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2020年01月18日
クツィアク事件裁判開始(正月十五日)
この事件で最初に逮捕されたのは、依頼者と実行犯の仲介役を勤めたとされる人物である。この人物は、警察と司法取引を行い全面的に捜査に協力することを条件に、刑を軽減されることになっており、他の被告達より先に裁判が行なわれた。その裁判では、十年の予定が十五年だったか、警察(検察かも)との間で話がついていた刑期よりも長い懲役刑の判決が下されたが、司法取引による裁判だったため、被告に上告する権利はないらしい。
この仲介者の証言によって逮捕されたのが、実行犯の二人と依頼側の二人である。実行犯二人は臣籍関係にあるようで、一人は元軍人、もう一人は元警察官という何というかありがちだけど、本来ならばあってはいけない組合せ。以来側は、クツィアク氏が追っていたイタリアマフィアとつながりのあるスロバキアの実業家とその秘書みたいな女性。この女性もイタリア語の通訳として仕事をしておりマフィアとのつながりもあるという。
裁判では実行犯のうちの一人だけが、犯行を認めており、証言に際して、遺族に対する謝罪から始めて、反抗の様子を細かく語っていた。ただし、うちのの話によると、事件後発表された現場の様子と犯人の証言に食い違いがあるらしい。それに遺族のうちの誰かだったか、ジャーナリストだったか覚えていないが、警察の求める筋書き通りの証言をしているようだという感想を述べているのもニュースで流された。
残りの三人は、自らの関与を否定して、裁判で争うようだけれども、警察が世論の圧力を受けて蘇の威信をかけて捜査した結果逮捕された人たちなので、無罪になることはないだろう。状況から見て殺人を依頼した側が、今回の被告二人であるのは間違いなさそうだけれども、さらにその裏側に黒幕がいる可能性はある。実行犯のほうも裁判を受けるために準備された犯人であるようにも見える。すでに刑の確定した仲介役を含めて5人の裁判で、この事件に完全にけりをつけてしまっていいものなのか。あれこれ憶測はされているようだが、何とも言い切れないところがある。
気になるのは、懲役の刑期の長さで、仲介役でさえ10年以上の刑期を科されていることを考えると、依頼者、実行犯はさらに刑期が長くなることが予想される。犠牲者がジャーナリストで世界中の注目を集めているからという理由で、重い判決が下るなんてこともありそうだ。スロバキアの刑法については全く知らないし、殺人という事件でどのぐらいの刑期が適当なのかなんて判断の仕様もないのだけど、判決が下った後は、ニュースでいろいろな専門家が、それぞれの意見を開帳するだろうから、またそのときに考えよう。金で殺人を請け負う殺し屋の関わった事件だから、判決が重くなるという可能性もあるわけだし。
ところで、今回月曜日に始まった裁判には、スロバキア、チェコからだけでなく、世界中からマスコミが取材につめかけ、取材のために登録した記者の数は100名を超えたという。ニュースでは、そのうちのどれだけが、二日目以降も取材を続けるのかは不明だと皮肉なコメントが出ていた。残念ながら取材班を送り込んだ国の中に日本の名前は上がっていなかったし、日本ではこの件についてはほとんど注目されていないのだろう。事件が起きたときには日本でもそれなりに報道されたと記憶するのだが、続報はなされたのだろうか。
クツィアク氏の事件については、当時、簡単だけれども、「 スロバキア政府とイタリア・マフィアの親密な関係 」という記事を書いたので、どんな事件だったのかについてはそちらを参照してほしい。
2020年1月16日19時。