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子どもの数が減りながら貧困状態が加速する危機に日本は直面しているそうで、全国で年間出生数が100万人程度に減る一方で、国民生活基礎調査によると子供の貧困率は16.3%で過去最悪を更新しているというのだ。政府は昨年の8月に子供の貧困対策大綱を閣議決定し対策を進めているが、子供の貧困対策を巡り食事の回数や虫歯の数といった子供の生活実態に関する初の全国的調査を実施する方針を固めたというのだ。今までは生活保護世帯の進学率などのデータはあるが生活や学習の実情は十分につかめておらず、効果的な支援が難しい状況にあるといわれている。今回の調査は子供の貧困事情が地域ごとに異なるため、全国一律ではなく各市区町村に実施を促すという。 併せて調査を踏まえた自治体の事業に助成も行う模様で、政府の1億総活躍社会に向けた緊急対策に盛り込み補正予算案に調査費などを盛り込むという。子供の貧困については生活保護世帯や一人親家庭の進学率や就職率の調査はあるが、効果的な支援策を打ち出すためには世帯収入や食事回数・学校の出欠に成績など「子供の実情」の把握が必要と判断した。調査は都道府県を通じて希望する市区町村を募るそうで、20政令市は直接国が窓口になるというのだ。調査項目は原則市区町村に委ね、来年度以降も調査を続け数年かけて大半の自治体をカバーしたいという。調査を受けて市区町村が行う事業もモデル化し助成するそうで、町内会や商工会が実施する無料の学習支援や居場所作りなどを想定している。 子供の実態調査については東京都足立区が今年7月から始めており、足立区立の全69小学校の1年生約5300人を対象に、保護者の所得や食費だけでなく生活環境が影響するとされる虫歯の有無や就寝・起床時間・地域で頼れる人の数など17項目を調べており、その調査結果は政府が参考にしたというのだ。そこで軽視されてはならないのが子どもの貧困対策における公的責任の再認識だということなのだが、子供の貧困対策大綱等に基づき地域住民の協力による無料の学習支援の実施や居場所づくりなどが図られているとされている。その一方で就学援助制度の拡充や自治体間格差是正など、義務教育無償を具現化する方策の検討はほとんどなされていないというのだ。 さらに財源の事情からか大学等の給付型奨学金は子供の貧困対策大綱から姿を消しているそうで、これでは奨学金で進学したもののその返済のために、在学中から働きどうしとなり、結婚を先延ばしでなんとか「自活」するなど、貧困の連鎖解消は若者自身の自助努力に委ねるといった問題を含んでいる。高校・大学までの段階的な無償化を定めた国際人権規約を踏まえ公的責任を明確化することは若者の希望の礎となるだろう。現金給付の充実も必要で日本のひとり親家庭の貧困率は50%を超え先進諸国中で最悪の水準となっており、しかもひとり親は就労率も高いのに貧困率が高く、働くことが貧困を緩和していないとされている。このことは当事者の自助努力がすでに限界に達していることを示しているのだ。 低所得のひとり親家庭を対象とした社会保障である児童扶養手当制度は、当事者の命綱とも言われているが第1子に比べ、第2子は月額5000円で第3子は3000円と低額であるうえに、5年間受給すると一部支給停止となる措置が導入されているというのだ。子どもが多く大きくなるほど子育て費用が必要となるにもかかわらず、制度設計にはまったく考慮されていないことにもんだが多く、労働者の権利と生活の安定がより一層損なわれないかが懸念されている。雇用の劣化を改め女性の経済的地位を高める政策がとられなければ、真の子どもの貧困問題の解決にはつながらないとされている。日本でも「格差」が問題になって久しいが、大学生の半数は何らかの奨学金を受給し、低賃金や失業による返済滞納も増えている。 働いていても生活が苦しい「ワーキングプア」がさらに増えれば、米国のような経済的徴兵制の社会になる恐れはないのかという問題も、労働問題に詳しい専門家からは指摘されている。ある大学成就も「自衛隊に入らないと食べていけないという状況には、すぐにはならないだろう」と断りつつ、「生活苦の学生を狙った『ブラックバイト』が問題化していることも考えると、奨学金免除などの露骨な優遇策をとれば、志願者は増えるのではないか」と危惧している。これ以上親になる世代の雇用情勢が悪化していくと、働くことが貧困を緩和していない状態が続くようになっていくことから、いくら政府が子育て支援と言ってもそれすら受給できない状態になってしまうことも考えられるというのだ。
2015年11月30日
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日本の消費税にあたる付加価値税を1960年代から導入している欧州では、低所得者への配慮や産業政策などの観点から、各国が軽減税率の対象品目の複雑な線引きを決め、事業者や消費者もそれに対応している。欧州では20%程度の高い付加価値税率を課す国が多いが、ほとんどの国で生活必需品の税率を低く抑える軽減税率を導入している。食料品の場合、英国は標準税率20%に対して0%、ドイツは19%に対し7%、フランスも20%に対し5.5%など、大幅に低い。対象品目の線引きは国によって異なる。英国では、温かい料理として提供される場合は「ぜいたく品」として標準税率を課す。このため、スーパーの総菜は税率0%だが、温かいハンバーガーは標準税率20%がかかる。 ドイツは「外食か、家に持ち帰って食べるか」で提言税率の適用が分けており、同じハンバーガーでも店内で食べると標準税率で持ち帰れば軽減税率の対象だという。フランスではバターに軽減税率が適用されるがマーガリンは標準税率で、これはバターの原料である生乳を生産する国内の酪農家を保護するためといわれている。