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セカンド・ラベルの功罪。
今日ボルドーの高級シャトーでセカンド・ラベルがあるのは当たり前です。しかし以前はセカンドを作っているのは一握りの蔵でした。シャトー・マルゴーとレオヴィル・ラスカースは確か100年前からセカンドワインを作っていました。しかしその他の多くのセカンドワインは1980年代後半になって作られた物が殆どです。
何故ボルドーのこれだけ多くのシャトーがセカンドワインを作り始めたのでしょうか?
幾つか理由はあると思いますが、
その一つはカリフォルニアワインの台頭でしょう。カリフォルニアにオパスワンや多くのカルトワインの様な、ボルドーの特級シャトーよりも値段の高いワインが続々と誕生してボルドーワインのオーナーは危機感を持ったと思います。
第二の理由としてロバート・パーカーの評価です。パーカーは1982年の評価から有名になってワイン評論の権威者となります。パーカーはボルドーもカリフォルニアも同様に点数を付けます。多くの特級シャトーのオーナーは自分のワインの低い点数に腹を立てた事でしょう。
何とかカルフォルニアに負けたくないと思ったシャトーはコンサルタントと契約して新しい醸造法を取り入れたり品質向上に躍起になりました。その結果多くのダサかったワインが良くなったのも事実です。
そして品質アップのもう一つの方法としてセカンドワインを導入したのです。
悪いワインを外せば当然品質は向上します。若い葡萄の木や、畑でも元々余りよくない場所で取れた葡萄や、実際に醸造したタンクで悪いロットの物を外せば品質は良くなります。
実際ボルドーのシャトーは50ヘクタール位の大きな畑を持っている所が多いです。ブルゴーニュなら50人以上の生産者がひしめく広さです。場所によって当然良い悪いがあります。ですから多くのセカンドワインは毎年決まった場所の葡萄が詰められている事が多いのです。
そして重要なのはビジネスモデルとして多くの蔵が成功した事です。例えば50万本生産していたシャトーが一本1万円で売っていたとします。50億円の売上です。ファーストを25万本2万円で売って、残りのセカンドワインを今までの半額の5000円で25万本売ったとすると、62億5000万円の売上になります。
ファーストの量を半分に減らした事によって、品質を向上させて、量が減るので希少性も上がって、更にはパーカーポイントも上がって収入が増える。こういう事例が沢山出てきたのがセコンドワイン開発に拍車を掛けたのです。結果価格が上がってカリフォルニアの脅威も減って多くのオーナーは喜んでいるようです。
昨今ではサードワインも珍しくありまえん。ラトゥールでは1966年からレ・フォール・ドゥ・ラトゥールを1990年から毎年ポイヤックと言うセカンドの品質を上げるためのサードワインを作り出しました。
では実際に品質は上がったのでしょうか?
グレートヴィンテージの1982年と2000年を比較すると分りやすいと思います。
82年はセカンドワインを持っているシャトーはまだ一握りでした。2000年は殆どのシャトーがセコンドワインを既に定着させていました。 どちらも良いヴィンテージですが、2000年の方が多くのシャトーが平均的によいワインを作っています。
ただ結果としてオーナー達の思惑通り価格も高くなってしまったのも事実です。プリムール価格も良いビンテージだと噂が流れると吃驚するような価格になってしまいます。
消費者としては気楽にファーストは買えないので、セカンドを楽しむ事が出来る様になったのはよい事です。 特に若いファーストを強引に飲むのは辛いので、ファーストを思いながら若飲み用のセカンドを飲むのはよい事だと思います。
ただ気になるのはセカンドがファーストとかなり性格の違うワインになってしまっているワインが多い事です。これでは何の為のセカンドか分りません。ファーストに思いを寄せれるセカンドであって欲しいと思います。
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