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2017年04月04日
エイプリルフール(四月一日)
新製品紹介の見開きページが、まるまる嘘の、嘘だけれどもあってもおかしくなさそうな製品の紹介に使われていた。もちろんページの下の方にエイプリルフールの企画であって云々という記載が入っていたのだが、最初の年はそれに気づかず、面白い商品を考える人がいるんだなあと信じてしまい、確か仕事帰りに秋葉原に寄って探してしまったのだった。
当時パソコンから出る電磁波というものが、体に悪影響を与えるなんて話が、まことしやかに語られていた。それを信じていたわけではないのだが、偽記事の中に備長炭を使った小物をデスクトップのパソコンの上に置くことで、電磁波を吸収できるという製品が紹介されていたのだ。そんなのありえねえだろうと思いつつ、あまりのばかばかしさに逆にありえるかもと思ってしまった。ついほしくなって、秋葉原の専門店に置かれていると書いてあるのを見て……、救いは、お店の人に質問しなかったことと、誰かに話をする前に記事がエイプリルフールだということに気づけたことだけである。
この企画、毎年楽しみにしていたのだが、何年かたつと行なわれなくなってしまった。だまされた読者からクレームでもついたのだろうか。編集後記に今年のエイプリルフール企画はどうでしたかなんてことも書いてあって、よく読めば嘘だということがわかるようになっていたのだけど。ネタ切れだったのかもしれない。
チェコ語で四月は、ドゥベンという。ただし、エイプリルフールに関係するときだけ、アプリルと呼ばれることになる。チェコのインターネットでは毎年このアプリルがエスカレートしているような印象がある。今年も、Seznamの地図が奇妙なものに改変されていたし、スパルタとスラビアが合併するなんて記事も出ていた。
正直な話、この手の企画は大々的にこれ見よがしにやられると興ざめ以外の何物でもない。見出しを見ただけでエイプリルフールの嘘だとわかってしまうような記事は、読みたいとも思わないので、チェコのネット上の企画記事も見出しだけ見て、記事は読まなかった。あの「アサヒパソコン」の記事が魅力的だったのは、普段は、他のパソコン雑誌と違って真面目な記事ばかり載せている雑誌がやるという意外性と、記事自体が信じてしまえそうで、信じてしまっても実害のないものだったおかげである。
さて、今年はプラハのハーフマラソンが、エイプリルフールに行なわれたのだけど、ちょっと目を疑ってしまった。女子の優勝した選手が、世界記録を更新するタイムでゴールした。それはいい。ただ、ゴールまで男性のペースメーカーに引っ張ってもらって、一緒にゴールしていたのだ。ペースメーカーって途中で外れるものじゃないのか。チェコ人の選手もチェコ記録を狙ってかペースメーカーにゴールまで引っ張ってもらっていたけれども、ペースメーカーがゴールまで先導したのが世界記録とか国の記録ってのは、かまわないのだろうか。市民ランナーがペースメーカーについて走って自己記録更新というのならともかく、なんだか狐につままれたような気になってしまった。
かつて、熱心に見ていたマラソンとか、陸上の長距離レースに興味が持てなくなったのは、記録を更新させるためとか称して大々的にペースメーカーが導入されるようになってからだった。昔は結構序盤から行けるところまで行けってな感じで独走する選手がでることもあって、最初から最後まで目が離せなかったけど、最近のマラソンはつまらなくなってしまった。ペースメーカーをぶっちぎって走るような選手が出てこないものだろうか。
そしてもう一つエイプリルフールの冗談っぽかったのが、サッカーのプルゼニュとテプリツェの試合である。テプリツェは日本ではほとんど知られていないようだが、実は日本の旭硝子の現地法人がオーナー、メインスポンサーとなったチームである。だからといって日本の選手がいるわけではないけど。
とまれ、その試合でプルゼニュが、コーナーキックでやらかした。コーナーからドリブルするというトリックプレーをしようとしたのだろうか。コピツが、ゼマンが近づいてくるのを見て、コーナーに置いたボールに軽く触れて動かしてから、コーナーを離れた。ゼマンがのんびりとボールに近づいているすきに、コピツがボールに触れたことに気づいたテプリツェの選手が、ゼマンを追い抜いてボールをかっさらってカウンター。プルゼニュの選手が戻り切れないうちに、ゴールが決まってしまった。チェコだからこんな冗談みたいな試合もあるよね。
4月2日22時。
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