【 鉄筋コンクリート構造 】
( 1 )
鉄筋コンクリート構造に関する記述として、 最も不適当なものはどれか。(令和4年前期_No.4)
1.大梁は、曲げ破壊よりもせん断破壊を先行するように設計する。
2.柱は、軸方向の圧縮力、曲げモーメント及びせん断力に耐えられるように設計する。
3.床スラブの厚さは、8cm以上で設計する。
4.耐力壁の厚さは、12cm以上で設計する。
答え
1
[ 解答解説 ]
1.×
大梁などの破壊形式は、脆性破壊(粘りがなくもろい破壊)を生じさせないために、降伏しながら変形が進むうちに 地震エネルギーを吸収できる曲げ降伏型とする。せん断破壊は、脆性破壊の要因となる。
2.◯
柱は、梁とともに ラーメン構造の骨組を構成している。地震時には 鉛直荷重による圧縮力のほか、大きな曲げモーメントとせん断力が生じるのでこれに耐えられるように設計する。また、柱はできるだけ等間隔に配置し、基本的に各階とも同じ位置になるようにする。
3.◯
床スラブの厚さは、 8cm以上で設計しなければならない。構造耐力上主要な部分である床版は、建築基準法施行令第77条の2第1項で以上のように定める構造としなければならないと規定されている。
一 厚さは、 8cm以上とし、かつ、短辺方向における有効張り間長さの 1/40以上とすること。
二 最大曲げモーメントを受ける部分における引張鉄筋の間隔は、 短辺方向において 20cm以下、長辺方向において 30cm以下で、かつ、床版の厚さの3倍以下とすること。
4.◯
耐力壁の厚さは、 12cm以上で設計しなければならない。耐力壁は、同法施行令第78条の2第1項で以下のように定める構造としなければと規定されている。
一 厚さは、 12cm以上とすること。
二 開口部周囲に 径12mm以上の補強筋を配置すること。
三 径 9mm以上の鉄筋を縦横に 30cm(複配筋として配置する場合においては 45cm)以下の間隔で配置すること。ただし、 平家建ての建築物にあっては、その間隔を 35cm(複配筋として配置する場合においては、50cm)以下とすることができる。
四 周囲の柱及びはりとの接合部は、その部分の存在応力を伝えることができるものとすること。
( 2 )
鉄筋コンクリート構造に関する記述として、 最も不適当なものはどれか。(令和2年後期_No.4)
1.片持ちスラブの厚さは、原則として、持出し長さの1/10以上とする。
2.柱の最小径は、原則として、その構造耐力上主要な支点間の距離の1/20以上とする。
3.腰壁やたれ壁が付いた柱は、地震時にせん断破壊を起こしやすい。
4.大梁は、せん断破壊よりも曲げ降伏が先行するように設計する。
答え
2
[ 解答解説 ]
1.◯
片持ちスラブ(チャンチスラブ)とは、ひさしやバルコニーのように突出した床のことをいう。片持ちスラブの厚さは、持出し長さ(突出している長さ)の 1/10以上とする必要がある。
2.×
柱の最小径は、その構造耐力上主要な支点間の距離の 1/15 以上とする。ただし、国土交通大臣が定める基準に従った構造計算によって構造耐力上安全であることが確かめられた場合においては、この限りでない。(建築基準法施行令第77条第五号)
3.◯
腰壁やたれ壁が付いた短柱は、地震発生時に せん断破壊を起こしやすい。
4.◯
大梁は、せん断破壊される前に曲がるよう、せん断破壊よりも 曲げ降伏が先行するように設計する。
( 3 )
鉄筋コンクリート造の構造形式に関する一般的な記述として、 最も不適当なものはどれか。(令和3年後期_No.4)
1.シェル構造は、薄く湾曲した版を用いた構造で、大きな空間をつくることができる。
