この広告は30日以上更新がないブログに表示されております。
新規記事の投稿を行うことで、非表示にすることが可能です。
広告
posted by fanblog
2020年03月05日
スロバキア国会議員選挙(三月二日)
選挙前に何度かチェコテレビのニュースで紹介された世論調査の結果から、スメル党が第一党の座を失うことが予想され、極右とされるコトレバ氏の政党われらがスロバキア党が大躍進する可能性もあると危惧されていた。意外と低調だったのは、昨年大統領の任期を終えたキスカ氏が、本格的な政界進出のために設立した人々のために党である。
スロバキアの選挙については詳しいことは知らないのだが、チェコ同様に比例代表制で行なわれる。選挙日は日曜だったと思う。いや、土曜日かもしれない。この辺すらあいまいなのはニュース番組がコロナウイルス感染者のニュースに席巻されたからである。当選者を出すために必要なのは、5パーセントというのはチェコと同じだが、二つの政党が合併するのではなく、共同で候補者を立てて名簿を作成する場合には、倍の10パーセントではなく、7パーセントの得票率で議席を獲得することができる。ここはチェコよりも規定が緩くなっている。
今回は注目を集めた選挙だったからか、投票率も高めで、過去最高とはならなかったが、前回2016年の選挙よりも高く65.8パーセント。ほぼ有権者の3分の2が投票に向かったことになる。得票率5パーセントの壁を越えて議席を獲得した政党が6、5パーセントは越えたけど合同名簿だったために獲得できなかった政党連合が1、議席は獲得できなかったけど得票率が2パーセントを越えたのが6つという結果になった。
第一党になったのは、略称O?ANO党。これなんだっけと 過去の記事 を確認したら、正式名称は「OBY?AJNÍ ?UDIA a nezávislé osobnosti」党。強いて訳せば、「一般人と独立した個人」党。25パーセント強の得票率で、53議席を獲得した。前回より34議席増えている。ここの党首のイゴル・マトビッチ氏が大統領から組閣の指示を受けるものと予想されている。
第二党は、18.3パーセントの得票で38議席を獲得したこれまでの与党のスメル党。負けたとはいえ、議席の減少を11議席におさえ、第二党の座は獲得したのだから、惨敗とまでは言えないか。実は社会民主党だというこの党の存在は、左派でリベラルを自称しているからといって汚職や権力の私物化と無縁だとは限らないとい
う実例になっている。日本では左派の汚職は、マスコミによってないことにされることが多いようだけどさ。
第三党は、6議席増やして17議席となった「SME RODINA」党である。ポピュリズムの政党とみなされているらしい。政治の世界でのことなので、目くそ鼻くそを笑うの域を出ないお互いのレッテルの貼りあいの結果だろうけど。得票率は8.24パーセント。
0.3パーセントほどの差で四位になったのが「?SNS」。正式名称は「?udová strana Naše Slovensko」で、いわゆるコトレバ党である。議席数はここも17。実は、もうちょっと上に行くかなと思っていたのだが、投票率が高かったのが、この極左の政党には悪いほうに出たと考えておく。それでも議席数を3つ増やしているのだから、支持者は徐々に増えていると言えよう。
五番手は、これまで野党第一党だった「SAS」こと、「Sloboda a Solidarita」党で日本語に訳すと「自由と連帯」。6.2パーセントの得票率で13議席。8つも議席を減らして野党第一党の座から陥落した。
最後の議席を獲得した政党はキスカ党とも言うべき「ZA ?UDI」。5.7パーセントで12の議席を獲得した。新政党であることを考えると大健闘だとも言えるが、大統領時代のキスカ氏の任期を考えると意外と苦戦したという印象である。チャプトバー氏が大統領に選出されたことで、役目が終わったと思われたのかもしれない。フィツォ氏の対抗馬という役割はすでに必要ないといえば言えるのか。
このほかに、PS党とSPOLU党の連合が、 6,96の得票率で、わずか0.04パーセント足りずに議席を逃した。
小政党の乱立で国会が混乱するのを防ぐために、議席獲得のための最低得票率という規定があること自体は悪いことではないと思うのだが、5パーセントというのはちょっと高すぎる壁じゃないかと思う。二党連合で7パーセントで済むスロバキアは10パーセントが要求されるチェコよりはマシだし、連合ではなく別の候補者の立て方をしていれば議席を獲得できていたのだから見通しが甘かったというしかない。
首相選出が予想されるO?ANO党のマトビッチ氏は、「SME RODINA」党、「SAS」党、「ZA ?UDI」党という三党と連立の交渉をすると見られている。四党あわせて95議席となる。ただ「ZA ?UDI」党のキスカ氏は、ポピュリスト政党とされることの多い「SME RODINA」党を連立からはずすことを主張しているようである。交渉が決裂した場合、数から言えば「SME RODINA」党を残したほうがいいのだろうが、元大統領のキスカ氏の影響力を考えると「ZA ?UDI」党を切り捨てるのも難しいという、マトビッチ氏にとっては厄介な状況になっている。
それはともかく、長期的に政権をになってきたスメル党が野党に転落するのは確実で、それ自体は悪いことではないのだけど、新たに政権与党となる政党がどこまで実務能力を持っているかが問題になる。
2020年3月3日25時。