今回の低減税率における自民党と公明党の協議内容では外食も食品表示法の対象外とされ、ファストフード店で買ったハンバーガーなどを持ち帰る場合や、コンビニ店で買った総菜などを店内で食べる「イートイン」が「外食」に該当するかどうかが問題になっているともされている。そのうえ外食だけを除いても税収減は年1兆円と高水準のままだもいわれているのだ。 こうした線引きは分かりにくさを残すが軽減税率導入のために線引きは避けて通れない問題で政府・与党の決断が必要になっているのだ。自民党は税率が8%で済む食品について最大でも食品表示法の基準で「生鮮食品」に分類されるものに限定するよう主張している。これなら税収減は三千四百億円で収まるためだのだが、どうしてもその区分が消費者からは分かりにくい品目も数多くなるのだ。同じ刺し身でもマグロ一種類のパックは生鮮食品だが、マグロとハマチの盛りあわせは加工食品の分類となるそうで、これは食品表示法の基準ではまぜることは「加工」とみなすためだというのだ。生鮮食品は水洗いや切断に冷凍された食品などに限定されているそうで、酢で漬けた「しめサバ」などは加工食品となるというのだ。 スーパーでは刺し身と同じ売り場にあることが多く消費者には分かりにくいし、軽減税率の対象を加工食品まで広げると生活必需品とは言い難い菓子やジュースを除く案もある。ただしこれも何を「菓子」とみなすかが分かりにくいのだ。加工食品は「めん・パン類」や「菓子類」など二十五項目に分類されるが、どの項目に当てはまるのか不明確な食品も多いという。一般にカレーパンは「パン類」なのだが、ドーナツは「菓子類」に分類されるそうで、くりきんとんやドライフルーツが菓子になるかも不明確で、業者ごとに分類が異なるのが実情だという。外食を対象から外すと、コンビニやファストフード店で食品を買う場合、持ち帰りや出前のときは軽減税率が適用されるが、店内で食べると「外食扱い」となり、税率が異なる可能性が出てくる。 複雑な分類で軽減税率対象を決めると消費者にも事業者にも混乱を招くため、公明党は加工食品の一部だけを対象にするのは難しいとし「酒を除く飲料・食料品」と幅広く対象にするよう主張しているが自民党は難色を示している。食品表示制度に詳しい宮城大の池戸重信名誉教授は「食品表示法は食品の安全性確保のための情報を消費者に提供するのが目的で、線引きを税制に当てはめるには無理がある。軽減税率が必要な品目は何か、といった視点で別に基準を定めるべきだ」と指摘している。背景には「生活者目線の公明党が暮らしに関わる話で譲歩すれば、来年の参院選は戦えない」との危機感がある。「できるだけ幅広い品目を対象とし、国民の理解が得られるよう全力で取り組む」としているのだ。山口那津男代表が公明党本部で開かれた全国県代表協議会でこう決意を述べると、出席者から同調の声が上がったという。公明党は自民党との与党協議で財源として社会保障の充実策「総合合算制度」の導入見送りで浮く年約4千億円を充てることで合意しており、自民党はこの額に収まる範囲に品目をとどめたい考えなのだ。公明党は加工食品までを対象にするよう主張しているが、加工食品全般の税率まで8%に据え置くと税収減は1兆円に上り、現在のところでは財源のめどは立たないというのだ。いつも言われているのが不足する財源で消費税を上げてもいなく軽減税率が8%と決まっておらず、予想金額なのにいかにもこの金額が確定しているように言っているのが変だと思うのだ。
2015年11月29日
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私の愛読している業界紙によると愛知県半田市企画課は、千葉市の住民がスマートフォンを用いて道路や公園などのインフラに生じた異状を管理者に通報する取り組みを見て、一昨年の4月に検討を始めアプリを活用した「マイレポはんだ」と称する異状通報システムの実証実験を実施したそうなのだ。その実証実験で有用性があると判断した半田市は、昨年の10月から本格運用を始めているというのだが、比較的短期間で本格導入に至ったのは従来の電話などによる通報には様々な課題があったからだというのだ。例えば異状などを通報できる時間帯なのだが、市役所の通常の業務時間は平日の夕方までで、そのため防犯灯の異状など夜でなければ分からない不具合は住民が通報しにくかったというのだ。 さらに電話では住民が場所やインフラの状態を正確に伝えることは難しく、通報の内容を正確に把握するには職員が現地を訪れなければならなかった。対応はその確認を受けて決まるので対策が講じられるまでにどうしても時間が掛かってしまっていた。半田市は延長631kmに至る市道について交通量等を考慮して、最低でも年に1回以上は車や徒歩での点検を実施するようにしている。しかし従来の職員等によるパトロールの方法では、不具合発生から発見までの時間が長く空くことがあったという。スマートフォンによるインターネットを介した通報であれば通報時間は昼夜を問わないし、さらにGPSを利用して位置を、写真を使って異状の内容をそれぞれ報告できるので情報が正確に伝わるというのだ。 その結果簡易なトラブルであればすぐに対処法を見極められ、異状発生時の処理速度が高まり住民サービスの向上に結び付いたというのだ。半田市が住民の協力を得て一昨年度に行った実証試験では、スマートフォンなどによる通報は閉庁時間帯が多かったという。その割合は全体の7割弱を占め本格実施後も同様の傾向だというのだ。ただし電話などによる通報が大幅に減ったというわけではないという。つまり通報の数が増加したという事なのだが現在1日当たり0.74件の電話とスマートフォンの投稿数があるというのだ。このことについて市の担当者は「若い世代はスマートフォンを使う。平日の昼は働いていて、これまでは通報しにくかった世代が、情報を提供してくれるようになったのだろう」と分析している。 比較的高齢の世代ではスマートフォンを使いこなせない人が珍しくないことから、半田市ではこうした人たちに新たな通報の仕組みを活用してもらえるよう、スマートフォンの使い方の講習までも検討しているというのだ。こうした取り組みで現在1日当たり0.74件の投稿数を1日当たり1件まで増やしていく考えだという。住民が通報した情報は全てインターネット上に公開されることから、半田市はその内容を確認し公開が好ましくない個人情報などが記載されていれば削除などの対応を行なっている。情報が“見える化”されて市の職員の意識も変わったという。「通報を庁舎内外の人が見ているので、これまでよりも早く対応するインセンティブが大きい」と半田市土木課で維持管理を担当する職員はそう打ち明けている。 半田市は住民参加型のインフラの維持管理をさらに一歩進める意向を持っており、本格運用からの実績では通報があってから7日以内に対応を終えた案件は全体の4割ほどに増加しており、全体を平均した対応日数は一昨年度の電話対応の案件よりも1日短い13.5日になっているそうなのだ。取り組みは順調に見えるものの課題も多く例えば市役所以外が管理するインフラへの対応だというのだ。住民からの通報には半田市役所以外で管理しているインフラも含まれている。これは住民が道路などの所管を正確に把握することは難しいためなのだが、通報を受けた施設の管理者が市以外であった場合、半田市役所は施設管理者に通報内容を伝えるのだが、その先の対応が進まないケースが多いというのだ。 例えば半田市役所がこの仕組みを本格導入する前の住民と実施した実証試験では、警察署や愛知県などほかのインフラ管理者の施設について問題を伝えても、すぐに解決は図られなかったというのだ。実証試験の期間では半田市役所以外が管理するインフラについて、23件の問題を住民が指摘したものの解決できた施設は3件にとどまったというのだ。あるケースでは市役所が費用負担するから早く対応してほしいと訴えても解決できない例もあったという。そこで簡易な補修や清掃など住民でも対応できそうなことを自ら行ってもらおうという事になってきたそうなのだが、市内の二つの自治区において道路に生じた穴を住民が補修できるように、事前に合材を配布する取り組みを昨年度から始めたているというのだ。
2015年11月28日
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今年7~9月期の実質経済成長率は前期比年率0.8%減となっているそうなのだが、2四半期連続のマイナスとなってしまい、需要項目別に見れば設備投資・在庫投資・公共投資の落ち込みがマイナス成長になった原因とされている。今年度の日本経済はそもそも最終需要の回復が鈍く、余剰在庫がなかなか掃けない状況が続いてきたとされており、そうしたもとで昨年秋に策定された緊急経済対策の効果が一巡し、公共投資が前期比で落ち込んだのに加えて、先行き不透明感の高まりから設備投資先送りの動きも広がっているというのだ。この背景には中国経済の失速観測が大きく強まるなか、米国の利上げの影響への懸念も加わって内外株式市場が大幅な調整を余儀なくされたことがあったとされている。 それでも日本国内における消費活動は堅調だそうで、基本的には雇用・賃金環境が改善に向かっていることが背景にあるが、7~9月期には猛暑効果やシルバーウィーク効果も押し上げに作用しているそうなのだ。加えて大きいのは「爆買い」に象徴される訪日外国人の日本国内での積極的な消費行動で、輸出については低迷が続いているがサービスの対外取引も含むGDP統計ベースでの輸出等が前期比年率+10.9%と高い伸びを示している。このことは年換算で2.8兆円超に拡大した消費の寄与があるとされているが、このように夏場から秋口にかけての日本経済は、生産サイドからみれば弱い動きになったものの最終需要は弱くはなく、加えて企業業績が改善傾向を続け賃金も緩やかながらも増加の方向にあるというのだ。 つまり経済の自律回復メカニズムは弱いながらも作動を続けており、2四半期連続のマイナス成長とはなったものの景気回復基調は維持されていると判断されている。企業収益や雇用者所得といった「所得面」から見ても、日本経済を取り巻く環境は悪くはないそうで、家計所得についても、勤労者世帯の名目賃金が小幅ながらもプラス基調が定着しつつある。人手不足が深刻化するなかパート・アルバイトの賃金は上昇傾向を強めており、中小企業の賃上げに対しても上押し圧力が政府等からも働いている。引退世代については年金支給の減額はあるものの資源安による消費者物価上昇率の鈍化が実質購買力の低下をマイルドにしているし、生鮮野菜の高騰もあって購入額自体は増加している。 「所得面」の環境が良くともこれが「支出面」につながらなければ、景気の自律回復メカニズムは強まっていかないのだが、その面で懸念されるのは企業の手元流動性が積み上がっていることでつまり企業の内部保留額が極端に増えているというのだ。法人企業統計ベースで「現預金」の付加価値額に対する倍率を見ると、10年位前は2倍程度にあったものが、リーマンショック後に大きく高まり現在では2.5倍程度になっている。つまり企業は手元には自由にできるキャッシュが増えているのに、積極的に使うスタンスには転じていないことが改めて確認できるというのだ。このまま企業の慎重姿勢が変わらなければ、世界経済・国内金融市場のさらなる下振れなどを契機に、結局は景気が後退局面入りを余儀なくされる可能性があるというのだ。 この点は政府も問題視して「未来投資に向けた官民対話」が開催され、首相から経済界に対して設備投資の積極化や賃金引き上げの要請が行われている。政府としても法人実効税率の更なる引き下げや規制緩和など環境整備を進める意向を示している。企業が設備投資や賃上げの積極スタンスを本格化するには、日本経済の将来に対する確信が不可欠である。国家公務員の給与引き上げに来年の通常国会まで「待った」がかかったため、例年通りなら12月の冬のボーナスは増額のはずなのだが、来年に持ち越しとなればさかのぼって支給されるとはいえ、公務員にしてみればアベノミクスの恩恵を感じにくい年末となるばかりか、地方公務員の賃金も上がらず地方への影響も懸念されている。
