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2017年04月22日

イースターのこと2(四月十九日)





 イースター、チェコ語のベリコノツェは、春を呼ぶ、もしくは春が来たことを祝う儀式なのだけど、ときどきとんでもなく寒くなることがある。確かチェコに来て一年目も、暖かくなってやっと春が来たと思って喜んでいたら、イースターの時期に突然冷え込んで雪が降ったのだった。そして雪が残る中、電車に乗って南モラビアの町に出かけたのだ。
 ただ、その年は確かイースターは三月のことでまだ納得できたのだが、今年は珍しく四月のイースターだというのに、イースター前から気温が下がり始めて、今日などオロモウツでも雪がぱらついていた。オロモウツ地方の山間部イェセニークの方では、道路に雪が積もって除雪車が出たり、通行止めになったりしたようだ。つい十日ほど前には、気温が二十五度を超えたと言って、ニュースになっていたのに。


 それはともかく、できるだけ早く、春に戻ってきてほしいものだ。土曜日には朝早くからプラハに出かける用事もあることだし。

 さて、チェコのイースターは一般的に言って女性の、女の子の、女の子のいる家庭の負担が大きい。男の子たちが、女の子のいる家庭を回って、ポムラスカ(地域によって呼び方が変わる)という柳か何かの若枝を編んで作った棒で、女の子をたたいて、棒の先に色とりどりのリボンを巻いてもらったり、装飾も豊かなイースターの卵をもらったりする。男の子じゃなくて成人している連中の場合には、そこにスリボビツェやウォッカなどの強いお酒が加わることも多い。
 そのイースターの卵について、今年は、ハナー地方では、卵の殻に装飾を描くのはやめて、模様の刺繍されたハンカチと一緒に卵を渡すようになっているというニュースがあった。いつ頃からのことなのかは聞き逃してしまったが、チェコでも肥沃な農耕地帯であるハナー地方では、こういう贅沢が許されたということだろうかと考えてしまった。

 もう一つ興味を引いたニュースが、南ボヘミアのプラハティツェ地方に残っているというイースターの卵を使ったニュースだった。卵合戦と言うと、石合戦のように卵を投げ合うイメージになるから、それではなくて、草相撲とか松葉相撲のように、二人で一対一で戦うものである。ただし引くのではなく、卵をぶつけ合う。攻撃側が上から、卵のちょっととがった先端部分で下の卵をつつく。下の卵が割れたら攻撃側の勝ちで、割れなかったら負けで、勝った方が負けたほうの卵をもらうことになるようだ。
 下で攻撃を受ける側には、を握るコツが、上から攻撃する側にはつつくときの力の入れ方にコツがあるようだけど、一番大切のは先端の部分の殻が厚くて硬くなっている卵を見つけることらしい。モラビアでは見たことも聞いたこともない風習である。ニュースに出てきた人の話では、かつてはボヘミア全体に広がっていた風習で、現在ではプラハティツェとその周辺にしか残っていないので、伝統が消えないように会場を確保して、人を集めて毎年イベントのようにして開催しているのだと言う。

 色鮮やかに装飾された卵が、一部とはいえ、割れてしまうのは、もったいないような気がしてならない。昔お土産にもらったイースターの卵を日本に持って帰ったときに、空港の荷物の扱いが手荒かったのか、開けてみたらひびが入っていて、ものすごくがっかりしたことがあるし。ただ、勝負に勝って相手の卵を手に入れた子供にとっては、そのきずもうれしいものなのかもしれない。
 ところで、対戦相手に勝って集めた卵、どうするんだろう?
4月20日23時。




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