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アミューズに続いて、前菜はイベリコ豚のプレサ(霜降り赤身肉)のスモークハムとラルドのスモークのサラダ仕立て。 霜降り和牛のようなイベリコ豚のプレサは、肩ロースの中から取り出される希少な部位で、一頭で1キロほどしかない。ラルドは、脂がたっぷりのバラ肉を使った生ベーコン。もちろんどちらも私が作った自家製です。霜降り馬刺しとタテガミ(馬の首筋の脂身)のような関係で、ハムとラルドを少しずつ一緒に食べると美味しい。 続いて、ときめき鶏とオマール海老のコンソメ。地鶏のコンソメをベースにオマールのガラやみそなどをたっぷり加えて卵白で完全に澄ましたコンソメです。最後の仕上げにコニャックを加え、葛たたきにしたオマールの身を湯通しして加えてある。 見た目からは信じられないほど海老の風味が強い。アメリケーヌソース並みの海老味で、片栗粉をつけて湯通ししたオマールの身がツルンとしていてさらに美味しさを加速する。 これが、三つ星シェフ、ベルナール・パコー風のエイヒレとキャベツのシェリーヴィネガー風味。大きなエイのヒレを卸して軟骨を取り去り、クールブイヨンで茹でて火を通す。キャベツは少量のバターで鍋に蓋をしてスエ(弱火で汗をかかせるように火を通す)する。エイの水気を切り、キャベツの上に盛り付ける。極上のシェリーヴィネガーを強火で煮詰め、酸味がピークに鋭くなったところで冷蔵庫の固いバターをサイコロ状にしたものを次々に加えアワ立て器で攪拌してソースをリエ(とろみをつける)する。塩胡椒で味を調えソースとする。エイにソースをかけ、黒コショウを挽き、フルー・ド・セルを少し振り。シブレットを飾る。 これがまた、何んとも美味しい!!ベルナール・パコーさんが、現東京三田のコート・ドールの斉須政雄シェフと組んでパリでやっていたランブロワジーが、ミシュランの星を得て一流店に上がっていく頃の伝説的な料理だ。私にとっては20世紀最高の魚料理の名作のひとつという感じです。この料理のポイントはソースの容赦のない酸味!最も酸味が強いシェリーヴィネガーを使い、その酸味のピークの瞬間をソースにするのだ。斉須シェフのそのエッセイの中で、「僕らが食べさせたかったのはこの酸っぱいソース」と言っている。コート・ドールにこの料理を食べに行くと、一皿で9周年コース全部くらいのお値段ですから、お得ですよ!(笑) メインは、エゾ鹿とフォアグラとトリュフのロッシーニ風。これはもう説明の必要はないですね。クラシックの王道です。 ほんの一口、自宅の庭のゆずとレモンを使ったシャーベット。ものすごく酸っぱい。これで口直し。 デザートはとびきりのショコラ、フランスヴァローナ社のカライブ(カリブ)を使ったショコラのテリーヌ。カリブ諸島原産の“トリニタニオ種”という最高のカカオのみで作られたショコラを使っている。 テリーヌの上にコニャック風味のホイップクリームを乗せ、ヴァローナのグアナラというカカオ分が世界最高濃度ショコラで作ったシャーベットを乗せて、フランボワーズのクーリとフィナンシェを添えてある。 私のデザート史上最高といってもいいくらいこれは美味しいデザートです。そして最後の締めは、、、 さかもとこーひーのサンク・オ・ピエ9周年ブレンド。最高です。
Feb 28, 2010

これは、自宅の庭のレモン。今年は50個以上とれました。9周年コースのシャーベットになります。 ところで、大変困ったことになりました。20年あまりお付き合いさせてもらった仕入先のM社が会社を閉じることになったのだ。思えば、私が千葉県八千代市のムーンライズのシェフになった88年ごろ、当時の食材の状況は今とは比べ物にならないもので、、、例えば、フランス料理に欠かせないフォン・ド・ヴォー(仔牛のだし汁)を作るのに仔牛の骨を使いたくても手に入らなかったのだ。