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2021年04月19日
レンジャーズの呪い(四月十六日)
レンジャーズのとの試合で、「人種差別」発言をしたとされたクーデラには、10試合の出場停止、クーデラを襲撃して暴行を加えたレンジャーズの選手は3試合、コラーシュに命に関りかねない殺人的ファウルをおこなった選手は4試合の出場停止となった。最悪なのは、事前にUEFAの事件調査団が、クーデラが差別発言を行ったという客観的な証拠はないと発表したにもかかわらず、レンジャーズ側の証言だけを基に制裁が決められたことである。
本来ならば、疑わしきは罰せずというのが正しいはずなのに、疑わしきは罰せよになっているのが問題である。客観的な証拠があるならまだしも、当事者の証言だけで処罰するというのは、冤罪の山を築くだけで、差別解消の役には立つまい。その点では、アメリカで頻発する黒人差別反対のデモが暴動に変わるとの大差ない。
クーデラの挑発行為を処罰するなと言うつもりはない。ただ、その原因となったレンジャーズの過剰なまでのラフプレー、暴力サッカーも同等以上に処罰されるべきだろうと言いたいのである。それが、コラーシュを破壊しようとした選手と、クーデラに物理的な報復を加えた選手の処罰を合わせてもクーデラ一人の処罰より少ないと言うのでは、怪我させられ損で、笑い話にしかならない。
チェコの人は声を言わないから、第三者として言っておくと、これは旧共産圏に対する差別である。ヨーロッパの中でも遅れた国の連中なら人権意識も遅れているから差別発言をするに違いないとか、見せしめに処罰するにはちょうどいいとおもわれているに違いない。自転車のロードレースのクロツィグルが言われなきドーピングの嫌疑を掛けられ続けたのと構図は変わらない。
スラビアのトルピショフスキー監督は、クーデラに対する処罰が試合に影響を与えたとは思わないと語っていたが、強がりであろう。格下のチームが、格上のチームに勝つためには、精神状態が重要になる。それをぶち壊しにしてスラビアの勝ち目をなくしたのが、レンジャーズに配慮するUEFAの決定だったわけだ。配慮したのはアーセナルに対してだったのかもしれないけど、西の進んだ国のサッカーチームに最大限の配慮がされるつけは、東に対する蔑視として現れる。
EUでも表面上は平等の振りをしているけれども、実際の運営を見れば、旧共産圏諸国は、格下の二流国、三流国扱いである。チェコの政治が三流以下なのはそのとおりなんだけどさ。差別の無いヨーロッパという幻想を維持するために、差別に対する見せしめが厳しくなっているのだろう。最近のアメリカの例も含めて、黄色人種に対する差別は放置されがちだけど、それは、いわゆる黒人が差別されることに関しては特権的な地位を築いていて、他の差別される人たちを差別しているというところか。
そして、差別に対する片膝をつく抗議の姿勢を強要するのも気持ち悪い。こういうのは、それぞれがそれぞれの自由意志で参加するかどうかを決めるものなのに、参加しないことに決めた人間を差別主義者として差別するのだから、何のための抗議をしているのだか意味不明である。結局、自分は差別主義者ではないというアピールにしかなっていないように思われる。日本人は同調圧力が強くて云々としばしば批判されるけれども、欧米も変わらないじゃないか。これもまた日本人に対する差別的な言説である。
2021年4月17日24時。