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『だ・れ・だ?!』 ブランドX 「Is There Anything About?」 Brand X (82) 特異な存在で音楽シーンに次代を指示するスーパー・プロジェクト、ブランドX。ジャズ、フュージョンを越えて新世代のジャンル「X」をクリエイトする。A面 1. イパネミア - Ipanaemia 2. 長い4月 - A Longer April 3. モダーン、ノイジー&イフェクティヴ - Modern, Noisy and Effective B面 1. スワン・ソング - Swan Song 2. だ・れ・だ?! - Is There Anything About? 3. ATGA - TMIU-ATGA 英国のジャズ・フュージョン(ジャズ・ロック)バンドであるブランドX(Brand X)が82年にリリースした6thアルバム「だ・れ・だ?!(Is There Anything About?)」。流石にこの邦題は恥ずかしいと気付いたのか、現在では「イズ・ゼア・エニシング・アバウト?」という何の変哲も無いカタカナタイトルになっている。 おそらく私だけだろうけど、ブランドXとジェネレーションX(Generation X)がごっちゃになってしまう ゼンゼンチャウヤンケー!! ビリー・アイドル(Billy Idol)がいたパンク・ロックバンドがジェネレーションXで、フィル・コリンズ(Phil Collins)がいたジャズ・フュージョンバンドがブランドXである。ちなみにブランドXの結成が75年で、ジェネレーションXの結成は76年だ…ってどうでもいいけど。 ジェネシス(Genesis)のドラマー兼ヴォーカルだったフィル・コリンズ、80年代にはソロでも大ヒットを連発し、当時は “世界で一番忙しい男” と言われていた。確かにソロとして共に全米1位に輝いた “One More Night”(84) や “Sussudio”(85)はいい曲だったし、ジェネシスが86年にリリースした13thアルバム「インヴィジブル・タッチ(Invisible Touch)」は捨て曲なしの名盤で未だに大好きなアルバムではあるものの、80年代におけるフィル・コリンズの異常人気は何だったんだろう? 85年7月13日に開催された「ライヴエイド(LIVE AID)」で彼は英国の会場で演奏した後にコンコルドで米国の会場に移動し、両会場に出演した唯一のミュージシャンとなったが、何故そこまで需要があったのだろう?81年に “ルビーの指輪” で空前の大ヒットを飛ばした寺尾聰さんと並び、80年代の2大謎需要であった。 さて、「だ・れ・だ?!」リリース時のブランドXのメンバーはというと、keyのロビン・ラムリー(Robin Lumley)とJ・ピーター・ロビンソン(J. Peter Robinson)、gのジョン・グッドソール(John Goodsall)、bのジョン・ギブリン(John Giblin)とパーシー・ジョーンズ(Percy Jones)、そしてdsのフィル・コリンズ。 80年~92年までの休止期間はあったものの99年までバンドの活動は続いていたらしい。16年にジョン・グッドソールとパーシーを中心に再結成(フィルは不参加)するも、20年にパーシーが脱退。ジョン・グッドソールが21年11月に、ロビンは23年3月に亡くなっている。 昔からジャズは苦手なのだが、いざ聴いてみると案外すんなり聴けた。ジャズ・ロックということでロック色が強めだからかな。耳も感性も未熟なので、残念ながらこういう大人の音楽を楽しめる心の余裕が備わってないのである。いいアルバムだとは思うけど。 そんなブランドXに興味を持たれた方は、こちらをどうぞ♪フルアルバムを貼っておくので、お暇な方は是非ご一聴あれ。 だ・れ・だ?!(Full Album)
2024.05.18
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『夜ごとに太る女のために』 キャラヴァン 「For Girls Who Grow Plump in the Night」Caravan (73) プログレッシヴ・ロックにこの名盤あり!!「ロッキン・コンチェルト」と双璧をなすキャラヴァン、1973年の不朽の名作! A面 1. メモリー・レイン・ヒュー - Memory Lain, Hugh 2. ヘッドロス - Headloss 3. ホーダウン - Hoedown 4. サープライズ・サープライズ - Surprise, Surprise 5. シースルースルー - C'thlu ThluB面 1. ドッグ・ドッグ - The Dog, The Dog / He's at It Again 2. ビー・オール・ライト / チャンス・オブ・ア・ライフタイム - Be All Right / Chance of a Lifetime 3. いのししの館 / 狩へ行こう / ペンゴラ / バックワーズ / 狩へ行こう(反復) - L'Auberge du Sanglier / "A Hunting We Shall Go / Pengola / Backwards / A Hunting We Shall Go (reprise) 英国のカンタベリー・シーン(Canterbury scene)を代表するバンドの一つであるキャラヴァン(Caravan)が73年にリリースした5thアルバム「夜ごとに太る女のために(For Girls Who Grow Plump in the Night)」。ほぼ原題直訳の邦題だが、夜ごとに太る女って…私のこと!? 何だかチョコザップ(chocoZAP)やらカーブス(Curves)やらの誘い文句にありそうなタイトルは面白いけど、曲名の邦題が手抜きでよろしくない。ザッパ(Frank Zappa)やカーカス(Carcass)、コルピクラーニ(Korpiklaani。フィンランド出身のフォーク・メタルバンド)あたりだと、“目盛0(レイ)、ヒューッ!”(ザッパ風)、“獄門打首頭顱喪失(カーカス風)”、“歌えや踊れやドンジャラホイ”(コルピ風)てな感じになって楽しめただろう。 さて、カンタベリー・シーン(日本ではカンタベリー・ロック)というジャンルであるが、これは英国南東部のケント州カンタベリー出身者を中心とするプログレッシブ・ロック系のバンドやミュージシャンによる音楽を指す。64年にカンタベリーで結成されたワイルド・フラワーズ(The Wilde Flowers)からカンタベリー・ロックを代表するソフト・マシーン(Soft Machine)とキャラヴァンが生まれ、メンバーの離合集散とともに人脈がさらに広がり、ジャンルとしてくくられるほどの存在感を示すようになったとのこと(Wikiさんより)。 以前、ケヴィン・エアーズ(Kevin Ayers)の「夢博士の告白(The Confessions of Dr. Dream and Other Stories)」を取り上げたが、彼もワイルド・フラワーズのメンバーだった。ワイルド・フラワーズが67年に解散した際、メンバーはソフト・マシーンとキャラヴァンの2派に分裂したらしく、ケヴィンら4人はソフト・マシーンを、他の4人はキャラヴァンを結成した。 キャラヴァンの創設メンバーはg&voのパイ・ヘイスティングス(Pye Hastings)、bのリチャード・シンクレア(Richard Sinclair)、keyのデイヴ・シンクレア(Dave Sinclair)、drのリチャード・コフラン(Richard Coughlan)。その後ちょこっとメンバー交代があり、このアルバム作成時にはbがリチャードからジョン・G・ペリー(John G. Perry)に交代、そして新たにgやviola等を担当するジェフリー・リチャードソン(Geoffrey Richardson)が加わって5人組になっている。パイとジェフリーは現在もキャラヴァンで活動中のようだ。 73年10月リリースということは50年前のアルバムになるのだが、そこまで古臭さも感じさせなくて聴きやすい。結構キャラヴァン、いいかも。他のカンタベリー系も聴いてみようかな。……あ、「夢博士の告白」で音楽的にはちょっと好みじゃないって書いたっけ。カンタベリー系というよりキャラヴァンがいいだけかも。というかキャラヴァンというよりこのアルバムがたまたま良いだけかも!? 機会があったら他にも色々聴いてみようっと。 そんなキャラヴァンに興味を持たれた方は、こちらをどうぞ♪ メモリー・レイン・ヒュー / ヘッドロス ホーダウン シースルースルー
2024.05.14
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『刺青 ~神秘のロック野郎~』 タトゥー 「Tattoo」 Tattoo (76) 明日のポップス・シーンはこれだ!! あの「ラズベリーズ」のウォーリー・ブライソンがクリエイトする “タトゥー”。メロディアスでストレートなサウンドが爆発する神秘な世界!!A面 1. ホワット・ディド・ヒー・ドゥ - What Did He Do 2. ギブ・イット・トゥ・ヤ・イージー - Give It To Ya Easy 3. 君にあげよう - Send A Ship 4. おまえが欲しい - I Still Want You 5. 完璧な愛 - Absolutely LoveB面 1. 冷たい初恋 - It's Cold Outside 2. ヤー・スティール - Yer Stale 3. ひとりぼっちの土曜の夜 - Lonely Saturday Night 4. おまえの街 - This Is Your City 5. ハイウェイが呼んでいる - The Highway Calls My Name 今回取り上げるのはタトゥー(Tattoo。カタカナで書くと何だか間抜けっぽい)が76年にリリースしたセルフタイトルアルバム「刺青 ~神秘のロック野郎~(Tattoo)」。このバンドがリリースした唯一のアルバムである。 タトゥーといえば、20年ほど前に来日してTV番組「ミュージックステーション」でドタキャン騒動を起こしたロシアの女の子デュオ・t.A.T.u.の方がまだ知られているかもしれない。 しかしこちらのタトゥーは米国の男性5人グループだ。なので邦題もサブタイトルに “ロック野郎” と付いている。 グランド・ファンク・レイルロード(Grand Funk Railroad)が74年にリリースした「ハード・ロック野郎(世界の女は御用心)(All the Girls in the World Beware!!!)」を取り上げた際にも書いたが、この時代は巷に野郎が溢れていた。白バイ野郎、特攻野郎、冒険野郎、トラック野郎、ヒコーキ野郎など、海外のドラマや映画び邦題には “野郎” が付くものが多かったし、日本でも「トラック野郎」シリーズなんていう映画もあったぐらい、野郎が満ちていた。なのでなかなか時代を反映したサブタイトルと言えよう。 近年はあまり野郎を見なくなったもんなぁ。数年前に元SMAPの3人(新しい地図)主演の映画「クソ野郎と美しき世界」で見かけたくらいだ。 今はポリコレ(political correctness)に厳しい時代なので、野郎邦題は付けにくいかも。 さて、このタトゥーというバンドはエリック・カルメン(Eric Carmen)と共にラズベリーズ(Raspberries)を率いたウォーリー・ブライソン(Wally Bryson)が、故郷であるオハイオ州クリーブランド出身のミュージシャン仲間らと結成したバンドであったらしい。 メンバーはg&voのウォーリー・ブライソンの他に、gのデヴィッド・アレン・トーマス(David Allen Thomas)、bのダン・クレイウォン(Dan Klawon)、drのトム・ムーニー(Thom Mooney)、Pianoのジェフ・ハットン(Jeff Hutton)。 タトゥーとは関係ないがラズベリーズが75年に解散して以降、エリック・カルメンはソロとして75年にリリースした1stソロアルバム「エリック・カルメン(Eric Carmen)」からのシングル “オール・バイ・マイセルフ(All by Myself)” が全米2位の大ヒット!その後は低迷していたが、84年公開の「フットルース(Footloose)」の挿入歌 “パラダイス~愛のテーマ(Almost Paradise)” の作曲を手掛け、87年公開の「ダーティ・ダンシング(Dirty Dancing)」の挿入歌で自身が歌った “ハングリー・アイズ(Hungry Eyes)” は全米4位を記録して復活を遂げた。しかし今年3月にエリックは74歳で亡くなった。 話をタトゥーに戻すと、このアルバムは『disaster』と評された。ディザスターというのは災害や大惨事、大失敗とかいう意味だけど、そんなに酷い!? このジャケットが若干不気味で悪趣味だったかも。白塗りで着物姿の女性が内腿に彫ってある刺青(ライオン?何かの獣)を見せているような写真なのだが、背景が真っ黒なのでちょっと怖い。まるで団鬼六の世界のような… そんなタトゥーに興味を持たれた方は、こちらをどうぞ♪ ギブ・イット・トゥ・ヤ・イージー おまえが欲しい
2024.05.12
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『ヒッチハイクの賛否両論』 ロジャー・ウォーターズ 「The Pros and Cons of Hitch Hiking」 Roger Waters (84) ピンク・フロイドの “頭脳” ロジャー・ウォーターズの私的なインナートリップ。初のソロ作となったコンセプトアルバム。A面 1. 4:30AM トラベリング・アブロード - 4:30AM (Apparently They Were Travelling Abroad) 2. 4:33AM ランニング・シューズ - 4:33AM (Running Shoes) 3. 4:37AM ナイフを持ったアラブ人と西ドイツの空 - 4:37AM (Arabs with Knives and West German Skies) 4. 4:39AM 初めての出来事 パート2 - 4:39AM (For the First Time Today, Part 2) 5. 4:41AM セックス革命 - 4:41AM (Sexual Revolution) 6. 4:47AM 愛の香り - 4:47AM (The Remains of Our Love)B面 1. 4:50AM フィッシング - 4:50AM (Go Fishing) 2. 4:56AM 初めての出来事 パート1 - 4:56AM (For the First Time Today, Part 1) 3. 4:58AM さすらう事そして生きる事をやめる - 4:58AM (Dunroamin, Duncarin, Dunlivin) 4. 5:01AM 心のヒッチハイキング - 5:01AM (The Pros and Cons of Hitch Hiking, Part 10) 5. 5:06AM ストレンジャーの瞳 - 5:06AM (Every Stranger's Eyes) 6. 5:11AM 透明なひととき - 5:11AM (The Moment of Clarity) ピンク・フロイド(Pink Floyd)のベーシストであるロジャー・ウォーターズ(Roger Waters)が84年にリリースした初ソロアルバム「ヒッチハイクの賛否両論(The Pros and Cons of Hitch Hiking)」。邦題は原題直訳なので取り立てるほどではないが、何故か素っ裸のお姉さんがヒッチハイクをしているジャケットが目を引いたので取り上げてみた。 当時はネット通販がなかったので、青少年がこのアルバムをレジに持っていくには勇気が必要だっただろうなぁ…と思ったら、お尻を隠して売られていた所もあったようだ。 赤パンツを履かせてみたり、■で隠してみたり。更に■に加えて帯で半分隠したりして。 外人さんはスタイルがいいので、素っ裸ヒッチハイク姿もエロさより格好良さが勝っている…なんて思うのは私がおばはんだからかな。 85年に出版された「ロック名盤・レコード&ビデオ・ガイド」という本には「ザ・プロス・アンド・コンス・オブ・ヒッチハイキング」というカタカナタイトルで記載されているので、途中から邦題に変更されたのかも。だとしたらちょっと珍しい。 さて、このアルバムは神経症を患った主人公が見ている夢を、聴き手が同時進行で追っていくというコンセプトアルバムで、中年の危機に直面した主人公の男がカリフォルニアをロードトリップし、途中で拾ったヒッチハイカーと不倫し、荒野に移住して妻と和解しようとし、最終的には孤独になるがより深い洞察力を得るという夢の旅物語らしい。 物語は午前4時30分から午前5時13分までの43分間に起こる断続的な夢としてリアルタイムで構成されており(収録時間も43分)、夢の終わりに男は孤独で悔い改めながら目覚め、おそらく危機を乗り越えたのか本当の妻に慰めを求る――というものだそうな。 YouTubeでフルアルバムを聴いただけなので、そのあたりの物語は分からない。まぁ女性の喘ぎ声が入っていたりするけど。ただ、このアルバムにはエリック・クラプトン(Eric Clapton)が参加しており、彼のスライドギターを聴くことができる。 「ヒッチハイクの賛否両論」をリリースした翌85年にロジャーはピンク・フロイドを脱退し、87年に2ndソロアルバム「RADIO K.A.O.S. 〜混乱の周波数〜(Radio K.A.O.S.)」をリリースした。これも架空のラジオ局「Radio KAOS」を舞台としたコンセプトアルバムなのだとか。 残念なことに今の邦題はただの「RADIO K.A.O.S.」になっている。 A面 1. ラジオ・ウェイヴ - Radio Waves 2. 誰がそんな情報を必要としてるんだい? - Who Needs Information 3. 彼か、もしくは私が… - Me or Him 4. 予知能力 - The Powers That BeB面 1. サンセット通りにて - Sunset Strip 2. ホーム〜誰にでも国は存在する〜 - Home 3. 4分間のシミュレーション・ゲーム - Four Minutes 4. 流れが変わる時〜ライブ・エイドが終わって〜 - The Tide Is Turning (After Live Aid) “流れが変わる時〜ライブ・エイドが終わって〜(The Tide Is Turning (After Live Aid))” というのは、85年7月13日に開催されたアフリカ難民救済を目的としたチャリティコンサート「Live Aid」にロジャーは参加を申し込んだものの、主催者のボブ・ゲルドフ(Bob Geldof)に断られたらしい。しかしそのイベントがこの曲を書くきっかけになったそうな。 まぁ確かにこんな難解なアルバム曲で観客と盛り上がるのは難しいわな。残念だったけど。 そんな素っ裸ヒッチハイク ロジャー・ウォーターズに興味を持たれた方は、こちらをどうぞ♪これは是非フルアルバムをご堪能くだされ。 ヒッチハイクの賛否両論(Full Album)
2024.05.11
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『放射能』 クラフトワーク 「Radio-Activity(Radio-Aktivität)」 Kraftwerk (75) ナチス・ドイツの魂を継承して、アメリカに侵略を敢行したジャーマン・プログレッシヴ・パワー、クラフトワーク、「アウトバーン」に続く待望の最新作! エレクトロニクス・エフェクトを駆使し、無限の可能性を視覚的に表現したクラフトワーク 快心の第2弾!!A面 1. ガイガー・カウンター(放射能測定器) - Geiger Counter(Geigerzähler) 2. 放射能 - Radioactivity(Radioaktivität) 3. ラジオランド - Radioland 4. エアウェーヴス - Airwaves(Ätherwellen) 5. 中断 - Intermission(Sendepause) 6. ニュース - News(Nachrichten)B面 1. エネルギーの声 - The Voice of Energy(Die Stimme der Energie) 2. アンテナ - Antenna(Antenne) 3. ラジオ・スターズ - Radio Stars(Radio Sterne) 4. ウラニウム - Uranium(Uran) 5. トランジスター - Transistor 6. オーム・スイート・オーム - Ohm Sweet Ohm ドイツの電子音楽?テクノ・ポップ?のバンド・クラフトワーク(Kraftwerk)が75年にリリースした5thアルバム「放射能(Radio-Activity・Radio-Aktivität)」。邦題というか原題を直訳しているだけなのだが、まぁ珍しいタイトルなので取り上げてみたい。 人類史上初、且つ世界で唯一核兵器が実戦使用された国で生まれ育った者として、放射線の怖さは心に刻まれている。日本に投下された原子爆弾は2発。一つは45年8月6日に広島市に投下されたガンバレル型ウラニウム活性実弾でコードネームはリトルボーイ(Little Boy)。もう一発は同年8月9日に長崎市に投下されたプルトニウムを用いたインプロージョン方式の原子爆弾・ファットマン(Fat Man)。大量の熱線と放射線を浴びて亡くなった方は両市で20万人にも上った。 私が16歳だった86年4月26日、チェルノブイリ原子力発電所事故が起った。当時は連日報道されていたが、所詮異国の事故ということでわりと呑気にニュースを眺めていた。 放射線の恐ろしさに初めて震えたのは、99年9月30日に茨城県で起った東海村JCO臨界事故だ。施設内で核燃料を加工していた最中にウラン溶液が臨界に達して核分裂連鎖反応が発生、至近距離で多量の中性子線を浴びた作業員3名中2名が亡くなった。後年、その被爆から死に至るまでの状況をネットで知って、PC前で慄然とした。 11年3月11日には東日本大震災による福島第一原子力発電所事故が発生。チェルノブイリ原発事故と並ぶレベル7の深刻な事故だった。どこかのTV局ではプレゼント当選者として「怪しいお米 セシウムさん」などというとんでもないフリップを誤放送して大顰蹙を買ったっけ。東日本一帯が立入禁止の政府管理区域となり、新首都が「岡京」になるとの某タイムトラベラーさんの予言も懐かしい(岡山県民なので未だに覚えている) ちなみに放射線、放射能を光にたとえると、放射線は光で、放射能は光を出す能力のことだそうな(電気事業連合会HPより)。 さて、アルバム「放射能」であるが、当初のジャケットはナチス政権の宣伝省が1930年代後半に導入した国民ラジオのイラストだった。09年のリマスター盤からは放射性標識の三葉マーク(アルファ線、ベータ線、ガンマ線)が描かれているジャケットになっている。 Wikiさんによると、「放射能」は放射性崩壊(Radioactive decay)とラジオ(radio communication)をテーマに編成されたコンセプト アルバムらしい。 クラフトワークのこの頃のメンバーは、v&シンセその他のラルフ・ヒュッター(Ralf Hütter)とフローリアン・シュナイダー(Florian Schneider)、電子ドラムのカール・バルトス(Karl Bartos)とヴォルフガング・フリューア(Wolfgang Flür)の4人。このグループは現在も活動中だが、ちょくちょくメンバーが代わっており、この中で今も残っているのは創設メンバーでもあるラルフ・ヒュッターのみだ。同じ創設メンバーだったフローリアンは08年に脱退、20年に癌で亡くなった。 個人的にこういう無機質な音楽には興味をそそられないのだが、クラフトワークというグループ名を昔から知ってはいたので今回初めてアルバムを聴いてみて、世の中にはこういう音楽を受け入れられる人が大勢いるんだな…と感じた次第。勿論、悪くはないけど。 再びWikiさんによると、2012年7月7日に幕張メッセで行われた反原発ライブイベント「NO NUKES 2012」(YMOが “放射能(Radioactivity)” をカヴァーした)で このイベントに参加したクラフトワークは、同曲を福島の原発事故を明確に意識し反原発(反放射能汚染)を訴える坂本龍一さんの監修による日本語詞で歌唱し現在も世界中のライヴで歌い続けている――とのことらしい。 YouTubeにその “放射能” の福島バージョンが上がっていたので貼っておこう。反原発派だった坂本さんの詞も書いておく。原発の代替エネルギーが開発されればよいのだけれど。 放射能(Fukushima Version)←タイトル click 日本でも 放射能 きょうも いつまでも フクシマ 放射能 空気 水 すべて 日本でも 放射能 いますぐ やめろ そんなクラフトワークに興味を持たれた方は、こちらをどうぞ♪ ガイガー・カウンター(放射能測定器) ウラニウム オーム・スイート・オーム
2024.05.09
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『大狂乱スレイド一座』 スレイド 「Old New Borrowed and Blue」 Slade (74) ハード・ポップの王者スレイド、彼等のステージには聴かせて、見せて、楽しく、陽気で、という本来の姿がある。A面 1. ジャスト・ウォント・ア・リトル・ビット - Just Want a Little Bit 2. 明りが消える時 - When the Lights Are Out 3. ボクの町 - My Town 4. 虹を見つけよう - Find Yourself a Rainbow 5. マイルズ・アウト・トゥ・シー - Miles Out to Sea 6. 屋根に昇って - We're Really Gonna Raise the RoofB面 1. ドゥ・ウイ・スティル・ドゥ・イット - Do We Still Do It 2. ハウ・キャン・イット・ビー - How Can It Be 3. ドント・ブレイム・ミー - Don't Blame Me 4. マイ・フレンド・スタン - My Friend Stan 5. エヴリデイ - Everyday 6. グッド・タイム・ガールズ - Good Time Gals GWは存分に楽しめましたでしょうか?GW明け一発目は元気を出してスレイド(Slade)が74年にリリースした4thアルバム「大狂乱スレイド一座(Old New Borrowed and Blue)」を取り上げたい。 英国のロックバンドであるスレイドとの出会いは、83年にリリースされた彼等の11thアルバム「神風シンドローム(The Amazing Kamikaze Syndrome)」からシングルカットされた “ラン・ランナウェイ(Run Runaway)” のPVがMTVで流れたのを視聴したことによる。当時はMTVやらベストヒットUSAやらの洋楽番組はビデオ録画して繰り返し見ていたため、“ラン・ランナウェイ” も幾度となく見まくった。そのうちノー天気なPVとケルト調の音楽に魅了された次第である。 この「大狂乱スレイド一座」、何故こんな邦題が付けられたのかは分からないけど、まぁちょっと心の片隅には引っ掛かるタイトルだ。曲名の邦題が何の捻りもなくて勿体無いけど。 英国では70年代初頭のシングルチャートを独占していたそうで、71年~74年の間に12曲ものTOP 5シングル(内3曲が1位を記録)を出したのだとか。 勿論このアルバムも英国では1位に輝いた。芬蘭(Finland)2位、諾威(Norway)3位、豪州6位、独国20位とまずまずの成績だったが、米国では受け入れられずに168位に終わった。(ちなみに前述のシングル “ラン・ランナウェイ” は英国7位、米国でも20位) 原題は「Old New Borrowed and Blue」だが、米国では「Stomp Your Hands, Clap Your Feet」というタイトルに変更された。「大狂乱スレイド一座」はこっちの方がやや近いかも!? スレイドのメンバーはリードv&リズムgのノディ・ホルダー(Noddy Holder)、リードgのデイヴ・ヒル(Dave Hill)、bのジム・リー(Jim Lea)、dsのドン・パウエル(Don Powell)の4人。 70年代後半に一時人気が低迷したが80年代になると復活。69年のデビュー以来一度もメンバーチェンジすることなく頑張っていたが、92年にバンドの要であるノディとジムが揃って脱退。残ったデイヴとドンは新メンバーを入れてスレイドII(Slade II)として復活し、後にバンド名をスレイドに戻した。 69年生まれの私は、70年代のグラムロック(Glam rock)とかプログレ(Progressive rock)とかのジャンルにはちょっと取っ付き難いイメージを勝手に持っているのだが、そのグラムロックの中でスレイドはわりと取っ付きやすいというか聴きやすい方だと思う。このアルバムもノディの気取りの無いパワフルな歌唱に元気をもらえる。 そういえばスレイドの “クレイジー・ママ(Mama Weer All Crazee Now)” (72) や “カモン!!(Cum On Feel the Noize)” (73) はクワイエット・ライオット(Quiet Riot)がカヴァーして大ヒット!この曲が収録されたクワライの3rdアルバム「メタル・ヘルス〜ランディ・ローズに捧ぐ〜(Metal Health)」(83年リリース)は当時のHM/HRアルバムとしては珍しく全米1位に輝き、そのおかげでスレイドのリバイバル・ブームが起ったのであった。 そんなスレイドに興味を持たれた方は、こちらをどうぞ♪ ジャスト・ウォント・ア・リトル・ビット 明りが消える時 エヴリデイおまけ・1 個人的一推し曲 ラン・ランナウェイおまけ・2 クワイエット・ライオットver. “カモン!!” カモン・フィール・ザ・ノイズ by Quiet Riot
2024.05.07