2015年11月27日
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災害時に倒れた電柱が緊急車両の通行の支障となることから、国土交通省は緊急輸送道路で電柱の新設を禁止する方針を固めたというのだ。今月末から来月中ごろまで新方針に対する意見を募集しているのだが、その意見を踏まえたうえで年内に通達を出す考えだという。緊急輸送道路とは災害時の応急活動のために通行を確保する必要がある道路として、災害対策基本法に基づく地域防災計画に位置付けられたもので、高速道路をはじめ各地の幹線道路など全国で延長約9万9000kmに及ぶとされている。設置の目的としては交通拠点を有機的に連結させた緊急輸送ネットワークの形成 なのだが、地震等の災害の直後から発生する緊急輸送を円滑に行うための道路となっている。 高速自動車国道や一般国道及びこれらを連絡する幹線道路と、各都道府県知事等が指定する防災拠点を相互に連絡する道路をいい、一般的に第1次~第3次まで設定されるものが多いとされている。私の住んでいる愛媛県でも一次緊急輸送道路として、主要な都市間及び他県と連絡する広域的な幹線道路である高速自動車国道や国道等と、諸活動の拠点と上記の道路を結ぶ道路及び拠点を相互に連絡する道路が指定されている。また二次緊急輸送道路ということで、一次緊急輸送道路を補完する道路として消防や医療等の初動対応機関との連絡を密にするため、主要地方道や一般県道も含めて多くの道路が指定されて、道路工事が実施されているのだ。 東日本大震災では倒壊した多数の電柱が救助活動の妨げになったことから、最近は特に防災上の観点から無電柱化の必要性が叫ばれている。そこで国土交通省はまず緊急輸送道路を優先して無電柱化を推進することにしたというのだ。原則として電柱の新設を禁止するがやむを得ない場合は仮設の電柱の設置だけは認めるというのだ。無電柱化の障害となっているのがコストだといわれているのだが、道路法では「道路管理者は交通が著しくふくそうする道路若しくは幅員が著しく狭い道路について、車両の能率的な運行を図るため又は災害が発生した場合における被害の拡大を防止するために、特に必要があると認める場合においては区域を指定して道路の占用を禁止し又は制限することができる」となっている。 国土交通省は昨年の9月に技術検討委員会を設置し、電線を共同溝に収容せず地中に直接埋設するなど、低コストの無電柱化手法について検討を進めていたのだ。直接埋設で施工した道路上に車両を走行させ電線の損傷を調べる試験も実施しており、緊急輸送道路だけでなく全ての道路で電柱の新設を原則禁止しようとする動きもあるというのだ。道路の無電柱化は景観に考慮して行いことが主中だったのだが、自民党が議員立法として制定を目指している「無電柱化推進法」では、当初は昨年の臨時国会で法案を提出する考えだったが、衆院解散で実現せず、今年の通常国会への提出を目指したが安全保障関連法案の審議などの影響で提出が見送られたのだ。 自民党は無電柱化を促進するために新法制定の検討を今年も始めたそうで、道路調査会の無電柱化小委員会で、電柱の新設を原則禁止することなどを盛り込んだ中間取りまとめを示しているというのだ。最終提言を取りまとめて基本方針となる「無電柱化基本法(仮称)」を来年の通常国会に議員立法で提出する考えだというのだ。もっとも「醜いものは何でも見えなくするのは将来のメンテナンスや災害時のリスクも大きくなるし、そんなことより街の守るほどの景観もない場所が殆どでは」と言う意見も多いのだ。私も道路にある鬱陶しい看板等が撲滅できるのは喜ばしいとは思うのだが、緊急対策というのなら日本東西の50Hz と60Hzの統一化を行うのが先ではないだろうかと思っているのだ。
2015年11月26日
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交通事故防止のため制限速度を下げる取り組みが進んでいるそうで、警察庁によると日本では欧米に比べ全交通事故死者のうち歩行中と自転車乗車中の犠牲者の占める割合が高いそうなのだ。政府のデータによると欧米各国は16~30%だが、日本では52%で特に生活道路になる道路幅員が5.5メートル未満の道路での事故が目立つという。そこで私の住んでいる愛媛県では愛媛県警察本部などでつくる「愛媛県自転車安全利用研究協議会」で、自動車の運転者に自転車との間隔を1.5メートル以上確保するよう呼びかける「思いやり1.5m運動」を始めるというのだ。ポスター掲示やステッカー配布で周知するとされているが、愛媛県によれば自転車との間隔を示して安全を訴える試みは全国初という。 自転車は道路交通法で「軽車両」とされ原則車道を通ることになっているが、「車がすぐ近くを通ると怖い」とか「追突されそうだ」といった声が多く、協議会はドライバーに自転車の横を通る際は1.5メートル以上離れるか徐行を促すというのだ。間隔は道路事情や台湾などの海外の先進例を踏まえ決めたそうで、「愛媛サイクリングの日」から運動を始めるという。愛媛県では「愛媛県自転車の安全な利用の促進に関する条例」に、自動車側が自転車の安全に配慮する責務を盛り込んだことから数値で浸透を図るというのだ。愛媛県の「自転車新文化」というものを扱ったがこの「思いやり1.5m運動」だというのだ。自転車利用が進むヨーロッパでは自転車を追い越すときに間隔を1.5m開ける行為はルール化されているそうなのだ。 車道上で自動車に追い越されたことがある人なら誰しも感じる恐怖感は、逆に車ばかりで自転車に乗らずましてや車道を走ったことがない人ならこの恐怖感は理解できない。スレスレで追い越した場合強い風でも吹いて、自転車が万が一ふらついて自動車側に転倒した際に大事故になりかねない。そういった点からも1.5mを開けて余裕をもつような呼びかけなのだ。