Visual Studio Code を使ってみよう

翻訳に役立ってくれそうなツール 」の記事です。今回は、プログラミングのためのエディター「Visual Studio Code」の紹介です。

Visual Studio Code (VS Code) はマイクロソフトが無償で提供しているテキスト エディターで、主にプログラムのソースコードを編集することを目的としたものです。一般的にはプログラミングに使用するものなので複雑な機能が搭載されてはいますが、私は「無料で使えるテキスト エディター」と考えてごくごく簡単な用途に使っています。




 ・ Visual Studio Code – コード エディター | Microsoft Azure
  公式サイトです。ここからダウンロードできます。

 ・ 【VSCode】インストール/日本語化/基本的な使い方 (senseshare.jp)

 ・ 開発の定番「VSCode」とは? インストールから使い方までを解説 (1/3)|CodeZine(コードジン)
  まだ、連載の第1回しかありませんが、今後追加されるようです。

 ・ VSCode | Visual Studio Codeのダウンロードとインストール (javadrive.jp)



インストールと日本語化

VS Code は、上記にも挙げた 公式サイト からダウンロードできます。インストーラーが用意されているので、それをダウンロードして、画面の指示に従ってなんとなく進めていけば OK です。特に難しい手順はありません。上記の 2 番目に挙げているサイト の説明がわかりやすいと思います (が、特に参照しなくても普通にインストールできます)。

ただ、単にインストールしただけでは UI が英語です。日本語表示にしたい場合は日本語用の拡張機能を別途インストールする必要があります。これの手順も 上記のサイト に説明されていますが、おそらく読まなくても大丈夫です。英語のまま使っていると VS Code からしつこいくらい「日本語にしますか」というプロンプトが表示されてきます。プロンプトが表示されたら、それに従って操作すれば日本語表示にできます。



拡張機能

VS Code で何かしたいときは、たいてい「拡張機能」をインストールします。Trados の「アプリ」のようなものですが、Trados とは比較にならないくらい種類がたくさんあります。ただ、検索もインストールも簡単なので心配は無用です。


102_1.png


左側のメニューから、四角いパズルのようなアイコンをクリックすると拡張機能のパネルが表示されます。このパネルから、検索、インストールとアンインストール、設定など、いろいろな操作が行えます。

では、ここからは私が VS Code をどのように使っているのかを紹介していきます。最初に紹介する AutoHotkey のスクリプト以外は、特にプログラミングとは関係のない用途です。




AutoHotkey のスクリプトを書く


AutoHotkey のスクリプトは普通のテキスト エディターで書けますが、VS Code を使った方がコードの色分けやオートコンプリート機能などが使えるので便利です。


102_3.png


私は上記の拡張機能をインストールしていますが、拡張機能はこれ以外にもいくつかあります。拡張子が 「.ahk」のファイルを VS Code で開くと「AutoHotkey 用の拡張機能を入れますか」というようなプロンプトが表示されてきます。それに従って適当な拡張機能をインストールします。



Windows の仮想デスクトップを使う

AutoHotkey のスクリプトを書き換えたくなることはよくありますが、スクリプトを書くのはどうしても面倒なのでついつい後回しにしがちです。その対策として、私はよく使うスクリプト ファイルを常に VS Code で開きっぱなしにしています。いちいち開く手間がなくなり手軽に更新できるので、後回しにせず小まめに更新するようになります。

とはいえ、翻訳作業をしているときはウィンドウをたくさん開いていてデスクトップは常に一杯の状態です。そこに VS Code まで開くと切り替えの操作などが面倒になります。そこで使うのが Windows の仮想デスクトップ機能です。これは、仮想的にデスクトップ画面を追加して、複数のデスクトップを使えるようにする機能です (詳細については、 こちらのサイト が参考になります)。私は、通常の翻訳作業に使っているデスクトップの他に、仮想デスクトップを 1 つ追加し、そこに VS Code を開いています。

デスクトップの追加は、ショートカットキー Windows+Ctrl+D で行います。追加した後の切り替えは、Windows+Ctrl+右矢印/左矢印 です。これで、スクリプトの変更が必要になったら、さっと画面を切り替えて編集できます。(といっても、スクリプトを書くのはやっぱりちょっと面倒です。)



Markdown ファイルをプレビューする


最近、Markdown の翻訳を依頼されることがたまにあります。Markdown ファイルは VS Code で開けば簡単にプレビューできます。拡張機能もいくつかありますが、何も入れなくても既定でプレビューできます。(詳しい方法については、@IT の VS CodeでMarkdownをプレビューするには?:Visual Studio Code TIPS が参考になります。)

拡張子が「.md」のファイルを開くと、エディターの右上に以下のようなアイコンが表示されます。これをクリックするとプレビューが表示されます。

102_4.png




日本語のチェックをする


チェック機能は CAT ツールにも付属していますし、いろいろなツールがあるのでわざわざ VS Code を使う必要はないのですが、たまに違うツールを使うと思わぬ指摘があったりします。私がたまに使っているのは「テキスト校正くん」という拡張機能です。



102_5.png



これは、テキスト ファイルの日本語をチェックしてくれる拡張機能です。Word ファイルなどをそのままチェックすることはできませんが、Word ファイルのテキストをコピーしてテキスト ファイル (.txt ファイル) に貼り付ければチェックできます。Trados ならエディターからすべてのテキストをコピーして貼り付ければ OK です。

テキスト ファイルを開くと、自動でチェックが実行され、エディターの左下にエラー数が表示されます。それをクリックすると [問題]パネルが開き、そこにエラーの詳細が表示されます。



