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2017年12月23日

トマーシュ・ロシツキー引退(十二月廿日)




 イタリア人のストラマッチョーニ監督がファンに嫌われているのは、成績も内容もまったくシーズン前の期待に応えられていないからだが、ロシツキーがなかなか出場しないというのも大きな不満になっていたのではないだろうか。これで、監督がロシツキーに引退を迫ったなんて話が流れたりしたら、とんでもないことになりそうである。

 ちらっと目にしたり耳にしたりした本人のコメントによると、すでに体は何年も前からこれ以上無理だと悲鳴を上げていたのを、頭で体にまだ大丈夫だと言い聞かせて頑張ってきたけれども、日本語風に行くと気持ちも切れてしまって、これ以上は続けられないということのようだった。そして、自分がグラウンドに出てプレーしてもチームに何ももたらせなくなってしまったとも語っていた。
 どうなのかな。ロシツキーがいるだけで違うという面もあるけど、確かにロシツキーがいると、たとえ絶不調でも、怪我で動きが悪くても、みんなロシツキーに頼ってしまうという面があるから、そういうところまで考えた上での決断なのだろう。ハンドボールのイーハといい、ロシツキーといい、今年はチェコが誇る選手たちの引退が相次いで、時の流れの残酷さを感じさせられることが多い。

 チェコに来て、チェコリーグの試合を見始めた頃にはすでにドイツのドルトムントに移籍したあとだったので、ロシツキーの姿を見るのは、ほとんど代表の試合でだった。2002年の日韓ワールドカップの予選のころはまだ住まいにテレビがなかったから、ロシツキーの雄姿が拝めるようになったのは、2004年のヨーロッパ選手権の予選ぐらいからになるのかなあ。
 本大会で優勝してもおかしくなかったあのときの代表は、ネドビェット、ポボルスキー、コレル、ヤンクロフスキ、ウイファルシ、グリゲラ、ガラーセク、シュミツル、バロシュなどなど、チェコを出てドイツやイタリアなどの有力チームで主力として活躍する選手が並んでいて、本当に魅力的なチームだったが、その中でも、別格だったのがやはりネドビェットと、当時はまだ若手だったロシツキーの二人である。この二人が、二人とも元気で好調ならどこが相手でも勝てそうだった。監督も策士のブリュックネル爺様だったしさ。

 ロシツキーは、2006年のドイツワールドカップの後に、アーセナルに移籍したのだが、イングランドの過酷なスケジュールのせいなのか、怪我がちになる。元気でもベンチに座っていることが多くて、ロシツキーファンとしてはアーセナルには、文句しかないのだけど、怪我からの復帰が当初の見立てよりもはるかに長くなることが多かったし。でも、10年も在籍したということは、本人は満足していたのだろう。
 試合に出ないのは、チェコ代表のために消耗しないように温存してくれていると思えば、まだ許せたけれども、怪我がなかなか治らないのには、チームだけのせいではないと言うことは重々承知の上で恨み言を言いたくなる。トマーシュ・ロシツキーの兄のイジー・ロシツキーも将来を嘱望されて、チェコリーグでデビューする前にスペインに移籍した逸材だったのだけど、こちらも怪我に泣かされ続けて、ほとんど活躍することができなかったしなあ。

 昨年スパルタに復帰したときも、もう無理はしてほしくないというのと、復活したロシツキーを見たいというのとで複雑な心境だったけれども、いざ引退となると、残念の一言である。今後、指導者の道を歩むのか、グリゲラのようにチームマネージメントのほうに行くのかはわからないけれども、これまで何人も出現して、一人も物にならなかったロシツキーの後継者、本当の意味でロシツキーの後を継げるような選手を発掘して育ててくれたら嬉しいのだけど。
 ネドビェットと同じで、チェコにとっては不世出の存在であってほしいという気持ちもあるんだよなあ。やはり、自分はチェコ代表のファンではあっても、何よりもまず2004年前後のブリュックネルに率いられた代表のファンなのだと、ロシツキーの引退を聞いて思い知らされた。あの大会の試合を、また放送してくれないかなあ。

 これからはスパルタの試合を見て、ロシツキーがいればなんてことを考えることさえできなくなるのか……。大晦日の引退選手を中心にした35歳以上、45歳以上とかのカテゴリー分けのあるプラハダービーに出ないかな。今年はコレルが出るという話もあるから、一瞬だけでもかつてのコンビ復活にならないかなあ。
 いくら書いても愚痴しか出てこなくなってきたので、この辺でおしまいにしよう。イーハのときもそうだったけど、応援していた選手の引退について書くといつも以上にぐだぐだになってしまう。

2017年12月20日23時30分。













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