僅差で負けるのが一番いい結果だったので、それぞれ点差の調整を自分のゴールに得点を決めることで行っていたということのようだ。

 審判も、このままではいけないと試合を終わらせることを考えたけれども、ルール上不可能だったと試合後メディアの取材に答えていた。没収試合で両者負けとかできなかったのだろうか。そもそもバスケットで、いやボールを使ったスポーツでわざと相手に得点を与えるような事態は、ルールでも想定されていないのだろう。
 結局僅差でクラルピが勝ち、スパルタの思惑通りの結果になったのだが、バスケットボール協会が黙っていなかった。サッカードラマの怪作「オクレスニー・プシェボル」のように下部リーグでの出来事であれば、関係者だけが知っているだけだから、臭いものには蓋をしろで放置されたのかもしれないが、今回は、完全なプロリーグではないだろうけど、国内で上から二番目のリーグでの出来事である。テレビカメラも入っていたようだし、対応は意外なほど早かった。

 協会の規律委員会では、両チームを今年のリーグから除名することを決定した。これは本来であれば進出できるプレーオフに進出できないばかりか、来期は三部リーグに落ちることを意味している。チーム側はこの決定に対して、異議を申し立てる権利を有しているので、これで降格とプレーオフの出場権剥奪が決定というわけではないが、ここまで全国的にニュースになってしまうと異議申し立てはしにくいだろう。申し立てたこと自体が次のニュースになるだろうし。期限自体は十五日以内になっているが、土曜日からプレーオフが始まる予定だから、今週の金曜日までに申し立てることになりそうだ。
 選手たちに直接指示をだしたであろう両チームの監督は、二ヶ月の資格停止、実際にプレーをした選手たちは一試合の出場停止という重いんだか、軽いんだかわからない処罰が下った。軽いと言えば両チームに科された罰金が千コルナ、うーん茶番だ。しかし、最高の茶番は、両チームが異議を申し立ててプレーオフに出場した場合、初戦で対戦することになっているという事実である。

 こんな出来事は、いかなチェコであっても二度と起こらない、と思いたい。
3月9日10時。



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