特に自転車専用レーンがなくもしくはあっても十分な広さがないレーンであれば、自動車との接触事故も十分考えられ自動車利用者に対する対応が必須となる。これは愛媛県だけの事例でなく全国規模で行わなければならないことで、特に自転車を観光資源として核にしようとしている地域であればなおさらなのだ。 自転車の環境が良くなるためには走行環境の整備と交通ルールの徹底の2つが絶対条件だが、道路によっては一律にレーンの広さを確保できないあるいは自動車と共用となる場合もあることから、3つ目として自動車に対する自転車への教育も必要となるだろう。また車の速度が時速30キロを超えると事故に遭った歩行者等の致死率が上がる傾向があるため、警察庁が対策として設定した区域全域の車の速度を時速30キロ以下に制限する「ゾーン30」なのだ。区域内は指定最高速度30キロメートルに規制され歩行者や自転車の通行が最優先されることになっているのだ。「ゾーン30」付近を通行の際は歩行者保護のためできるだけ主要幹線道路である国道や県道等)を利用するということのようなのだ。 愛媛県では県内36 箇所において「ゾーン30」の整備を行い、歩行者や自転車を利用される方の安全確保に重点を置いた対策を進めていく予定だというのだが、松山市でも『坂の上の雲』フィールドミュージアム構想のセンターゾーンとサブセンターゾーンで、地域固有の貴重な資源を活用した回遊性の高いまちづくりを実現することを目的として、「愛媛サイクリングの日」に合わせ、第1回『坂の上の雲』のまち松山サイクルロゲイニング大会を開催されるそうなのだ。サイクリングとロゲイニングを合体させ、市内中心部から三津浜までの小説ゆかりの地などを自転車で回遊し、得点を獲得していく「宝さがし」のようなゲーム感覚で楽しめる大会をこの「ゾーン30」ないで行うというのだ。
2015年11月25日
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2015年11 月23 日にインドネシアの首都であるジャカルタの「シャングリ・ラ ホテル ボールルームBC」において、新たな訪日ツアーの造成を促進するため日本の地方自治体や旅行会社・宿泊施設・観光施設等54 団 体と、インドネシアの現地旅行会社との訪日旅行商談会を開催されたのだが、この使節団は日本とインドネシアの相互交流を一層促進させるために、二階俊博 「日本・インドネシア友好議員連盟会長」を団長とする、国会議員及び政府要人・地方自治体関係者・旅行業界関係者・経済産業界関係者からなる1,000名規模の交流団としてインドネシアに派遣されているものなのだ。その商談会で「国際交流を通じた地方創生に関するプレゼンテーション」を行ったのが、私の住んでいる愛媛県の中村知事なのだ。 さて「日本には昔から八百万の神がいると言われています。山には山の海には海の川には川の森には森の、木には木の花には花のそれぞれ神様が宿っていると。ゆるキャラも日本国中にいてみなさんの地域に根ざした活動をしています。たとえグランプリにならなくとも、ゆるキャラさんたちは地域のスターとして頑張っています。ゆるキャラたちの一年に一度のお祭りが『ゆるキャラグランプリ』です」ということなのだ。今年は「ゆるキャラグランプリ2015 ・出世の街 浜松」を主会場に、全国各地から集まった出展者様による展示や販売、ゆるキャラによるパフォーマンスなど来場者様とのふれあいを通して、ご当地のPRを行うイベントとして、2015年11月23日まで開催されるというのだ。 私の住んでいる愛媛県のゆるキャラとしては、2012年の「ゆるキャラグランプリ」で優勝した今治市のバリィさんというゆるキャラがいるのだ。2012年では前年2位だった今治市のバリィさん側から愛媛県の中村時広知事へ応援要請がされ、愛媛県を挙げてバリィさんを支援することになったため、「みきゃん」はエントリーしたものの865キャラ中847位に終わっているのだ。バリィさんが殿堂入りでエントリーしなくなった一昨年以降の「ゆるキャラグランプリ」では愛媛県が本腰を入れて選挙活動をするようになったため、一昨年は11位と昨年は3位と着実に順位を上げてきている。今年は愛媛県の「みきゃん」と浜松市の「出世大名家康くん」の一騎打ちの様相で、愛媛県は中村時広知事が首位獲得を公約に掲げ熱心に活動していたのだ。 先週「家康くんがものすごい勢いで迫っていてピンチです」と愛媛県庁では、平日に職員向けの放送で県特産のミカンを模した「みきゃん」への投票を呼び掛けている。浜松市ゆかりの徳川家康が生まれ変わったという設定の家康くんを推す浜松市役所でも同じだそうで、投票は一つのメールアドレスにつき1日1回で、最終週には「みきゃん」・「家康くん」ともに1日で7万超の票が入っているというのだ。中村愛媛県知事は昨年11月の知事選で優勝を公約し、今年10月には自ら考案し紹介動画などをプロデュースした悪役キャラ「ダーク・みきゃん」を披露しているというのだ。ご当地キャラのグランプリ出場を見送った県内の市町にも支援を要請し、企業や大学まで投票要請を行い全県態勢で臨んでいたのだ。 そんな中村愛媛県知事は残すところ浜松での決戦投票のみとなってところで、敵前逃亡ともいえるようなインドネシアへ外遊しているというのだ。決選投票は3日間でこれは正直言ってアウェーだから厳しい戦いになって勝ち目がないと思うと、主君としての責任を放棄して逃亡した徳川慶喜と同じようなことを行ったのだ。いくら営業活動が大切だといってもこれは「私は全く知りませんでした。秘書が勝手にやったことです」と言って、責任逃れする現代の政治家と五十歩百歩だろう。責任というものを取ろうとはしない現代の無責任な政治家を先取りした中村知人なのだが、徳川慶喜が時代の先端を行った人物であることは間違いないが、それが日本の政治家の常識なのかもしれないのだ。
2015年11月24日