当時の業界誌「専門料理」などを見ても、結構一流のフレンチのシェフたちが、座談会などで「仔牛の骨はなかなか手に入らないから、うちは牛骨と鶏ガラでフォンをとっている。」などとぼやいている時代だったのだ。 90年代半ば過ぎくらいになってやっとレストラン卸の肉屋さんなら仔牛の骨がいつでも手に入るという状況になった。つまり、80年代後半からの10年間位で、フランス料理に関する食材環境は劇的に変化したといえる。とくにその頃のバブル景気もあって、フランス料理店が街場に多くなったことも大きく影響しているだろう。その後にイタリアンブームが続き、ヨーロッパに旅行に行ってくる人も増えたために、今ではかなりお客様の味覚も成熟してきて、ヨーロッパの食文化が定着してきた感がある。 そんな中、まさにその88年ごろにM社に出会い、初めて仔牛の骨を手にし、フレッシュのフォアグラに触れ、本物のオリーヴオイルやワインヴィネガー、AOCのチーズ!あの興奮は今でもはっきりと思い出される。「ああ、これでやっと本当の仕事ができる!」という気持ち。 今でもM社からは、フォアグラ、トリュフ、シャラン産の窒息鴨、イベリコ豚、子羊、仔牛の内臓、オリーヴオイル、チーズ、オマール海老などうちのメインとなるほとんどの食材を仕入れているのだ。それがなくなってしまうのだから、大変困ったことになるのだ。 もちろん無責任にただ会社を閉めてしまうわけではなく、今後も私が材料をうまく仕入れできるように各方面に手配してくれているのだが、、、何しろ、M社の渡辺社長とは20年あまりの付き合いでツーカーの仲だったので、かなりショックなんですね。 私の仕事は、人が人のために手をかけた料理という考えなので、食材も人から仕入れるという考え方なんです。ただ注文したものを持ってきておしまいというのではなく、情報交換したり、お互い評価しあったりして、良い関係を築いていきたいという方針なんですね。 渡辺社長とはまさにそんな関係でしたから、、、新しいものが入ればいつもいち早く紹介してくれましたし、私も雑誌などで仕入れた情報から社長に新しい食材を探してもらったりして、それに対して率直に意見を交換し合ってきました。 よく渡辺社長が、「クレームをくれるお客さんならいっぱいいるけど(そのクレームもほとんどが身勝手なものなんですが、、)新しい食材が素晴らしいと言ってわざわざ連絡くれるなんて中村さんだけだよ。」なんてよく言ってましたね。 身勝手なクレームというのは、例えば最高級のシャランの鴨にしても焼く技術が稚拙だと、固くて臭いしかも高いという最低の料理になってしまう。焼きすぎたフォアグラが溶けてしまったりするのを食材のせいにするのはお門違いという系統のものが多いようだ。技術のなさを食材のせいにするというわけだ。 だから、渡辺社長に新しい高級食材のサンプルなどをもらうと、注意深く調理して素材の性質を見極めて、「これは確かに美味しいが、調理が難しいから誰彼かまわず進めないほうがいいですよ」とか、「これは解りやすいから、みんなに進めたほうがよい」とか、率直に意見してました。 そんな中先日わざわざ社長が店に来て、「実は3月の20日で会社を閉めることにしました。」という話で、ショックを受けたわけです。長年やってきたけど、サンク・オ・ピエのような食材を使う店がどんどん減ってきたという。安くて手がかからない便利なものばかり要求されるというのだ。そんなものは他から仕入れてくれということになると、だんだん商売が成り立たなくなってきた。このままでは、やっていけないし、何より社長自身のモチベーションがもう維持できないというのが本音らしい。 サンク・オ・ピエは10年目を迎え、おかげさまでやっと安定してお客様が入ってくれるようになってきたというのに、他は惨憺たる状況だったのか?どうも、千葉で唯一といえる特殊食材の会社が閉社というのだから、そういうことなのだろう、、、。そういう意味でもショックが大きい。 とにかく私の仕事は素材ありきなので、良い材料がなければ何も始まらないのだ。