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幼幻記9 結い髪


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幼幻記11 パパのおしゃれ


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幼幻記 20 ホットカルピスの味


2006年05月05日
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はじめちゃんの東京騒動記



第836回 2006年5月5日


第68回 ●帰ってきたヨッパライ



はじめちゃんの東京騒動記 第68回 ●帰ってきたヨッパライ


 尊敬する手塚治虫先生からのハガキには「それから上京する時は事前に連絡をください。楽しみにしています」と書かれてあった。
このことで井上はますますマンガを描くのに力が入った。

 しかし、佐藤修一も渡辺清も中学三年生になったことで、高校受験のための勉強に力を入れるようになった。当然、マンガなどを描いてる場合ではない。井上だけが描き続けていた。

 そんなある日のことだった。
 佐藤修一は一枚のレコードを持ってきた。

「オイ、この歌知ってるかい?」
 と、周囲の友だちに話しかけた。

 みんなは知ってるぞと佐藤の所に集まってきた。そのレコードとは「帰ってきたヨッパライ」フォーク・クスセーダーズだった。


「♪おらは死じまっただぁ~ おらは死じまっただぁ~ 天国さいっただぁ~」

 井上はその様子を離れて見ていた。


 佐藤修一はいつも「流行」(はやり)を教室に持ち込むのが得意だった。しかも、成績はクラスでいつも一番で学級委員長を務めていたから、クラスでも一目置かれていたので流行にも説得力があった。


 その日、佐藤は渡辺清と井上を誘って上杉神社の中にある児童遊園地に行った。

 児童遊園地は客もいなく、ゴーカートや電車も動いていなかった。
流行の歌謡曲がスピーカーから流れており、場違いな雰囲気になっていた。

 児童遊園地にはいいにおいがしていた。こんにゃく煮のにおいだった。こんにゃくを割り箸で刺して、しょうゆとイカで煮る「こんにゃく煮」が山形での名物だった。お祭りには欠かせないものだった。

 三人は椅子に座ってそのこんにゃく煮を食べていた。

 佐藤が井上たちに言った。
「この『帰ってきたヨッパライ』って曲は、ラジオの深夜放送『オールナイトニッポン』で人気になって昨年末から大ヒットしている。この曲を初めて聴いた時はショックだったなあ」
「だってテープレコーダーで早送りしているような声だろう。しかも、酔払い運転で死んで天国に行って、そこでも懲りずに酒飲んで、女に恋しする話なんて、とんでもない内容だろう!?」

 と、佐藤は「帰ってきたヨッパライ」の解説をした。

「だが、このレコードはもう家では聴けない。父ちゃんに言われたんだ。お前何考えているんだって。もう中学三年生だぞって。こんなことばかりしていては希望する高校にはいけないぞってなっ!」

「修ちゃんはクラスで一番成績が良いんだから大丈夫だよ。危ないのはオレだよ」
 と渡辺が言った。
「オレなんか、からだがついていかないから、勉強なんてあまりしていない。最近はマンガは描いているけど、興譲館(普通科進学校)は無理だ」


「井上はいいよ。お前はいずれマンガ家になるんだからな。手塚治虫先生から直々にハガキをもらっているくらいだから見込みがあるんだ」
 と渡辺が言った。
「そうだ、そのとおりだ。井上はマンガ家になれよ。そこでこのレコードをお前に預ける。家に持って帰っても父ちゃんがうるさいから……」
 佐藤はカバンからレコードを出して井上に渡した。

「帰ってきたヨッパライっかあ」
 静かにポツンと井上が言った。

 2006年1月8日記





(文中の敬称を略させていただきました)
はじめちゃんの東京騒動記●第68回 完 


つづく 第69回にご期待下さい!!





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最終更新日  2006年05月05日 10時21分50秒
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Re:帰ってきたヨッパライ  
ガッツくん さん
むむむ…フォーク世代だね。マンガとの関係やいかに? (2006年05月05日 13時18分17秒)

Re:帰ってきたヨッパライ(05/05)  
mizu-sin  さん
あれがあんなにヒットするとは思っていなかった。
その後の海援隊の「母にささげるバラード」などもそうですが、ヒットの予想は難しいですね。

(2006年05月05日 14時48分31秒)

Re:帰ってきたヨッパライ(05/05)  
私もなぜか昔のフォークソングが大好きです。
この前亡くなられた高田渡さんとかとてもいい感じの人でしたよね。 (2006年05月05日 19時48分52秒)

Re:帰ってきたヨッパライ(05/05)  
うる星ダーず さん
この後に出たのが「イムジン河」でしたよね。でも、「北の大地から南の空へ飛びゆく鳥よ自由の使者よ」と言う訳詞が今で言う脱北をイメージすると、かの国系の団体からクレームがついて放送禁止になってしまいました。
漫画も歌も自由な表現ができてこそですよね。
あれから40年近くが経つのにかの国は「将軍様はたらふく喰っておるぞ。汝ら人民飢えて死ね」って感じで、おまけに日本まで国旗国歌を強制して従わない教職員を処分する石原将軍様が権勢をふるい、あちらこちらにも民主主義を軽視するミニ将軍様が出現して、かの国に日本もどんどん似てくる今日この頃。
時間がかかってもみんなで議論をしてみんなで決め少数意見も尊重してきた戦後日本の民主主義は風前の灯火のよう。
悲しくて悲しくて、とてもやりきれませんよね。この限りないむなしさの救いはないのでしょうか。 (2006年05月06日 17時11分47秒)

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