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『フランク・ザッパの○△□』 フランク・ザッパ「Ship Arriving Too Late to Save a Drowning Witch」 Frank Zappa (82) ザッパは誰でもなく、また十万人。ガッシーッと楽曲主義でフランク畑でつかまえて。 船は進む、ザッパ海峡、今日もまた。アッパレ ザッパレ! 回を重ねるごとにエスカレートする超豪華解説書「マ●コ・カパックの友」(不定期刊行物)付き。A面 1. いまは納豆はいらない - No Not Now 2. えー、うっそぉ、ホントー? - Valley Girl 3. ア、いかん、風呂むせて脳わやや - I Come from NowhereB面 1. フランク・ザッパの○△□(マルサンカクシカク) - Drowning Witch 2. フランク・ザッパの▯(長方形) - Envelopes 3. 娘17売春盛り - Teen-Age Prostitute GW中は邦題界の王者たちを取り上げよう!ということで、今回はフランク・ザッパ(Frank Zappa)が82年にリリースした35thアルバム「フランク・ザッパの○△□(Ship Arriving Too Late to Save a Drowning Witch)」を取り上げたい。 ザッパといえば邦題!邦題といえばザッパ!というくらいに、日本の洋楽好きには広く知られていたザッパの面白邦題。以前取り上げた「ハエ・ハエ・カ・カ・カ・ザッパ・パ!(The Man from Utopia)」よりはマシかもしれないが、「○△□(マルサンカクシカク)」って…。やっぱり「ハエ・ハエ・カ・カ・カ…」同様、ジャケットのデザインから付けたんだろうなぁ。 しかし絶滅の危機迫る邦題界に押し寄せた原題尊重の波に飲まれたのかは知らないけど、ザッパの邦題の幾つかは原題直訳か、もしくはカタカナタイトルにしれっと変更されている。 現在このアルバムは「たどり着くのが遅すぎて溺れる魔女を救えなかった船」という原題直訳の長ったらしいタイトルとなっており、曲名の邦題も以下のとおり。A面 1. ノー・ノット・ナウ - No Not Now 2. ヴァリー・ガール - Valley Girl 3. アイ・カム・フロム・ノーウェア - I Come from NowhereB面 1. 溺れる魔女 - Drowning Witch 2. エンヴェロウプス - Envelopes 3. 十代の娼婦 - Teen-Age Prostitute “ア、いかん、風呂むせて脳わやや(I Come from Nowhere)” は誰もが一度は「あいかむふろむのーうぇあ」と声を出して邦題のバカバカしさを確認してみただろう。“いまは納豆はいらない(No Not Now)” は「のっとなう」を納豆に無理やりこじつけたセンスが素晴らしい。“娘17売春盛り(Teen-Age Prostitute)” は「娘十八 番茶も出花(正しくは鬼も十八 番茶も出花)」っぽくて語感がいいけど、まぁ今のご時世で売春盛りはよろしくないかな。 日本では邦題で語られることの多いザッパのアルバムだが、普通に楽曲もよいのである。 「○△□」は全米Billboardチャートで23位とまずまずの成功を収め、シングルカットされた“えー、うっそぉ、ホントー?(Valley Girl)” も32位に達した。この曲ではザッパの娘で当時14歳だった娘のムーン(Moon Zappa)がラップを担当。父ザッパは真夜中にムーンを起こしてスタジオに連れて行き、彼女が友人たちと交わした会話を再現させたという。その後、彼女は女優、歌手として活動しており、昨年8月には「Earth to Moon」という回想録を出版している。 ザッパ門下生であるスティーヴ・ヴァイ(Steve Vai)は、80年代前半にフランク・ザッパ・バンドのギタリストとしてザッパの演奏不可能なパートを受け持っていたようで、この「○△□」にも当然参加している。スティーヴ・ヴァイといえば、86年に公開された映画「クロスロード(Crossroads)」にも出演。十字路に現れる悪魔に魂を担保にブルースの極意を得るという契約を交わした「クロスロード伝説」をモチーフにした映画で、スティーヴが演じたのは十字路に現れた悪魔の手先であるギタリスト、ジャック・バトラー(Jack Butler)。ラルフ・マッチオ(Ralph Macchio)演じる主人公・ユジーン(Eugene Martone)とのギター対決ではユジーンが勝利するのだが、ラルフくんファンの私でも流石にいやいや、スティーヴには勝てんやろ…と心の中で思ったものだ。 ザッパは93年に前立腺癌により52歳で死去。変な邦題のおじさんとしか思っていなかったが、彼の音楽にもっと早くから触れておけばよかった。邦題からは想像が付かない格好良さがある。 最後に、帯文句にある「マ●コ・カパック(Manqu Qhapaq)」とはインカ神話によるクスコ王国の初代国王であるのだが、そのまま書いたらアップ不可だったため一字伏字にした。別にエロとは無関係なのに… そんなフランク・ザッパに興味を持たれた方は、こちらをどうぞ♪ えー、うっそぉ、ホントー? ア、いかん、風呂むせて脳わやや 娘17売春盛り
2024.05.06
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『原子心母』 ピンク・フロイド 「Atom Heart Mother」 Pink Floyd (70) ピンク・フロイドの道はプログレッシヴ・ロックの道なり!A面 1. 原子心母 - Atom Heart Mother 1. 父の叫び - Father's Shout 2. ミルクたっぷりの乳房 - Breast Milky 3. マザー・フォア - Mother Fore 4. むかつくばかりのこやし - Funky Dung 5. 喉に気をつけて - Mind Your Throats Please 6. 再現 - RemergenceB面 1. もしも - If 2. サマー '68 - Summer '68 3. デブでよろよろの太陽 - Fat Old Sun 4. アランのサイケデリック・ブレックファスト - Alan's Psychedelic Breakfast 1. ライズ・アンド・シャイン - Rise and Shine 2. サニー・サイド・アップ - Sunny Side Up 3. モーニング・グローリー - Morning Glory GW中は邦題界の王者たちを取り上げよう!ということで、今回は英国が誇るプログレ(Progressive rock)の先駆者であるピンク・フロイド(Pink Floyd)が70年にリリースした5thアルバム「原子心母(Atom Heart Mother)」を取り上げたい。 古の中国で作られた四字熟語のような「原子心母」という邦題は単に原題直訳で、Atom=原子、Heart=心、Mother=母ということから付けられたとのこと。発売から50余年、この言葉に何か意味を持たせてもいいのではないかと思うくらい馴染んでしまっている。 この不思議なタイトル、元々無題だったがBBCラジオでコンサート放送を流すにあたりタイトルが必要となり、たまたま持っていたタブロイド紙のコピーから見つけようということで、プルトニウム238を動力源とするペースメーカーの埋め込みに成功した女性についての記事の見出し “atom heart mother named” が目に留まったことから付けられたという。 邦題もだが、このジャケットの牛もインパクトが大きい。タイトルやバンド名の記載はなくて、ただ牛がデーンと写っているだけという斬新なデザインを担当したのは、英国のデザイングループであるヒプノシス(Hipgnosis)。彼等はピンク・フロイド以外にもロイ・ハーパー(Roy Harper)の「精神本部(HQ)」やナザレス(Nazareth)の「競獅子(Rampant)」等、数多くのカバーデザインを手掛けた。ちなみにこのアルバムジャケットの牛さん、ルルベル3世(Lulubelle III)という洒落た名前だそうな 65年に結成されたピンク・フロイドの創設メンバーは、g&voのシド・バレット(Syd Barrett)、bのロジャー・ウォーターズ(Roger Waters)、keyのリチャード・ライト(Richard Wright) 、そしてdrのニック・メイスン(Nick Mason)の4人だった。 67年に「夜明けの口笛吹き(The Piper at the Gates of Dawn)」という素晴らしい邦題のデビューアルバムをリリース。当初の邦題は「サイケデリックの新鋭」だったらしい(Wikiさんより)。しかしシドがこの頃から既に過剰なドラッグ摂取で正常な状態ではなかったようで、翌年には新たなgとしてデヴィッド・ギルモア(David Gilmour)が加入してシドは脱退。79年にリチャードが首宣告されるまでは(後に復帰)暫くこの4人体制で、「原子心母」制作時もこの4人のメンバーだった。 ドラッグ中毒などで精神を病んだシドは70年に「帽子が笑う…不気味に(The Madcap Laughs)」というイカした(死語)邦題でソロアルバムをリリース。同年に2ndアルバム「その名はバレット(Barrett)」を出したのを最後にシドは表舞台から去り、06年に60歳でこの世を去った。リチャードも08年に癌により65歳で他界している。 一方、ギルモアさんは先月24日に5thソロアルバム「Luck and Strange」を9月6日にリリースすると発表、10月からツアーを行う予定だという。またロジャーも昨年、ピンク・フロイドが73年にリリースした8thアルバム「狂気(The Dark Side of the Moon)」の発売50周年記念盤「The Dark Side of the Moon Redux」を新たにレコーディングしてリリースした。この二人の対立(というかロジャーの独裁化)がバンド崩壊を招いて85年にロジャーが脱退。そこからは色々とゴタゴタしたようだが、05年7月に開催されたLIVE 8では20年ぶりにメンバー4人が揃って演奏した。 実は「原子心母」を通して聴いたのは今回が初めてだったが、当時は若者達もこのアルバムを聴いて衝撃を受けたのだろうか。A面に丸々収録されている “原子心母(Atom Heart Mother)” は20分超で5つのパートからなるクラシック調の大作だ。おばはんになってからのんびり聴く分にはいいが、若い頃だとおそらく聴いていられなかった気がする。 このアルバムは英国で1位を獲得したが、米国では55位止まりだった。ノー天気な米国人(褒め言葉)にはこういう作品は合わなかったのだろう。まぁしかし「狂気」で初の全米1位に輝いて以降は出すアルバム全てが世界中で大ヒットするのだけれど。 そんなピンク・フロイドに興味を持たれた方は、こちらをどうぞ♪ 今回はフルアルバムをお楽しみくだされ。 原子心母(Full Album)
2024.05.05
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『ビートルズがやって来るヤァ!ヤァ!ヤァ!』 ビートルズ 「A Hard Day's Night」 The Beatles (64) 映画は音楽を変え、音楽は映画を変える。“視” と “聴” を初めて密着させたビートルズのサントラ傑作A面 1. ビートルズがやって来るヤァ!ヤァ!ヤァ!(ハード・デイズ・ナイト) - A Hard Day's Night 2. 恋する二人 - I Should Have Known Better 3. 恋におちたら - If I Fell 4. すてきなダンス - I'm Happy Just to Dance with You 5. アンド・アイ・ラヴ・ハー - And I Love Her 6. テル・ミー・ホワイ - Tell Me Why 7. キャント・バイ・ミー・ラヴ - Can't Buy Me LoveB面 1. エニータイム・アット・オール - Any Time at All 2. ぼくが泣く - I'll Cry Instead 3. 今日の誓い - Things We Said Today 4. 家に帰れば - When I Get Home 5. ユー・キャント・ドゥ・ザット - You Can't Do That 6. アイル・ビー・バック - I'll Be Back GW中は邦題界の王者たちを取り上げようと思い、まずはビートルズ(The Beatles)が64年にリリースした3rdアルバム「ビートルズがやって来るヤァ!ヤァ!ヤァ!(A Hard Day's Night)」について。 このアルバムは64年に公開されたビートルズの初主演映画「ビートルズがやって来るヤァ!ヤァ!ヤァ!(A Hard Day's Night)」のサントラ盤なので、元々は映画評論家の水野晴郎さんが日本ユナイト映画の宣伝部長(だか宣伝総支配人だか)だった頃に付けた邦題だ。なかなかインパクトのある邦題だったものの普通に「ヤァヤァヤァ」と呼んでいたのだが、00年に映画が再上映された際に「ハード・デイズ・ナイト」とカタカナタイトルに改められ、このアルバムのタイトルも同じくカタカナタイトルに改められてしまった。そしてA-1のタイトルソングも “ア・ハード・デイズ・ナイト(A Hard Day's Night)” になっているそうだ。 私が姉の影響でビートルズを聴くようになったのはちょうど中学に上がる12~3歳の頃(82年)で、中高生時代はビートルズ・シネ・クラブ(BCC)というファンクラブに入っていた。ビートルズ映画の上映会が活動の中心だったようだが、田舎の学生だった私は毎月送られる会報誌だけが楽しみだった。そういえばジョン・レノン(John Lennon)ファンだった姉はHOHNER製のハーモニカを通販で購入していたっけ。 高1ぐらいの時に地元の市民文化ホールでBCC主催の上映会があり、ビートルズ初のアニメ映画「イエロー・サブマリン(Yellow Submarine)」(68年公開)を観た。ビートルズに全く興味のなかった当時の彼氏にお願いして一緒に鑑賞したが、今にして思えば相当キツかっただろうなぁ。ファン以外の10代の男の子が楽しめる作品ではなかったように思う。 さて「ヤァヤァヤァ」に話を戻すと、A面が映画のサウンドトラックでB面が新たにレコーディングされた曲だ。私はジョージ・ハリスン(George Harrison)のファンだったが、ジョージのヴォーカル曲は “すてきなダンス(I'm Happy Just to Dance with You)” のみで作詞作曲は全てジョンとポール・マッカートニー(Paul McCartney)によるもの。でもってリンゴ・スター(Ringo Starr)のヴォーカル曲は今作ではなし。 このアルバムの中で個人的に好きなのは “恋におちたら(If I Fell)” と “今日の誓い(Things We Said Today)”。 “恋におちたら” はジョンの曲でヴォーカルはジョン&ポールが取っており、“今日の誓い” はポールの曲でヴォーカルも彼が務めている。 この映画にビートルズファンの女学生役で出演したパティ・ボイド(Pattie Boyd)は66年にジョージと結婚。“ヤァ!ヤァ!ヤァ!” の曲をバックにメンバーが群がるファンから逃れるために走っているシーンで派手にすっ転んだジョージに母性本能がキュンッと擽られたのかしらん。しかし74年に離婚し、79年にはジョージの友人であるエリック・クラプトン(Eric Clapton)と再婚したものの89年に離婚した。ジョージの代表作の一つである“サムシング(Something)” 、そしてクラプトンのこれまた代表作の一つである “いとしのレイラ(Layla)” にもパティはインスピレーションを与えている。また、ジョンもローリング・ストーンズ(The Rolling Stones)のミック・ジャガー(Mick Jagger)もパティに惹かれていたとのこと。若い頃のパティは本当にキュートで可愛いから納得。 …おっと、話がそれてしまった。このアルバムは当然ながら英米はじめ各国で1位を記録。とはいっても北米盤は少し収録曲が違っているけど。 発売から60年経った現在でも飽きることなく聴き続けているビートルズ。80年にはジョン、01年にはジョージが鬼籍に入ってしまったが、ポールとリンゴにはまだまだ長生きしていただきたい。 そんなビートルズに興味を持たれた方は、こちらをどうぞ♪ ビートルズがやって来るヤァ!ヤァ!ヤァ! キャント・バイ・ミー・ラヴ すてきなダンス 恋におちたら
2024.05.04
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『血染めの鉄鎚(ハンマー)』 メタリカ 「Kill 'Em All」 Metallica (83) 俺たちはN.Y.で最も毒のあるメタル・バンドさ!!A面 1. ヒット・ザ・ライツ - Hit The Lights 2. 電撃の騎士 - The Four Horsemen 3. モーターブレス - Motorbreath 4. 炎のジャンプ - Jump In The Fire 5. プリング・ティース - (Anesthesia) Pulling Teeth 6. 鞭 - WhiplashB面 1. ファントム・ロード - Phantom Lord 2. 懺悔無用 - No Remorse 3. 見つけて壊せ - Seek And Destroy 4. メタル軍団 - Metal Militia 「『100 Best Debut Albums of All Time』の懐かし邦題」という駄記事を10日前に綴った際にも触れたが、メタリカ(Metallica)が83年にリリースしたデビューアルバムには「血染めの鉄鎚(ハンマー)(Kill 'Em All)」という如何にもな邦題が付いていた。それが今では「キル・エム・オール」という平凡なカタカナタイトルに改められたうえ、曲名の邦題までもが全て消え去っている。…まぁそれが元々のタイトルではあるのだけど。とはいえ「血染めの鉄鎚(ハンマー)」ってジャケットを見たまますぎて、捻りが足りなかったわな。 このデビューアルバムは全米66位とまずまずであったが、91年にリリースした5thアルバム「メタリカ(Metallica)」が初のBillboardチャート1位に輝き、以降はアルバムをリリースする度に1位を獲得していた。残念ながら昨年4月にリリースした11thアルバム「72シーズンズ(72 Seasons)」は全米チャートだと2位止まりだったみたいだが、英・独・豪など世界各国では相変わらず1位に輝いたようだ。 「血染めの鉄鎚(ハンマー)」を聴きながらこれを書いているが、デビューアルバムながら完成度は高い。“後にスラッシュメタルの先駆けとして再評価された作品” とのこと(Wikiさん参照)。 83年といえば英国のNWOBHM(New Wave of British Heavy Metal)や米国西海岸発のLAメタル等に代表されるHR/HMブームに差し掛かった頃だった。当時はアイアン・メイデン(Iron Maiden)やハノイ・ロックス(Hanoi Rocks)、モトリー・クルー(Mötley Crüe)等を好んで聴いていたが、メタリカが数年早く大ヒットしていたら間違いなく好きになっていただろう。 さて、このアルバム収録時のメタリカのメンバーはというと、vo&gのジェイムズ・ヘットフィールド(James Hetfield)、gのカーク・ハメット(Kirk Hammett)、bのクリフ・バートン(Cliff Burton)にdrのラーズ・ウルリッヒ(Lars Ulrich)の4人。 カークの前にリードgを務めていたのがデイヴ・ムステイン(Dave Mustaine)。アルバム収録のため向かった先のNYで解雇を宣告されたという。失意のデイヴはその後メガデス(Megadeth)を結成。メタリカと共に “スラッシュメタルBIG4” と評され、グラミー賞に12回もノミネートされるまでに。メガデスといえば、ギタリストだったマーティ・フリードマン(Marty Friedman)が脱退後は何故か日本で活動していてちょっとビックリ。 メタリカに話を戻すと、86年にリリースされた3rdアルバム「メタル・マスター(Master of Puppets)」ぐらいしかちゃんと聴いたことはなかったのだが、このメタル・マスターっていうのも地味に妙な邦題だよね。それはともかく、個人的には3rdよりこの「血染めの鉄鎚(ハンマー)」の方が好みかも。デビューアルバム特有の荒っぽさがいい感じに攻撃的で格好いい。最近のメタルは知らないけど、ギターの速弾きが80年代っぽくていいよね。 今更だけどいいなぁ、メタリカ。50歳を過ぎたら演歌とかに興味が向くかと思っていたけど、やっぱりロックが最高だ!BBAになってもやっぱりHR/HMが好きだ! そんなメタリカに興味を持たれた方は、こちらをどうぞ♪ 電撃の騎士 鞭 見つけて壊せ
2024.05.01
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今回はRolling Stone誌が選出した「100 Best Debut Albums of All Time(史上最高のデビュー・アルバム100)内の邦題アルバムタイトルのみを100位から順(右端の数字が順位)につらつら挙げてみた。98 「頽廃的美学論」「Q: Are We Not Men? We Are Devo!」Devo(78)91 「リバティーンズ宣言」「Up the Bracket」The Libertines(02)89 「そよ風の贈りもの」「Whitney Houston」Whitney Houston(85)87 「N.Y.ダンステリア」「She's So Unusual」Cyndi Lauper(83)83 「血染めの鉄鎚(ハンマー)」「Kill 'Em All」Metallica(83)73 「夜明けの口笛吹き」「The Piper at the Gates of Dawn」Pink Floyd(67)69 「黒い安息日」「Black Sabbath」Black Sabbath(70)65 「オアシス」「Definitely Maybe」Oasis(02)57 「エルヴィス・プレスリー登場!」「Elvis Presley」Elvis Presley(56)47 「ハートに火をつけて」「The Doors」The Doors(67)44 「レナード・コーエンの唄」「Songs of Leonard Cohen」Leonard Cohen(67)43 「警告! THE B-52'S来襲」「The B-52's」The B-52's(79)40 「炎の導火線」「Van Halen」Van Halen(78)30 「錯乱のドライヴ/カーズ登場」「The Cars」The Cars(78)24 「愛しのキッズ」「Pretenders」The Pretenders(80) 23 「勝手にしやがれ!!」「Never Mind the Bollocks, Here's the Sex Pistols」The Sex Pistols(77)17 「平等の権利」「Handsworth Revolution」Steel Pulse(78)16 「バーニング・アップ」「Madonna」Madonna(83) 9 「白い暴動」「The Clash」The Clash(79) 4 「燃えよウータン」「Enter the Wu-Tang (36 Chambers)」Wu-Tang Clan(93) 1 「ラモーンズの激情」「Ramones」Ramones(76) 邦題付アルバム21枚のうち既に紹介済のアルバムにはLINKを貼ってみたが、まだ3枚しか取り上げてないことに愕然 さて、その21枚の中でセルフタイトルのアルバムが約半分の11枚。大体デビューアルバムはセルフタイトルのものが多いように感じていたが、意外とそうでもないような。 そんな中でオアシス(Oasis)はちゃんと「Definitely Maybe」というタイトルが付いているのに、邦題が「オアシス」って…。 米国のHip Hopグループであるウータン・クラン(Wu-Tang Clan)、ウータン(Wu-Tang)という名前は83年に公開された香港映画「少林寺武者房(または「少林拳対武当拳」)」(少林與武當/ Shaolin and Wu Tang)に登場する武当派から取られたとのこと(Wikiさん参照)。彼等のアルバムタイトル「Enter the Wu-Tang (36 Chambers)」は、リュー・チャーフィー(劉家輝)主演「少林寺三十六房(The 36th Chamber of Shaolin)」と、ブルース・リー(李小龍)主演「燃えよドラゴン(Enter the Dragon)」から付けられたそうで、なので邦題もちゃんと「燃えよウータン」となっているらしい。おおッ、ナイス邦題! 一方でメタリカ(Metallica)の「血染めの鉄鎚(ハンマー)」なんて、今では「キル・エム・オール」と原題(Kill 'Em All)のカタカナ表記タイトルに変わってしまってインパクトなし。まぁメタリカぐらいビッグになったら変な邦題は不要だろうけど。完全に忘れ去られる前に、早いとこ紹介しておこうっと
2024.04.21
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『悩殺爆弾〜禁断のロックン・ロール・クイーン』 ザ・ランナウェイズ 「The Runaways」 The Runaways (76) 男たちよ受けてみよ! 全ての常識に対し叩きつけられた五人のロッキン・ガールズの挑戦状を!!A面 1. 悩殺爆弾(チェリー・ボム) - Cherry Bomb 2. あなたに夢中 - You Drive Me Wild 3. 錯乱する頭脳 - Is It Day or Night? 4. 恋の稲妻 - Thunder 5. ロックン・ロール - Rock and RollB面 1. ラヴァーズ - Lovers 2. アメリカン・ナイツ - American Nights 3. ブラックメイル - Blackmail 4. シークレッツ - Secrets 5. 行きづまりの正義 - Dead End Justice 女性ロックバンドの祖ともいえるザ・ランナウェイズ(The Runaways)。ランナウェイズ以前にも女性バンドはいたが、彼女達の出現によりその後の女性ロックバンドの型が決まったような気がする。今回はそんな彼女達のデビュー・アルバム「悩殺爆弾〜禁断のロックン・ロール・クイーン(The Runaways)」を取り上げる。 この邦題は今も使われているが、“Cherry Bomb” を “悩殺爆弾” と訳したセンスが素晴らしい。これを書くにあたり久々に“悩殺爆弾(Cherry Bomb)” のPVを視聴したが、今見るとヴォーカルがコルセット&ガーターベルトという過激な衣装で歌っていてもエロさを感じないのは、当時の彼女はまだ16歳だったから。伊代はまだ16だから~♪と歌っていた日本人歌手を思えば、大人ぶってる感じでむしろ微笑ましい。 ランナウェイズのメンバーはというと、ほぼ下着姿で歌うvoのシェリー・カーリー (Cherie Currie) 、リードgのリタ・フォード(Lita Ford)にリズムg&voのジョーン・ジェット(Joan Jett)、bのジャッキー・フォックス(Jackie Fox)、drのサンディ・ウェスト(Sandy West)の5人。 バンドの初代ベーシストだったミッキ・スティール(Micki Steele)は後にマイケル・スティール(Michael Steele)の名でバングルス(The Bangles)に加入。残念ながら05年に脱退しちゃったけど。 ランナウェイズはアルバムを4枚リリースして79年に解散。その際、パンク・ロック的なアプローチを主張したジョーンと、ハードロックを追求したいリタ&サンディの意見の不一致もあったとのことだが、解散後リタはHR/HMの道へ進んだ。90年代初めに元W.A.S.P.のgだったクリス・ホルムス(Chris Holmes)と結婚したが短期間で離婚したという。90年代半ばから10年間ほど活動を休止していたが、08年に活動を再開して現在に至っている。 ジョーンもジョーン・ジェット&ザ・ブラックハーツ(Joan Jett and the Blackhearts)として81年にリリースした3rdアルバム「アイ・ラヴ・ロックン・ロール(I Love Rock 'n' Roll)」が大ヒット!15年には見事ロックの殿堂( Rock and Roll Hall of Fame)入りを果たした。 シェリーは解散前にバンドを脱退しており、その後は女優としても活動。私の愛してやまないおバカ映画の傑作「フライングハイ(Airplane!)」で主人公の元戦闘機パイロット、テッド・ストライカー(Ted Striker)役を演じたロバート・ヘイズ(Robert Hays)と結婚して一人息子を授かるも離婚してしたとのこと。 ジョーンとともにランナウェイズの創設メンバーでもあったサンディは、解散後は音楽業界で生計を立てることは難しかったらしい。06年に47歳の若さで亡くなった。 個人的には77年リリースの2nd「クイーンズ・オブ・ノイズ(Queens Of Noise)」の方が好みだが、「悩殺爆弾」の荒っぽさも初々しくていいかもしれない。 A-5の “ロックン・ロール(Rock and Roll)” は ヴェルヴェット・アンダーグラウンド(The Velvet Underground)のカヴァーだが、原曲と聴き比べると彼女達の溌剌さがより際立って感じる。若さっていいよね~。 そんなランナウェイズに興味を持たれた方は、こちらをどうぞ♪ 悩殺爆弾 ロックン・ロール 錯乱する頭脳
2024.04.17
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『極美』 アダム・ボム 「Fatal Attraction」 Adam Bomb (84) 雄大なスケールとその限りなきロマンティシズムの世界!! 今、アメリカン・ヘヴィ・ロック・シーンの新星! シアトルからデビュー!!A面 1. テイク・ミー・イン - Take Me In 2. ネバー・ノウ - You'll Never Know 3. シェイプ・オブ・ザ・ワールド - Shape of The World 4. 乱舞 - Fatal Attraction 5. イスラエル - Israël B面 1. マイ・ヘビー・メタル - I Want My Heavy Metal 2. ロシアン・ルーレット - Russian Roulette 3. イッツ・ア・バスト - It's A Bust 4. プライム・イーブル - Prime Evil 84年にリリースされたアダム・ボム(Adam Bomb)のデビュー・アルバム「極美(Fatal Attraction)」。音楽的には可もなく不可もなく、邦題もインパクトに欠けるのだが、ジャケットでアダムの着ている呪文のような怪しい漢字シャツだけが何故かすごく印象に残っているので今回取り上げてみた。 この呪文服ジャケットは日本盤だけのようで、他国盤は普通にライダースジャケット&ジーンズのロックな兄ちゃん姿である。 でもまぁこの呪文服のおかげで発売から40年の歳月を経てなお、私の記憶の片隅にこびり付いている。 バンドのメンバーはvo&gのアダム、そしてgに元エアロスミス(Aerosmith)のジミー・クレスポ(Jimmy Crespo)、bのフィル・フェイト(Phil Feit)、drのグレッグ・ガーソン(Gregg Gerson)。フィルとグレッグはビリー・アイドル(Billy Idol)のバンドメンバーだった。そして “マイ・ヘビー・メタル(I Want My Heavy Metal)” にはAC/DCのb.クリフ・ウィリアムズ(Cliff Williams)が参加している。 アダムは63年生まれなので、レコーディング時は20歳そこそこだったはず。それを思うとなかなか堂々たるミュージシャンっぷりだ。あ、だけど85年に「ピクチャーズ・フォー・プレジャー(Pictures for Pleasure)」でデビューした “チャリ坊” ことチャーリー・セクストン(Charlie Sexton)は16、7歳だったっけ。…負けたか!? いやいや早熟さではアダムも負けてない。80年にはTKOに加入しており、以前ご紹介したTKOの2ndアルバム「顔に唾をかけろ!(In Your Face)」に本名のアダム・ブレナー(Adam Brenner)で参加している。82年に脱退し、「極美」で見事にソロデビューを飾ったのであった。 しかしこのアルバムも決して悪くはないのだが、何というか全く記憶に残らないのである…日本盤ジャケット写真以外は。聴いたそばからす~っと抜けていくような感じ。楽曲はそこそこ聴きやすいんだけどね。 自身の2ndアルバムは5年後の89年にリリースされているが、85年にはブラック・アンド・ブルー(Black 'N Blue)の2nd「ウィズアウト・ラヴ(Without Love)」に参加している。ブラック・アンド・ブルーの、また後にKISSの5代目gとなったトミー・セイヤー(Tommy Thayer)は一時ご近所さんで親交があったらしい。 また、アダムは79年にクイーンズライチ(Queensrÿche)のvoだったジェフ・テイト(Geoff Tate)と初めてカバーバンド・Tyranを組んだという。アダムと仲良くなると何かしら御利益があるのかも!? もしやあの呪文シャツは御真言か何かだったりして!? そんなアダム・ボムに興味を持たれた方は、こちらをどうぞ♪ シェイプ・オブ・ザ・ワールド マイ・ヘビー・メタル ロシアン・ルーレット