最高の食材で最低の料理にもなりうるが、最高の料理が最低の材料から生まれることは絶対にないからだ。 しかし、渡辺社長にはどれだけ世話になったことか!残念なことですが、お疲れさまでした。ありがとうございました。としか贈る言葉はない。 確かに昔に比べて、望めば何でも手に入るようになった半面、料理人の技術はむしろ後退している感がある。コンピューター制御のコンベクションオーブンなどを使い慣れると、火加減が数字でしかコントロールできなくなるし、肉にしても野菜にしてもカット済掃除済のものが主流だし、そうなると鶏を卸したり、魚を卸すこともなくなるから、包丁の技術も身に付かない。調理済みのレトルト食品やソースやスープやだし汁などもかなりレベルアップしてきているから、店によってはプロの技術者が必要ない。(多くのチェーン展開の店がそういう状況だろう) 仮にうちの店で学生アルバイトを雇って、玉ねぎでも切らせて、指でも怪我させてしまったら、親が怒鳴り込んでくるなんて言うことになりかねない世の中ではある。いろいろやりずらいことになってきている。 人件費と食材原価を削減しての価格競争は、どっちが先に音を上げるかということになってしまうから、消費者にとってはどうなんだろう?と思うことが多い。安ければいいという安易な消費者もいるかもしれないが、もう少し金を払ってもいいからもうちょっとまともなものが食べたいという消費者も多いはずだ。少なくとも、サンク・オ・ピエのお客様は、安い早いうまいではなく、本当に美味しいものは、時間もかかるしそれなりにお金もかかることを知っている方たちだ。 ありがたいことです。これからもよろしくお願いします。 そしてもう一度最後に渡辺社長、ありがとうございました。そしてお疲れさまでした。感謝です。
Feb 25, 2010

サイコロより少し大きめにもち豚とフォアグラを切ってそれをもち豚のミンチでまとめたテリーヌ。右奥の茶色のものは、ジュレ・ド・コション。つまり豚のコラーゲンゼリー。豚の尻尾の肉をオーブンでこんがり焼いて、やはりこんがり炒めた香味野菜とともに出汁をとったもので、コラーゲンが豊富なので冷やせばこのように固まる。 先週末に仕込んで、昨日から使っています。しばらく肉のテリーヌはこれ。アルザスのゲヴェルツトラミネールの白ワインとか、シェリーのアモンチリャード、またはボジョレーなどの軽い赤ワインなどもいいですね。
Feb 24, 2010

2月22日は、ニャンニャンニャンで猫の日だそうです。まあ、うちの子たちは淡々と暮らしてます。昨日21日はサンク・オ・ピエの開店記念日でした。9周年を迎え、今日から10年目です。 まるで牛肉のようなこの肉が、9周年記念コースの前菜に使うイベリコ豚のベジョータのプレサという肉。肩ロースの中から取り出した霜降りの赤身肉。これを塩漬けにして、低温でゆっくり火を通し、冷燻にかけてスモークハムにします。 昨日は、さかもとこーひーからサンク・オ・ピエ9周年記念コース用のスペシャルブレンドが届きました。先日、9周年記念コースのコーヒーは何をお願いしようかなぁ?と考えていたら、さかもとさんからメールが、、、“こんにちは、坂本です。 「 サンク・オ・ピエ9周年記念ブレンド」出来ました。 ヴァローナのチョコからイメージしました。グアテマラ・エルインフェルトとコスタリカCOEサンティアゴで 上手くいったと思います。”と、いうわけで先手を打たれました(笑) それが、このこーひー。なんと、世界オークション一位とカップオブエクセレンスのブレンドというゴージャスさ!ワインに例えるなら、ロマネコンティとシャトーマルゴーを混ぜてしまったような??料理でもいえるのだが、あまりに完成度の高いもの同士の組み合わせというのは、実はリスキーで難しい。ともするとゴージャスさを通り越して過剰になってしまうからだ。 ちょっとドキドキしながら味わってみると、、、不思議なことに過剰どころか、それぞれの豆の単体よりもずっとおとなしめで、優しい味わい。