今回は、コメントについてです。最近は、翻訳会社さんから、Excel ファイルなどではなく、Trados 上のコメントを使ってくださいと指示されることが増えてきたように思います。Trados のエディタ上で直接コメントを付けられること自体はとても便利ですが、入力方法は面倒だし、訳文のコピペや編集で変なことになるし、変更履歴との相性は悪いし、一覧で読みにくいし、検索はできないし、というわけで、どんなに好意的に見てもとても使いやすいとは言えません。
以前の記事 で、コメントに記録されるユーザー名が Windows のユーザー名になってしまい、自由に設定できないことは説明しました。これは、 プラグイン で解決できそうなので、まあ良しとします。
が、なんと言っても困るのは、 正常に訳文生成できないことがある という問題です。
コメントは訳文生成したファイルに反映される
実は、エディタ上で追加したコメントは、訳文生成されたファイルにも反映されます。Word ファイルはもちろんですが、Excel や PowerPoint でもコメントとして訳文生成されてきます。
■ Trados で Excel ファイルに追加したコメント
Trados のコメントは普通のテキスト以外にも追加できる
Trados では、普通のテキスト以外にも、さまざま要素を翻訳します。Excel だったら、ワークシート名も訳しますし、Word でも、ハイパーリンクの URL などを訳すことがあります。Office ファイル上で、ワークシート名やハイパーリンクの URL にコメントを追加することはできませんが、Trados では、エディタ上の分節であれば、それが原文ファイルのどんな要素であっても、コメントを追加できてしまいます。
■ 普通のテキスト以外へのコメントの追加
上図のように普通のテキスト以外に追加したコメントは、訳文生成の処理であっさりと無視され、生成後のファイルには表示されてきません。で、ただ無視されるだけならいいのですが、場合によっては訳文生成が正常に行われないことがあります。訳文生成の処理自体がエラーになってファイルが生成されない場合や、処理は正常に終わってファイルは生成されても中身が壊れている場合などがあります。
訳文生成ができないということは、プレビューもできないということなので、最終的にコメントを削除してから訳文生成すればいいんじゃない、とはなりません。最終的な訳文生成は翻訳会社さんにお任せするとしても、プレビュー機能は翻訳時に頻繁に使います。
さっきまでちゃんとプレビューできていたのに突然できなくなったというときは、普通のテキスト以外の要素にコメントを追加していないか確認してみます。私は、PowerPoint の図っぽいものや、Excel ファイルのフローチャートなどで失敗したことがあります。すみません、具体的に「これは失敗する」とはっきりわかるものはありません。同じように図の中にコメントを追加しても、正常に訳文生成できるときもあります。
コメントを訳文生成したファイルに反映する、というこの機能は実際には便利なんでしょうか。Trados を持っていないお客様に確認したいときには便利かもしれませんが、すべてのコメントが反映されるわけではないので、結局、別ファイルを作るか、手作業で追加するか、となりますよね。訳文生成するときに「コメントを無視する」というオプションがあってもいいと思いますが、ただでさえ不安定な訳文生成の処理に変なオプションを追加したら、ますます不安定になってしまいそうな気もします。
※※※※※ 追記 2021/6/29 ※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
すみません、「コメントを無視する」ためのオプションありました。[ファイルの種類] の中でした。詳しくは、こちらの記事「 生成後の訳文にコメントを挿入しない 」をご参照ください。
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
|
|
Tweet