2024.04.15
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『ごはんですよ!』 サムラ・ママス・マンナ 「Måltid」 Samla Mammas Manna (73) パーカッションのヘンリックが脱退し、ギターのコステ・アペトレアが加入した'73年作。民族音楽と変拍子の融合というサムラ独自のカラーが打ち出され、驚異的な演奏力を発揮する。A面 1. 歓喜の轟き - Dundrets Fröjder 2. 不意の出産 - Oförutsedd Förlossning 3. 甦った旋律 - Den Återupplivade Låten B面 1. 朝食のための民謡 - Folkvisa I Morse 2. シスター・システム - Syster System 3. サイコロ - Tärningen 4. 逆行の正規 - Svackorpoängen 5. 尖塔の光 - Minareten 6. 不動産の価格 - Værelseds Tilbud 満を持して今回取り上げるのは、サムラ・ママス・マンナ(Samla Mammas Manna)が73年にリリースした2ndアルバム「ごはんですよ!(Måltid)」。サムラ・ママス・マンナ(以下サムラ)はスウェーデンのプログレッシブ・ロック・バンドで、主に70年代に活躍していたバンドだ。 「ごはんですよ!」といえば、「ごはんですよは桃屋ですよ」のCMでお馴染みの海苔佃煮の商品名だが、原題であるスウェーデン語の「Måltid」を日本語に訳すと、“食事” とか “ごはんよ!” とかいう意味らしいので、結構直訳に近い邦題なのであった。 英語圏外のバンドは原題だと理解できる人が少ないせいか邦題が付いていることが多く、サムラのアルバムのほとんどにも「資本主義をぶっ壊せ! -踊る鳥人間-(Klossa Knapitatet)」(74)だの「洟垂れ小僧のシンフォニー(Snorungarnas symfoni)」(76)だのといった魅力的な邦題が付いている。 「ごはんですよ!」発売時のサムラのメンバーはkeyのラーシュ・ホルメル(Lars Hollmer)、bのラーシュ・クランツ(Lars Krantz)、drのハッセ・ブリュニウソン(Hasse Bruniusson)にgのコステ・アペトレア(Coste Apetrea)。 ホルメルさんは08年のクリスマスに60歳で癌により亡くなっている。 サムラの音楽はプログレ(Progressive rock)の中でもRIO(Rock in Opposition)を含むアヴァン・プログ(Avant-prog、avant-garde progressive rock)と呼ばれる、読んで字の如くアバンギャルド(前衛的)な音楽である。 残念なことに私が洋楽を聴き始めた80年代初頭は既にニューロマンティック(New Romantic)が全盛だったため、音楽性より外見勝負のアーティストが多く、その価値観(音楽はルックスとノリ)のままおばはんになってしまったので、こういう技巧派プログレにはよく分からないけど圧倒されてしまう。 知らずに邦題だけ見たらコミック・バンドかな?と思ってしまいそうだが、帯文句どおり演奏力は本当に高い。ただ、所々入るヴォーカルが個人的にはちょっと苦手かも。 そんなサムラ・ママス・マンナに興味を持たれた方は、こちらをどうぞ♪ 今回はフルアルバムのリンクを貼っておくので、聴いてみてくだされ。おすすめはコステさんの技巧炸裂の1曲目 “歓喜の轟き(Dundrets Fröjder)” かな。 ごはんですよ!(Full Album)
2024.04.14
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『精神本部』 ロイ・ハーパー 「HQ」 Roy Harper (75) この男 ロイ・ハーパーこそ、ピンク・フロイドの「炎」に主役で登場する陰の大物なのだ!! デイヴ・ギルマー(ピンク・フロイド)、ジョン・ポール・ジョーンズ(レッド・ツェッペリン)、ビル・ブラフォード(元キング・クリムゾン)等のスーパー・スターに囲まれたブリティッシュ・フォークの巨人、ロイ・ハーパーの野心作!!A面 1. ザ・ゲーム - The Game (Parts 1–5) 2. 生命は果てしなく - The Spirit Lives 3. 大人は間抜けなガキと同じ - Grown Ups Are Just Silly Children B面 1. 国民投票 - Referendum (Legend) 2. 忘れないで - Forget Me Not 3. まぼろしの灯り - Hallucinating Light 4. クリケットのお話 - When an Old Cricketer Leaves the Crease 今回はロイ・ハーパー(Roy Harper)の8thアルバム「精神本部(HQ)」を取り上げてみよう。残念ながらこの邦題は既に消え去り、95年にCD化された際のタイトルは「HQ」になっていた。 その「HQ」のライナーノーツにはこう書かれている。 ロイ・ハーパー ―― 必ずこの人が語られる際に出てくる常套文句を、まずは挙げてみる。「ジミー・ペイジ、ポール・マッカートニー、デイヴ・ギルモア、ロジャー・ウォーターズ、ケイト・ブッシュ、故キース・ムーンといった純粋大英帝国構成アーティスト達が皆信奉していた、伝説のシンガー・ソング・ライター」。 他にもレッド・ツェッペリン(Led Zeppelin)が70年にリリースした3rdアルバム「Led Zeppelin III」には “Hats off to (Roy) Harper” というハーパーに捧げた曲があるだとか、ピンク・フロイド(Pink Floyd)が75年にリリースした9thアルバム「炎(Wish You Were Here)」に収録されている “葉巻はいかが(Have A Cigar)” ではちょうど隣のスタジオでレコーディングしていたハーパーが請われてリード・ヴォーカルをとっただとか書かれている。 ロイ・ハーパーは良く知らないけど、お友達の豪華さで語られる人なのだ…気の毒に。 帯にも書かれてあるとおり、このアルバムにはピンク・フロイドのデヴィッド・ギルモア(David Gilmour)、レッド・ツェッペリンのジョン・ポール・ジョーンズ(John Paul Jones)、元キング・クリムゾン(King Crimson)のビル・ブルーフォード(Bill Bruford)、それにギタリストのクリス・スペディング(Chris Spedding)や作曲家のデヴィッド・ベッドフォード(David Bedford)等が参加しており、本人よりもバックのメンバー達に惹かれて購入された方も多いのではないだろうか。個人的にプログレには然程興味がないので、この面子の豪華さが今ひとつピンとこないのだけれど。 とはいえこのアルバムは聴いてよかった。特にギルモアさんのギター&ジョーンズさんのベースが奏でる1曲目の “ザ・ゲーム(The Game (Parts 1–5))” が好みかな。ちと長いけど格好いい。“大人は間抜けなガキと同じ(Grown Ups Are Just Silly Children)” もおすすめ。 最初にタイトルの邦題は消滅したと書いたが、曲名の邦題も若干変わっている。 1. ザ・ゲーム (Parts 1–5) - The Game (Parts 1–5) 2. ザ・スピリット・リヴス - The Spirit Lives 3. 大人とは愚かな子供にすぎない - Grown Ups Are Just Silly Children 4. レファレンダム - Referendum (Legend) 5. 忘れないで - Forget Me Not 6. 幻想の光 - Hallucinating Light 7. オールド・クリケッター - When an Old Cricketer Leaves the Crease そんなロイ・ハーパーに興味を持たれた方は、こちらをどうぞ♪ ザ・ゲーム 大人は間抜けなガキと同じ 国民投票
2024.04.12
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『黄昏のレンガ路』 エルトン・ジョン 「Goodbye Yellow Brick Road」 Elton John (73) 天才エルトンが感性豊かに創り上げたファッショナブルな初の2枚組傑作アルバム!!A面 1. 葬送〜血まみれの恋はおしまい(メドレー) - Funeral for a Friend/Love Lies Bleeding 2. 風の中の火のように (孤独な歌手、ノーマ・ジーン) - Candle in the Wind 3. ベニーとジェッツ (やつらの演奏は最高) - Bennie and the JetsB面 1. グッバイ・イエロー・ブリック・ロード - Goodbye Yellow Brick Road 2. こんな歌にタイトルはいらない - This Song Has No Title 3. グレイ・シール - Grey Seal 4. 碧の海、ジャマイカにおいで - Jamaica Jerk-Off 5. 僕もあの映画をみている - I've Seen That Movie TooC面 1. スウィート・ペインテッド・レディ - Sweet Painted Lady 2. ダニー・ベイリーのバラード(ケンタッキーの英雄の死) - The Ballad of Danny Bailey (1909–34) 3. ダーティ・リトル・ガール - Dirty Little Girl 4. 女の子、みんなアリスに首ったけ - All the Girls Love AliceD面 1. ツイストは踊れない - Your Sister Can't Twist (but She Can Rock 'n Roll) 2. 土曜の夜は僕の生きがい - Saturday Night's Alright for Fighting 3. 歌うカウボーイ、ロイ・ロジャース - Roy Rogers 4. こんな僕こそ病気の典型 - Social Disease 5. ハーモニー - Harmony 今回は英国が誇るエルトン・ジョン(Sir Elton Hercules John CH CBE)の最高傑作とも評される、73年にリリースされた10thアルバム「黄昏のレンガ路(Goodbye Yellow Brick Road)」を取り上げてみた。アルバムタイトルのみならず、曲名にもなかなか良い邦題が付いている。 “Sir Elton Hercules John CH CBE” のCHはコンパニオン・オブ・オナー勲章(Order of the Companions of Honour)の略で英連邦王国の勲章(オーダー)のこと。英連邦王国(Commonwealth realm)とは英国の君主(王)を自国の君主としてとして戴く、独立した主権国家のことで、英・豪・加など15ヶ国が加盟している。そしてCBEは言わずと知れた大英帝国勲章(Order of the British Empire)の5つのランクの内の3番目であるコマンダー(Commander of the Most Excellent Order of the British Empire)の略だ。 ちなみに “ポピュラー音楽史上最も成功した作曲家” としてギネス記録に掲載されているというポール・マッカートニー(Sir James Paul McCartney CH MBE)のMBEは大英帝国勲章の5番目のランクでメンバー(Member of the Most Excellent Order of the British Empire)である。 やはりエルトンにはグラミー賞5回受賞(34回ノミネート)という輝かしい実績があるから? まぁ実績も確かだけど、1997年9月6日に行われたダイアナ妃(Diana, Princess of Wales)の葬儀でエルトンが “Candle in the Wind” を歌ったこともあるのかな。 このアルバムに収録されている “Candle in the Wind” は邦題の “風の中の火のように (孤独な歌手、ノーマ・ジーン)” からも分かるとおり、元々はマリリン・モンロー(Marilyn Monroe)に捧げた曲だったが、ダイアナ妃が亡くなった直後から英国内のラジオ局が追悼の意味を込めてこの曲を流していたらしい。葬儀では新たにダイアナ妃に捧げる歌詞に書き直して歌ったそうな。この新たなバージョンは後にシングルリリースされ、世界中で大ヒットした。日本でもオリコン総合シングルチャートで見事1位を獲得したという。 アルバムのタイトルソング “グッバイ・イエロー・ブリック・ロード(Goodbye Yellow Brick Road)” も日本ではMAZDA センティアのCMソングとして聞き覚えのある方は多いのではなかろうか…とはいえ20年以上も前の話だけど。 帯文句にもあるように今作はエルトンの初2枚組アルバムであるが、“土曜の夜は僕の生きがい(Saturday Night's Alright for Fighting)” や “ツイストは踊れない(Your Sister Can't Twist (but She Can Rock 'n Roll))” のようなノリノリの曲もあって最後まで全く飽きさせない。 04年に発売30周年記念デラックス・エディション(オリジナルに4曲追加)が、14年には発売40周年記念スーパー・デラックス・エディション(4枚組CD+DVD)が発売されている。今年(24年)は発売50周年記念のハイパー・ウルトラデラックス・エディションが発売されるかもしれない…って知らんけど そんなエルトン・ジョンに興味を持たれた方は、こちらをどうぞ♪ 葬送〜血まみれの恋はおしまい(メドレー) 風の中の火のように (孤独な歌手、ノーマ・ジーン) グッバイ・イエロー・ブリック・ロード
2024.04.11
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『タカ派とハト派』 ニール・ヤング 「Hawks & Doves」 Neil Young (80) ベスト・ライヴ「ライヴ・ラスト」で自らの、'70年代を総括したニール・ヤング、待望の'80年代第1弾!! 新たなスタートにかけるニールの意欲を生々しく伝える傑作アルバム!!A面 1. 小さな翼 - Little Wing 2. オールド・ホームステッド - The Old Homestead 3. ロスト・イン・スペース - Lost in Space 4. キャプテン・ケネディ - Captain KennedyB面 1. 秘めたる力 - Stayin' Power 2. コーストライン - Coastline 3. ユニオン・マン - Union Man 4. エヴリ・ネイル - Comin' Apart at Every Nail 5. タカ派とハト派 - Hawks & Doves ブログ右側のFree Spaceに「懐かし邦題アルバム 一覧」を載せた。この駄Blogで紹介済の、昭和時代の懐かしい邦題アルバムのタイトルが一目で分かるようにした。全タイトルを駄記事にリンクしているので、邦題に興味のある方は覗いてみてくだされ。おかしな邦題は徐々に消えつつあるので、忘れ去られる前にしっかり残しておきたい。アーティスト本人がお気に召さなくて消えた(という噂の)邦題もあるようだけど… さて、今回取り上げた「タカ派とハト派(Hawks & Doves)」は80年にリリースされた、ニール・ヤング(Neil Young)の11thアルバムである。 個人的にフォークやカントリーには一切興味が無いので、ニール・ヤングのことは名前ぐらいしか知らない。なので今回、何となく印象的な邦題タイトルに惹かれてこのアルバムを取り上げるにあたりYou Tubeで一応全曲聴いてみたものの…。嗚呼、フォーク(だかカントリーだか)だなぁという感想しか出ないのであった。印象的な邦題とはいっても原題のままなんだけど。 そういえば30年前の94年4月5日に27歳で亡くなったニルヴァーナ(Nirvana)のvo.カート・コバーン(Kurt Cobain)の遺書に、ニール・ヤングが79年にリリースした10thアルバム「ラスト・ネヴァー・スリープス(Rust Never Sleeps)」からのシングル “マイ・マイ、ヘイ・ヘイ (アウト・オブ・ザ・ブルー)(My My, Hey Hey (Out of the Blue))” の歌詞の一節が引用されていたとかで話題になったっけ。 "it's better to burn out than to fade away" ――だんだん消えていくよりも燃え尽きる方がいい――。 まぁカートのことは置いといて、ニール・ヤングはカナダ出身のフォーク、カントリー・ロックのシンガーソングライターで、78歳の現在でも現役で頑張ってらっしゃるようで、昨年暮れには45枚目のアルバムをリリース。いやぁ達者で何より。 クロスビー、スティルス、ナッシュ&ヤング(Crosby, Stills, Nash & Young)やバッファロー・スプリングフィールド(Buffalo Springfield)のメンバーとしても活躍したそうで、69年にソロデビュー。95年にはロックの殿堂入りを果たしたそうな。 ニュー・ウェイヴ(New Wave)やHR/HMを好んで聴きまくっていた私は、フォークやらカントリーやらの良さが理解出来ぬままおばはんになってしまった。勿論、演歌の魅力も分からない。60代になったらちょっと聴いてみようかしらん…。 そんなニール・ヤングに興味を持たれた方は、こちらをどうぞ♪ 小さな翼 ロスト・イン・スペース タカ派とハト派
2024.04.09
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『駆け足の人生』 シンプル・マインズ 「Life in a Day」 Simple Minds (79) ブリティッシュ・ロック・シーンで最も新しい音作りを主張する “ズーム” レコードからデビューしたシンプル・マインズ! パワーとスピード、'80年代へ向かって彼らのスリルが走る!A面 1. サムワン - Someone 2. 駆け足の人生 - Life in a Day 3. 悲劇 - Sad Affair 4. オール・フォー・ユー - All for You 5. プリザンタリー・ディスターブド - Pleasantly DisturbedB面 1. 手遅れ - No Cure 2. 俺のチェルシー・ガール - Chelsea Girl 3. ウェイストランド - Wasteland 4. デスティニィ - Destiny 5. 殺人物語 - Murder Story シンプル・マインズ(Simple Minds)といえば85年に公開された青春映画「ブレックファスト・クラブ( The Breakfast Club)」の主題歌で全米1位に輝いた “ドント・ユー?(Don't You (Forget About Me))” や、同年にリリースされて全米3位を記録した “アライヴ・アンド・キッキング(Alive and Kicking)” などでお馴染みのバンドだが、意外なことにデビュー当時はポストパンク・バンドであった。今回は彼らが79年にリリースしたデビュー・アルバム「駆け足の人生(Life in a Day)」を取り上げたい。 悲しいことにこのアルバムは現在「ライフ・イン・ア・デイ」というタイトルで曲名も全て原題そのままのカタカナタイトルとなっている。邦題の消滅というのはエジプトリクガメやスマトラサイといった絶滅危惧種並みに深刻な問題だ…と思ってるのは私だけかな。 先ほど挙げた2曲は全米で大ヒットしたが、彼らの母国である英国ではどちらも7位止まりだった。とはいえ、80年代中盤~90年代半ばにリリースされたアルバムは立て続けに全英1位に輝いている。このデビューアルバムも全英30位と、まずまずのスタートをきった。 デビュー時のメンバーはvoのジム・カー(Jim Kerr)、gとヴァイオリンのチャーリー・バーチル(Charlie Burchill)、bのデレク・フォーブス(Derek Forbes)、dsのブライアン・マッギー(Brian McGee)、そしてkeyのマイケル・マクニール(Michael MacNeil)の5人。後にジムとチャーリーを除く3人は脱退してしまったが、新たなメンバーを加えてシンプル・マインズは現在も活動中である。 ジム・カーといえば、プリテンダーズ(The Pretenders)のvo.クリッシー・ハインド(Chrissie Hynde)と84年に結婚した時は意外な組み合わせで正直驚いた。90年に離婚したようで、92年にエイス・ワンダー(Eighth Wonder)のvo.パッツィ・ケンジット(Patsy Kensit)と再婚した時にはこれまた意外な組み合わせで更に驚いた。クールそうなクリッシーとキュートなパッツィって何だか雰囲気が真逆なイメージなのだが、ジムの好みって一体…?ちなみにパッツィもジムとは再婚で4年後に離婚、彼と別れた後はオアシス(Oasis)のvo.リアム・ギャラガー(Liam Gallagher)と3度目の結婚をしたものの3年で別れた。 「ど~んちゅ~♪」や「あらいぶぁんきっき~ん♪」といったお馴染みソングを歌ったバンドと同じとは思えない、ちょっと荒々しい感じのデビュー・ポストパンク・アルバムも悪くない。ジムもチャーリーも59年生まれなのでアルバムリリース時はまだ20歳、若さが漲っている。この彼が6年後には青春映画の主題歌をもっさり歌うおじさんになろうとは。だけど若かりし頃も円熟してからも、やっぱりシンプル・マインズはいいバンドだ。 そんなシンプル・マインズに興味を持たれた方は、こちらをどうぞ♪ 駆け足の人生 ウェイストランド 殺人物語
2023.12.28
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『パンク野郎のX'mas』 ヨブス 「XMas II」 The Yobs (91) ……による覆面グループ、ヨブスが全パンクスに贈る、真のパンキッシュ・クリスマス・アルバム!!CD 1. 飛んでるあの娘とクリスマス・イヴ - Senseless Lass 2. サンタクロースなんていやしない - There's No Santa Claus 3. 赤っ鼻のトナカイ - Rudolph The Red Nose Reindeer 4. 今夜はパブでクリスマス・イヴ - Christmas Eve in The Boozer 5. イケ、イケ、クリスマス! - Come All Ye Faithful 6. クリスマス・グァンタナメラ - Xmas Guantanamera 7. 監獄クリスマス - Christmas in Jail 8. オイ!サンタ - Oy Santa 9. 俺達ゃイカレポンチさ - We're Nutters 10. 納屋で生まれて - Born in A Barn 11. ベッドの中へ逃げ込んで - Away in A Normal Bed 12. トミーのクリスマス・ツリー - Tommy The Christmas Tree 13. パンク野郎のクリスマス・ラップ - Yob Rap 14. チョッとやばいクリスマス・プレゼント - While I Washed 76年に英国・ロンドンで結成されたパンクロック・バンド、ボーイズ(The Boys)。バンドは81年に解散したが、彼らはクリスマスになるとバンド名のBとYを入れ替えたヨブス(The Yobs)名義でクリスマスソングをリリースしていた。 ヨブスは79年にタイトルそのままのアルバム「クリスマス・アルバム(Christmas Album)」を出していたが、ボーイズ解散から10年後の91年に2nd「パンク野郎のX'mas(XMas II)」をリリースした。 左上画像は本国盤の青ジャケだが、翌92年に発売された日本盤はイラストが入った赤ジャケで曲順等も少しだけ変わっている。 ボーイズのオリジナルメンバーは、g兼voのマット・デンジャーフィールド(Matt Dangerfield)、keyのカジノ・スティール(Casino Steel)、gのオネスト・ジョン・プレイン(Honest John Plain)、bのダンカン・"キッド"・リード(Duncan "Kid" Reid)、そしてdsのジャック・ブラック(Jack Black)の5人。 そしてヨブスのメンバーはというと、ノディ・オールドフィールド(Noddy Oldfield)、エベネザー・ポラック(Ebenezer Polak)、HJ・ベッドウェッター(H. J. Bedwetter)、キッド・ヴィシャス(Kid Vicious)である。 99年夏、オリジナルメンバーのうち4人に、自身のバンドで多忙だったジャック・ブラックに代わり助っ人dsのスティーヴ・“ヴォム”・リッチー(Steve "Vom" Ritchie)が参加して日本でコンサートを行い、翌年にはスペインのフェスでも演奏した。06年には再結成ツアーを行い、25年ぶりにロンドンでステージに立ったりして現在も活動中とのこと。 日本でコンサートを行った前年の98年、ミッシェル・ガン・エレファント(THEE MICHELLE GUN ELEPHANT)がボーイズのカバーを歌ってヒットしたとかで、TMGEきっかけでボーイズのアルバムがちょっと売れたらしい。 そのTMGEのvoだったチバユウスケさんは先月55歳で亡くなられたとのことで、同世代として何だかショックだった。 話をクリスマスに戻すが、『Whamageddon(ワマゲドン)』に挑戦していた私は12月初っ端から耳にしてしまい、早々に脱落してしまった。 このワマゲドンというのは12月の頭からクリスマス・イヴが終わるまでの間、ワム(Wham!)の “ラスト・クリスマス(Last Christmas)” を聞かずに過ごせるか挑戦するというもので、もし途中で聞いてしまった場合は「#Whamageddon」とハッシュタグをつけてSNSで挑戦失敗を表明しなければならないというゲームである。まぁ私はXもインスタもROM専なので、独り密かに挑戦して孤独に脱落しただけだったけど。チャレンジャーの方々は今日一日耳を塞いで何とか乗り切ってくだされ。あ、そういえばワムのジョージ・マイケル(George Michael)も7年前のクリスマス当日に53歳で亡くなったんだっけ…。 何だかクリスマス・イヴにしんみりした話題ばかりになってしまった。いかんいかん、ヨブス聴いて元気をもらおうっと! そんなヨブスに興味を持たれた方は、こちらをどうぞ♪ 今回はフルアルバムでお楽しみくださいまし。 パンク野郎のX'mas(Full Album)
2023.12.24
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『少年易老学難成』 ナイス 「Ars Longa Vita Brevis」 The Nice (68) ロックのパターンを変えたロック、それがナイスだ!A面 1. 何処から来たのだろう - Daddy, Where Did I Come From 2. リトル・アラベラ - Little Arabella 3. 陽気なフロイド - Happy Freuds 4. 間奏曲「カレリア組曲」より - Intermezzo from the Karelia Suite 5. ドン・エディト・エル・グルヴァ - Don Edito el GruvaB面 1. グループとオーケストラの為のシンフォニー - Ars Longa Vita Brevis 前奏曲 - Prelude 第1楽章 : 覚醒 - 1st Movement : Awakening 第2楽章 : 実現 - 2nd Movement : Realisation 第3楽章 : 受諾「ブランデンブルガー」 - 3rd Movement : Acceptance "Brandenburger 第4楽章 : 拒絶 - 4th Movement : – Denial 拡大解釈によるコーダの展開 - Coda : Extension to the Big Note 今回は英国のプログレ・バンドであるナイス(The Nice)が68年にリリースした2ndアルバム「少年易老学難成(Ars Longa Vita Brevis)」について。 ナイスというバンドは知らなくても、このアルバム邦題はそこそこ知られているのではないだろうか?えっ、知らない!? 邦題界(どういう界隈!?)ではまぁ馴染みのタイトルだったりする。今作は68年11月に発売されているのだが、ちょうどその頃にビートルズ(The Beatles)が10thアルバム「The Beatles(ホワイト・アルバム)」を発表しているので時期が悪かったかも。ホワイト・アルバムは英国の音楽チャートでは8週間1位を獲得、米国Billboardチャートでも9週連続1位を記録している。 いやまぁ、順位なんて正直どうでもいいのである。聴いてみて自分の感性に合うかどうかだ。是非とも御自分の耳と心で感じてみてほしい。 ナイスは67年に結成されたプログレ・バンドで、当初のメンバーはvoとbのリー・ジャクソン(Keith "Lee" Jackson)、gのデヴィッド・オリスト(David O'List)、dsのイアン・ヘイグ(Ian Hague)、そしてkeyのキース・エマーソン(Keith Emerson)の4人で、元々女性ソウルシンガーのP. P. アーノルド(P. P. Arnold)のバック・バンドとして結成されたそうな。dsがブライアン・デヴィソン(Brian Davison)に交代し、やがてナイスとして独立。 68年1月にデビューアルバム「ナイスの思想(The Thoughts of Emerlist Davjack)」をリリース。問題のあったデヴィッド・オリストが抜けてキーボード・トリオとなり、11月には2ndアルバム「少年易老学難成」リリース。69年に3ndアルバム「ジャズ+クラシック/ロック=ナイス(Nice)」をリリースするも、70年4月に解散した。 解散後、キースはエマーソン・レイク・アンド・パーマー(Emerson, Lake & Palmer)を結成して成功を収めた。 個人的にはキース・エマーソンといえば、何と言っても83年に公開されたアニメ映画「幻魔大戦」のサントラである。主題曲 “光の天使 / Children Of The Light” は本当に素晴らしい。アニメは正直、キャラクターデザインがちょっと好みじゃなかったけど、ラストでこの曲が流れたときは何故か感動した。 …話をこのアルバムに戻して、原題の「Ars Longa Vita Brevis」は古代ギリシャの医聖ヒポクラテス(Hippocrates)の言葉「ὁ βίος βραχύς, ἡ δὲ τέχνη μακρή.(人生は短く、術のみちは長い)」のラテン語訳なのだとか。英訳だと「Art is long, life is short.」。「少年易老学難成」は朱熹の「偶成」という詩とされているが、最近は疑問視されているのだとか。珍しく勉強になる邦題だ。 60~70年代の洋楽は詳しくなく、プログレッシブ・ロックに馴染みもなかったので、大人になってから初めて聴くプログレは逆に新鮮で、この壮大というか大仰な感じが結構好きだ。 そんなナイスに興味を持たれた方は、こちらをどうぞ♪ 少年易老学難成 是非Full Albumをお楽しみくだされ おまけ 光の天使 / Children Of The Light 劇場版「幻魔大戦」主題歌
2023.12.02
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『地獄のロック・ライダーII〜地獄への帰還』 ミートローフ 「Bat Out of Hell II: Back into Hell」 Meat Loaf (93) 実に2,500万枚を売り尽くしたポップス史に燦然と輝く大ベスト・セラー・アルバム “地獄のロック・ライダー” の続編、遂に完成。伝説の巨大コウモリは再び地獄へと旅立った!!CD 1. 愛にすべてを捧ぐ - I'd Do Anything for Love (But I Won't Do That) 2. ひどい人生だ、金返せ! - Life Is a Lemon and I Want My Money Back 3. ロックンロール・ドリームス - Rock and Roll Dreams Come Through 4. もう誰にも止められない - It Just Won't Quit 5. 焼け焦げたフライパンの中から(そして炎の中へ) - Out of the Frying Pan (And into the Fire) 6. バック・ミラーに映るオブジェクト達 - Objects in the Rear View Mirror May Appear Closer Than They Are 7. 無為の輩 - Wasted Youth 8. 何よりも高らかに - Everything Louder Than Everything Else 9. お嬢ちゃんは天国に(不良少女はどこへだって行ける) - Good Girls Go to Heaven (Bad Girls Go Everywhere) 10. 地獄への帰還 - Back into Hell 11. さまよえる少年達と輝ける少女達 - Lost Boys and Golden Girls 7年前に綴った駄文・PASPARADIO内で “そういえばミートローフ(Meat Loaf)も16日夜、ステージ上で倒れたとのことですが、心配です” と書いたが、その際は重度の脱水症状で倒れて意識を失ったものの無事回復した。しかし昨年1月に亡くなってしまった。新型コロナウイルスに感染していたと一部で報道されていた。今回は93年にリリースされた彼の6thアルバム「地獄のロック・ライダーII〜地獄への帰還(Bat Out of Hell II: Back into Hell)」を取り上げたい。 このアルバムは77年リリースの「地獄のロック・ライダー(Bat Out of Hell)」の続編で、初の全米1位を獲得 更には英・豪・独・蘭など欧州各国でも1位に輝き、“愛にすべてを捧ぐ(I'd Do Anything for Love (But I Won't Do That))” でグラミー賞最優秀男性ロック・ボーカル・パフォーマンス賞まで受賞した そのおかげもあってか邦題も豪華で、ほぼ直訳ながら全11曲中10曲に邦題が付いている。発売が93年ということは平成5年にリリースされたわけだが、平成の邦題王といわれるコルピクラーニ(Korpiklaani)やアンドリューW.K.(Andrew W.K.)に勝るとも劣らない邦題づくしの素晴らしいアルバムだ。音楽的には可もなく不可もなし…といったところだが、あくまでも私個人の感想である。まぁ好みって人それぞれですから このアルバムとは何の関係もないが、邦題界を代表する昭和の邦題王フランク・ザッパ(Frank Zappa)の有名な邦題アルバム「フランク・ザッパの〇△口(Ship Arriving Too Late To Save A Drowning Witch)」、今では「たどり着くのが遅すぎて溺れる魔女を救えなかった船」という原題を意識した邦題に生まれ変わっていたりする。収録曲も “いまは納豆はいらない(No Not Now)” や “ア、いかん、風呂むせて脳わやや(I Come from Nowhere)” といったバカ邦題てんこもりだったのが、今では何の変哲もない普通の邦題に変わっている。 本当に邦題は絶滅の危機にあるので、この「地獄のロック・ライダーII〜地獄への帰還」も我々が守らなければいけないのであーる。 ミートローフは音楽のみならず、役者としても数多くの映画に出演している。「ロッキー・ホラー・ショー(The Rocky Horror Picture Show)」(75)、「ファイト・クラブ(Fight Club)」(99) 等々。多才な方だった。 ミートローフというのは勿論芸名で、子供の頃は本名のMichael Lee Adayのイニシャルにちなんで "M.L." と呼ばれていたそうだが、7年生になると身長2インチ (157cm)で体重240ポンド (110 kg) の彼のことを同級生が “ミートローフ” と呼ぶようになったのだとか。 そんなミートローフに興味を持たれた方は、こちらをどうぞ♪ 愛にすべてを捧ぐ バック・ミラーに映るオブジェクト達 お嬢ちゃんは天国に(不良少女はどこへだって行ける)
2023.11.01
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『心象表現』 アンディ・サマーズ&ロバート・フリップ 「I Advance Masked」 Andy Summers & Robert Fripp (82) 現代ロック・シーンを代表する2大ギタリスト、ポリスのアンディ・サマーズとキング・クリムゾンのロバート・フリップによる夢の競演! 二つの感性が融合し、見事に織りなしたミステリアスなイマジネーションの世界。A面 1. 心象表現 - I Advance Masked 2. 静寂の架橋 - Under Bridges of Silence 3. チャイナ・イエロー・リーダー - China – Yellow Leader 4. 深い森の中で - In the Cloud Forest 5. ニュー・マリンバ - New Marimba 6. ぶらんこの少女 - Girl on a SwingB面 1. ハーディー・カントリー - Hardy Country 2. 神の園 - The Truth of Skies 3. 絵画と舞踏 - Painting and Dance 4. スティル・ポイント - Still Point 5. 水辺のスケッチ - Lakeland / Aquarelle 6. セブン・オン・セブン - Seven on Seven 7. 心神喪失 - Stultified ポリス(The Police)のギタリストであるアンディ・サマーズ(Andy Summers)とプログレッシブ・ロックの代表的バンド、キング・クリムゾン(King Crimson)のギタリストであるロバート・フリップ(Robert Fripp)による全曲インストのコラボレーションアルバム。 2人の出会いは60年代初頭の英国南西部・ドーセット州ボーンマス。アンディはこの町で育ち、友人のZoot MoneyとZoot Money's Big Roll Bandを結成。マジェスティック・ホテルのジャズバンド、マジェスティック・ダンス・オーケストラ(Majestic Dance Orchestra)のギタリストをしていたらしい。一方のロバートは同州ウィンボーン・ミンスターで生まれ育ち、ボーンマス大学に進学。そしてアンディの後任ギタリストとして3年間マジェスティック・ダンス・オーケストラで演奏したそうな。 これが縁となったのかどうかは知らないが二人は友人であり続け、各々のバンドであるキング・クリムゾンとポリスのツアーやレコーディングのスケジュールが休みになるとジャムのために集まり、それが最終的にアルバムにつながったとのことである。 録音された81年頃といえば、キング・クリムゾンを復活させてやる気に満ちている(と思われる)ロバートに対し、アンディは73年に再婚した奥様と離婚しているせいか今作では若干影が薄い。まぁ85年には復縁したのだけれど。 このアルバムは全ての楽器を二人が演奏しており、ロバートはエレキギター、モーグおよびローランドのシンセサイザー、ギターシンセサイザー、ベース、パーカッションを担当。アンディはエレキギター、モーグおよびローランドのシンセサイザー、ピアノ、ギターシンセサイザー、ベース、パーカッションを担当している。 個人的にインストゥルメンタルはあまり好みじゃないので全曲インストは正直キツいな…と昔は思っていたのだが、これを書くにあたり久々にアルバムを聴いてみると悪くない――というより結構良かった。BGMとしてずっと聴きながらこれを書いているが、飽きがこない。ながら聴きだからなのか、単に年齢を重ねたおかげでインストの良さに気付けたのかは分からないけど。まぁ集中して聴いたら若干単調に感じるかもしれないけどね。 アンディ&ロバートは84年にも2nd「擬制の映像(Bewitched)」をリリースしており、こちらはアンディが頑張っている。「心象表現」の方が邦題に力が入っているようなので今回は1stを取り上げた次第。邦題よ、永遠なれ! そんなアンディ・サマーズ&ロバート・フリップに興味を持たれた方は、こちらをどうぞ♪ 心象表現 チャイナ・イエロー・リーダー ハーディー・カントリー
2023.10.29
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『かくれんぼ』 ハワード・ジョーンズ 「Human's Lib」 Howard Jones (84) 全英で話題の “スマッシュ・ヒッツ誌” 人気投票No.1の座を獲得!ハワード印の音の錠剤 “エレクトロニック・ピル” を飲めば気分はすっかりデジタル。A面 1. コンディショニング - Conditioning 2. ホワット・イズ・ラヴ? - What Is Love? 3. パールと貝がら - Pearl in the Shell 4. かくれんぼ - Hide and Seek 5. ハント・ザ・セルフ - Hunt the SelfB面 1. ニュー・ソング - New Song 2. 雨を見ないで - Don't Always Look at the Rain 3. イクォリティ - Equality 4. ナチュラル - Natural 5. ヒューマンズ・リブ - Human's Lib 80年代の洋楽について語る際に外せないのが『第2次ブリティッシュ・インヴェイジョン(Second British Invasion)』――英国アーティスト達の世界的ブームというもので、83年にデビューしたハワード・ジョーンズ(Howard Jones)も上手く侵略の波に乗って日本でもそこそこ人気があった。軽やかで穏やかなシンセポップ・サウンドは耳に心地よく、可もなく不可もなく、好きも嫌いもないといった感じで、当時はほわ~んと聴いていた。 この「かくれんぼ(Human's Lib)」は84年にリリースされたハワードの1stアルバムで、原題はアルバムのラストに収録されている “ヒューマンズ・リブ(Human's Lib)” なのに、どういう理由か邦題はアルバムからの3rdシングル “Hide and Seek” の邦題が付いている。 前年に先行リリースされたデビュー・シングル “ニュー・ソング(New Song)” が全英3位、続く2ndシングル “ホワット・イズ・ラヴ?(What Is Love?)” も全英2位を記録しており、満を持して発売されたアルバム「かくれんぼ」は見事全英1位を獲得した。 85年3月には2ndアルバム「ドリーム・イントゥ・アクション(Dream into Action)」をリリース。こちらも全英2位、全米10位と大ヒット! この2ndアルバム発売の約一月前の2月26日に行われたグラミー賞授賞式で、スティーヴィー・ワンダー(Stevie Wonder)、ハービー・ハンコック(Herbie Hancock)、トーマス・ドルビー(Thomas Dolby)&ハワード・ジョーンズの4人によるパフォーマンスが行われた。ハワード地味すぎて…というか、どうしてもキーボーディストは動けないので地味になってしまうものだが、そこはトーマスが頑張っていた。この頃は日本でもTV放送しており、私もリアタイで視聴した。 SYNTHESIZER MEDLEY 90年代半ばにはメジャー契約が打ち切られてしまい、その精神的ショックからか創価学会員になってしまったらしいが、「南無妙法蓮華経」とお題目を唱えつつ現在も活動中とのこと。 御仏の御加護のおかげか今月30日には、デビュー40周年を記念して84年の初来日公演映像2曲を含む全22曲のミュージック・ビデオ(すべて日本初DVD化)を収録した 「Japanese Singles Collection - Greatest Hits -」 (CD+DVD) と、22年リリースの最新アルバム「Dialogue」に日本初CD化「Live at the NHK Hall, September 23rd, 1984」をカップリングした2枚組CD「Dialogue<デビュー40周年×来日記念スペシャル・エディション>」が日本で同時発売されるそうな。9月に4年ぶりの来日公演が決定しているので、その予習用かな? これを書くにあたり久々に彼の曲をいくつか聴いたけど、やっぱりシンセポップはほわ~んと聴いていられる。当時の淡い記憶がほわ~んと蘇ってきて癒される感じ。ハワードさんも癒し系の方だったような気がする、まぁ実際の人柄は知らないけど そんなハワード・ジョーンズに興味を持たれた方は、こちらをどうぞ♪ ニュー・ソング ホワット・イズ・ラヴ? パールと貝がら
2023.08.07
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『今夜は眠れない』 サバイバー 「Too Hot to Sleep」 Survivor (88) 熱い想いをこめて今、サバイバーの新しい世界が広がる。2年振りの待望のニュー・アルバム!A面 1. シーズ・ア・スター - She's a Star 2. デスパレート・ドリームス - Desperate Dreams 3. 今夜は眠れない - Too Hot to Sleep 4. 愛とは知らなくて - Didn't Know It Was Love 5. リズム・オブ・ザ・シティ - Rhythm of the CityB面 1. ヒア・カムズ・デザイアー - Here Comes Desire 2. アクロス・ザ・マイルズ - Across the Miles 3. テル・ミー・アイム・ザ・ワン - Tell Me I'm the One 4. キャント・ギブ・イット・アップ - Can't Give It Up 5. バーニング・ブリッジ - Burning Bridges 「地球温暖化の時代は終わり、地球沸騰化の時代が到来した」と国連のアントニオ・グテーレス(Antonio Guterres)事務総長が述べたように、今年7月は過去12万年で最も暑い月なのだとか。日中は35℃前後が当たり前の今日この頃、戸外で働かれてらっしゃる方々には頭が下がる。 我が家の車もこんな時にブレーキスイッチの部品が壊れ、ブレーキランプ付きっぱなしでバッテリーが上がってしまって車屋さんのお世話になった。仕事とはいえ炎天下での作業、本当に申し訳ない…。そういえば近頃は某中古車販売会社の話題が熱く盛り上がってたりして。 子供の頃、貧乏な我が家にはクーラーなどあるはずもなく、扇風機も1台か2台しかなかったので、熱帯夜は団扇を扇いで暑さを凌いだ。しかし眠りかけると扇ぐ手が止まって暑さで目が覚めるという、地獄の夜を過ごしたものだった…。 ということで今回取り上げるのは、サバイバー(Survivor)が88年にリリースした7thアルバム「今夜は眠れない(Too Hot to Sleep)」。 サバイバーといえば、82年に公開されたシルヴェスター・スタローン(Sylvester Stallone)監督・主演の「ロッキー3(Rocky III)」の主題歌 “アイ・オブ・ザ・タイガー(Eye of the Tiger)” や、85年公開の続編「ロッキー4/炎の友情(Rocky IV)」の主題歌 “バーニング・ハート(Burning Heart)” 、ラルフ・マッチオ(Ralph Macchio)主演の「ベスト・キッド(The Karate Kid)」の主題歌 “ザ・モーメント・オブ・トゥルース(The Moment of Truth)” 等で日本でもお馴染みのバンドである。 82年に “アイ・オブ・ザ・タイガー” が全米で6週連続1位を記録した頃のメンバーはというと、voのデイヴ・ビックラー(Dave Bickler)、gのフランキー・サリバン(Frankie Sullivan)、bのステファン・エリス(Stephan Ellis)、keyのジム・ピートリック(Jim Peterik)にdrのマーク・ドラウベイ(Marc Droubay)の5人。 83年にvoがジミ・ジェイミソン(Jimi Jamison)に交代し、翌84年にリリースした5thアルバム「バイタル・サインズ(Vital Signs)」は16位だったものの、シングルリリースされた “ザ・サーチ・イズ・オーヴァー(The Search Is Over)” が4位、“ハイ・オン・ユー(High on You)” が8位などいずれも大ヒット。13位と貢献した “キャント・ホールド・バック(I Can't Hold Back)” のPVで、列車内でジミが女性といちゃついているシーンで乗客に扮していたのがこのメンバーだ。 しかし87年にステファンとマークが脱退し、サバイバーはジミ、フランク、ジムの3人体制となった。そうしてリリースされた「今夜は眠れない」は187位と惨憺たる結果に終わり、バンドは無期限休止となったのであった。 その後はバンド名を巡って訴訟問題に発展したりしたものの、93年に再結成。色んな人が出たり入ったり戻ったり抜けたりしながら、オリジナルメンバーはフランキーのみではあるが現在も活動中らしい。ジミは14年に心臓発作(急性メタンフェタミン中毒が原因の脳卒中だとも)で、ステファンは19年に亡くなっている。 ジミは後に「今夜は眠れない」をサバイバーとの個人的なお気に入りとして挙げたという。確かに悪くない。ただキャッチーでポップな路線からはちょっぴり外れたかな…という感じ。私はジミの歌声が好きなので、このアルバムも全然アリだ。ただ、サバイバーで一番お気に入りのアルバムは?と尋ねられたら、やっぱり「バイタル・サインズ」を挙げるけどね。 嗚呼、この暑さは一体いつまで続くのだろう… 皆様も体調にはお気を付けくださいまし。 暑過ぎて眠れない夜は、冷たいシャワー浴びた後、アイス食べながらサバイバーでも聴いてリラックスしてから布団にGo! 今のところ夜にはエアコンを切って寝ているけど、いつまで耐えられるかしらん…。 そんなサバイバーに興味を持たれた方は、こちらをどうぞ♪ デスパレート・ドリームス 愛とは知らなくて キャント・ギブ・イット・アップ
2023.07.29
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『陶酔の飾り砂糖』 ブロンスキ・ビート 「Hundreds & Thousands」 Bronski Beat (85) ジミー・ソマーヴィル最後のブロンスキ・ビート。 ・新曲2曲を含む完全リミックス・ヴァージョンで陶酔の世界へ。 ・ダンス・リミックス盤としての最高傑作がここに!!A面 1. ヒートウェーヴ - Heatwave 2. ホワイ? - Why? 3. ラン・フロム・ラヴ - Run from LoveB面 1. ハード・レイン - Hard Rain 2. スモールタウン・ボーイ - Smalltown Boy 3. ジャンク - Junk 80年代の英国ミュージシャンには心なしか…いや、確かにゲイが多かった気がする。(私は好きなギタリストがゲイだったため、LGBTに偏見は一切ありません。元々日本では男色(衆道)が盛んでしたし、歌舞伎やら宝塚も人気ですし…。) エルトン・ジョン(Elton John)を始め、カルチャー・クラブ(Culture Club)のボーイ・ジョージ(Boy George)&友人のマリリン(Marilyn)、ペット・ショップ・ボーイズ(Pet Shop Boys)のニール・テナント(Neil Tennant)、FGTH(Frankie Goes to Hollywood)のホリー・ジョンソン(Holly Johnson)とポール・ラザフォード(Paul Rutherford)。 更にはジョージ・マイケル(George Michael)、リマール(Limahl)、ジューダス・プリースト(Judas Priest)のロブ・ハルフォード(Rob Halford)などもそうだと後から知った。 でもって今回取り上げるブロンスキ・ビート(Bronski Beat)もそうであった。 ヴォーカルのジミー・ソマーヴィル(Jimmy Somerville)、キーボードとパーカッションのスティーヴ・ブロンスキ(Steve Bronski)、同じくキーボードとパーカッションのラリー・スタインバチェック(Larry Steinbachek)の3人ともがゲイというこのバンドは83年に結成され、翌84年に発売したシングル “スモールタウン・ボーイ(Smalltown Boy)” が大ヒット!同年リリースの1stアルバム「エイジ・オブ・コンセント(The Age of Consent)」も全英4位を記録した。ちなみにこの1stアルバムの中袋には、欧州各国のゲイ合法化年齢表(ゲイ同士における性的同意年齢表)が印刷されていたりする。(日本の性的同意年齢は今のところ13歳らしい) しかしジミーはとっとと脱退を表明、85年にリリースされたこのリミックス・アルバム「陶酔の飾り砂糖(Hundreds & Thousand)」が、ジミー在籍時最後のアルバムとなってしまった。 その後バンドは新ヴォーカルを迎えて活動を続けていたが95年に解散。 やがて歳月は流れ、16年にスティーヴと新ヴォーカルのスティーヴン・グランヴィル(Stephen Granville)、そして95年リリースの4thアルバム「レインボー・ネイション(Rainbow Nation)」にも参加しているキーボードとプログラミングのイアン・ドナルドソン(Ian Donaldson)の3人で新生ブロンスキ・ビートとして復活。87年の未発表アルバム「Out & About」全11曲がスティーヴのウェブサイトでデジタルリリースされ、翌17年7月には1stアルバム「エイジ・オブ・コンセント」の再録アルバム『エイジ・オブ・リーズン(The Age of Reason)』をリリースした。 85年に脱退したジミーは今なお活動中であるが、ラリーは16年12月7日に癌により56歳で死去。そして5年後の同日にスティーヴも自宅火災により61歳で他界してしまった。 さて、ブロンスキのこのリミックス・アルバムは40分間ノン・ストップのダンス・ミュージックが楽しめる、ゴキゲンな(死語かな?)アルバムらしいのだが、ひょっとしたら「ハンドレッズ&サウザンズ(陶酔の飾り砂糖)」というタイトルになってしまっているかも。でもってもしかしたら既に廃盤になっちゃってるかも!?…って知らんけど 面倒なので調べてません…。 そんなブロンスキ・ビートに興味を持たれた方は、こちらをどうぞ♪ スモールタウン・ボーイ ホワイ? ヒートウェーヴ
2023.06.22
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『玉手箱』 R.E.M. 「Fables of the Reconstruction」 R.E.M. (85) <不思議>は、世界を駆けめぐる!! 80年代アメリカが生みだしたNo.1カルチャー・ヒーローが仕掛ける謎いっぱいの万華鏡!A面 1. マリオネットの夢 - Feeling Gravitys Pull 2. 夕暮れ少年 - Maps and Legends 3. ドライバー8 - Driver 8 4. R.E.M.人生講座 - Life and How to Live It 5. ケンジー老秘話 - Old Man KenseyB面 1. 遠くにありて - Can't Get There from Here 2. 緑の季節 - Green Grow the Rushes 3. コウオウテック - Kohoutek 4. エンジンおかわり - Auctioneer (Another Engine) 5. アナタは知恵袋 - Good Advices 6. ウェンデル・ジー - Wendell Gee 「玉手箱(Fables of the Reconstruction)」は米国のオルタナティヴ・ロックバンド、R.E.M.が85年にリリースした3rdアルバムだ。今では邦題が隅に追いやられて「フェイブルズ・オブ・リコンストラクション(玉手箱) 」なんて味気ないカタカナタイトルになっちゃているようだけど、楽曲の邦題はそのままなのが嬉しい。欲を言えば全曲に邦題をつけてほしかった。 85年当時のR.E.M.のメンバーはというと、ヴォーカルのマイケル・スタイプ(Michael Stipe)、ギターのピーター・バック(Peter Buck)、ベースのマイク・ミルズ(Mike Mills)、そしてドラムスのビル・ベリー(Bill Berry)の4人組。 しかしビルは97年にバンドを脱退、以降は3人で活動を続けていたが、11年に突如解散してしまった。 R.E.M.は80年にジョージア州アセンズで結成された。そう、The B-52'sと同郷なのである。でもってメンバー全員がジョージア大学に通っていたというから、我が愛しのリッキー・ウィルソン(Ricky Wilson。85年に逝去したB-52'sのギタリスト)の可愛い後輩達なのである。 以前、「Athens, GA: Inside/Out」という、80年代のアセンズにおけるミュージックシーンのドキュメンタリー・フィルムを収めたDVDをリッキー見たさで購入したのだが、肝心のリッキーはほとんど映っておらず、R.E.M.の出演シーンがやたら多かったという…。 まぁ80年代後半頃からの彼等の人気っぷりを思えば仕方ないけどね。 で、この「玉手箱」なのだが、全体的に何となくどよ~んとした感じ。勿論悪くはないが、最初から最後まで流して聴いて終わりというか、特に印象に残る曲がないというか。強いてあげれば “ドライバー8(Driver 8)” や “エンジンおかわり(Auctioneer)” あたりが好みかな。 このアルバムとは全く関係ないけど、91年にリリースされて初の全米1位に輝いたR.E.M.の7thアルバム「アウト・オブ・タイム(Out of Time)」に収録されている “シャイニー・ハッピー・ピープル(Shiny Happy People)” という曲が、個人的には大のお気に入りだ。B-52'sのケイト・ピアソン(Kate Pierson)がゲストヴォーカルとして参加しており、それはそれはハッピーな曲なのである。PVを見ながら一緒にダンスするのもこれまた楽しい。 そんなR.E.M.に興味を持たれた方は、こちらをどうぞ♪ R.E.M.人生講座 遠くにありて ドライバー8 おまけ シャイニー・ハッピー・ピープル
2023.06.12
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『ロマンティックな冒険者』 モダン・ロマンス 「Adventures in Clubland」 Modern Romance (81) ロンドンに吹き荒れる“ブリティッシュ・サルサ旋風”。軽快なリズムと華麗なパーカッション・ホーンが乱舞!ロンドン、ニューヨークでも話題騒然、「モダン・ロマンス」待望のデビュー・アルバム遂に登場A面 1. ブリング・オン・ザ・ファンカティアーズ - Bring on the Funkateers 2. おしゃべりクィーン - Nothing Ever Goes the Way You Plan / Queen of the Rapping Scene 3. クラブランド・ミックス - Clubland Mix ・レッツ・ゴー・サルサ - Everybody Salsa ・ムーズ・オン・ザ・ルーズ - Moose on the Loose ・サルサ・ラプソディー - Salsa Rapp-Sody ・今夜はアイ・ヤイ・ヤイ! - Ay Ay Ay Ay MooseyB面 1. ウィーヴ・イット・ゼム・ランニング - We've Got Them Running (The Counting Song) 2. サルサに夢中 - Can You Move 3. アイ・キャント・ゲット・イナフ - I Can't Get Enough 4. スタンド・アップ - Stand Up 80年代前半、ディスコ・ミュージックにファンクとラテン音楽を融合したニューウェーヴ系のファンカラティーナ(funka latina)と呼ばれる音楽が英国でちょっとだけ流行った…という話は前回のマット・ビアンコ(Matt Bianco)を取り上げた際に書いた。 もうちょっとファンカラティーナを御紹介したく今回取り上げるのは、80年代前半に活躍した英国のポップ・バンド、モダン・ロマンス(Modern Romance)が81年にリリースしたデビュー・アルバム「ロマンティックな冒険者(Adventures in Clubland)」であーる。 まずは彼等について改めて確認してみようとWikiさんを開いてビックリ、やけに日本語ページが充実しているではないか。こう言っちゃ失礼だが、彼等ってそんなに人気があったっけ? このアルバムリリース時のバンドメンバーはというと、ヴォーカルのジェフ・ディーン(Geoff Deane)にギターのポール・ジェンドラー(Paul Gendler)、ベースのデヴィッド・ジェイムズ(David Jaymes)にドラムスのアンディ・キリアコ(Andy Kyriacou)、キーボードのロビー・ジェイムズ(Robbie Jaymes)、そしてトランペットのジョン・デュ・プレ(John Du Prez)の6人。 アルバムからシングルカットされた “レッツ・ゴー・サルサ(Everybody Salsa)” が英国で12位まで上がり、続いて “今夜はアイ・ヤイ・ヤイ!(Ay Ay Ay Ay Moosey)” も英国で10位を記録、更には “サルサに夢中(Can You Move)” が米国のダンスチャートで何と2位に!嗚呼、確かに彼等はそこそこ人気があったのかもしれない。 記念すべきデビューアルバムの1曲目が “好き好きシャーツ(Favourite Shirts (Boy Meets Girl))” というインパクト邦題でお馴染みのヘアカット100(Haircut 100)やキッド・クレオール&ザ・ココナッツ(Kid Creole and the Coconuts)、マット・ビアンコ等とともにファンカラティーナ・ブームに一役買ったモダン・ロマンス。 とはいえブームというものは、疾風のように現れて疾風のように去ってゆく月光仮面のようなもの。ファンカラティーナ・ブームがすっかり過ぎ去った85年にバンドは解散。 しかし80'sブームの波に乗って01年に再結成、現在に至る。メンバーはアンディ・キリアコ以外は全て新メンバーであり、アンディ自身も “今夜はアイ・ヤイ・ヤイ!” 以降からの途中参加であるため、オリジナルメンバーは皆無なのだそうな。 そんなモダン・ロマンスに興味を持たれた方は、こちらをどうぞ♪ おしゃべりクィーン レッツ・ゴー・サルサ 今夜はアイ・ヤイ・ヤイ!
2023.06.11
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『探偵物語』 マット・ビアンコ 「Whose Side Are You On?」 Matt Bianco (84) 音のタイム・トンネルを越えて変幻自在、僕らはお洒落な探偵団。マット・ビートでスウィングすれば誰もがみんなホームズ気分。A面 1. 探偵物語 - Whose Side Are You On? 2. 愛の限界 - More Than I Can Bear 3. もう二度と… - No No Never 4. 30秒の奇跡 - Half a Minute 5. マッツ・ムード - Matt's MoodB面 1. レイズィー・ベッド - Get Out of Your Lazy Bed 2. 行かなくちゃ - It's Getting Late 3. マットの脱出 - Sneaking Out the Back Door 4. 風に乗って - Riding With the Wind 5. マッツ・ムードⅡ - Matt's Mood II 先月亡くなられた上岡龍太郎さんを偲んで、手持ちの「探偵!ナイトスクープ」DVDを見た。爆発卵、ボート通勤、謎のビニール紐、巨大シジミ、タニシ踊り、清荒神の骨董店等々…。嗚呼、上岡局長時代のナイトスクープは本当に面白かった。探偵の皆さんも岡部秘書も顧問の先生方も面白くて愛おしく、上岡探偵局が本当に大好きだった。 …ということで、今回は「探偵物語」である。うーん、強引。 「探偵物語」でまず頭に思い浮かぶ音楽といえば、79年(昭和54年)9月から翌年4月まで放送された、故・松田優作さん主演ドラマのOP主題歌だったSHOGUNの “Bad City” だろう。♪Bad city, bad bad city, fat city bad ~ うおッ、格好いい!懐かしい~!! しかし今回御紹介するのは、83年に英国で結成されたマット・ビアンコ(Matt Bianco)が翌84年にリリースしたデビューアルバム「探偵物語(Whose Side Are You On?)」なのである。 ファンカラティーナ・ブームの火付け役ながら2枚のアルバムを残して早々に解散したブルー・ロンド・ア・ラ・ターク(Blue Rondo A La Turk)のギタリスト→ヴォーカルのマーク・ライリー(Mark Rilley)と、キーボードのダニエル・ホワイト(Daniel White)、ベーシストのキト・ポンチオーニ(Kito Poncioni)の3人で結成されたマット・ビアンコ。 そこにポーランド出身の女性ヴォーカリスト・バーシア(Basia Trzetrzelewska)が加わったもののキトが抜け、トリオとなったところでリリースされたのがこのデビューアルバムだ。 ちなみにファンカラティーナとはWeblioの音楽用語辞典曰く『語源となった「ファンク」と「ラテン」が表すようにアメリカのディスコ・ミュージックにラテンのフレイバーを加味して80年代初頭に流行した、イギリスのニュー・ウェーブ系ダンス・ミュージック』 とのこと。 70年代後半から80年代前半にかけて世界を席巻し、第2次ブリティッシュ・インヴェイジョン(Second British Invasion)とまで言われたニュー・ロマンティック(New Romanticism)ブームに比べると若干控えめなブームではあったが、今改めて聴くとラテン系のノー天気さに心が晴れる。 この1stアルバムはとても耳障りのいい曲揃いなので、機会があれば聴いてみていただきたい。 アルバムは勿論、シングルカットされた “レイズィー・ベッド(Get Out of Your Lazy Bed)” や “30秒の奇跡(Half a Minute)” などもそこそこヒットしたのだが、この後ダニー(ダニエル)とバーシアがまさかの脱退。 一人残ったマークは新たにキーボードのマーク・フィッシャー(Mark Fisher)を迎え入れ、Wマークで活動していたが、16年にフィッシャーさんが他界。今はマーク・ライリーが一人でマット・ビアンコとして頑張っているそうな。 そんなマット・ビアンコに興味を持たれた方は、こちらをどうぞ♪ 探偵物語 30秒の奇跡 レイズィー・ベッドおまけ Bad City - SHOGUN
2023.06.10
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『失われた絆』 ヴァニティ・フェア 「A Place in the Sun」 Vanity Fair (83) JAPANサウンドの継承者、日本デビュー!!A面 1. 沈黙の時 - Lips Are Silent 2. 暗闇のささやき - Whispers in the Dark 3. やすらぎを求めて - The Texture of Her Skin 4. 激情 - Just as Wild 5. 失われた絆 - A Place in the SunB面 1. 他人の目 - Eyes of an Stranger 2. 悲しみのキッス - A Kiss for Every Tear 3. 想いむなしく - In Spite of It All 4. 愛の苦悩 - Something's Got to Give 先月、坂本龍一さんがお亡くなりになったとき、彼が出演して音楽も担当した83年公開の映画「戦場のメリークリスマス」が少し話題になった。坂本さんが作曲した主題曲は英国アカデミー賞(British Academy Film Awards)で作曲賞を受賞したそうで、そのテーマ曲 “Merry Christmas, Mr. Lawrence” に歌詞を付けたヴォーカルver. “禁じられた色彩(Forbidden Colours)” を発表したのがジャパン(Japan)のデヴィッド・シルヴィアン(David Sylvian。以下でび)であった。 でび&弟のスティーヴ・ジャンセン(Steve Jansen)、でびの親友ミック・カーン(Mick Karn)の3人で74年にジャパンを結成。その後リチャード・バルビエリ(Richard Barbieri)とロブ・ディーン(Rob Dean)も加わって何枚かアルバムをリリース。そのバンド名が関係したのか、当初は日本でのみ人気のあるバンド(いわゆる “Big in Japan”)だったが、80年代からは日本以外でも知られるようになったものの82年に解散した。 さて、ここからが本題。 78年にスウェーデンで結成されたニューウェイヴ・バンド・Lustans Lakejer(スウェーデン語、読めません…)が、元ジャパンのキーボーディストであるリチャード・バルビエリをプロデューサーに迎えて82年にリリースした3rdアルバム「En plats i solen」を、翌83年にヴァニティ・フェア(Vanity Fair)名義で世界的に発売したのが「失われた絆(A Place in the Sun)」だ。 このアルバムには同じ元ジャパンのベーシストだったミック・カーンもサックスで参加。ミックは11年1月に癌で亡くなったんだよね…。 ヴァニティ・フェアのメンバーはというと、ヴォーカル&ギターのヨハン・キンデ(Johan Kinde)、ドラムスのクリスター・ヘルマン(Christer Hellman)、キーボードのアニス(Anis)に、ギターのアンソニー・ブレイズ(Anthony Blaise)の4人。違っていたらすみません m(_ _)m リチャードがプロデュースしたということで、日本では何とかジャパン人気にあやかろうと、レコードの帯にしろアルバム紹介記事にしろジャパンにばかり触れていて、肝心のバンドのことはよく分からなかったりして。 音楽的には何となく垢抜けない感じが如何にも80年代っぽくて微笑ましい。20歳そこらのお兄さん達のバンドとは思えないこのもっさり感。とはいえ当時はこういう残念音楽(失礼な!でも個人的には嫌いじゃない)が巷に溢れていたような…。 ちなみに彼らはロキシー・ミュージック(Roxy Music)、デヴィッド・ボウイ(David Bowie)、ジョイ・ディヴィジョン(Joy Division)、ウルトラヴォックス(Ultravox)などに影響を受けたらしい。 デヴィッド・ボウイといえば先ほどの「戦場のメリークリスマス」でジャック・セリアズ陸軍少佐を演じており、「インセプション(Inception)」や「インターステラー(Interstellar)」等で知られるクリストファー・ノーラン(Christopher Nolan)監督曰く「デヴィッド・ボウイのカリスマ性を捉えることに成功した稀有な作品」。ノーラン監督が好きな映画として挙げた10作品の中にも「戦メリ」が入っていた。 何だか今回は戦メリ話ばかりで肝心のヴァニティ・フェアにはほとんど触れずじまいという… まぁ、そんなヴァニティ・フェアに興味を持たれた方は、こちらをどうぞ♪ 沈黙の時 激情 悲しみのキッス
2023.04.28
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『LOVE=愛の時代』 スーザン 「Falling in Love Again」 Susan (79) ニューヨークからニュー・アイドル登場A面 1. テイキン・イット・オーバー - Takin' It Over 2. 僕のあやまち - I Was Wrong 3. フォーリング・イン・ラブ・アゲイン - Falling in Love Again (Intro) 4. 愛しのマレーネ - Marlene 5. リトル・タイム - A Little Time 6. パワー - PowerB面 1. トゥー・バッド - Too Bad 2. 愛をもとめて - Really Gonna Show 3. ドント・レット・ミー・ゴー - Don't Let Me Go 4. ラブ・ザ・ウェイ - Love The Way 5. 今夜は君を抱いて - Tonight You're Mine いつの間にやらしれっと消えている昭和の洋楽アルバム邦題の灯を絶やさぬように――と綴っている懐かし邦題アルバムであるが、今回取り上げるスーザン(Susan)というバンド自体がアルバム1枚残して消えてしまったという…。しかし、彼らがリリースした唯一のアルバムの邦題が素晴らしい。「LOVE=愛の時代(Falling in Love Again)」。これは素直に「ラヴイコールあいのじだい」と読めばいいのかな?まぁ意味はよく分からないが、ちょっとお洒落っぽい気はする。=LOVE(イコールラブ)なんていうアイドルがいるらしいけど、ひょっとしてこのアルバム邦題から名前取った!? ←そんな訳ない! スーザンのメンバーはというと、ベース兼リード・ヴォーカルのチャールズ・リーランド(Charles Leland)&ドラムス兼ヴォーカルのミック・リーランド(Mick Leland)兄弟に、ギター兼ヴォーカルのリッキー・バード(Ricky Byrd)とトム・ディッキー(Tom Dickie)の4人組。 アルバムリリース後に解散したのか脱退したのか知らないが、リッキーは81年にジョーン・ジェット&ザ・ブラックハーツ(Joan Jett and the Blackhearts)に加入。リッキーも参加してレコーディングされたアルバム「アイ・ラヴ・ロックン・ロール(I Love Rock 'n' Roll)」は全米2位を記録、世界中で大ヒットした。 スーザンで思い浮かぶのは、BGT(Britain's Got Talent)の3rdシーズンで準優勝したおばちゃんの星、スーザン・ボイル(Susan Boyle)と、うすた京介さんの漫画「セクシーコマンドー外伝 すごいよ!!マサルさん」に登場する田中スーザンふ美子ことわかめ高校校長・さかきばらのぶゆき氏ぐらいかな。 バンドのスーザンも一応ググってみたけど、情報がほとんどなかった。だけどAmazon MusicやSpotifyにはこのアルバムがちゃんとあって一安心。こんなイカした(死語)邦題のアルバムを闇に葬るのは勿体無いもんね。 だけど、はっきり言って何の特徴もないアルバムである。1枚で消えたのも納得出来るような…。あ、でも全然悪くはない。全く印象に残らないというだけで。 そんなスーザンに興味を持たれた方は、こちらをどうぞ♪ LOVE=愛の時代 なんとYouTubeにFullであがってる!
2023.04.08
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『傷だらけの野獣』 テッド・ニュージェント 「Cat Scratch Fever」 Ted Nugent (77) 狂い猫が爪を研ぐ。ロックン・ロールを切り裂いた!ハード・ロック・モンスター、テッド・ニュージェント驚愕の第3弾A面 1. 傷だらけの野獣 - Cat Scratch Fever 2. 俺のプーンタン - Wang Dang Sweet Poontang 3. ロックンロールに死す - Death by Misadventure 4. リヴ・イット・アップ - Live It Up 5. ホーム・バウンド - Home BoundB面 1. ハード・ロック一直線 - Workin' Hard, Playin' Hard 2. スウィート・サリー - Sweet Sally 3. ジャック・ナイフ, ギラリ - A Thousand Knives 4. ヤツはサン・オブ・ア・ガン - Fist Fightin' Son of a Gun 5. アウト・オブ・コントロール - Out of Control 今回、テッド・ニュージェント(Ted Nugent)が77年にリリースした3rdアルバム「傷だらけの野獣(Cat Scratch Fever)」を取り上げるにあたりWikiさんを開くと、職業欄にミュージシャン、ソングライター、猟師 と書かれていた。りょ…猟師!? Wikiさんの記述によると、狩猟が趣味で、全米ライフル協会の幹部らしい。ライフルを持って妻子と山へ狩猟にでかけ、捕まえた野生の動物を料理して楽しむのが休日の過ごし方だそうで、野生の動物の料理の仕方を記した著書も妻や息子と連名で出しているそうな。でもって公式サイトの愛用機材の紹介ページも楽器類ではなく全て狩猟機材メーカーへのリンクだそうで、Outdoor Channelに自身の狩猟番組を持っているのとのことなので、職業:猟師で間違いないだろう。 猟師といえば、以前古本屋さんでバイトしていた頃に「山賊ダイアリー リアル猟師奮闘記」という、岡山県北部の方で兼業猟師をされている岡本健太郎さんの漫画を読んだ。結構興味深くて面白かったが、テッドもああいうことをしているのか…。 さて、アルバムに話を戻すが、“ジャック・ナイフ, ギラリ(A Thousand Knives)” とか “ハードロック一直線(Workin' Hard, Playin' Hard)” とか、邦題がなかなかいい。 そういえば近藤正臣さんがピアノの鍵盤の上に飛び乗って “ねこふんじゃった” を足で弾いたシーンだけがやけに有名な「柔道一直線」なんてドラマがあったっけ。時期的には小林よしのりさんが「東大一直線」を連載していたのと、このアルバムの発売が同じなんだよね。だから何だって話だけど。故横山やすしさんの著書「やすしの人生一直線」なんてのもあったけど、個人的に最も好きだった一直線モノといえば、「紳竜・さんまのスクープ一直線」かな。関西圏だけだったのか全国放送だったのか分からないけど、やっさんも影の編集長役で――って、あれ!? 何の話だったっけ!? このアルバムのリード・ヴォーカルはデレク・セント・ホルムズ(Derek St. Holmes)。デレクは76年にリリースされた2ndアルバム「ハード・ギター爆撃機(Free-for-All)」のレコーディング中にバンドを一旦去るも、アルバムリリース後に復帰(デレクが抜けた穴はプロデューサーに連れてこられたミートローフ(Meat Loaf)が埋めている)。 デレクといえば、マイケルシェンカーグループ(Michael Schenker Group)が83年にリリースした「限りなき戦い(Built to Destroy)」に参加しているので、日本のロック小僧…いや、今やロックおじさんになっている方々にはお馴染みだろう。でもって元カーズ(The Cars)のイケメンベーシスト、ベンさんことベンジャミン・オール(Benjamin Orr)やパット・トラヴァース(Pat Travers)等と一時ビッグ・ピープル(Big People)なるバンドを組んでたりもしてたので、一部のロックおばさんはご存知かもしれない。 ちなみに、このアルバムは全米17位を記録。シングルカットされた “傷だらけの野獣(Cat Scratch Fever)” も30位につけている。実はテッド・ニュージェントは10年ほど前に初めて聴いたのだが、意外と聴きやすいハードロックで個人的にはわりと好みの音楽だった。 そんなテッド・ニュージェントに興味を持たれた方、こちらをどうぞ♪ 傷だらけの野獣 ハードロック一直線 ジャック・ナイフ, ギラリ
2023.02.08
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『ミステリー・ボーイ』 カルチャー・クラブ 「Kissing to Be Clever」 Culture Club (82) 男がいる。女がいる。……そしてミステリーが生まれる。 ロンドンの新しき感性ボーイ・ジョージをリーダーとするカルチャー・クラブの鮮烈かつ華麗なるデビュー・アルバムA面 1. ホワイト・ボーイ - White Boy 2. 知ってるくせに - You Know I'm Not Crazy 3. 君のためなら - I'll Tumble 4 Ya 4. お気に召すまま - Take Control 5. ラブ・ツイスト - Love TwistB面 1. ミステリー・ボーイ - Mystery Boy 2. アイム・ザ・ボーイ - Boy Boy (I'm the Boy) 3. あしたのボクは? - I'm Afraid of Me 4. 悲しきホワイト・ボーイ - White Boys Can't Control It 5. 君は完璧さ - Do You Really Want to Hurt Me 81年に英国で結成されたカルチャー・クラブ(Culture Club)が翌82年にリリースしたデビュー・アルバム「ミステリー・ボーイ(Kissing to Be Clever)」。一見原題かな?と思わせるこのアルバムの邦題は収録曲である “ミステリー・ボーイ(Mystery Boy)” から取られているが、この曲が入っているのは日本盤だけ。当時サントリーのCMで流れていたからで、シングルリリースも日本のみである。 なので現在この邦題は使用されておらず、そのまま原題をカタカナにしただけの味気ないタイトルになっており、収録曲も “君は完璧さ(Do You Really Want to Hurt Me)” 以外は全てカタカナタイトルに変更されていて寂しいかぎり。 バンドのメンバーはヴォーカルのボーイ・ジョージ(Boy George)の他に、ギターのロイ・ヘイ(Roy Hay)、ベースのマイキー・クレイグ(Mikey Craig)、そしてドラムスのジョン・モス(Jon Moss)の4人。 レコードの帯にはジョージがリーダーと書かれているが、ジョージはバンドの顔であり、実質的にリーダーだったのはバンドの要であったジョンだ。まぁそんな頼もしいジョンにジョージが惹かれ(たのどうかは知らないけど)、当時二人は恋仲だったわけだが…。カルチャー・クラブの歌の詞はジョージがジョンに向けて書いたという。二人は86年に破局したそうで、ジョージがヘロイン所持で逮捕されたのも86年のことだった。 98年に再結成するも00年には活動休止に。ジョージは05年にコカイン所持と警察への虚偽通報の疑いで逮捕され、翌年に虚偽通報の罪で5日間の社会奉仕活動を命じられた。07年には男性に手錠をかけて金属の鎖で殴ったとかでまたしても逮捕され、09年に実刑判決を受けたりもした。 14年に再々結成し、18年には19年ぶりの6thスタジオアルバム「Life」をリリース(名義は “ボーイ・ジョージ&カルチャー・クラブ”)。The B-52s や元トンプソン・ツインズ(Thompson Twins)のトム・ベイリー(Tom Bailey)、ベリンダ・カーライル(Belinda Carlisle)と欧米ツアーを行ったようだが、21年5月にジョンが脱退。現在はジョンを除く3人で活動中らしい。 このアルバムの中で個人的に一番のお気に入り曲は “君のためなら(I'll Tumble 4 Ya)” 。この曲のPVは、しっかりダンスの練習を受けてから臨んだそうな。 当時NHKで放送された「カルチャークラブ・イン・ジャパン」という、彼等の来日公演の裏を取材した英国のTV番組か何かで、この “君のためなら” のリハーサル風景も流れた。この時だけカメラはジョンにつきっきりで、ジョンがお茶目なことをしたため、歌っていたジョージが思わず笑ってしまう…というシーンが微笑ましくて印象に残っている。 この頃はカルチャー・クラブ、デュラン・デュラン(Duran Duran)、スパンダー・バレエ(Spandau Ballet)が英国バンドの御三家なんていわれていたが、音楽的には圧倒的にカルチャー・クラブが優れていたように思う。ルックス的にはデュラン・デュランが一番で、スパはまぁ日本の新御三家でいうところのゴロー(野口五郎さん)的ポジションだったかな…。 個人的にボーイ・ジョージといえば、「北斗の拳」に登場する南斗六聖拳の一人で “裏切り” の宿命を背負う “妖星” の男、南斗紅鶴拳の伝承者・ユダを思い出さずにはいられない。 「北斗の拳」はコミックスまで買うほど当時好きだったので、ユダの登場シーンには驚いた。「まんま、ボーイ・ジョージやん!『ウェイキング・アップ・ウィズ・ハウス・オン・ファイアー(Waking Up with the House on Fire)※』のジャケットのジョージの化粧やんけ!」(※カルチャー・クラブが84年にリリースした3rdアルバム) そんなカルチャー・クラブに興味を持たれた方は、こちらをどうぞ♪ ミステリー・ボーイ 君のためなら 君は完璧さ
2023.02.04
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『呪われた炎』 ブルー・オイスター・カルト 「Fire of Unknown Origin」 Blue Öyster Cult (81) 吹き荒れるヘヴィ・メタル・サウンドは、巨大なモンスターを起こしてしまった。A面 1. 呪われた炎 - Fire of Unknown Origin 2. お前に焦がれて - Burnin' for You 3. 恐怖の薬物戦争 - Veteran of the Psychic Wars 4. たった一人の生存者 - Sole Survivor 5. ヘヴィ・メタル(黒と銀) - Heavy Metal: the Black and SilverB面 1. 復讐のメッセージ - Vengeance (The Pact) 2. アフター・ダーク - After Dark 3. ジョーン・クロフォード - Joan Crawford 4. ドント・ターン・ユア・バック - Don't Turn Your Back フランキー・ゴーズ・トゥ・ハリウッド(Frankie Goes To Hollywood)が84年にリリースしたセンセーショナルなデビューアルバム「Welcome To The Pleasuredome」の1曲目 “The World Is My Oyster” を、“世界は私の牡蠣ってどういうこと!?” と思っていた当時の私。後にそれは “世界は自分のもの” だという意味であり、シェイクピア(William Shakespeare)の「ウィンザーの陽気な女房たち(The Merry Wives of Windsor)」という作品に出てくる台詞だと知った。 さて、今回取り上げるのはニューヨーク・ヘヴィメタルの創始者ともいわれるブルー・オイスター・カルト(Blue Öyster Cult。以下BÖC)が81年にリリースした8thアルバム「呪われた炎(Fire of Unknown Origin)」についてで、冒頭のFGTHやシェイクスピアの話は1ミリも関係ない。 BÖCの結成は67年で、サンディ・パールマン(Sandy Pearlman)が大学生の時に「イマジノス(Imaginos)」という一連の詩を書き、ロックバンドのミュージシャンを厳選してイマジノスの詩に基づいた歌詞を演奏させ、自らはマネージメントを担当してバンドを売り込んだ。当初のバンド名はソフト・ホワイト・アンダーベリー(Soft White Underbelly)。この言葉は英首相ウィンストン・チャーチル(Sir Winston Churchill)が第二次世界大戦のスピーチでイタリアを “the soft underbelly of the Axis.” と表現したことに由来しているそうな。その後、パールマンはバンド名をいくつか変え、現在のブルー・オイスター・カルトに落ち着いたのは70年のことらしい。 ちなみにブルー・オイスター・カルトとは、「イマジノス」で語られる「地球の歴史を監視するエイリアン組織(group of aliens who had assembled secretly to guide Earth's history )」の名称だそうで、英国の音楽雑誌のインタビューでは "Cully's Stout Beer" のアナグラムであるとも述べている。 …と、ここまでの説明でもお分かりのように――いや、私の書き方が悪いせいでパールマンに踊らされているだけのバンドのようだが決してそんなことはなく、米国のHR/HMバンドというのは能天気野郎ばかりだというのに(すごい偏見!)、BÖCは皆さん大卒のインテリバンドなのである。 72年に1stアルバム「狂気への誘い(Blue Öyster Cult)」でデビュー。 「呪われた炎」がリリースされた81年当時のメンバーはというと、ヴォーカル&ギターのエリック・ブルーム(Eric Bloom)をはじめ、リード・ギターのドナルド・"バック・ダーマ"・ローザー(Donald “Buck Dharma” Roeser)、キーボードのアラン・レイニア(Allen Lanier)、ベースのジョー・ブーチャード(Joe Bouchard)、そしてジョーの兄ちゃんでドラムスのアルバート・ブーチャード(Albert Bouchard)の5人。 アルバート・ブーチャードは82年に脱退後、コンセプト・アルバム「イマジノス」を制作。ソロ名義でのリリースは叶わず、やむを得ずパールマンはエリックとバック・ダーマに協力を仰ぎ、ゲストプレイヤーを迎えてBÖC名義のアルバムとして88年にリリースされたのだった。 ジョー・ブーチャードも86年に脱退し、アランは07年に引退して13年8月に逝去。エリック・ブルームとバック・ダーマは現在もBÖCで活動中である。 「呪われた炎」は米国で24位、英国でも29位を記録するなどBÖCのスタジオアルバムの中では最もヒットした作品で、シングルカットされた “お前に焦がれて(Burnin' for You)” はビルボードチャートで40位まで上がった。 ちなみに “お前に焦がれて” と “ドント・ターン・ユア・バック(Don't Turn Your Back)” はバック・ダーマがヴォーカルをとっており、“恐怖の薬物戦争(Veteran of the Psychic Wars)” の作詞を手掛けているのは、作家のマイケル・ムアコック(Michael Moorcock)なのであーる…って彼の作品を読んだことはないけど。 個人的にはBÖCだと初期のアルバムの方が音楽的にも邦題的にも好みではあるが、ジャケットの色合いに惹かれて今回は8thアルバムを取り上げた次第。これ!というお勧め曲は特にないけど、全体的によくまとまっていてBÖCを知らない方でもすんなり入りやすいアルバムだと思う。 そんなブルー・オイスター・カルトに興味を持たれた方は、こちらをどうぞ♪ お前に焦がれて 恐怖の薬物戦争 アフター・ダーク
