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2019年04月07日

バロシュ版、神の見えざる手(四月五日)




 マラドーナで一番印象に残っているのは、メキシコワールドカップで見せたヘディングのふりをして手でボールをゴールに放り込むというプレーと、それを神の手と言い切ってしまったことだ。これが後のお騒がせの発端だったのかもしれない。当時はサッカーを熱心に追いかけていたというわけではないから、それ以前からあれこれやらかしていた可能性も高いけど。

 チェコのサッカー界で、お騒がせものというと、マラドーナほど世界的な選手ではないけど、トマーシュ・ジェプカと、ミラン・バロシュの名前が思い浮かぶ。いや、単なるお騒がせものなら、シマークとかフェニンとか、いくらでもいるのだ。でも、マラドーナと並べるならある程度実績を残した選手でなければということでのこの二人である。
 ジェプカは、スパルタからイタリア、イングランドのチームで活躍してスパルタに戻ってきて引退した選手なのだけど、引退前も引退後も、あれこれ問題を起こしてゴシップ紙に話題を提供し続けている。最近も別れた奥さんだか恋人だかに対して、ネット上で中傷するコメントをしたとかで警察沙汰になったとか、現役時代に稼いだお金が一線も残っていないから養育費なんて払えないといっているとかいうニュースをちらっと読んだ記憶がある。
 バロシュは、いまだに現役を続けていてオストラバの中心選手として活躍している。バロシュを世界的に有名にしたのは、2004年のチェコが準決勝にまで進出したヨーロッパ選手権で得点王に輝いたことと、その何年かあとに当時プレーしていたフランスで、高速道路を300キロ近いスピードで走っていて警察に捕まったことである。当時は不振にあえいでいた時期で久しぶりにバロシュのニュースだと思ったら警察のお世話になったというもので、チェコサッカーのファンはがっかりしたものである。

 さて、そのバロシュがまた一歩マラドーナに近づいた。先日行なわれたMOLカップと呼ばれるチェコサッカー協会のカップ戦の準々決勝で疑惑のゴールを決めたのだ。スローで映像を見てもマラドーナの神の手ほどは、はっきりとわからないのだけど、 このスポルトに載った写真 をみると結構怪しい。
 このゴールに関してバロシュ本人のコメントは現時点では聞こえてきていない。対戦相手のリベレツの選手たちは、ハンドだと言って強く抗議したらしいが、審判は得点を認めた。試合後はリベレツ側はいまさらなにをっても仕方がないという態度だったし、オストラバ側は、監督が80メートル先のことで目で見てわかるかよ的なコメントを残したのを筆頭に、みんな自分は気づかなかったとか言っているようである。遠くはなれたところにいた監督はともかく、相手のハンドは確実に見るくせに、味方のハンドは見えないのがサッカー選手の目なのだろう。
 これで、バニークはMOLカップの準決勝に進出し、オロモウツに勝ったボヘミアンズと対戦することになった。もう一つの準決勝はプラハダービーのスラビアとスパルタの対戦である。

 この二チームに関しては、ちょっと面白い話があって、ヨーロッパカップの準々決勝でスラビアと対戦することになったイングランドのチェルシーが、準々決勝のチケットの販売を始めたのだが、対戦相手がスラビアではなく、スパルタになっていたらしい。
 問題はこのニュースが四月一日のものだったことで、本当にチェルシーが誤認したのか、チェルシーが仕掛けたエイプリルフールだったのか、通信社が仕掛けたエイプリルフールだったのか判然としない。続報がないところを見るとエイプリルフールのねただったんじゃないかとも思えるんだけどね。これが冗談だったとしてもスラビアとチェルシーの準々決勝は問題含みなのである。
 スラビアがホームでの試合のチケットの販売を開始すると、すぐに完売したしたのだが、その後、UEFAからチェルシーとの試合では、観客席の一部を使用禁止にするという命令が届いた。これは前の試合でスラビアファンがやらかしたことに対するペナルティとして科されたことらしいが、すでに全席売れているわけで、試用できない席の払い戻しをするにしても購入者が素直に応じてくれるかどうかわからない、スラビアはこの罰の延期を求めて提訴したが、却下されたという。チケット購入しながらスタジアムに入れなかった連中が暴動を起さなければいいのだけど。

 日本ではいまだに信奉者の多い、スポーツが人間性を涵養するなんてのはでたらめもいいところだとサッカーをめぐる人々を見ていると思わずにはいられない。
2019年4月6日23時。











タグ: サッカー
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