2.壁式鉄筋コンクリート構造は、室内に梁形や柱形が突き出ないため、室内空間を有効に利用できる。
3.フラットスラブ構造は、鉄筋コンクリートの腰壁が梁を兼ねる構造で、室内空間を有効に利用できる。
4.ラーメン構造は、柱と梁の接合部を剛接合とした骨組で、自由度の高い空間をつくることができる。
答え
3
[ 解答解説 ]
1.◯
薄く湾曲した版を用いた構造をシェル構造といい、大きな空間をつくることができる。ドームの屋根などに用いられる。
2.◯
柱や梁を用いず、 壁とスラブのみつくられた構造を壁式鉄筋コンクリート構造といい、梁形や柱形が室内にないため、室内空間を有効に利用できる。
3.×
フラットスラブ構造は、 柱とスラブを直結して梁をなくした構造で、室内空間を有効に利用できる。
4.◯
柱と梁の接合部を剛接合とした構造をラーメン構造といい、設計において自由度の高い空間をつくることができる。
( 4 )
鉄筋コンクリート構造に関する記述として、 最も不適当なものはどれか。(令和3年前期_No.5)
1.柱の出隅部の主筋には、末端部にフックを付ける。
2.梁は、圧縮側の鉄筋量を増やすと、クリープによるたわみが小さくなる。
3.梁主筋とコンクリートの許容付着応力度は、上端筋より下端筋の方が大きい。
4.コンクリートの設計基準強度が高くなると、鉄筋とコンクリートの許容付着応力度は低くなる。
答え
4
[ 解答解説 ]
1.◯
建築基準法施行令第73条に「鉄筋の末端は、かぎ状に折り曲げて、コンクリートから抜け出ないように定着しなければならない。」と規定されている。従って、柱の出隅部の主筋には、 末端部にかぎ状に折り曲げたフックを付ける必要がある。
2.◯
クリープとは、長期間の荷重によりひずみが徐々に大きくなる現象をいう。梁にクリープが発生するとコンクリートの圧縮力が低下するため、鉄筋を増やして 鉄筋に圧縮力を負担させると、クリープによるたわみを小さくすることができる。
3.◯
梁のコンクリートを打設したとき、梁主筋の上端筋周りのコンクリートは重力の影響で沈下し、付着性能が低下するので、梁主筋の 上端筋は、許容される付着応力度を小さくする必要がある。したがって、梁主筋とコンクリートの許容付着応力度は、 上端筋より下端筋の方が大きい。
4.×
鉄筋のコンクリートに対する許容付着応力度は、鉄筋の位置及び設計基準強度 22.5N/mm 2
以下の場合、22,5N/mm 2
を超える場合に応じて異なる式が掲げられている。(建築基準法施行令第91条第1項、平成12年建設省告示第1450号) 設計基準強度 22.5N/mm 2
を超える場合の方が、22.5N/mm 2
以下の場合よりも 許容付着応力度は高くなる。
( 5 )
鉄筋コンクリート構造に関する記述として、 最も不適当なものはどれか。(令和元年前期_No.5)
1. 構造耐力上主要な部分である柱の主筋の断面積の和は、コンクリートの断面積の 0.4 %以上とする。
2. 構造耐力上主要な部分である柱の帯筋比は、0.2 % 以上とする。
3. 梁の幅止め筋は、腹筋間に架け渡したもので、あばら筋の振れ止め及びはらみ止めの働きをする。
4. 構造耐力上主要な部分である梁は、全スパンにわたり複筋梁とする。
答え
1
[ 解答解説 ]
1.×
建築基準法施行令第77条第六号に「構造耐力上主要な部分である柱の 主筋の断面積の和は、コンクリートの断面積の 0.8 %以上とする。」旨、規定されている。
2.◯
建築基準法施行令第77条第四号に「構造耐力上主要な部分である柱の 帯筋比(コンクリートの断面積に対する帯筋の断面積の比)は、 0.2 % 以上とする。」旨、規定されている。
3.◯
梁の 幅止め筋とは、腹筋間に架け渡した鉄筋をいい、 あばら筋の振れ止めとはらみ防止のために用いられる。
4.◯
建築基準法施行令第78条に「構造耐力上主要な部分であるはりは、 複筋ばりとし、これにあばら筋をはりの丈の4分の3(臥梁にあっては、30cm)以下の間隔で配置しなければならない。」と規定されている。
( 6 )
鉄筋コンクリート構造に関する記述として、 最も不適当なものはどれか。(令和元年後期_No.4)
1.耐震壁の壁量は、地震力などの水平力を負担させるため、下階よりも上階が多くなるようにする。
2.大梁は、床の鉛直荷重を支えるとともに、柱をつなぎ地震力などの水平力にも抵抗する部材である。
3.柱と梁の接合部を剛接合とした純ラーメン構造は、骨組みで地震力などの水平力に抵抗する構造である。
4.床スラブは、床の鉛直荷重を梁に伝えるとともに、架構を一体化し地震力などの水平力に抵抗させる役割も持っている。
答え
1
[ 解答解説 ]
1.×
耐震壁の壁量は、 上階よりも下階が多くなるようにすることが、耐震構造上、有効である。
2.◯
大梁とは、 床の鉛直荷重を支え、柱をつないで、地震力などの 水平力にも抵抗する部材をいう。
3.◯
柱と梁の接合部を剛接合とした構造をラーメン構造といい、ラーメン構造のみで構成された構造を純ラーメン構造という。純ラーメン構造は、 柱と梁の骨組みにより、地震力などの水平力に抵抗する構造である。
4.◯
床スラブは、 床の鉛直荷重を梁に伝える役割とともに、水平面を構成することで架構を一体化し、地震力などの水平力に抵抗させる役割も担っている。
( 7 )
鉄筋コンクリート構造に関する記述として、 最も不適当なものはどれか。(平成30年前期_No.4)
1.片持ちスラブの厚さは、持出し長さの1/10以上とする。
2.コンクリートの長期の許容圧縮応力度は、設計基準強度の1/3とする。
3.腰壁や垂れ壁が付いた柱は、地震時にせん断破壊を起こしにくい。
4.耐震壁は、上階、下階とも同じ位置になるように設けるのがよい。
答え
3
[ 解答解説 ]
1.◯
片持ちスラブの厚さは、持出し長さの1/10以上とする。
2.◯
コンクリートの長期の許容圧縮応力度は、設計基準強度の1/3とする。
3.×
腰壁や垂れ壁が付いた柱は短柱となり、地震時にせん断破壊を起こしやすい。
一般に、腰壁や垂れ壁の柱際にはスリットで縁をきるケースがある。
4.◯
耐震壁は、上階、下階とも同じ位置に設置するのが望ましい。
( 8 )
鉄筋コンクリート構造に関する記述として、 最も不適当なものはどれか。(平成30年後期_No.5)
1. 鉄筋は、引張力だけでなく圧縮力に対しても有効に働く。
2. 梁のせん断補強筋をあばら筋という。
3. 柱のせん断補強筋は、柱の上下端部より中央部の間隔を密にする。
4. コンクリートの設計基準強度が高くなると、鉄筋のコンクリートに対する許容付着応力度は高くなる。
答え
3
[ 解答解説 ]
1.◯
鉄筋は、引張力だけでなく圧縮力に対しても有効に働く。
2.◯
梁のせん断補強筋をあばら筋という。
3.×
柱のせん断補強筋は、柱の中央部より上下端部の間隔を密にする。
4.◯
鉄筋のコンクリートに対する許容付着応力度は、鉄筋の位置及び設計基準強度 22.5N/mm 2
以下の場合、22,5N/mm 2
を超える場合に応じて異なる式が掲げられている。(建築基準法施行令第91条第1項、平成12年建設省告示第1450号) 設計基準強度 22.5N/mm 2
を超える場合の方が、22.5N/mm 2
以下の場合よりも 許容付着応力度は高くなる。
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