ゆっくり口に含んで飲み込むと、思わずしみじみとしてしまうような、繊細なニュアンスが後味として残り、それを確かめたくてもう一口ほしくなる。さらに良く味わうと、優しさの中に包まれるようにして、酸味や苦み甘みがバランスよく、香りも、、、はちみつやカラメル、花や柑橘系、ベリー系、ショコラやナッツの香りと、、、実に複雑。さすがさかもとさん!いい仕事します。これで9周年コースの食後もさらに幸せなものになるでしょう! もうひとつ、春向けのさかもとこーひーの定番ブレンド、ミモザカフェ。こちらは、まず軽やかにスーッと入ってきて、フィニッシュに程よい苦みとタンニンが感じられて、焼き菓子系のケーキが実に美味しく感じられます。最近のうちのデザートなら、チーズケーキやオレンジケーキそれにフィナンシェなどですね。
Feb 22, 2010
2001年の2月21日に開店したサンク・オ・ピエも間もなく9周年を迎えます。これもひとえにご支援いただいたお客様のお陰です。ありがとうございます。 先日50歳になったときと同じく、もう10年目に入るのかと思うとあまり実感はないですね。日々夢中でやってきましたから、、、。私たちの仕事は細かい事を一つ一つ積み重ねてゆくので、瞬間瞬間が真剣勝負ですから、実のところ去年の記念コースの詳細も調べなくては解らないほどです。 毎年のこの記念コースでは、続けて行くうちに3つのテーマが自然に出来上がってきました。まず一つは、原価がかかりすぎたり手間がかかりすぎたりして普段ではなかなかできないクラッシックな料理を作ること。2つ目は、三つ星やその他有名シェフの名作料理を再現すること。もう一つは、ユニークなデザートを作ること。 今回、デザートにAOCのレンズ豆を使ったフレンチ風のあんみつなども考えていたのですが、とある素材の魅力に抗しきれずデザートは結構オーソドックスになりましたが、、、、。 サンク・オ・ピエ9周年記念コース2月20日より3月20日ごろまで2~3日前までにご予約ください。2名様より(お一人様¥9,000)MenuAmuseお楽しみアミューズCote de Cochon d'Iberico de bellota fume et lardo avec Saladeシェフの手作りイベリコ豚ベジョータのスモークハムとラルド自家菜園の有機野菜のサラダ添えConsomme de Homard et poulet de TOKIMEKIqueue de homard farineeオマール海老とときめき鶏のコンソメオマール海老の葛たたき入りEtouffee de aile de raie au chou vertbeurre de vinaigre de vin de xeres,Bernard Pacoud三ツ星シェフ・ベルナール・パコー風エイヒレとキャベツのシェリー酒ヴィネガー風味Cote de chvreuil ,foie gras et truffe Rossiniエゾシカの背肉,フォアグラ、トリュフのロッシーニ風Sorbet de citron et yuzu自家菜園の有機レモンと柚子のソルベ2 Desserts de2 Chocolat de VALONAフランス最高級クーベルチュールショコラ、ヴァローナ社の2種類のショコラによる2種類のデザートCafe de SAKMOTO ou the 2 painsさかもとこーひー又は紅茶、2種類のパンアレルギーや苦手な食材がございましたら、メニュー変更もできます。お気軽にお申し付けください。 以上のような内容となります。 まずはアミューズ。これは何が出るかお楽しみ。続く、前菜はスペイン産のイベリコ豚の最高級ベジョータの肩ロースを使ったシェフの手作りスモークハムと脂の旨味たっぷりのバラ肉のラルドのサラダ添えです。イベリコ豚ベジョータの肩ロースはサンク・オ・ピエ初登場です。 続くスープは、オマール海老とときめき鶏のコンソメにオマールの葛たたき入り。