102_6.png



本格的な校正は期待できませんが、「することができます」などの冗長表現のチェックは便利です。たまに使うと、びっくりするほど指摘されることがあり、自分の文章のクセがわかります。

校正ツールとしては、これ以外にも Vale (英語用)、 textlint (日本語用) などがあります。が、すみません、記事にするほど理解できていないので、これらについてはまた今度にしたいと思います。もし「使っているよ」という方がいらしたら、ぜひ情報のご共有をお願い致します。



今回は以上です。VS Code のごくごく簡単な活用例を紹介しました。VS Code はプログラミングをまったくしたことのない人にとってはとっつきにくいかもしれませんが、単なる「テキスト エディター」と考えれば難しくありません。AutoHotkey のスクリプトも、VS Code で書くと、なんとなくすばらしいスクリプトが書けそうな気がしてきます。雰囲気だけでも気分を高めていきましょう!






  


最新記事
にほんブログ村 英語ブログ 英語 通訳・翻訳へ
にほんブログ村
 
翻訳ランキング
  翻訳ブログランキング参加中
翻訳ブログ人気ランキング


タグ
検索
ご意見・ご感想

ご意見、ご感想、ご質問をお待ちしております。
こちらから、どうぞお気軽に!

記事一覧
◆パッケージについて
作業前に内容を確認する
作業前に設定を変更する
メモリをアップグレードする (2017 SR1)
格納されているファイルにアクセスする

◆Trados の機能
 表示フィルタ・高度な表示フィルタ
2021 の表示フィルタ
タグの中の検索
プラグイン
プラグイン for 2019
変更履歴
すべてのコンテンツ
 検証機能
全般の設定
QA Checker
QuickInsert
印刷プレビュー
メモリのフィールド
ファイルの解析 ?@
ファイルの解析 ?A
 AutoSggest
ATOK との競合
プラグイン
 ショートカット キー
設定方法
便利なキー
高度な表示フィルタ
変更履歴
繰り返しの自動反映
 upLIFT テクノロジー
フラグメント一致
あいまい一致の自動修正
単語数のカウント
自動置換 > 単位
ジャンプ
用語認識
MultiTerm
変数リスト

◆Trados のバージョン・エディション
2021 SR2 CU9
2021 の新機能
プラグインとアプリの 2021 対応 (2020/08)
2017 SR1 の最近のバグ (2020/05)
プラグインとアプリの 2019 対応 (2019/02)
2019 の新機能
Starter エディション
2017 SR1 の新機能
メモリのアップグレード (2017 SR1)

◆プラグインとアプリ
2024 対応 (2024/08)
フィルタで繰り返しを除外
原文の英数字を訳文にコピー
パッケージの中身を一覧表示
コメントを Excel にエクスポート
選択箇所の検索結果を別画面で一覧表示
メモリをアップグレード
用語集を変換
コメントや変更履歴のユーザー名を変更
sdlxliff ファイルを Excel にエクスポート
Community Advanced Display Filter for 2019
Community Advanced Display Filter
Regex Match AutoSuggest Provider
PackageReader
Comment View Plugin
SegmentSearcher
TM Lifting
Glossary Converter
SDL Batch Anonymizer
Export to Excel

◆トラブルシューティング
QuickInsert の設定が表示されない
QuickInsert が動かない
 訳文生成できない
分節の結合
コメント
表示フィルタのハイライト
ハイパーリンク タグ
 メモリがヒットしてこない
完全一致が登録されていない
検索オプション
言語ペア
サーバー TM
Trados のバージョン
空メモリから作業を始めた場合
単語単位のトークン化
「TM はアップグレードが必要」が消えない
検証の除外設定が効かない
エディタの動きが遅い
エディタが落ちる
ファイルの解析が終わらない
エディタ上のフォントが変わらない
用語が認識されない
同じ用語が何回も表示される
パッケージを正常に開けない

◆翻訳作業に役立つ Tips
タグの中の文字を検索する
複数の分節に分かれている場合の処理
メモリに登録されるユーザー名を変える
自分の訳文用のメモリを作る
Trados の設定を変える
パッケージを別プロジェクトとして開き直す
 訳文を表示する方法
印刷プレビュー
訳文のみで保存
訳文の表示
 単語数・文字数のカウント
解析レポート ?@
解析レポート ?A
単語単位のトークン化
 ショートカット キーを設定する
設定方法
便利なキー
変更履歴を記録する
繰り返しを自動入力する
エディタ上のフォントを変える
1 つの原文に複数の訳文を登録する
単位記号の前にスペースを入れる
英日と日英で同じメモリを使う

◆Trados 以外のツール
 CAT ツール
Memsource
memoQ
 その他のツール
ATOK
   Xbench
変更履歴
使い方【前編】
使い方【後編】
QA Distiller
AutoHotKey
WinMerge
Visual Studio Code
Vale
最新コメント
プロフィール
さくらさんの画像

昔は「Trados さん、頑張って!」とお祈りしながら訳文生成していませんでしたか? 今も、たまにそんな気分になるときがあります。Trados って本当にわからないことばかりです。特に、日本語の情報は少ないですよね。いくら翻訳者とはいえ、日本語の情報が欲しいのです。Trados ユーザーの方々といろいろ情報交換できたらと思っています。




2022年12月12日

この記事へのコメント
コメントを書く

お名前:

メールアドレス:


ホームページアドレス:

コメント:

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

この記事へのトラックバックURL
https://fanblogs.jp/tb/11772004
※ブログオーナーが承認したトラックバックのみ表示されます。

この記事へのトラックバック
Mobilize your Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: