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2020年03月19日
朝起きたら(三月十六日)
うんざりするのは、日曜日の深夜の政府の記者会見ではそんな話は影も形もなく、決定されたのが午前3時ごろだったという事実である。朝方まで対策会議をしているというアピールなのかもしれないが、予防のためには健康的な生活を続けるのが一番だという発生当初からの厚生省の見解に、対策を行なっている政府が反してどうするんだろう。
実は政府の決定ではなくオロモウツ地方の保健所の決定である可能性もあるのだが、政府側との調整は行なっているはずだし、保健所で対策の最前線に立っている人たちが、不健康な生活をしているのでは、医者の不養生そのものである。政府自体もしばしば午前2時、3時まで会議を行なって、みんな寝ている時間帯に新たな決定を発表することもある。
感染者数は日曜日の夕方に発表されたものがもとになっているのだし、この時点で検討を始めて早めに決定を下していれば、朝起きたら町から出られなくなっていたという事態も、緊急に睡眠不足のままに出動しなければならなかったという事態も防げていたはずである。早めに決定して発表すると、直前に閉鎖される地域から脱出しようとする人が出かねないのを嫌った可能性もあるのか。イタリア帰りの人を強制的に14日間の自宅待機にすると決めたときも、それを避けるために期限ぎりぎりで帰国する人が多かったし。
閉鎖されたリトベルやウニチョフでは、域外から通っている店員が中に入れなかったために、品物はあってもお店が開けられなかったとか、工場で従業員が足りなかったり材料の納入と製品の搬出ができないので生産停止を余儀なくされたりといろいろ問題が起こっていたようだ。店員の問題は例外的に許可を出して毎日出入りできるようになったようだが、帰宅後の外出が禁じられるのだとか。
お昼ごろにチェコテレビに電話でインタビューに答えていたキリスト教民主同盟のユレチカ元濃霧大臣の言動にもいらいらさせられた。閉鎖地域に地域外の人の農場があるのか、その反対なのかよくわからなかったけど、この閉鎖措置によって農場の家畜たちが世話されないまま放置されることになるのが問題だと、乳牛の搾乳の問題を例に挙げて指摘したところまでは、まだ許そう。その後、だから自分が政府と交渉して牧畜農場に関しては例外を認めさせたなんて自慢する必要はあるのか。三月に入ってチェコでコロナウイルス感染者が発生して以来、野党の存在感はゼロに等しくなっているから焦りがあるのかなあ。
ようやく高齢者に対して、外出を避けるように指示が出たのは悪くない。イギリスで同じような命令が出たのに倣ったのだろうか。ただこれも順番が違うよなあ。高齢者と持病もちの人が、感染すると一番危ないというのは以前から言われていたことなのに、老人ホームと病院の入院病棟のお見舞いを禁止しただけで、これまでは放置されていた。ここは、学校の閉鎖より先に、高齢者の保護だろうに。イギリスはこの順番だけど、ちょっと遅すぎたかな。日本は、何か高齢者に対する保護策、いや制限は課しているのだろうか。
政府だけでなく、プラハ市も市長を中心に何人かぞろぞろ出てきて独自の対策について記者会見していた。他の町でも独自にしない交通機関を利用するときにはマスクなどで口と鼻を覆うようにという命令を出したとこともあるのに、何故プラハだけ大々的に記者会見するんだなんてことは言うまい。気に入らないのは、この事態の中で政治家たちが、手柄の奪い合いのようなことをしているところである。
挙国一致で、国民全体で団結して対応しなければならないなんていってるのなら、誰のおかげでも彼のおかげでもいいだろうに、「我々が」とか、「政府が」とか、自分たちの手柄を誇るような言い方をするんじゃない。こちらのチェコ語のつたさなからの誤解ならいいのだけど、政府やプラハ市なんかの記者会見での発言を聞くたびに、うんざりして気が滅入ってくる。政府が主導して国民の恐怖をあおってどうするよ。
職場に出る以外は自宅に引きこもっているのは、普段の生活と大差はないから、それ自体にはストレスは感じないのだけど、政府の発表によってストレスがたまっている。病気への抵抗力も落ちているだろうなあ。対して高くないとはいえ高血圧だし、ちょっと不安になってきた。チェコは400人近くも感染者を出していながら、重症化した人は2人だけで、様態は安定しているという。ということは重症者と死亡者を出さないというのは結構うまくいっているということで、安心しよう。
2020年3月17日24時。