まず、ときめき鶏のフォン・ブランを仕込みます。ときめき鶏のガラと手羽先と野菜でだしをとります。あくを徹底的に取って綺麗な出汁にします。これがフォン・ブラン。翌日そこにときめき鶏の胸肉のミンチと野菜、それにオマール海老の尻尾以外の身や殻やみそなどもすべて細かくしてたくさん加えて、あく取りのための卵白も加えてコンソメをとります。浮き実にオマール海老の葛たたきを入れます。 葛たたきというのは、和食の技法でオマール海老のの尻尾を適当な大きさに切って、下味をつけ葛粉や片栗粉またはコーンスターチなどをまぶしてからスープで軽く火を通すのだ。ツルンとした触感が出るし、粉が皮膜となって旨味も逃がさない。 これは、オマール海老のほとんどを出汁に使ってしまうという贅沢なスープ。原価と手間を考えるとそうそう滅多にできるものではないですね。 次の魚料理は、パリの三つ星の名店「ランブロワジー」のシェフ・ベルナール・パコー氏とその店の創成期の相棒だった現東京三田の「コート・ドール」のシェフ・斉須政雄氏の名作料理で、エイヒレとキャベツのシェリー酒ヴィネガー風味です。 北海道辺りではカスベとも言いますが、ガンギエイのヒレを使います。フランスでもよく食べます。白身でしっとりした感じの肉で、見た目は大きなヒラメの縁側のような感じです。これをクールブイヨン(ハーブや香味野菜と白ワインを入れたブイヨン)でポシェ(茹でる)します。冬の美味しいキャベツは、少しのバターでスエ(汗をかかすくらいに弱火で炒める)する。キャベツにエイヒレを乗せシェリー酒ヴィネガーとバターだけで作ったものすごく酸っぱいソースをかけ、シブレット(万能ネギでもOK)の細切りを散らし、強めの胡椒で仕上げる。 とてもシンプルな料理だが、食べるとちょっと忘れられないくらいのインパクトがある。20世紀フレンチ史上の名作といえる料理のひとつでしょう。斉須シェフのは一度食べたことがあるので、どこまで再現できるか?自分でも楽しみです! メインは、エゾシカのロッシーニ風です。エゾ鹿の背肉(牛でいえばサーロインの部分の芯)は、私得意の弱火の長時間ローストで柔らかく仕上げる。フォアグラのソテーを乗せ、トリュフのソースでまとめる。このトリュフはクリスマス後に取り寄せて冷凍しておいたものです。赤身の肉にフォアグラとトリュフという鉄壁の組み合わせですね! デザートは、自宅庭のレモンと柚子で作ったシャーベットを挟んで、フランス産の最高級クーベルチュールチョコレート、ヴァローナを使った2種のデザートです。 三ツ星レストランのシェフやカリスマパティシェ・ピエール・エルメなども愛用するチョコレートです。普段使っているベルギーのカレボーのチョコレートも王室御用達だし、あのゴディヴァの原料になっているくらいですから、とてもよいチョコレートなんですが、ヴァローナはちょっと格が違います。値段も倍近いですし、コーヒーでいえばブレンドものともいえる各地のカカオを配合した銘柄や、ストレートものに匹敵する一つの産地一種のカカオだけで作った製品など用途別に香りや苦みや酸味などが特化されたさまざまな製品があり使いこなすだけでもかなりの経験と知識が必要なんです。私も10数年前に使ったことがあったが、今思うと全く歯が立たなかった記憶があります。使いこなせませんでしたね。 最近、デザートに関しては焼き菓子とショコラにはまっています。焼き菓子はやはり原点的で、一番簡単ですが奥が深い。フィナンシェやパウンド系の生地などシンプルなんですが難しいです。それからショコラ。ヨーロッパでは、パティシェ(生菓子、焼き菓子)とブーランジェ(パン、焼き菓子、菓子パン)とは別にショコラティエ(チョコレート専門)と職業が分かれているくらいで、チョコだけで一生ものの仕事なのだ。 全く食の世界は奥が深く、経験を積むほどに知らないことばかりだと気づかされます。無知の知と言いますか、、、知るとは知らぬことを知るということなんですね。 