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今月に関東・東北豪雨で大きな被害を受けた茨城県常総市内を視察に出かけたのだが、私が常総市についたその日に関東鉄道常総線が、水海道−下妻間の18.6キロで運転を完全に再開し速度調整等も終了したということだった。関東鉄道常総線は被災当時取手−下館の全線51.1キロが運休したが、復旧作業で徐々に運転再開区間を延ばし1カ月後には全線開通となってそうなのだ。私が常総市を訪れた日に水海道駅発の列車が守谷駅につくと地元のTVが高校生にインタビューをしていた。関東・東北豪雨で大きな被害を受けた水海道−下妻間はレールが曲がるなど被害が大きかったというのだが、急ピッチで補修を進め当初予定の前倒しで再開にこぎ着け、当面は通常の3割程度の本数で運行していたそうなのだ。 常総市役所では「鬼怒川水害対策本部」の対策会議が開かれており、本部長の高杉徹市長は「困難な生活を送っている方、亡くなられた方に思いをはせたい」と述べていた。関東・東北豪雨で浸水し使えなくなっていた常総市役所本庁舎1階も視察したのだが、業務は再開されていたし隣接する市議会棟1階は先月末に再開しておりこれでほぼ復旧したという。業務を始めたのは本庁舎で市民課など6課と議会棟では社会福祉課など3課が業務を行っていた。関東・東北豪雨で大規模な浸水被害が出た茨城県常総市など利根川中流域の30市町で、国が求める「市町村を越えた避難所」を7市町が確保していたが、広域の具体的な避難計画の策定に至った自治体はなかったというのだ。 関東・東北豪雨の際に常総市は市内での避難しか想定せず、決壊した川の方向へ住民を誘導し批判を浴びたが、担当者の話では水害時における自治体の連携の希薄さが今後は問題になりそうだった。また現地視察では関東・東北豪雨で寸断された茨城県常総市三坂町の県道357号の谷和原筑西線の復旧工事で、現場南側にある傾いた空き家が道路側に覆いかぶさり復旧工事の障害になっていた。肺国を撤去しなければ作業は完了しないが取り壊しについて常総市と所有者は合意に至っていないというのだ。解決しなければ復旧作業は予定より1カ月以上遅れるということだったが、常総市は強制撤去できる「空き家対策特別措置法」の適用も視野に対応するということだった。 地域住民によるとこの住宅は1人暮らしの年配女性が20年以上前に死亡して以降無人で、鬼怒川の濁流で傾き倒壊の恐れもある。親族は東京都内に住んでいるとされるがめったに戻らず付き合いのある人もいないという。関係者によると常総市と茨木県の担当職員は親族に取り壊しを要請したが難色を示したという。「空き家対策特別措置法」は5月に全面施行され保安上の危険などがある場合は、行政代執行で撤去し費用を所有者に請求できる。茨木県の工事関係者は「最後は特措法も活用できる。だが、強制撤去は話がこじれることもあるので、まずは同意を得る努力が先」と話した。地元区長は「撤去しなければ県道ができないのは目に見えている。早く県道を完成させて、みんなを安心させてほしい」と話していた。 常総市で発生した災害ごみが10万トン近くに達する見通しで、常総市で毎年度出る一般廃棄物の5年分に相当するという。高杉徹市長は「処理問題は大きな課題の一つ」と話しており、近く処理計画をまとめる方針だという。災害廃棄物として発生したごみは家具や家電製品だけでなく、畳・衣類・布団など家庭にあるあらゆる物で、常総市では北部の旧石下町地域のごみは下妻市などと組織する「下妻地方広域事務組合」で、南部の旧水海道市地区は守谷市などとつくる「常総地方広域市町村圏事務組合」の施設で処理しているそうなのだ。しかし今回は大量のごみを短期間で処理するのは困難のため、茨木県内の近隣自治体に一部の処理を委託する方針で、費用は国が補助するとはいえ常総市の財政支出も多額となる見込みだという。
2015年11月23日
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「睡眠時間をちゃんと取ろう」・「年休を申請しよう」・「休憩をこまめに取ろう」等、長い時間を働くことが評価されがちな日本企業の悪弊について、こうした呼びかけをしているものの正直なところ「ずっと前から言われていることで、しょせんは何も変わらない」という無力感を感じてしまうのは私だけではないだろう。政府の示すスローガン的なそらぞらしさを感じる人も少なくはないだろうし、「休むことは悪」という日本企業には多かれ少なかれ、総じてこのような風潮が蔓延しているともいわれている。年休取得割合が47.6%と100%近い国もある欧州や70%台のアメリカなどと比べて低水準な日本だが、それがスローガンだけになっているのは日本企業の年休取得率が上がらない事実を見ても明らかなのだ。 日本では政府や会社が従業員に休暇を推奨するようになってきたものの、いくら「有給休暇を取りなさい」と叫んでも現場はそうはいかない場合がほとんどで、むしろ組織による仕事量のマネジメントもなく有休取得目標値達成のためだけに有給休暇を強制されている職場も多いみたいなのだ。結果的にほかの日が残業になるとか自宅に仕事を持ち込まざるをえないなど、本来の有給休暇の目的から外れた本末転倒ともいえるひずみが生じている。「休むのは悪」という日本独特の職場の空気は、不眠や睡眠不足あるいはうつ病といった心の病気の温床となっているそうで、医師の臨床でも薬の処方や多少話を聞いたぐらいでは改善せず、仕事環境をなんとかしなければ治療に結びつかない場合も多いというのだ。 未だに「休むことは悪」という概念を払拭しきれない日本においては、「ランナーズハイ」などやればやるほど仕事や作業にハマってくるという現象も注意すべきで、ドーパミンは意欲や集中力を高める神経伝達物質として知られているが、このドーパミンは疲れ果ててダウンする寸前の脳をあたかも「まだまだできる」というようにだましてしまうというのだ。結果的にうつ病など回復に長い時間を要する病気になってしまう危険性もあるという。