2023.01.30
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『私の中のドラマ』 キム・カーンズ 「Mistaken Identity」 Kim Carnes (81) 狂おしいほどロマンティックに溢れるばかりのロックを…。いまLAに新しい伝説が生まれる。LAの超一流をバックにスーパー・スターへジャンプ。話題沸騰キム・カーンズの最新意欲作!!A面 1. ベティ・デイヴィスの瞳 - Bette Davis Eyes 2. 愛を殺したのは誰? - Hit and Run 3. 私の中のドラマ - Mistaken Identity 4. 遠く離れても - When I'm Away from You 5. 運命のカード - Draw of the CardsB面 1. 夜にルールはいらない - Break the Rules Tonite 2. ずっとこのまま… - Still Hold On 3. 恋より素晴しく - Don't Call It Love 4. あなたのいない夜 - Miss You Tonight 5. 遠い仲間たちへ - My Old Pals 子供の頃から「ザ・モンキーズ・ショー(The Monkees)」 や「人気家族パートリッジ(The Partridge Family)」を見て育ったおかげか、小学生のうちから洋楽――といってもビートルズ(The Beatles)やアバ(ABBA)、ノーランズ(The Nolans)ぐらいだったけど――に親しんでいた私にとって、本格的に洋楽に夢中になる扉を開いてくれた曲のうちの一つが、今回取り上げるキム・カーンズ(Kim Carnes)の “ベティ・デイヴィスの瞳(Bette Davis Eyes)” だった。 81年5月~6月にかけて米国ビルボードチャートで5週連続1位(一週だけトップを明け渡した後、そこから更に4週連続1位)を記録した他、仏・独・伊・西・豪など各国でNo.1に輝き、ここ日本でも81年4月から放送が開始された「ベストヒットUSA」のヒットチャートで6月~7月に亘り5週連続でTOP 1になり、1981年のビルボード年間チャートでも堂々の1位を記録。そして翌年にはグラミー賞の “最優秀楽曲賞(Song of the Year)” と “最優秀レコード賞(Record of the Year)” の二冠に輝いたほどの大ヒット曲である。 この曲自体は正直、そこまでいい曲だとも別に思わなかったが、とにかくキム・カーンズのバリバリのダミ声…もとい、魅惑のハスキーボイスが格好よかった。 初めて聴いたのがラジオだったこともあり、どんだけイカついおばちゃんが歌ってんだろ?と思っていたら、何かの機会にPVを見てビックリ!ええーッ、キム・カーンズってこんな金髪でパリッとした美人さんだったの!? あんな歌声聴いたら、普通はボヘミアンこと葛城ユキさん的な野性味ある容貌を想像しますやん…。(葛城ユキさんは昨年6月に腹膜がんのため73歳で逝去。昭和のスター達が一人、また一人と天に召されるにつれ、自らの老いを実感する53歳であった。なむなむ。) さて、そんな “女性版ロッド・スチュワート(Rod Stewart)” と呼ばれるキムさんが81年4月にリリースしたアルバム「私の中のドラマ(Mistaken Identity)」は、“ベティ・デイヴィスの瞳” の大ヒットもあり、これまたビルボードチャートで4週連続1位を獲得した。 発売当初は向かって右側の素朴なお姉さん風ジャケットであったが、何故か再販後は左側のキャリアウーマンチックなジャケットに変わってしまった。 まぁ何はともあれ、アルバムタイトルのみならず全曲にちゃんと邦題が付いているのが嬉しいところである。やっぱり邦題がある方がいいよね、昭和のアルバムレコードって感じがして。 “ベティ・デイヴィスの瞳” のPVは良くも悪くも非常に印象深い。…訳が分からなさすぎて。皆で向き合って頬をバチバチ叩くシーン、あれは何か意味があるのだろうか?なんか着物の人もいるけど、どういうシチュエーションなの!? 同じくシングルカットされたものの、こちらはあまり順位がパッとしなかった “運命のカード(Draw of the Cards)” のPVは何やらちょっと不気味な感じ。パフォーマンス集団みたいなのが気味悪く踊ってたことぐらいしか覚えてないけど。 そんな女ロッドことキム・カーンズに興味を持たれた方は、こちらをどうぞ♪ ベティ・デイヴィスの瞳 運命のカード 愛を殺したのは誰?
2023.01.26
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『蒼ざめたハイウェイ』 チープ・トリック 「In Color」 Cheap Trick (77) 甘美なるロックンロールの誘惑に身を委ね、暮れなずむサーキットを次代のヒーローたちが疾走する! アメリカン・ハード 78年の切り札、チープ・トリック絶対の第2弾!!A面 1. ハロー・ゼア - Hello There 2. ビッグ・アイズ - Big Eyes 3. ダウンド - Downed 4. 甘い罠 - I Want You to Want Me 5. ユーアー・オール・トーク - You're All TalkB面 1. オー・キャロライン - Oh Caroline 2. 今夜は帰さない - Clock Strikes Ten 3. サザン・ガールズ - Southern Girls 4. カモン・カモン - Come On, Come On 5. ソー・グッド・トゥ・シー・ユー - So Good to See You 「ビッグ・イン・ジャパン(Big in Japan)」とは日本でしか売れていない洋楽ミュージシャンを指す俗語であるが、70年代の3大Big in Japanといえば、クイーン(Queen)、ジャパン(Japan)、そしてチープ・トリック(Cheap Trick)であった。 “1970年代は当時最も売れていた洋楽誌『ミュージック・ライフ(Music Life)』が大プッシュするかどうかで、英米のロックスターの日本での人気は大きく左右された。代々女性が編集長を務めるこの雑誌は、好みのルックスやインタビューの際の好感度などが誌面に影響を与えていたことで知られる”(Wikiさんより) 洋楽に夢中だった中高生時代は「Music Life」を愛読していたためか、当時も今も音楽はほぼルックスとノリで好きになる。音楽性とかに興味はなく、自分の “ええ男レーダー” に引っ掛かるかどうかである。私だけに限らず、当時の洋楽好き日本女性の大半は感度抜群の “ええ男レーダー” を保有していたと思われる。 チープ・トリックは74年に米国で結成され、77年にアルバム「チープ・トリック(Cheap Trick)」でデビュー。今ひとつ人気がなかったため、可哀想に邦題すら付けられていない。 同年にリリースされた2nd「蒼ざめたハイウェイ(In Color)」も当初はパッとしなかったが、日本女性が備えている “ええ男レーダー” がメンバーにピピッと反応し、日本でのみ人気沸騰。翌78年に行った武道館公演を収録したアルバム「チープ・トリック at 武道館(Cheap Trick at Budokan)」を日本で発売した所これが米国で評判となり、翌79年には米国でも発売され、見事全米4位に輝く大ヒットとなったのであった。 そんなチープ・トリックのメンバーはというと、ヴォーカル&リズム・ギターの金髪美青年・ロビン・ザンダー(Robin Zander)に、イケメン・ベーシストのトム・ピーターソン(Tom Petersson)。「蒼ざめたハイウェイ」のジャケットで格好よくバイクに跨っているのはこの二人。 でもってモノクロの裏ジャケットで自転車に跨っているのが、曲作り担当でギターコレクターとしても知られるリード・ギターのリック・ニールセン(Rick Nielsen)&ドラムス担当でおっさん体型のバン・E・カルロス(Bun E. Carlos)だ。 チープ・トリックが――いや、ロビン・ザンダーが当時の洋楽女子の間でアイドル的な人気を得たのも納得。金髪サラサラで高身長、ルックスよしで歌声もよし。まさに王子様だもの そりゃレーダーで捕捉されるわ。 クイーンのロジャー・テイラー(Roger Taylor)やジャパンのデヴィッド・シルビアン(David Sylvian)もまぁ同系統といえるかな、ルックス的には。 チープ・トリックもクイーンもその後は世界的なバンドへと成長。クイーンは01年に、チープ・トリックは16年にロックの殿堂入りを果たした。(ジャパンもそれなりに頑張りました) このアルバムについて今更どうこう語る気はない。捨て曲なしの傑作なので、未聴の方は是非聴くべし。 この、一見お洒落っぽいけど意味が分からない邦題「蒼ざめたハイウェイ」は、これまたWikiさん情報によると、五木寛之さんの小説『蒼ざめた馬を見よ』が由来だそうな。 94年には「蒼い衝動(Woke up with a Monster)」という邦題のアルバムも出ており、彼らには「蒼」シリーズで邦題を付けて欲しかったなぁ。…って蒼モノは今のところ2作しかないけど。 そんなチープ・トリックに興味を持たれた方は、こちらをどうぞ♪ 甘い罠 今夜は帰さない サザン・ガールズ
2023.01.26
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『神々が愛した女』 コクトー・ツインズ 「Treasure」 Cocteau Twins (84) イギリス、インディペンデント・チャートを独走する絵画の如く美しいコクトー・トゥインズ、神秘の世界A面 1. アイヴォー - Ivo 2. ローレライ - Lorelei 3. ビアトリックス(美しき悪女) - Beatrix 4. ペーセフォニ(地獄の女王) - Persephone 5. パンドラ - Pandora (for Cindy)B面 1. アメリア - Amelia 2. アロイーズ - Aloysius 3. シセリー - Cicely 4. アテリー - Otterley 5. ドニモ - Donimo 間違いなく神々から愛されていたであろう、90年代を席巻したスーパーモデルの一人であるタチアナ・パティッツ(Tatjana Patitz)逝去のニュースに衝撃を受けた。 ジョージ・マイケル(George Michael)が90年にリリースしたアルバム「Listen Without Prejudice Vol. 1」からの3rdシングル “Freedom! '90” のPVで、気だるそうに紫煙をくゆらす彼女が、妖艶でありながら可愛らしさもあって好きだった。タチアナを含む、90年代に活躍したスーパーモデル5人が出演しているこのPVについては08年7月の駄記事「史上最高の美女」でも書いたが、元々はスーパーモデルの頂点に君臨していたといっても過言ではないリンダ・エヴァンジェリスタ(Linda Evangelista)が大好きで見ていた。しかし何十回と(いや百回以上かな)見ているうちに、リンダと同じくらいタチアナにも惹かれていた。まさか56歳の若さで亡くなってしまうとは。神々に愛されているが故にお迎えも早かったのだろう、悲しいけれど。 ちなみに “Freedom! '90” に出演している、神々が愛した女たち5人はというと、タチアナ、リンダの他には、ナオミ・キャンベル(Naomi Campbell)、シンディ・クロフォード(Cindy Crawford)、クリスティー・ターリントン(Christy Turlington)。 ジョージも16年に53歳で亡くなったんだよね… さて、ここからが本題。 スコットランド出身のコクトー・ツインズ(Cocteau Twins)が84年にリリースした3rdアルバム「神々が愛した女(Treasure)」。このアルバム邦題も今では「トレジャー ~神々が愛した女たち」となっており、曲目のタイトルにも若干の変更があったようだ。 当時のコクトー・ツインズのメンバーはというと、ヴォーカルのエリザベス・フレイザー(Elizabeth Fraser)、ギターのロビン・ガスリー(Robin Guthrie)、そしてベースのサイモン・レイモンド(Simon Raymonde)の3人組。どうも97年に解散したらしい。 コクトー・ツインズといえば女性vo.エリザベスの透明感のある歌声が印象的であるが、私はエンヤ(Enya)だのケイト・ブッシュ(Kate Bush)だのといった系統が苦手なので――ん?全然違う?まぁ心がささくれ立った時なんかに聴いたらそこそこ癒されるような気がしないでもない。 ちなみにこのアルバム、英国チャートでは29位(インディチャートでは2位)とまずまずの順位を記録している。個性的な女性ヴォーカルが好きな方におすすめ。 そんなコクトー・ツインズに興味を持たれた方は、こちらをどうぞ♪ アイヴォー ビアトリックス(美しき悪女) ペーセフォニ(地獄の女王)おまけ フリーダム!'90 - ジョージ・マイケル RIP Tatjana …
2023.01.25
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『もしも彼女にキスすれば…』 400 ブロウズ 「...If I Kissed Her I'd Have to Kill Her First...」 400 Blows (84) 英イルミネイテッド・レーベル期待のニュー・グループ “400ブロウズ” ファースト・アルバム!!ファンキーでダンサブルなサウンドでロンドンのクラブ・シーンを席巻している話題作!!A面 1. グルーヴ・ジャンピング - Groove Jumping 2. デクラレイション・オヴ・インテント - Declaration of Intent (Re-Mixed) 3. ゼム・ザー・ヒルス - Them Thar Hills 4. ラヴ - Love 5. イントロダクション - IntroductionB面 1. コンシャンス - Conscience 2. フォー・ジャッキー・M - For Jackie M 3. ラップウイング・チャーント - Lapwing Chant 4. メン・オブ・ザ・ディヴァイン・ウインド - Men of Divine Wind (The Kamikaze) 5. パースペクティヴ 3 - Perspective 3 400ブロウズ(400 Blows)といえば、59年に公開されたフランソワ・トリュフォー(François Truffaut)監督の仏映画「大人は判ってくれない(Les Quatre cents coups)」の英題が「The 400 Blows」であるが、400ブロウズは81年に英国で結成された、インダストリアルやらポスト・パンクやらのバンドだ。 結成時のメンバーはアンドリュー・ビア(Andrew Beer)、アレクサンダー・フレイザー(Alexander Fraser)、ロバート・テイラー(Robert Taylor)の3人らしいが、アルバム制作時にはトニー・ソープ(Tony Thorpe)が加わっている――って誰一人知らないけど。 「もしも彼女にキスすれば…(...If I Kissed Her I'd Have to Kill Her First...)」なんて甘ったるい邦題だなぁと思いきや、原題をよくよく見てみると前半部分しか訳されておらず、後半部分に何やら物騒な単語があるではないか。この原題を直訳すると、「...もしも私が彼女にキスしたら、私は最初に彼女を殺さなければならないでしょう...」となる。 このタイトルは、70年代初頭にカリフォルニア州サンタクルーズで次々と8人の女性を殺害し、屍姦後にバラバラにして遺棄したうえ、自身の母親とその親友までをも殺害した連続殺人犯であるエドモンド・ケンパー(Edmund Kemper)の発言からの引用である。 エドモンドが子供の頃、姉のスーザンが彼をからかって、なぜ先生にキスしようとしなかったのかと尋ねたとき、彼は「私が彼女にキスするなら、私は最初に彼女を殺さなければならないだろう(If I kiss her, I'd have to kill her first.)」と答えたという。ひいッ!微塵の甘さもなかった! 計10人を殺害したエドモンド・ケンパーは母親の頭を切断してダーツボードとしてダーツを投げつけた後、遺体をクローゼットに隠して一旦は逃走するも、自分から警察に電話して自首した。彼は死刑を求め、「拷問による死」を要求したものの、73年当時カリフォルニア州では死刑制度が一時的に廃止されていたため終身刑となり、現在でも模範囚として収監されているそうな。 とまぁ邦題だと分からない、ゾクっとするアルバムタイトルであるが、B-2 “フォー・ジャッキー・M(For Jackie M)” で更にゾクゾクしよう。 この曲は――いや、曲ではないわな――これは(一応バックに不気味な音は流れているけど)81年6月12日金曜日深夜に、NBCの「Tomorrow Coast to Coast」(ホストはトム・スナイダー(Tom Snyder)の特別版として放映されたチャールズ・マンソン(Charles Manson)の獄中インタビュー音声である。 “マンソンは60年代末から1970年代の初めにかけて、カリフォルニア州にて「ファミリー(マンソン・ファミリー)」の名で知られるコミューンを率いて集団生活をしていた。69年のテート・ラビアンカ殺人事件で悪名高い。”(Wikiさんより) 米国のロック・ミュージシャンであるマリリン・マンソン(Marilyn Manson)の芸名が、美の象徴であるマリリン・モンロー(Marilyn Monroe)と悪の象徴であるチャールズ・マンソンから取られていることでも知られている、悪のカリスマ的カルト指導者である。 マンソンも数々の殺人示唆により71年に死刑判決が下されたが、エドモンド・ケンパーと同様に当時は死刑制度が一時的に廃止されていたため終身刑となり、17年に没した。 スナイダー「あなたがここを出たら、再び殺し始めると思う人がたくさんいます。(If you got outta here, there are a lot of people who think you’d start killing again.)」 マンソン「再び?あなたたちは誤った情報を与えられています。私は誰も殺していません。(Again? You guys are misinformed. I haven’t killed anyone.)」 さて、このアルバムは英国のインディー・チャートで3位になったらしく、シングルカットされた “グルーヴ・ジャンピング(Groove Jumping)” がインディー・チャートで22位、“デクラレイション・オヴ・インテント(Declaration of Intent)” も同24位になっている。 楽曲にもきちんと邦題が付いていれば、もっと万人も興味が持てたかもしれない。…いやいや、元々万人受けを狙っているアルバムではないわな。たまたまこちらが見つけちゃっただけで。 そんな400ブロウズに興味を持たれた方は、こちらをどうぞ♪ グルーヴ・ジャンピング デクラレイション・オヴ・インテント フォー・ジャッキー・M
2023.01.19
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『涙のラナウェイ・ボーイ』 ストレイ・キャッツ 「Stray Cats」 Stray Cats (81) レコード・デビュー以前からロンドンの3大音楽紙の表紙を飾り、2枚のシングルをたて続けに全英ヒット・チャート・ベスト10に送り込んだ3人組ロカビリーズ “ストレイ・キャッツ” 大ヒット曲「涙のラナウェイ・ボーイ」「ロック・タウンは恋の街」を含む待望の本邦デビュー・アルバムA面 1. 涙のラナウェイ・ボーイ - Runaway Boys 2. 悩殺ストッキング - Fishnet Stockings 3. ユバンギ・ストンプ - Ubangi Stomp 4. ジニー・ジニー・ジニー - Jeanie,Jeanie,Jeanie 5. 嵐の大使館 - Storm The Embassy 6. ロック・タウンは恋の街 - Rock This TownB面 1. ランブル・イン・ブライトン - Rumble In Brighton 2. 気取りやキャット - Stray Cat Strut 3. クロール・アップ・アンド・ダイ - Crawl Up And Die 4. ダブル・トーキン・ベイビー - Double Talkin' Baby 5. マイ・ワン・ディザイアー - My One Desire 6. ワイルド・サクソフォン - Wild Saxaphone 前回取り上げたローマン・ホリデイ(Roman Holiday)の兄貴分と言われていたのが、79年に結成された米国のロカビリー・バンド、ストレイ・キャッツ(Stray Cats)。 81年2月に英国でリリースしたデビューアルバムが「涙のラナウェイ・ボーイ(Stray Cats)」で、同年10月には早々と2ndアルバム「ごーいんDOWN TOWN(Gonna Ball)」をもリリース。そしてこの2枚のベスト・トラックを集めたアルバム「ビルト・フォー・スピード(Built for Speed)」で、82年に母国である米国でデビューを果たしたのであった。 今回はそんな野良猫たち(Stray Cats)の記念すべきデビュー・アルバムを取り上げるにゃん ストレイ・キャッツのメンバーはというと、ヴォーカル&ギターのブライアン・セッツァー(Brian Setzer)、コントラバスやベースのリー・ロッカー(Lee Rocker)、そしてドラムスのスリム・ジム・ファントム(Slim Jim Phantom)の野郎3人組である。 結成は79年。当初はトムキャッツ(The Tomcats)、テッド、ブライアン&トムキャッツ(The Teds, and Bryan and the Tom Cats)など多くの名前を名乗りながら、NYの伝説的なクラブ・CBGBやMax's Kansas Cityなどで演奏して人気を博したが、英国で1950年代のテディボーイ(ロックやR&Bに関心を抱いた若者たちの間で流行したサブカル)が復活したという噂を聞き、英国へ移ったらしい。 83年に活動停止→88年再結成→92年再び活動停止→04年再々結成→08年~09年にかけてお別れツアー(Farewell Tour)を行い、みたび活動停止→18年再々々結成。19年には25年ぶりのニューアルバム「40」をリリースし、40周年記念ツアー(40th Anniversary Tour)を開催。そして現在に至っている。 このデビュー・アルバムは英国チャートで6位に付け、シングルカットされた “涙のラナウェイ・ボーイ(Runaway Boys)” と “ロック・タウンは恋の街(Rock This Town)” がそれぞれ9位、“気取りやキャット(Stray Cat Strut)” が11位とヒットした。 ちなみに米国では「ビルト・フォー・スピード」が15週間連続2位を記録し、“気取りやキャット” も全米3位に輝いた。 ブライアン・セッツァーは中森明菜ちゃんが95年にリリースしたシングル “Tokyo Rose” をプロデュースしたり、06年には布袋寅泰さんと “BACK STREETS OF TOKYO” をリリースしたりしているので、そこそこ日本でも知名度があるのではなかろうか?(うーん、そうでもないかな) そういえば “Tokyo Rose” の出だしって何となく “涙のラナウェイ・ボーイ(Runaway Boy)” と似ているような気がするけど、ロカビリーをよく知らないからそう感じるだけなのかしらん。 たしか84年だったと思うが、MTVが初めておらが町で放送されたときに、彼等の “気取りやキャット” のPVが流れた。私はその時初めてストレイ・キャッツを知ったのだが、何か地味な感じだなぁ…という印象を持ってしまい、全く興味が沸かなかった。もしあの時、“涙のラナウェイ・ボーイ” か “ロック・タウンは恋の街”、もしくは2ndアルバムのタイトルソングである “ごーいんDOWN TOWN(Gonna Ball)” でも流れていたら、もしかするとお気に入りバンドの一つになっていたかもしれない。…とはいえその頃には既に活動を停止していたのだけれど。 ブライアン・セッツァーが16年2月に大阪のなんばHatchで行ったライヴの映像が公式YouTubeにアップされているけど、何だかえらく格好いいオジサマになってて、現役バリバリなのが嬉しかったにゃあ そんなストレイ・キャッツに興味を持たれた方は、こちらをどうぞ♪ 涙のラナウェイ・ボーイ ロック・タウンは恋の街 気取りやキャット
2023.01.18