学生時代は、物理をやっていたくらいですから物事を深く(必要以上に?)考えるのが好きなんです。去年から使わせてもらっているさかもとこーひー、さかもとさんの作る世界でもトップクラスのコーヒー豆を使ったスペシャリティ・コーヒーにも触発されてますね。あれだけのコーヒーを出すとなると、、、半端なデザートではねぇということになり、、。うちで食事をしたさかもとさんが、またすごいこーひーを作るというスパイラル。ソムリエの友人もこのワインに合わせて何か作ってと、挑戦してきます。良い意味で、容赦のない切磋琢磨の関係。楽しいですね。仕事が楽しいというのは、幸せなことですね! 9周年コースのご予約やお問い合わせはこちらです。
Feb 15, 2010

サンク・オ・ピエでは、予約の時に誕生日のお祝いと言っていただければ、こんなバースデイプレートを無料サービスしています。 このところ、妙にバースデイが多い気がします。私と同じみずがめ座の方が多いんですかね? まあ、一年中どなたかの誕生日なわけですし、そういう記念日にうちを利用してくださる方が多いのでしょう。 あと、うちは臨月近い妊婦さんのご利用も多いですね。赤ちゃんが生まれるとなかなか外でゆっくり食事というわけにもいかないので、出産前の思い出作りといったところなんでしょうね、きっと、、。それにサンク・オ・ピエの料理は、無農薬の有機野菜を使っていてヘルシーですから、そういう面でも安心できるからかもしれません。 お誕生日だけでなく、何かのお祝いでデザートにメッセージを入れたいときは予約の時にお申し付けください。英語かフランス語で、シンプルなメッセージでしたらたいてい書けます。チョコレートで日本語を書くのは苦手なので、英語かフランス語にしていただいてます。
Feb 13, 2010

カトル・カールの生地で焼いたオレンジケーキ。普通は四角いパウンド型で焼くのだが、どうしてもパウンド型だと両端と真中の風合いや仕上がりが違うので、丸く焼き上げてみたというわけだ。 カトル・カールというのは、1/4が4つという意味で、つまり粉と砂糖とバターと卵が重量比で同割ということだ。実際には少量のベーキングパウダーや塩やバニラエッセンスなども入ったりするが、4つが同割といのは基本中の基本。 カトル・カールの生地にスペイン産のオーガニックのオレンジピールをたっぷり混ぜ込んで焼いたものだ。 去年の暮れからさかもとこーひーを使わせてもらっているので、どうしてもこーひーによく合うデザートを作りたくなる。こういう粉系の菓子はどうしても水分がほしくなるから、それだけでもこーひーや紅茶がほしくなるのだが、こーひーにしては珍しく柑橘やベリー系の果実味があるさかもとこーひーにはこういうオレンジケーキなどはぴったりだろう。ただのスポンジケーキとは違い、生地の1/4がバターなのでかなりリッチな味わいだ。
Feb 11, 2010

まずは、お知らせ。三陸の生ガキは終了しました。今年は早かったですね。一月いっぱいで終わりでした。 エゾ鹿とフォアグラのテリーヌです。鹿は脂肪分がほとんどないので、もち豚の脂を加えてミンチにしてあります。真中に入れてあるフォアグラも全体に風味を与えますね。添えてあるのは、ドライいちじくのコンポートとジュレ・ド・ポール(豚のコラーゲンゼリー) フォアグラや冷製の肉料理と相性が良い北フランスアルザス地方の白ワインゲヴェルツトラミネールを合わせると美味しい。イチジクとテリーヌを同時に食べて、その余韻があるうちにワインを飲むと、、、ゲヴェルツトラミネール独特のライチや花のような甘い香りとスパイシーな胡椒や山椒を思わせる個性的なフレーバーが見事にマッチするだろう。添えてある豚のコラーゲンゼリーのまったりとコクのある味もさっぱりとした鹿肉とよく合う。 これは、牡蠣と帆立のプロヴァンス風。塩でしっかり下味をつけた牡蠣と帆立をガーリック風味のオリーヴオイルで和えてオーブンで焼いたもの。 実はこの器、柳川鍋なんです。スペイン料理でよく似た器を使います。