休みは疲労解消といった防御的な働きだけではなく、もともとの自分のパフォーマンスを高めてくれるというポジティブな作用もあるし、睡眠には日中に学んだ必要な記憶・経験を脳内で増強させる学習促進作用があることは数多くの学術論文が示しているというのだ。 私のように現場を駆け回っている人間には関係ないことだが、「オフィスに閉じこもって」は身体・精神両面において現代型疲労を象徴する表現で、デスクからほとんど動かず誰ともしゃべらずPC画面を見続けながらコーヒーでも飲むといったワークでは、仕事と休憩のメリハリはまったくない。これは体を動かさない割に疲労はたまりやすい働き方だそうで、このような「オフィスに閉じこもって」を象徴するような調査結果が、デスクワーカーの実態調査によって確認されている。この調査ではデスクワークの疲労を感じたことのあるビジネスパーソンは87.6%にも上っており、さらに疲労を軽減するために行った対策で最も効果のあったものとして「定期的な運動」を挙げた人が58.8%にのぼるという結果となっている。 一方で40%の人が「帰って寝るだけの生活」と運動の効果を実感していながらも、結果として何もできていないビジネスマンの実態が明らかにされている。「運動は健康にいい」ことは頭では十分わかっていても、実践できていない人が半数弱存在するという事実は、重くとらえなければならないという報告もなされている。運動したくてもできない人に「運動しろ」とかけ声ばかりかけ続ける精神論では寂しい話であるが、この「ほどほど運動」の有効性は科学的にも実証されているというのだ。運動をした際に疲労の原因となる「疲労因子FF」が産出されるが、同時にこれを弱める善玉ともいえる「疲労回復因子FR」というものが産出され、程度の軽い運動ならば「疲労回復因子FR」の働きが強まるというのだ。
2015年11月22日
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生活必需品の消費税率を低く抑える軽減税率を巡る自民党と公明両党の協議で、対象品目の線引きが難航しているそうなのだ。これは対象範囲が確保できる財源の規模と密接にかかわるうえ、定義があいまいで線引きしにくい品目が多いためだなのだが、例えば「お汁粉は飲料かスープか豆類の調製品か」といった具合なのだ。財務省は公明党税制調査会が開いた総会に加工食品の線引きに関する資料を示したようで、財務省関係者は「あいまいだと事業者や消費者が混乱する。そういう線引きはやめてもらうための資料だ」と打ち明けている。加工食品の線引きが問題となったのは、公明党は軽減税率の対象を幅広く設定するよう求めているためで与党協議において妥協を探る動きが出たことにようものなのだ。 対象が最も広い「酒類を除く飲食料品」で消費税率10%時に軽減税率8%を適用すると、税収減は年1.3兆円に及ぶことから税収減を抑えるには対象を絞り込む必要がある。公明党は「低所得者がよく買う加工食品は譲れない」との立場で、加工食品から「菓子類」・「飲料」を除く案が浮上したそうなのだが、財務省が線引きに利用する食品表示法に基づき加工食品の中で線引きしようとすると難問に直面する。食品表示法で加工食品は「麦類」から「菓子類」や「飲料等」まで25に分類されるのだが、25分類に基づくと「豆乳は飲料だが、牛乳は酪農製品に含まれ飲料ではない」とか、「マロングラッセは菓子類で、甘ぐりは菓子類ではない」など紛らわしい例も多いというのだ。 さらに25分類は「菓子類」や「飲料等」の定義が明記されておらず、「くりきんとんは定義がないからどれに当てはまるか分からない。お汁粉も同じ」とはっきりしないケースも目立つという。公明党は加工食品までを対象にするよう主張しており、加工食品全般の税率まで8%に据え置くと税収減は1兆円に上るが財源のめどは立たないというのだ。平成29年4月の消費税率を10%の引き上げ時に導入する軽減税率の与党協議で公明党が強気で、財源確保の点から対象品目を絞り込みたい自民党に対し、国民の「痛税感」の緩和と分かりやすさを重視し、幅広く設定することで一歩も引かない構えだという。背景には「生活者目線の公明党が暮らしに関わる話で譲歩すれば、来年の参院選は戦えない」との危機感があるというのだ。 「できるだけ幅広い品目を対象とし国民の理解が得られる制度の実現に全力で取り組む」と山口那津男代表が党本部で開かれた全国県代表協議会でこう決意を述べると、出席者から同調の声が上がったそうなのだ。公明党は自民党との与党協議で財源として社会保障の充実策「総合合算制度」の導入見送りで浮く年約4千億円を充てることで合意しており、自民党は財務省の考えを受けてこの額に収まる範囲に品目をとどめたい考えだという。もともと軽減税率に慎重な自民党と財務省が許容できる税収減は年4000億円程度までとの立場で、この範囲に収まるのは精米と生鮮食品だけで、これなら食品表示法に基づく生鮮食品と加工食品の区別は加工食品内の線引きよりははっきりしているというのだ。 財務省は自民党と連携し加工食品内の線引きの難しさを強調して予防線を張った形だが、公明党も財務省の説明を受け加工食品の中で線引きするのが困難なことに理解を示した。ただし「加工食品は一括して含まれなければ大変な混乱を及ぼす」とかえって対象拡大の主張を強める結果となり、加工食品を対象から外すよう求める自民党との溝は埋まらない結果となってしまったというのだ。公明党は「外食」だけを除く案も模索しているが、外食も食品表示法の対象外で、ファストフード店で買ったハンバーガーなどを持ち帰る場合や、コンビニ店で買った総菜などを店内で食べる「イートイン」が「外食」に該当するかどうかが問題になっている。外食だけを除いても税収減は年1兆円と高水準のままだというのだ。 斉藤鉄夫党税制調査会長等公明党幹部が「一歩も引かない」としている背景には、国民の生活を守ることより来夏の参院選があるというのだ。公明党幹部は選挙で実動部隊の中心となる支持母体の創価学会婦人部の意向を反映しているともいわれ、「庶民の財布に絡む話でうちが引けば選挙区全敗だ」と悲壮感をにじましている。また自民党が1人区で勝つには公明党や創価学会の協力が不可欠なのは紛れもない事実で、公明党関係者は「要求が受け入れられなければ、選挙協力にも二の足を踏む。自民党も共倒れすることになるだろう」と脅しとも取れる言葉を呟いるというのだが、国民が税金を納得して払うためには「わかりやすく」・「公平に」・「払いやすく」すべきなのだ。
