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2018年11月26日
バビシュ政権の行方(十一月廿一日)
この内閣不信任案の提出にかかわっているのは、バビシュ氏の退陣を求めている市民民主党、海賊党、キリスト教民主同盟、TOP09党、市長無所属連合の5党と、バビシュ氏が社会民主党との連立を解消して自党と連立を組むことを求めているオカムラ党である。呉越同舟というには、オカムラ党の議員の数が少ないが、6党合わせての議席数は92で、課員の議席総数は200だから過半数に届いていない。
ということで、残る2党の動向が注目を集めいていたのだが、共産党は早々に内閣不信任案には賛成しないという姿勢を打ち出していた。つまりは採決に際して反対票を投じるということである。これで追い詰められたのが、ただでさえ出口のない袋小路に入り込んでしまった感のある社会民主党で、ぎりぎりまで党内で議論が続いていた。連立内閣に残るべきだという勢力もあれば、連立を解消するべきだという勢力もあって指導部は対応に苦慮していた。
ハマーチェク氏は、連立を解消しない理由としては、社会民主党が政権を離脱した場合には、ANOと共産党、オカムラ党の連立政権が成立する可能性が高いことを挙げていた。現在のバビシュ政権が、不信任案の可決で倒れたとしても、ゼマン大統領が再びバビシュ氏を首相に指名することは確実なのだから、今の政権が倒れるとことで、最悪の事態がもたらされる可能性があるというのだ。それは確かにその通りではあるのだけど、ANOやオカムラ党のこれ以上の台頭を防ぐためには、一度この最悪内閣を成立させたほうがいいかもしれないという気もする。できれば避けてほしいけど。
そして、もう一つ付け加えたのは、現時点で最善の解は、下院を解散して総選挙を行うべきだということだった。これには100パーセント賛成できる。理解できないのは、なぜ解散総選挙を実現する方向に積極的に動かないのかということである。恐らくは現時点で選挙が行なわれれば、社会民主党が議席を獲得できるかすら怪しいところまで有権者の支持を失っているからであろう。
ここで問題になるのは、不信任案、下院の解散が可決されるために必要な条件である。不信任案のほうは過半数の賛成で可決される。ただし出席議員、採決に参加した議員の過半数ではなく、議員総数の過半数、つまり101票の賛成があって始めて可決されるのである。だから社会民主党が採決に参加しないということは、野党側は可決させるために、ANOか共産党の議員の中から造反者を探さなければならないということである。宗教的なところのある共産党はもちろん、既存の政党のやり口にうんざりした人たちが集まっていると思われるANOからも造反者は出そうもない。
また議員による議決で下院を解散するためには、議員総数の60パーセント、つまり120票の賛成票が必要らしい。ANOが78議席持っていることを考えると、解散案を可決するためにはANO以外の全ての党が賛成しなければならないと言うことである。ここで共産党を説得し、野党勢力をも取りまとめて下院の解散に成功すれば、社会民主党は大きく株を上げて支持者が戻ってくる可能性もあったのに、野党側が105票以上集めたら社会民主党の議員もそれに加わるという何とも中途半端な発表をした。社会民主党の15票を合わせれば、120を超えて解散が可能になるということなのだろうが、ANOとの関係の悪化を恐れたのか、社会民主党は動きそうにない。解散が実現しなかったとしても、下院の解散に向けて積極的に動く姿勢を見せるだけでも有権者に与える印象は違ったと思うんだけどねえ。
ということで、採決の二日前水曜日の時点では、社会民主党の議員が採決に参加せず、共産党の議員は反対票を投じることが確定しているので、バビシュ内閣は現在の社会民主党との連立の形で継続することが確実視されている。
2018年11月21日23時35分。