フランスのビストロなどでも、帆立のプロヴァンス風は定番メニューの一つですね。以前パリのビストロの名店「ラミ・ルイ」で食べたら、前菜なのに特大の貝柱が6個も出てきて、「これで本当に一人前なのか?」とギャルソンに訊いてしまったことが思い出される。 ラミルイは、フォアグラのテリーヌでも一人前でたっぷり2センチの厚さのが3枚も出てくるし、メインに至っては骨付き牛ロースのステーキなど、2人前で2キロ余りのサイズが出てくる。(2キロもある肉を焼いてステーキと言い張るのが可笑しい。普通はローストビーフって言いますけどね!)付け合わせのポテトフライもマックのLサイズの5人前以上が普通に一人前くらいなのだから驚くに値しないのかもしれないが、、、。 日本のフランス料理というと、少しずつ盛りつけられた懐石料理みたいなスタイルが多いが、本国フランスではびっくりするほど量が多いのが普通だ。 生牡蠣など女性でも1ダースくらい食べるのは当たり前だし、フランス人が大好きなタルタルステーキ(生の牛肉のネギトロみたいもの)だって、一人前で200~300グラムぐらいぺロリですからね。 本来のフランス料理は、力強くてボリュームたっぷりなんです。というわけで、サンク・オ・ピエも結構ボリュームがあります。 今日は私の誕生日。50歳になりました。もう半世紀も生きてきたなんて実感ないですね。ブルゴーニュでワインづくりの名人と讃えられたアンリ・ジャイエ氏が晩年のインタビューで、「名人といったって、たかだか50回くらいしかワインを作っていないんだ。もう50年くらい生きて、100年作り続ければ、大分上手にワインが作れるんだろうけどなぁ」なんて言ってました。空手の達人大山倍達も晩年、未だにこぶしの握り方が分からない。と言ってましたね。 私もぼちぼち料理人として30年になりますが、やはり未だに肉の焼き方や野菜のゆで方など、まだまだ進歩できるのではないかと模索してます。まあ、職人は一生修行ですね!これからもよろしくお願いします。
Feb 8, 2010

フォアグラマッドネスのコースの画像がやっと撮れたので、アップします。 スペイン産のポルチーニ茸のマリネを一口サイズに切ったフォアグラのテリーヌで覆い、、、 トリュフ風味のコンソメジュレで覆う。世界三大珍味のフォアグラ、トリュフ、キャビアのうち二つが共演するゴージャスな皿。 白身魚(今回は真鯛)とフォアグラは蒸し器で蒸す。一番下はよく煮詰めたバルサミコに軽く塩をしたもの。蒸した魚に蒸したフォアグラを乗せる。仕上げは、ローマ法王に献上している塩サレ・フィオーレとサルディニア島産の極上オリーヴオイル。甘みのある上質な塩とフォアグラの脂とオリーヴの油とそれをしっかり受け止める白身魚のハーモニーがなんともたまらない。 メインは、フォアグラをたっぷり80グラムとピレネー産のビゴール黒豚のバラ肉のコンフィ。 デザートは、タルト・タタンのフォアグラ風味。まず、小さなフライパンに焼きリンゴを並べ、、、 パイ生地をかぶせる。これを上火焼きの遠赤グリラーで焼いて、、、、 こんな感じに、、、これをひっくり返して、、、、 これが2人前で、、、半分に切って、フォアグラのソテーを乗せて、、、、 メープルシロップをかけて出来上がり。リンゴとフォアグラの組み合わせは定番ですね!前菜でも、デザートでもいけます。 フォアグラマッドネスのコースは、2月20日ごろの分まで予約を受け付けています。 詳しくはホームページを、、、。 ヴァレンタインのチョコレートの販売ですが、ショコラ・フォンダンは終売しました。生チョコもあと残りわずかです。これも、ホームページをご覧ください
Feb 6, 2010

