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2021年04月11日

スラビアぼろぼろ(四月八日)




 そして、ディフェンスラインの要であるクーデラが、チェコ代表のウェールズとの試合でベイルに明らかに意図的な肘うちを食らって鼻を骨折、発熱が続いて試合に出られる状態にはない。クーデラはレンジャーズとの試合での挑発行為で暫定的な出場停止処分を受けているから、怪我がなくてもアーセナルとの試合には出られなかったのだが、ウェールズ戦でベイルの肘うちに、レッドカードが出なかったどころか、ファイルにさえならなかった事実にヨーロッパのサッカー界にはびこる旧共産圏のチームを下に見る病理が反映されているのだが、それについてはまたいずれ。

 この冬にレンタルでチームに復帰したデリが、定期検査で陽性の結果が出たために自宅隔離状態に置かれた。それらの結果、先週末にブルノで行われた試合は、レンジャーズ戦で負傷退場したコラーシュに代わって出場した18歳のバーグネルがキーパーで、その前に代表レベルまで成長したとは言え、まだまだ経験の足りないジマと、これまでほとんど出場していないカチャラバがセンターバックでコンビを組んだ。
 これがうまく行けば、アーセナルとの試合でもということになったのだろうが、バーグネルがエリア外でブルノの選手を倒して一発退場。ショックのあまり本人は涙を流していたというから、プレッシャーも大きく、相手のレベルも高くなるアーセナルとの試合で使うのは難しくなった。ジマとカチャラバのコンビも機能しているとはいえず、ジマの隣りに誰を使うかというのも議論の対象となっていた。

 最終的には、キーパーはまだ完全に快復していないコラーシュが無理をおして、頭を守るための防具をつけて出場し、ジマの隣りには、普段は一つ前でプレーしているホレシュが起用された。コラーシュは練習でプレーできることを確認してから試合に臨んだとは言うけれども、あちこちに怪我の後遺症による不安定なプレー、とくパスが定まらずに相手にボールを与えてしまう場面が目立った。ホレシュとジマの急増コンビも、安定していたとは言い難く、前半から何度かヒヤッとするシーンを作り出してた。
 前半は、一言で言えばどちらも慎重になりすぎて、ほとんどチャンスもなかったのだが、後半に入って、怪我から復帰したシェフチークがスラビアの攻撃を活性化したことで、オープンな打ち合いに近い試合になってしまった。自力に勝るアーセナルのほうがチャンスを、決定的なチャンスを作ることが多かったのだが、なぜといいたくなるぐらいシュートの精度を欠き、外してくれたおかげで、試合の終盤まで0−0だった。スラビアも惜しいシュートはあったのだけど、アーセナルの選手がキーパーとの1対1を外したのほどは、決定的なチャンスは作れなかった。あれはもう、駄目だと頭を抱えたのだけど……ふう。

 そしてこのまま引き分けに終わるかと思われた85分過ぎに、スラビアは守備のコンビネーションの乱れから、あっさり失点してしまう。ヨーロッパリーグの春の部が始まってからは初めて先制を許したということになる。時間から言ってこのまま、久しぶりの敗戦となってもおかしくなかったのだが、スラビアの選手たち攻勢に出て、最後の最後90分過ぎに、同点に追いついた。
 最初のプロボトの強烈なシュートは、キーパーがはじいてポストに当たって決まらなかったのだが、その後のコーナーキックから、ゴール前でアーセナルの選手が触ったボールを逆サイドでつめていたホレシュが頭で押し込んだのである。一瞬我が目を疑ってしまった。そして、そのまま引き分け。いやあ、スラビア強いわ。相手が決定的なチャンスで失敗するという運にも恵まれていはいたけど、これは運だけでなしえることでもなさそうである。

 この日のスラビアは、守備だけでなく全体的に低調な感じだった。これについては解説者が、代表三連戦で三試合とも出場していた選手もいて疲れがあったのかもしれないとか、スラビアは大抵体表の試合のあとはちょっと調子を落とすから、来週はまたいつものスラビアに戻っているのではないかなんてことを言っていた。ただ、心配が一つ、今週末のチェコリーグは、スパルタ対スラビアのプラハダービーなのである。この一年で最も大事な試合が、来週のプラハでのアーセナルとの試合に影響を及ぼす可能性はある。いい影響であることを願っておこう。
 ここまでは二年前も到達したのだ、あのときは、同じイングランドのチェルシー相手に敗退したのだった。準決勝までは、前身の大会であるUAFAカップで1990年代半ばに進出したことがある。となえれば、目標は決勝進出である。今のトルピショフスキー監督に率いられたスラビアなら実現してしまいそうなきもする。まあ見てる側としては期待を持って応援するだけである。
2021年4月9日18時30分。









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