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『ローマの休日』 ローマン・ホリデイ 「Cookin' on the Roof」 Roman Holiday (83) 1980年代初頭に活躍した英国エセックス州ハーロウ出身の7人組。“モダン・ジャイヴ” “パンク・スウィング”などといわれた。デキシーとロカビリーの味わいのある個性的なポップ・サウンドを満載した1983年発表の衝撃のデビュー作!! 大ヒット曲「ドント・トライ・トゥ・ストップ・イット(俺[おいら]はハリキリ・ボーイ)」「スタン・バイ」他、全11曲収録。A面 1. 俺(おいら)はハリキリ・ボーイ - Don't Try to Stop It 2. 俺のバイクは世界一 - Motor Mania 3. 君はしっかり俺のもの - I.O.U. 4. ジャイヴ・ダイヴ - Jive Dive 5. ミッドナイト・バス - Midnight Bus 6. 屋根裏のパーティー - Cookin' On The RoofB面 1. スタン・バイ - Stand By 2. ノー・ボール・ゲーム - No Ball Games 3. 毛皮とハイ・ヒール - Furs 'N High Heels 4. 重大な場面 - Serious Situation 5. ワン・モア・ジルト - One More Jilt 53年に公開された、グレゴリー・ペック(Gregory Peck)&オードリー・ヘプバーン(Audrey Hepburn)主演の名作「ローマの休日(Roman Holiday)」からバンド名を取ったというローマン・ホリデイ(Roman Holiday)。 今回は彼らが83年にリリースしたデビュー・アルバム「ローマの休日(Cookin' on the Roof)」を取り上げてみよう。 おそらく80年代に青春を過ごした洋楽好きのみが、懐かしさを感じるバンドではなかろうか。ジャケットに写っているメンバーが穿いているケミカルウォッシュみたいなジーンズからしてもうね…。(←どうやらケミカルウォッシュジーンズは再流行しているらしいけど) ちなみに青字で書いている帯文句は04年に日本で初CD化された時のもので、どうやら “俺(おいら)はハリキリ・ボーイ(Don't Try to Stop It)” という当時は失笑モノだった邦題も、今では “ドント・トライ・トゥ・ストップ・イット” という何の面白みもないタイトルがメインになっているようで、ちょっと寂しい気もする。 英国・エセックス州ハーロウという下町育ちで、隣のお兄ちゃん的親しみやすさを感じさせるローマン・ホリデイ。デビュー当時は7人編成であった。 メンバーはリード・ヴォーカルのスティーヴ・ランバート(Steve Lambert)を筆頭に、バンド結成者であるギター&ヴォーカルのブライアン・ボンナム(Brian Bonhomme)、ベースのジョン・ダーノ(Jon Durno)、ドラムのサイモン・コーエン(Simon Cohen)、キーボードのエイドリアン・ヨーク(Adrian York)、それにトランペットのジョン・イーコット(John Eacott)と、スティーヴの兄弟でもあるサックスのロブ・ランバート(Rob Lambert)の7人。 この1stアルバムリリース後、ブラス・セクション担当の2人――ジョンとロブが脱退して5人組に落ち着くのだけれど。 日本では完全にアイドル扱いで、洋楽雑誌で一時は結構プッシュされていた気がするが、残念なことに人気はあまり出ずじまいだったような…。 とはいえ、“スタン・バイ(Stand By)” と “俺(おいら)はハリキリ・ボーイ” は全米でも100位内には入り、“ハリキリ・ボーイ” の方は全英で14位にまで上がったのだから、まぁ頑張った方だろう。今、改めて聴いているがどれも明るく爽やかで意外といい曲なのである、ホント。 個人的には翌84年にリリースされた2ndにしてラストアルバムとなってしまった「涙のラスト・クルーズ(Fire Me Up)」を押したいところだが、こちらはとうの昔に廃盤になったままである。 アルバムの邦題タイトルの元となった “涙のラスト・クルーズ(Hear It in the Night)” は、Zin Zinこと竹本孝之さんがカヴァーしたことでお馴染…いや、一部ファンの間では知られている。 それよりも、アルバム1曲目の “ワン・フット・バック(One Fot Back In Your Door)” は、ニック・ノルティ(Nick Nolte)やラルフ・マッチオくん(Ralph Macchio)らが出演した、84年公開の映画「りんご白書(Teachres)」のサントラ盤にも収録されているので、そちらの方が馴染み深いかもしれない。 ちなみに本来のアルバムタイトルソングであるA面2曲目 “Fire Me Up” の邦題は、“俺は燃える” だったりする 「涙のラスト・クルーズ」をリリースした後にバンドは解散だか消滅だかしたようで、メンバーの皆さんはタクシーの運転手さんになってたり(サイモン)、銀行業務に就いてたり(ロブ)、大学でロシア史を教えていたり(ブライアン)と、それぞれの道を歩んでらっしゃるようである。 ヴォーカルのスティーヴはローマン・ホリデー解散後に、カルチャー・クラブ(Culture Club)のドラムスだったジョン・モス(Jon Moss)とバンドを結成したらしい。へぇ~、初めて知った。まぁ、すぐ終わっちゃったんだろうけど。 そんなローマン・ホリデイに興味を持たれた方は、こちらをどうぞ♪ スタン・バイ 俺(おいら)はハリキリ・ボーイ 俺のバイクは世界一 おまけ ワン・フット・バック
2023.01.17
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『異教徒の大地』 ウォーターボーイズ 「A Pagan Place」 The Waterboys (84) 流浪の失踪を続けるロック・シーンの異教徒、 マイク・スコット――ウォーターボーイズ、デビュー! パティ・スミス、ボブ・ディランに影響を受け、突き放すほどに力強いマイク・スコットの “詩” (うた)が僕らを打つ!!A面 1. 怒りの鐘を鳴らせ - Church Not Made With Hands 2. 彼女の捧げもの - All The Things She Gave Me 3. ザ・スリル・イズ・ゴーン - The Thrill Is Gone 4. ラッグス - RagsB面 1. 誰かが誰かに別れを… - Somebody Might Wave Back 2. ザ・ビッグ・ミュージック - The Big Music 3. レッド・アーミー・スター・ブルース - Red Army Blues 4. 異教徒の大地 - A Pagan Place 83年にスコットランドで結成されたウォーターボーイズ(The Waterboys)。このバンド名はルー・リード(Lou Reed)の曲の歌詞から名付けられたのだとか。でもまぁ「ウォーターボーイズ」と聞いて大半の方が思い浮かべるのは、シンクロナイズドスイミングをする男子高校生達の物語だわな。あれは面白かったもの。 今回取り上げた84年にリリースされた2ndアルバム「異教徒の大地(A Pagan Place)」の頃のウォーターボーイズのメンバーはというと、ヴォーカル兼ソングライターで数々の楽器もこなし、そのうえプロデュースまで手掛ける多才なマイク・スコット(Mike Scott)を筆頭に、サックスのアンソニー・シッスルスウェイト(Anthony Thistlethwaite)、キーボードのカール・ウォリンガー(Karl Wallinger)、そしてドラムスのケヴィン・ウィルキンソン(Kevin Wilkinson)。 ケヴィンは85年に英国のNWバンド、チャイナ・クライシス(China Crisis)に参加するため脱退。しかし99年に41歳にして自死してしまった…。 カールも、3rdアルバム「自由への航海(This Is the Sea)」をリリースした85年にバンドを去り、ワールド・パーティー(World Party)を結成。 その「自由への航海」のレコーディングに参加したロック・フィドル奏者(ヴァイオリニスト)のスティーヴ・ウィッカム(Steve Wickham)が85年から正式メンバーに加わり、バンドはアイルランド伝統音楽へと傾倒していき、高い評価を得たのであった。 さて、バンドの要であるマイク・スコットであるが、今回の駄記事を書くにあたりWikiさんを見ていて驚いたのだが、16年に日本人女性と結婚して男児を授かっていた。おめでたいことだけど、お相手の方にちょっと――いや、かなり引いた。小野洋子さんが苦手すぎてジョン・レノン(John Lennon)を受け付けなくなったのと同様な感じである。だけどジョンもマイクも音楽は素晴らしいと思うし、彼女たちの賛同者も大勢いるわけで…。ま、みんな違ってみんないい、ということで。って何のこっちゃ。 このアルバムはどことなくU2っぽくて取っ付きやすく、彼らの音楽にまだ触れたことがない方は試しに聴いてみてほしい。80年代の音楽ってこんな感じだったよなぁ。 そんなウォーターボーイズに興味を持たれた方は、こちらをどうぞ♪ ラッグス 誰かが誰かに別れを… 怒りの鐘を鳴らせ
2023.01.16
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『こわれもの』 イエス 「Fragile」 Yes (71) 72年、世界のスーパー・グループに飛躍したブリティシュ・ロック界最大のホープ!A面 1. ラウンドアバウト - Roundabout 2. キャンズ・アンド・ブラームス - Cans and Brahms 3. 天国への架け橋 - We Have Heaven 4. 南の空 - South Side of the SkyB面 1. 無益の5% - Five Per Cent for Nothing 2. 遥かなる思い出 - Long Distance Runaround 3. フィッシュ - Fish 4. ムード・フォア・ア・デイ - Mood for a Day 5. 燃える朝焼け - Heart of the Sunrise 前回取り上げたバングルス(The Bangles)の “エジプシャン(Walk Like an Egyptian)” は「ジョジョの奇妙な冒険」のアニメ第3期のEDテーマ曲であったが、今回はそのジョジョつながりということで、イエス(Yes)が71年にリリースした名盤「こわれもの(Fragile)」を取り上げてみる次第であーる。 ブログではさも洋楽に詳しいかのようにあれこれと綴ってはいるけれども、実は80年代半ばに観ていた洋楽番組並びに読んでいた洋楽雑誌で得た知識ぐらいしか持っておらず、聴いている音楽も当時のヒット曲か美形メンバーがいたバンドの曲(大概はコレ)、もしくはノリがいい曲(HR/HMや産業ロック系)ぐらいという、かなりの知ったかぶり野郎な私。 なのでイエスに関しても、知っているのは再結成後の83年にリリースされた「90125」からシングルカットされて大ヒットした地味~な “ロンリー・ハート(Owner of a Lonely Heart)” や、メンバーが伸び縮みするPVだけが印象に残っている “リーヴ・イット(Leave It)” ぐらいで、プログレ時代のイエスについてはこの「こわれもの」や「危機(Close to the Edge)」(72年発売)が優れたアルバムだという評価を目にしたことがある程度で、きちんと聴いたことはなかった。 それが10年ほど前にBLOG仲間さんから薦められ、初めてこのアルバムを聴いた時の衝撃たるや! …えッ!? これがイエス!? っていうか、70年代のイエスはこんなに格好よかったの?( ゚д゚ )スゲェ 1曲目の “ラウンドアバウト(Roundabout)” からしてもう、言葉が出ないくらいに格好いいッ!この曲が「ジョジョの奇妙な冒険」第1期のEDテーマ曲になった時には結構話題になっていたが、流石の選曲である。 個人的にはラストナンバーの “燃える朝焼け(Heart of the Sunrise)” が圧倒的に一押しではあるけれども、最初から最後まで全く無駄のない、評判どおりの名盤だった。 薦めていただいたアルバムはリマスター盤だったらしく、ボーナストラックとして “アメリカ(America)” と “ラウンドアバウト” のEarly Rough Mixが追加されており、言うまでもなくこれまたどちらも最高にイカして(死語)いた。 68年に結成されたイエス。80年代初頭と00年代中盤に数年間活動を停止していたものの、今なお現役というモンスター・バンドである。 「こわれもの」レコーディング時のメンバーはというと、リード・ヴォーカルのジョン・アンダーソン(Jon Anderson)。ギター&バッキング・ヴォーカルのスティーヴ・ハウ(Steve Howe)。ベース&バッキング・ヴォーカルのクリス・スクワイア(Chris Squire)。このアルバムからメンバーに加わった、ハモンドオルガンやらピアノやら鍵盤担当のリック・ウェイクマン(Rick Wakeman)。そしてドラムスのビル・ブルーフォード(Bill Bruford)の5人。 度々メンバーチェンジを行っているイエスの中で、結成当初から唯一在籍し続けたクリスは15年に急性骨髄性白血病で逝去。 ジョンは80年に脱退するも83年に復帰。だが82年から加入したギタリストのトレヴァー・ラビン(Trevor Rabin)のやり方に幻滅したジョンが88年に再脱退し、イエス黄金時代(「こわれもの」「危機」リリース時)のメンバーを集めてアンダーソン・ブルーフォード・ウェイクマン・ハウ(ABWH。Anderson Bruford Wakeman Howe)を結成。しかしアルバムを1枚だけリリースしたところで、トレヴァーやクリスのイエスと90年に合体し、ジョンはまたしてもイエスに戻ったが08年にこれまた脱退。でもって10年にはアンダーソン、ラビン&ウェイクマン(ARW。Yes Featuring Jon Anderson, Trevor Rabin, Rick Wakeman)を結成するも、18年頃解散したらしい。 ビルは72年に脱退し、その直後にキング・クリムゾン(King Crimson)に加入。88年にABWHに加わるも90年に再離脱。 リックの最初の脱退は74年。76年に再加入して80年にはジョンと共に再脱退。ABWHで戻ってくるもまた脱退、ARWにも加わったが…。 スティーヴ・ハウは81年にイエスが活動停止した際、スーパーグループのエイジア(Asia)を結成して大成功を収めたが、88年にABWHに参加し、96年にはイエス再加入。スティーヴだけが今もイエスのメンバーとして頑張っている。 ――ってもう、自分で書いててもごちゃごちゃし過ぎて何が何だかよく分からないや 私が洋楽を聴いて育った80年代は、様々なジャンルにおいてほぼ完成された音楽が満ち溢れており、非常に恵まれた、素晴らしい時代だとずっと思っていた。 だが、このアルバムを聴いてみて、70年代に青春を過ごしていたらもっと面白かったのではないかと思った。レコードに針を落とす時の期待感、演奏が始まってからの興奮、聴き終えてからの充足感や幸福感は、おそらくこの時代にリアルタイムで聴いた人にしか分からないだろう。 発売から既に50年以上経っているにもかかわらず全く古さを感じさせない、非常に魅力的なアルバムである。 そんなイエスに興味を持たれた方は、こちらをどうぞ♪ ランドアバウト 南の空 燃える朝焼け
2023.01.15
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『シルバー・スクリーンの妖精』 バングルス「Different Light」 The Bangles (86) キュートでセクシー、お洒落でちょっぴり渋めのバングルス。 シルバー・スクリーンの中でキラメくバングルス・サウンドにもう首ったけ。 プリンス作 - 強力ヒット・ナンバー「マニック・マンデー」収録。A面 1. マニック・マンデー - Manic Monday 2. シルバー・スクリーンの妖精 - In A Different Light 3. ウォーキング・ダウン・ユア・ストリート - Walking Down Your Street 4. エジプシャン - Walk Like an Egyptian 5. ホールウェイに立ちすくみ - Standing in the Hallway 6. リターン・ポスト - Return PostB面 1. ホワット・シー・ウォンツ - If She Knew What She Wants 2. レット・イット・ゴー - Let It Go 3. 9月の少女 - September Gurls 4. 恋に堕ちた天使 - Angels Don't Fall in Love 5. フォローイング - Following 6. ノット・ライク・ユー - Not Like You 70~80年代は幾つもの女性バンドが活躍したが、何れも可愛さばかりが売りでロクなバンドがいなかったように思う。唯一実力で勝負していたバンドといえば、日本の女性HR/HMバンド、SHOW-YAぐらいだろう(異論は認めます)。 国内では80年代を代表する女性バンドとしてプリンセス・プリンセス(Princess Princess)が挙げられることが多いが、女性バンドに人々が求めていたのは、1にルックス2に可愛らしさ、音楽性など児戯に等しいプリプリ程度(失礼!)のもので十分だったのである。 今回取り上げるバングルス(The Bangles)も、可愛いだけで当初はあまりパッとしなかった。 メンバーは小柄でキュートなヴォーカルのスザンナ・ホフス(Susanna Hoffs)、クールそうで格好いい、おそらく女性人気は1番だったと思われるマイケル・スティール(Michael Steele)、そしてドラムスのデビー・ピーターソン(Debbi Peterson)&デビーの実姉でギタリストのヴィッキー・ピーターソン(Vicki Peterson)の4人。 81年にスザンナ、ピーターソン姉妹&ベーシストのアネット・ジリンスカス(Annette Zilinskas)の4人で結成されたが、翌年にアネットが脱退。その後マイケルが加入した。マイケルは女性バンドの草分け的存在であるランナウェイズ(The Runaways)の初代ベーシストとしても知られる。 初めて彼女らを知ったのは、84年にリリースされたデビュー・アルバム「気分はモノクローム(All Over the Place)」からシングルカットされた “ゴーイン・ダウン・トゥ・リバプール(Going Down to Liverpool)” のPVで、Mr.スポックことレナード・ニモイ(Leonard Nimoy)が出演して話題になったものの、楽曲自体はどうしようもなく印象に残らなかった。 女性バンドが好きではない私がバングルスに魅了されたのは、86年に発売されたこの2ndアルバム「シルバー・スクリーンの妖精(Different Light)」だった。 プリンス(Prince)がクリストファー(Christopher)名義で楽曲を提供して全米2位に輝いた1stシングル “マニック・マンデー(Manic Monday)” の頃はまだ然程興味もなかったが、4週連続全米1位を記録した3rdシングル “エジプシャン(Walk Like an Egyptian)” のPVの、あの手をツンツンする謎のエジプシャン踊りと親しみやすくてノリノリの楽曲にすっかりハマってしまった。後年(2014年)、“エジプシャン” はアニメ「ジョジョの奇妙な冒険 スターダストクルセイダース」のED曲にもなったらしい。 エジプシャンといえば、87年に公開されたアンドリュー・マッカーシー(Andrew McCarthy)&キム・キャトラル(Kim Cattrall)主演の心温まるロマンティック・コメディ映画「マネキン(Mannepuin)」のOPアニメのバックで流れている曲とちょっと混同しそうになるが、映画の方はこれまた女性バンド・ゴーゴーズ(The Go-Go's)の元メンバーだったベリンダ・カーライル(Belinda Carlisle)が歌う “In My Wildest Dreams”。どちらの曲も聴くたびに何故か心がウキウキしてしまう♪(謎のエジプシャン踊りPVといえば、ZZトップ(ZZ Top)の “ヴェルクロ・フライ(Velcro Fly)” もバングルスのと同じくらいの時期に流行ったっけ。こちらのPVの振付はポーラ・アブドゥル(Paula Abdul)が担当している。) その後も同87年公開アンドリュー主演映画「レス・ザン・ゼロ(Less Than Zero)」の主題歌 “冬の散歩道(A Hazy Shade of Winter)” を大ヒットさせ、88年にリリースした3rdアルバム「エヴリシング(Everything)」からシングルカットされた “胸いっぱいの愛(Eternal flame)” は世界各国で1位に輝いた。しかし89年にはまさかの活動停止…。 当初はただの可愛い子ちゃんバンドかと思っていたが、後にライヴ映像等を見てみると意外とハードで格好よく、十分に実力派だったのである。4人ともヴォーカルもコーラスもいけるしね。 最初の方で女性バンドにはロクなのがいない、唯一実力で勝負していたバンドといえばSHOW-YAぐらいだと書いたが、最後に訂正したい。SHOW-YAとバングルスこそ、東西女性バンドの頂点であーる (異論は認めます) どちらのバンドも解散→再結成の道を辿り、今なお現役なのが嬉しい。ただ、バングルスで個人的に一推しだったマイケルが再度脱退したのがつくづく残念である。現在はなんと!アネット・ジリンスカスが(35年ぶりに)バンドに復帰しているそうな。 そんなバングルスに興味を持たれた方は、こちらをどうぞ♪ マニック・マンデー 9月の少女 エジプシャン
2023.01.13
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『緊急指令N.R.』 ナイト・レンジャー 「Dawn Patrol」 Night Ranger (82) '83年の曙に姿を現わす5人の奇襲攻撃部隊。ツイン・リードで押しまくる天下無敵のロック・バンドA面 1. 炎の彼方 - Don't Tell Me You Love Me 2. シング・ミー・アウェイ - Sing Me Away 3. 彼女の夜 - At Night She Sleeps 4. コール・マイ・ネーム - Call My Name 5. エディズ・カミン・アウト・トゥナイト - Eddie's Comin' Out TonightB面 1. キャント・ファインド・ミー・ア・スリル - Can't Find Me A Thrill 2. ヤング・ガール・イン・ラヴ - Young Girl in Love 3. プレイ・ラフ - Play Rough 4. 悲しみのペニー - Penny 5. ナイト・レンジャー - Night Ranger ジャニーズ事務所が何やら揺れている。副社長が退社したり、人気グループのメンバーが複数人脱退するとか何とか。おばはんは小学生の頃にたのきんトリオのマッチが好きだったくらいで、ジャニーズ系には今も昔も興味がないのだが、今から40年ほど前にシブがき隊というジャニーズ・アイドルグループの曲にイントロをパクられてしまったのがナイト・レンジャー(Night Ranger)であった。 その、米国のハードロック・バンド、ナイト・レンジャーが82年にリリースしたデビュー・アルバムが「緊急指令N.R.(Dawn Patrol)」である。 悲しいことに今では「ドーン・パトロール」と原題そのままのカタカナタイトルになっており、さらに曲名までも全て邦題が消えてしまっていたりする。 邦題とはなんと儚いものなんだろう。邦題三十年、下天の内をくらぶれば、夢幻の如くなり。 アルバムの初っ端を飾る “炎の彼方(Don't Tell Me You Love Me)” は、シブがき隊が83年に発売した “ZOKKON命” という曲にイントロのリフをそのまま使われたことでお馴染みだったが、シブがき隊の曲って何があったかなぁ。“NAI・NAI 16” とか “100%…SOかもね!” とか “スシ食いねェ!” とか…。あれッ!? 意外と覚えてる シブがき隊のことは置いといて、デビュー当時のナイト・レンジャーのメンバーはというと、ギターの二人、ブラッド・ギルス(Brad Gillis)&ジェフ・ワトソン(Jeff Watson)に、キーボードのアラン・フィッツジェラルド(Alan Fitzgerald)、そしてベース兼ヴォーカルのジャック・ブレイズ(Jack Blades)とドラムス兼ヴォーカルのケリー・ケイギー(Kelly Keagy)。ツインギター&ツインヴォーカルというWツイン体制は、ちょっと珍しかったかもしれない。 個人的には翌83年にリリースされた2ndアルバム「ミッドナイト・マッドネス(Midnight Madness)」の方が思い入れもあって断然好みなのだが、勿論このデビューアルバムも悪くない。特に1曲目の “炎の彼方” はイントロからしてインパクト大!流石、パクられただけはある。 力強く、それでいて爽やか且つキャッチー。こりゃいいバンドだなぁ…と思っていたら、2ndアルバムからシングルカットされたバラード、“シスター・クリスチャン(Sister Christian)” がビルボードチャート5位に輝く大ヒット! 続く85年リリースの3rdアルバムからシングルリリースされたバラード、“センチメンタル・ストリート(Sentimental Street)” がまたしてもビルボードチャート8位に入ってしまったため、その後はメロディアスな曲に走ってしまい、すっかりバラードバンドと成り果てて人気が下降してしまった。うーん、実に惜しい。 89年に一旦解散したものの、その数年後には復活。若干顔ぶれが変わってはいるものの(ブラッド、ジャック&ケリーは健在)、今なお活動は続けており、昨年8月には12thアルバム「ATBPO」をリリースしている。 そんなナイト・レンジャーに興味を持たれた方は、こちらをどうぞ♪ 炎の彼方 彼女の夜 ナイト・レンジャー
2022.11.28
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『飛べ!エアロスミス』 エアロスミス 「Get Your Wings」 Aerosmith (74) 叫べ!怒れ!若者よ―――― ぶちかませ!ハードにヘビィにロックンロール!! ニューヨークからハード・ロックの超大物、噂のエアロスミス遂に日本デビューA面 1. エアロスミス離陸のテーマ - Same Old Song and Dance 2. 支配者の女 - Lord of the Thighs 3. 四次元飛行船 - Spaced 4. 黒いコートを着た女 - Women of the WorldB面 1. エアロスミスS.O.S. - S.O.S. (Too Bad) 2. ブギウギ列車夜行便 - Train Kept A Rollin' 3. 折れた翼 - Seasons of Wither 4. パンドラの箱 - Pandora's Box 07年10月21日、「死ね死ね団のうた」と共にこの駄BLOGをリスタートして早15年。斯様な辺境BLOGに足を踏み入れてくださった方々に厚く御礼申し上げます m(_ _)m 今回は15周年記念ながら、何の思い入れもないエアロスミス(Aerosmith)が74年にリリースした2ndアルバム「飛べ!エアロスミス(Get Your Wings)」を取り上げたい。 エアロスミスのアルバム邦題といえば、73年リリースのデビューアルバム「野獣生誕(Aerosmith)」や、82年発売の8thアルバム「美獣乱舞(Rock in Hadr Place)」などの方がインパクトは強いのだが、全曲ちゃんと邦題付という点で、この2ndを高く評価する次第である。2ndながら帯に「噂のエアロスミス遂に日本デビュー」と書かれているのは、当時『野獣生誕』が日本では発売されておらず、このアルバムが日本でのデビュー作だったため。 ただ、“飛べ!”ときたらどうしても真っ先にドリフターズの「飛べ!孫悟空」が頭に浮かんじゃうよね。♪ニンニキニキニキ ニンニキニキニキ ににんが三蔵~ ドリフといえば、ついに仲本工事さんまでもが今月19日に事故で他界されてしまって大ショック!ドリフはコントは勿論のこと歌も好きで、特に仲本さんのソフトな歌声がお気に入りだったため、Twitterもフォローして仲本さんの呟く優しいお言葉にいつも癒されていたのだが… グスン (結局、仲本さんを追悼したくてこのアルバムを取り上げたのがバレバレですがな) 話をエアロスミスに戻すと、浮き沈みありながらも50年以上活動を続けているエアロスミスはホンマ、偉いと思う。今現在のメンバーはこの2ndアルバム時と全く同じで、スティーヴン・タイラー(Steven Tyler)がヴォーカル、ギターはジョー・ペリー(Joe Perry)とブラッド・ウィットフォード(Brad Whitford)、ベースはトム・ハミルトン(Tom Hamilton)、そしてドラムスはジョーイ・クレイマー(Joey Kramer)である。 ジョーとブラッドは一時脱退しており、81年にブラッドが脱退したときはテッド・ニュージェント(Ted Nugent)のデレク・セント・ホルムズ(Derek St. Holmes)と組み、セルフタイトル・アルバム「Whitford/St. Holmes」をリリースしている。 デレク・セント・ホルムズといえば後年、2000年10月3日に53歳で逝去した元カーズ(The Cars)の超絶二枚目(イケメンという言葉に淘汰されてすっかり死語になってしまった)ベーシストであるベンジャミン・オール(Benjamin Orr)達とビッグ・ピープル(Big People)なるバンドを組んでいた方だよね。 でもってエアロスミスといえば、Run-D.M.C.がカヴァーした “お説教(Walk This Way)” や、98年に公開されたブルース・ウィリス(Bruce Willis)主演、スティーヴンの実娘であるリヴ・タイラー(Liv Tyler)も出演していた映画「アルマゲドン(Armageddon)」の主題歌 “ミス・ア・シング(I Don't Want to Miss a Thing)” 等がよく知られている。というか、失礼ながらその2曲ぐらいしか知らなかったりする。すんません、今も昔もエアロスミスには全く興味がないもんで…。 さて、このアルバムにちょっとだけ触れると、一押しは何といっても “ブギウギ列車夜行便(Train Kept A Rollin')” だ!邦題からして実に素晴らしい!ヤードバーズ(The Yardbirds)のカヴァーだそうだが、曲の中盤からのノリノリライヴver.がかなり格好いい。 そんなエアロスミスに興味を持たれた方は、こちらをどうぞ♪ エアロスミス離陸のテーマ エアロスミスS.O.S. ブギウギ列車夜行便