フォアグラのローストが近頃よく出る。これはフォアグラ200グラムをローストしたもので、マデラ酒のほんのり甘いソースを使ってある。 フォアグラというのは、70~80%が脂肪分だからカロリーも高い。生のフォアグラ200グラムでは、1000kcal余りで、ご飯6~7杯分もある。実際には焼くと脂が落ちるので、2割くらいはカロリーも落ちるが、それでもこの一皿でご飯5杯分近いカロリーはあるだろう。これだけで一日の食事分は十分ということだろう。 そういう意味も含めて、ヘルシーという意味からは程遠いような料理(ヘルシーじゃない料理のほうが美味いものが多かったりするんですけどね!)かもしれないが、フォアグラのローストなどという難しい料理はだれでもできるというものではないので、誰かがやらねばというわけで、やはりフォアグラ名人と呼ばれる私がやるしかないメニューといことになる。 サンク・オ・ピエで使っているフランス西南部のランド産の鴨のフォアグラは、熱に対して繊細な素材で45℃くらいから脂肪が融けはじめる。一方フォアグラの細胞組織自体はタンパク質でできているので、70℃くらいまで上げないと火が通らない。最も適切に火を通すなら、テリーヌに入れて低温のオーブンでゆっくりと火を通すやり方だろう。焼くというよりは、温かいところに置いてゆっくり中まで温めるというイメージ。 ところが、フォアグラのソテーやローストは、フォアグラの加熱調理の適温をはるかに超えた高い温度帯で調理するから、一気に難しくなる。イメージとしては、バターの塊を溶かさずに中まで温めるという感じに近い。つまり不可能なことをやり遂げなければならないというくらいの料理といえる。 料理人となって30年近く、最も追求してきたのが、素材にいかに上手に火を通すかということ。フォアグラという素材はその中でも最も手強く、最も技術の差が出るものではないかと思う。だから、サンク・オ・ピエの常連さんのフォアグラ好きの方はほかの店では絶対にフォアグラは食べないという方も多い。 もともとこの料理は、レギュラーメニュー選択肢からフォアグラのある料理を全部選ぶような方が結構いらっしゃるので、それならメインでフォアグラを200グラムくらい食べてもらおうということで始めた料理だ。 かなり過剰な料理ということは承知の上だが、ゴージャスなものには多少の過剰さがつきものだろう。ここ一番、フォアグラをがっつり行こう!というときには、予約してください。
Feb 5, 2010

これは、エゾシカのローストのグランブヌール風。オーブンに出し入れを繰り返しながらゆっくりと火を入れた鹿の背肉の芯(牛でいえばサーロインのところ)は、しっとりと柔らかく繊細な舌さわりで下手な牛肉より上品なくらいだが、やはり野生動物独特の力強さも感じる。 ソースはグランブヌール。グランブヌールというのは、王様の狩猟頭という意味で、王様が狩りに出るときにそれを仕切る係の野山に詳しい者を指す言葉。鹿の出汁とフランボワーズヴィネガーに赤ワインを煮詰め、最後に自家菜園のブルーベリーのコンポートで仕上げる。胡椒も強めに利かすのもポイントだ。 甘酸っぱくて、ピリッと胡椒が利いた鹿専用のソースで、なぜか他の肉には合わない。この料理には、もうワインはシラー!それもコート・デュ・ローヌのコート・ロティやエルミタージュなどがベストマッチだろう。シラーの持つベリー系の果実味とスパイシーな香り、ワイルドなニュアンスのタンニンなどが、もう鹿のグランブヌール専用のワインと言いたいぐらいにマッチするのだ。 今シーズンは、フランスからのジビエの入荷がなかったので、今シーズンのジビエはエゾ鹿のみということになった。その鹿も大体今月いっぱいで終わりです。サンク・オ・ピエでは、ローヌのシラーのグラスワインも用意してありますし、お手頃でとびきり美味しいボトルも用意してありますよ! 今日は、美味しい鹿のテリーヌも仕込む予定です。 予約の時にエゾ鹿といってくださいね。よろしくお願いします。 それから、ヴァレンタインのチョコレートの予約を受け付けてます。 詳しくは、ホームページをご覧ください。
Feb 2, 2010
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