2022.10.27
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『虹色の扉』 オリビア・ニュートン・ジョン 「Physical」 Olivia Newton-John (81) 映画「グリース」「ザナドゥ」で多彩な才能を発揮したオリビア。 クリスタルな美しさに、大人の魅力も身につけた、きらめくオリビアの、待望の3年ぶりのニュー・アルバム!!A面 1. ランドスライド - Landslide 2. ストレンジャーズ・タッチ - Stranger's Touch 3. ムーヴ・オン・ミー - Make A Move on Me 4. 貴方にフォーリング - Falling 5. 愛あればこそ - Love Make Me StrongB面 1. フィジカル - Physical 2. シルヴァリー・レイン - Silvery Rain 3. キャリード・アウェイ - Carried Away 4. 絆はふたたび - Recovery 5. 愛のプロミス - The Promise (The Dolphin Song) 前回の「BBOY」で熱く語ったように、近頃はDRAGONさんの動画ばかり視聴している。ブレイクダンスの国内大会優勝は数知れず、世界大会での優勝経験もある、日本を代表するBBOY(ブレイクダンスを踊る男性)の一人であるDRAGONさんは、オタクダンスパフォーマンスチーム・RAB(リアルアキバボーイズ)の一員であり、またFOUND NATIONというブレイクダンスチームの創設メンバーでもある。RABの動画の中ではよく上半身裸になっているが、それは見事な肉体美で、御本人が筋トレ好きらしく、常人には決して真似できないトレーニング動画(DRAGON'S BOOT CAMP)もいくつか上がっている。本当に楽しく視聴させてもらっているが、この域に至るまでには一体どれ程の努力や練習を積んだのだろう…と思わずにはいられない。 DRAGON'S BOOT CAMPといえば、80年代にもエクササイズのPVが大ヒットしたっけ。 今年8月に逝去した、英国生まれで豪州出身の歌姫・オリビア・ニュートン・ジョン(Olivia Newton-John)の大ヒット曲 “フィジカル(Physical)” である。 真っ白ヘアバンド&ぴっちりレオタードに身を包んだオリビアが、トレーニングジムで鍛えている二枚目マッチョ男達(何故か皆さんビキニパンツ)に絡んだり、デブ男達(こちらは揃ってデカパンツ)とエアロビクスをしたりしながらも、結局ビキニパンツ男達は二人ずつ仲良くお手々つないで去って行き(あれッ、皆さんゲイだったの!?)、オリビアは最後にデブさんとテニスに向かう…という、何だかよく分からない結末ながらも83年の第25回グラミー賞で見事『Video of the Year』に輝いた、80年代を代表するPVである。 当時オリビア32歳。後にユニセフ親善大使を勤めたり環境保護活動に力を入れたりして、英国OBE勲章まで受賞した彼女にとってあのPVは誇りだったのか、はたまた黒歴史として闇に葬りたかった物なのかは今更知る由もないが、まぁ今となっては何とも時代を感じさせる赤面PVだ…(/ω\) オリビアといえば、「西のオリビア、東のルミ子」と言われたように、10歳以上年下の男性と結婚して一時話題になったっけ。 お相手は賢也くん同様に、俳優兼ダンサーのマット・ラッタンジー(Matt Lattanzi)。これまたルミちゃん&賢也くんと同じく、別れちゃったけど。ちなみにルミちゃん達の結婚生活は約12年、オリビア達は約11年続いた。※小柳ルミ子さんは89年に13歳下のダンサー・大澄賢也くんと結婚。 そんな下世話な話は置いといてアルバムに話を戻すが、TOTOのギタリストであるスティーヴ・ルカサー(Steve Lukather)も参加して81年にリリースされた「虹色の扉(Physical)」は米国で6位を記録した他、英国やカナダ等では3位に輝くなど、世界中で大ヒット! シングルカットされたタイトル曲の “フィジカル” はPVが話題になったこともあり、全米ではビルボードチャート10週連続1位という快挙を成し遂げた。 続く2ndシングル “ムーヴ・オン・ミー(Make A Move On Me)” は全米5位とまずまずだったが、個人的にはこの曲が一押し♪ そして最後にシングルカットされた “ランドスライド(Landslide)” はあまりヒットしなかったものの、PVには当時まだ恋人だったマット・ラッタンジーが出演。オリビアに翻弄されっぱなしの青年役だったが、ひょっとしたら実生活が反映してたりして…!? 嗚呼、それにしてもオリビアまで鬼籍に入ってしまうとは。青春時代のスターの死というのは、否が応にも自分の年齢を感じさせる気がする。訃報に接する都度、自分もそろそろ気構えしとかなきゃ…と思ってしまう。儚いものだね、人生は。今のうちにこの世の楽しみをしっかり享受しておかなくっちゃ。 そんなオリビアに興味を持たれた方は、こちらをどうぞ♪ RIP Olivia … フィジカル ムーヴ・オン・ミー ランドスライド
2022.09.30
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『慈愛の輝き』 ジョージ・ハリスン 「George Harrison」 George Harrison (79) 二年以上の空白を吹き飛ばす夢の共演!! 親友エリック・クラプトン、スティーヴィー・ウィンウッド等を迎え、ジョージ・ハリソンが作り上げた待望のニュー・アルバム!!A面 1. 愛はすべての人に - Love Comes To Everyone 2. ノット・ギルティ - Not Guilty 3. ヒア・カムズ・ザ・ムーン - Here Comes The Moon 4. ソフト・ハーテッド・ハナ - Soft Hearted Hana 5. ブロー・アウェイ - Blow AwayB面 1. ファースター - Faster 2. ダーク・スウィート・レディ - Dark Sweet Lady 3. 永遠の愛 - Your Love Is Forever 4. ソフト・タッチ - Soft Touch 5. イフ・ユー・ビリーヴ - If You Believe 今月1日付で職場異動があり、慣れない環境で悪戦苦闘中の今日この頃。もうクタクタ……。 そんな時に聴きたくなるのが、ジョージ・ハリスン(George Harrison)が79年にリリースした7thアルバム「慈愛の輝き(George Harrison)」である。 セールス的にはまずまずであったが、ファンの間ではこのアルバムをジョージの最高傑作として挙げる人も多い。レコーディング中に愛息・ダーニ(Dhani)誕生。更に訴訟問題やら妻・パティ・ボイド(Pattie Boyd)との破局やらでどん底だったジョージを支え続けてくれた恋人・オリヴィア(Olivia Trinidad Arias)とも再婚し、最も人生が充実していた頃の作品だけにアルバム中に愛が溢れている まさに「慈愛の輝き」という邦題がピッタリの名盤だ。とはいえ原題はただのセルフタイトルなのだけど。 初めて好きになった外国人アーティストがジョージだった。 中学に上がる頃、姉の影響でビートルズ(The Beatles)を聴くようになった私は、ジョージの端正な顔立ちと繊細な歌声、母性本能をくすぐる末弟的な茶目っ気に魅了され、すぐさま夢中になった。その頃初めて自分の小遣いでアルバムを買った。ビートルズ主演映画第2弾「ヘルプ!4人はアイドル(Help!)」の米国盤サウンドトラックだった…と思う (ひょっとすると「マジカル・ミステリー・ツアー(Magical Mystery Tour)」のこれまた米国盤サントラの方が先だったかもしれない)。 きっかけはルックスだったが、ジョージの一癖も二癖もある音楽も好きだった。特に「ラバー・ソウル(Rubber Soul)」以降の彼の曲は、ビートルズの曲というよりもまさに “ジョージ・サウンド” だった。ビートルズ解散後の70年11月にリリースされたジョージのソロアルバム(それもいきなり3枚組!)「オール・シングス・マスト・パス(All Things Must Puss)」が各方面から絶賛され、全英で8週・全米でも7週連続1位に輝いたのも当然かと思われる。 話をこのアルバムに戻すと、1曲目の “愛はすべての人に(Love Comes To Everyone)” からすでにジョージらしい温もりと優しさがひしひしと伝わってくる。幸せ絶頂期だった彼からの、幸せおすそ分けソングだ。イントロのリードギターは親友のエリック・クラプトン(Eric Clapton)が弾いており、モーグ・シンセサイザー&バッキング・ヴォーカルでスティーヴ・ウィンウッド(Steve Winwood)も参加している。 続く “ノット・ギルティ(Not Guilty)” はビートルズ時代の未発表曲で、その次の “ヒア・カムズ・ザ・ムーン(Here Comes The Moon)” もビートルズ時代の名曲 “ヒア・カムズ・ザ・サン(Here Comes The Sun)” の続編といえる曲だ。 “ブロー・アウェイ(Blow Away)” はこのアルバムを作るにあたり最初に書いた曲だそうで、ジョージ曰く 「ある日、庭にいたときにすごい土砂降りになって、それでがっかりしている自分に突然気付いた。天候の変化に影響されている自分にね。忘れちゃいけないのは、自分の周囲のあらゆるものが変化しても、内なる魂は変わらないということだ」。 “ファースター(Faster)” はジョージが大好きだったF1の歌だが、当時大事故から見事復活したF1ドライバー・ニキ・ラウダ(Niki Lauda)と出会い、話をする機会を得たジョージは、ニキが家でリラックスして好きな音楽を聴いている時が一番いいと聞き、“ニキが休日に楽しんでくれるような曲なら作れるかも” と思ったという。そして2年ちょいぶりに制作されたのがこのアルバムであった。 もしも天国があるのならば、きっとこのアルバムの音楽がどこからか風に乗って優雅に流れているのではなかろうか…なんてことを聴く度に思ってしまうほどに心地よい癒しアルバムだ。明日からも元気出して頑張ろうっと そんなジョージに興味を持たれた方は、こちらをどうぞ♪ 愛はすべての人に ブロー・アウェイ ファースター
2022.06.09
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『詠時感 〜 時へのロマン』 エイジア 「Asia」 Asia (82) 嗚呼!! 時を超えて、シーンに登場! したたかな感性から放たれる音のエネルギー、あくまでも鋭く 4つの個性がドラゴンに乗った、本物の一撃!! キング・クリムゾン、イエス、EL&Pとブリティッシュの最強バンドを渡り歩いた強者4人が結成した驚異のロック・グループ、それが “詠時感(エイジア)” だ!!A面 1. ヒート・オブ・ザ・モーメント - Heat of the Moment 2. 時へのロマン - Only Time Will Tell 3. 孤独のサヴァイヴァー - Sole Survivor 4. ワン・ステップ・クローサー - One Step Closer 5. タイム・アゲイン - Time AgainB面 1. この夢の果てまで - Wildest Dreams 2. ウィズアウト・ユー - Without You 3. 流れのままに - Cutting It Fine 4. ときめきの面影 - Here Comes the Feeling 元キング・クリムゾン(King Crimson)のジョン・ウェットン(John Wetton)がリード・ヴォーカル&ベースを、そして元EL&P(Emerson, Lake & Palmer)のカール・パーマー(Carl Palmer)がドラムス&パーカッションを、でもって元イエス(Yes)のスティーヴ・ハウ(Steve Hawe)がギター&ヴォーカルを、同じく元イエスのジェフ・ダウンズ(Geoff Downes)がキーボード&ヴォーカルという、プログレ界の大御所が集まった――所謂 “プログレ名球会” メンバーが満を持して82年にリリースした1stアルバムがこの「詠時感 ~ 時へのロマン(Asia)」だ。 …なんて説明は不要かな。ちなみに邦題タイトルの「詠時感」は、無理矢理 “えいじあ” と読む。どなたが考えたのか知らないけど、もうちょっと読みやすい当て字があったでしょうに。 3歳上の姉の影響を受けて私が洋楽を聴き始めたのは、ちょうどサバイバー(Survivor)の “アイ・オブ・ザ・タイガー(Eye of the Tiger)” が流行っていた82年半ば頃のことで、エイジア(Asia)を知ったのも、翌83年にリリースされた2ndアルバム「アルファ(Alpha)」からシングルカットされた “ドント・クライ(Don't Cry)” のPVをMTVで観たのが最初だった。 当時はプログレなど全く知らなかったので、エイジアが如何に偉大なバンドであるかなんて知る由も無かったが、楽曲とヴォーカルの爽やかさだけは強く印象に残っていた。 それから暫く後に「詠時感」を初めて聴いた時は、1曲目の “ヒート・オブ・ザ・モーメント(Heat of the Moment)” の出だしからゾクゾクしっぱなし!最初から最後まで聴き惚れてしまった。2曲目の “時へのロマン(Only Time Will Tell)” のOPはしょっちゅうMTVで使われていたので馴染みはあったが、ずっとエイジアだと知らずに耳にしていたため、彼らの曲であることが分かったときには妙に納得したものだった。 82年のビルボード・年間アルバムチャート1位に輝いただけあって、流石に捨て曲なしの名盤だ。発売から40年経った今聴いても、相変わらずゾクゾクしてしまう。 バンドは85年頃に一度解散状態になったものの、89年に再始動して現在に至る。何やら途中でゴタゴタしたらしく、オリジナルメンバーの内でジェフ・ダウンズだけが結成からずっと残っており、カール・パーマーは92年に離れるも06年の再結成時に復帰。スティーヴ・ハウは出たり入ったりしていたが13年に脱退している。ジョン・ウェットンは17年1月に大腸癌により逝去。 ちなみに現在のエイジアのメンバーはというと、ジェフとカール、vo兼bにはイエスのビリー・シャーウッド(Billy Sherwood)、そして今年からvo兼gとしてEL&Pつながりのマーク・ボニーラ(Marc Bonilla)が加入している。 エイジアのアルバムタイトルは途中まで『A…A』(Aで始まりAで終わる)に統一されていたが、何故か途中からはAAしばりがなくなった。まぁ邦題には関係ないけど。 82年 「Asia」 詠時感〜時へのロマン 83年 「Alpha」 アルファ 85年 「Astra」 アストラ 86年 「Aurora」 オーロラ ※4曲入りEP、日本盤のみ 92年 「Aqua」 アクア 94年 「Aria」 天空のアリア 96年 「Arena」 アリーナ 96年 「Archiva 1」 ※未発表音源集 96年 「Archiva 2」 ※未発表音源集 01年 「Aura」 オーラ 02年 「Armada 1」 ※ファン・クラブ向け限定盤 AAしばりタイトル終了 04年 「Silent Nation」 サイレント・ネイション : そんなエイジアに興味を持たれた方は、こちらをどうぞ♪ ヒート・オブ・ザ・モーメント 時へのロマン ときめきの面影
2022.05.25
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『ネリーさんだ象!』 トイ・ドールズ 「Nellie the Elephant」 The Toy Dolls (84)「ロック・スピリッツとユーモア・センスの共存が大好き!」という音楽評論家の大鷹俊一さん。 今月、彼が推薦するのは、オモチャ箱をブチマケタようなライブが楽しいトイ・ドールズの日本デビュー盤、イギリスで大ヒット「ネリーさんだ象!」A面 1. ネリーさんだ象! - Nellie the ElephantB面 1. フレデリック通りの殴り合い - Fisticuffs in Frederick Street 2. ネリーさんだ象!(1982 Version) - Nellie the Elephant (1982 Version) 今回はこどもの日に相応しい、英国のパンク・バンド、トイドールズ(The Toy Dolls)の12インチ・シングルを取り上げてみたい。 “ネリーさんだ象!(Nellie the Elephant)” というタイトルは知らなくても、曲はおそらく誰もが一度は耳にしたことがあるはず。…え?知らない!? 元々は英国の古典童謡だった曲を、トイドールズがパンク調にアレンジして82年のクリスマスにリリースしたところ、インディーズでそこそこヒット。 翌83年にはこの曲も収録されているデビュー・アルバム「Dig That Groove Baby」を発表し、そこそこ注目を浴びた。ちなみにこのアルバムのタイトルソングである “Dig That Groove Baby”、日本では「モヤモヤさまぁ~ず2」のOP曲としてお馴染みらしい(Wikiさん調べ)。 そして84年、再録してリリースした “ネリーさんだ象!” が、英国シングルチャートで4位に輝くまさかの大ヒットとなったのであーる。ま、こちらもTV番組のテーマ曲として使用されたことが、ヒットにつながったようだけど。 79年の結成から今現在までメンバーはちょいちょい入れ替わっているが、ヴォーカル兼ギターの “オルガ(Olga)” ことマイケル・オールガー(Michael Algar)だけは唯一のオリジナルメンバーだ。いつまでも達者でこのお馬鹿パンク・バンドを続けてほしいと切に願う。 そんなトイドールズに興味を持たれた方は、こちらをどうぞ♪ ネリーさんだ象! フレデリック通りの殴り合いおまけ Dig That Groove Baby モヤさまOP
2022.05.05
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『無敵艦隊スター・フリート!』 ブライアン・メイ&フレンズ 「Star Fleet Project」 Brian May + Friends (83) 宇宙戦士に告ぐ……ポイントF-01に集結せよ! 歴戦の勇士ブライアン・メイを中心に5人の強者がシークレット・ポイントに集結した!その名も……A面 1. 無敵艦隊スター・フリート - Star Fleet 2. 時空を超えて… - Let Me OutB面 1. ブルースの戦士 - Blues Breaker クイーン(Queen)のギタリストであるブライアン・メイ(Brian May CBE)念願の初ソロ・プロジェクトとして83年にリリースされたのが、このミニ・アルバム「無敵艦隊スター・フリート!(Star Fleet Project)」である。 アルバム・ジャケットを見てピン!ときた方もいらっしゃるだろうが、「Star Fleet(スター・フリート)」というのは80~81年に日本で放送されていた永井豪さん原作の特撮人形劇「Xボンバー」の英国放送時のタイトルで、どうやらブライアンの御子息・ジミーくんが大ファンだったらしい。(ちなみに、ジャケットのロボットはビッグダイXというそうな) そんなジミーくんの影響を受け、「スター・フリート」のテーマ曲のハードロック・バージョンを作ってみたら面白いんじゃね?とのアイデアが浮かんだブライアンが、早速仲間達を集めて制作したのがこのアルバムだ。 その仲間達の顔ぶれはというと…。 まずはギターとヴォーカルにブライアン、そしてギターとバック・ヴォーカルにヴァン・ヘイレン(Van Halen)のエディ・ヴァン・ヘイレン(Eddie Van Halen)。ベースにはセッション・ミュージシャンで、一時期ロッド・スチュワート・バンド(Rod Stewart Band)で活躍していたフィル・チェン(Phil Chen)、キーボードには同じくセッション・ミュージシャンのフレッド・マンデル(Fred Mandel)。フレッドは翌84年にクイーンがリリースしたアルバム「ザ・ワークス(The Works)」にも参加している。でもってドラムスはREOスピードワゴン(REO Speedwagon)のアラン・グラッツァ(Alan Gratzer)。 更に1曲目の “無敵艦隊スター・フリート(Star Fleet)” では、クイーンのロジャー・テイラー(Roger Taylor)がバック・ヴォーカルとして加わっている。おおッ、何と豪華なお友達連中。 しかしエディは20年6月に咽頭癌で、またフィル・チェンも昨年12月に癌で亡くなっている。 個人的には1曲目が好みだが(ロジャーも参加してるし)、聴きどころは何といってもB面の “ブルースの戦士(Blues Breaker)” だろう。 エリック・クラプトン(Eric Clapton CBE)に捧げられているこの曲は、ブライアンとエディのブルース・ギター・バトル(?)なのであーる。尤もエリック本人には全く相手にされなかったそうだけど… 全く関係ないが、このアルバム・ジャケットを見ると、ジグ・ジグ・スパトニック(Sigue Sigue Sputnik)が86年にリリースしたデビューアルバム「ラヴ・ミサイル(Flaunt It)」を思い出してしまう。 「見せびらかしましょう」と日本語で書かれている謎ジャケ さて、そんなブライアン&仲間達に興味を持たれた方は、こちらをどうぞ♪ 無敵艦隊スター・フリート ブルースの戦士
2022.05.02
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『ワイズ・ガイに与う』 ワー! 「A Word to the Wise Guy」 The Mighty Wah! (84) ブリティッシュ・ポップ・シーンの風雲児、ピート・ワイリー率いるワー!待望の日本デビュー!A面 1. 教書(一) - Yuh Learn I 2. ウィークエンド - Weekends 3. エバーウォナ - Everwanna 4. 17歳の青春 - The Lost Generation 5. 教書(二) - Yuh Learn II 6. アイ・ノウ・ゼア・ウォズ・サムシング - I Know There Was Something...B面 1. 教書(三) - Yuh Learn III 2. ボディ&ソウル - In The Bleak / Body 'N' Soul / Midwinter 3. パパ・クラック - Papa Crack (God's Lonely Man) 4. ホワッツ・ハプニング・ヒア - What's Happening Here 5. 教書(四) - Yuh Learn IV 6. 君にカム・バック - Come Back (The Story Of The Reds) ワー!ヒート(Wah! Heat)からワー!(Wah!)に、そしてマイティ・ワー!(The Mighty Wah!)へとバンド名を進化(?)させてきた彼等が、84年にマイティ・ワー!名義で初めてリリースしたアルバムが「ワイズ・ガイに与う(A Word to the Wise Guy)」なのであるが、残念なことに日本ではワー!のまま発売されてしまった…まぁ全く支障はなかったけれども。 (元々この記事は「Pastime Paradise Annex ―昭和の懐かし邦題アルバム館―」という当駄BLOGの別館に13年4月に綴っていたものを別館解体中につき移動させたのだが、9年間ずっとアルバム原題を「A World to the Wise Guy」と誤記していたことに今更気付いた アナガアッタラハイリタイ この当時のメンバーはというと、ヴォーカルとギターのピート・ワイリー(Pete Wylie)を中心に、ベースのワシントン(Washington)、ドラムのクリス・ジョイス(Chris Joyce)、キーボードにジェイ・ノートン(Jay Naughton)&チャーリー・グリフィス(Charlie Griffiths)、コーラスのジョシー・ジョーンズ(Josie Jones)…とかなのかな?まぁほとんど知らないけど。←知らずに書くなよ! マイティ・ワー!というバンドについてはよく知らないが、英国・リバプール生まれのこのピート・ワイリーという男、後にエコー&ザ・バニーメン(Echo & The Bunnymen)を結成するイアン・マッカロク(Ian McCulloch)や、同じくティアドロップ・エクスプローズ(The Teardrop Explodes)のジュリアン・コープ(Julian Cope)らと77年にクルーシャル・スリー(The Crucial Three)を結成。 その後、この男とジュリアンはこれまた後にデッド・オア・アライヴ(Dead or Alive)を結成するピート・バーンズ(Pete Burns)&フィル・ハースト(Phil Hurst)と共にミステリー・ガールズ(The Mystery Girls)を結成。 でもってその後はスピットファイア・ボーイズ(The Spitfire Boys)なるバンドに加わるも、数回のリハーサルに参加しただけで終わる。このバンドには後にスージー&ザ・バンシーズ(Siouxsie and the Banshees)のメンバーとなるバッジー(Budgie)ことピーター・クラーク(Peter Clarke)や、同じくフランキー・ゴーズ・トゥ・ハリウッド(Frankie Goes to Hollywood)のポール・ラザフォード(Paul Ratherford)らがいたという。 更にその後、バッジーらと共にノヴァ・モブ(The Nova Mob)を結成、でもって次はバッジーやポール・ラザフォードらとオピューム・イーターズ(The Opium Eaters)を結成、そんでもってお次はクラッシュ・コース(Crash Course)というバンドを結成。そして遂に79年にワー!ヒートへと到るのであった。 ピート・ワイリーのバンド遍歴を書き連ねるだけで、70年代末のリバプールにおけるポスト・パンクが語れそうである。 さて、ピート率いるマイティ・ワー!のこのアルバムからは “君にカム・バック(Come Back (The Story Of The Reds))” が英国でギリギリTop20に入り、アルバム自体もそこそこヒットした。 01年にはこのアルバムのCDが再発売され、当初より8曲増えて全20曲となっている。うさぎ野郎たち(エコバニ)やヘアカット100(Haircut 100)などがお好きな方には結構合うかも!? そんなマイティ・ワー!に興味を持たれた方は、こちらをどうぞ♪ 17歳の青春 ウィークエンド 君にカム・バック
2022.04.30
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