2015年11月21日
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私も「道の駅」に投資して直売所に集荷している一人なのだが、最近は車に乗っているとこれでもかというほど国道沿いなどに、次から次へと「道の駅」が出てきたりしているのだ。「道の駅」が出来た当初はトイレ休憩などもできる貴重な場所といったように存在感もあったのだが、昨今ではコンビニの多くも公共性を謡うことが集客につながるとわかってからは、綺麗なトイレを開放していたり地方の特産品も売っていたりと競合が激しくなる一方だというのだ。そのため実際に経営不振に陥り赤字が続く道の駅が出てきており、これが普通に民間でやっている商業施設であれば、「すべてがうまくいくものではないよね、それが当たり前だ」で済むのだが、公共施設となるとそうはいかないようなのだ。 つまり自治体が関与して税金で建てた施設が失敗してしまえば、地域の重荷になってしまう事態に発展してしまうみたいで、実際に「このままだと経営破綻しそうだ」となって自治体が特別予算を組んで実質的な救済に乗り出したり、はたまた閉鎖したりするという事例も全国的には出ていつそうなのだ。道の駅は「休憩機能」・「情報発信機能」・「地域の連携機能」という3要素を持つことが期待されて設置されているのだが、実態としてはほとんどがロードサイドの商業施設として地域の商品を販売したり観光拠点にしたりという、地域活性化効果を狙っているものばかりが増え続けているといわれている。つまりは地域経済の活性化と消費の喚起を大きな目標として経営されているというのだ。 そうすると消費者が「わざわざ行きたい」と思えるような運営をするかどうかに成否がかかってくるという事になるのだが、当然ながら顧客にとって別に利用したくないような施設であれば、経営的には成り立たなくなってしまうのだ。行政が関わるのでいたずらに公共性を意識してしまい「情報発信だの」・「地域の連携だの」という要素を謳うものの、実態としては道の駅自体は、やはりマーケットにさらされているということのようなのだ。道の駅は基本的に自治体が事業主体となって施設そのものは税金によって開発され、作った施設を「指定管理制度」を活用した第3セクターなどに任せて経営してもらうというモデルが主流だとされている。つまり「道の駅」のほとんど初期投資は税金で作られているということなのだ。 普通に民間が事業として施設を開発するならば施設整備の初期投資部分の回収も含めて施設運営の売上げから捻出するのが常識で、そのため事業計画の段階からあまり売上げがあがらなくても成立するというような環境は行わないのだ。一見すると「立派なものを支援して作ってその後も大して儲からなくてもいいような仕組みになっているので、楽だからいいじゃないか」と言われたりするのですが、その過剰投資を税金で賄ってその後「楽になる制度」ということが、実際は経済を活性化するうえで関係者の生産性を下げてしまうというのだ。何でもかんでも行政が支援をしていると「支援もないのに頑張れない」という依存心がますます強くなって普通の市場では戦えなくなってしまうというのだ。 道の駅に似たような産直業態でも民間でしっかり利益をあげている商業施設もあるのだが、一度「行政支援」を前提として「道の駅」のような商業施設を出店してしまえば、そのような芽は摘んでしまうことにもなりかねません。商業施設などをつくる場合はトイレなどの公共機能部分は行政が整備するにしても、その脇という優位な立地を活かして事業を考え利益から逆算して施設規模を計算し資金の調達をして経営するのが基本なのだ。私の事務所も自分たちで投融資をして事業に取り組んだときに、すべてのケースで事業がうまく行くわけではなく環境面で難しい場所があることも重々承知させられたのだが、別の工夫をして事業を成り立たせるよう努力することだけは学んでいるのだ。
2015年11月20日
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国が閣議決定した国土形成計画などで既存インフラの機能向上に取り組む方針を打ち出したのを受け、低コストで渋滞解消を目指す動きが新たに始まったのだが、高速道路の路肩を狭めて新車線を捻出する渋滞対策が広まり始めたというのだ。東名高速道路の神奈川県海老名市にある海老名ジャンクションでは新車線の運用を開始し、中央自動車道の上り線でも年内をめどに調布インターチェンジから先3kmにわたって車線を増やすという。幅員3.5mの車線の両側にあった2.635mと1.125mの路肩をそれぞれ0.38mに狭めて、3.25mの車線2本を確保するそうで、高架橋の区間についても「車線増設に伴って通行車両が増えても、構造上の問題は無い」というのだ。 中央道では本線の車線を増やすという中日本高速は、上り線の調布IC─三鷹バス停間で車線数を2本から3本に増やすことを目指し警察と協議中だという。増設後は海老名JCTの接続道路と同様に路肩だけでなく1車線当たりの幅員も狭くなるというのだ。東名高速では首都圏中央連絡自動車道の北側へ向かう接続道路の延長約400m区間を、1車線増やして2車線とするのだが、これは新東名高速道路の海老名南JCTの供用が始まるまでの暫定的な運用とする予定だというのだ。東名高速の渋滞対策に関しては国土交通省関東地方整備局が高速道路会社などの関係者で構成するワーキンググループを設置し、路肩を活用した車線運用の見直しなど大規模な投資をせずに効果を上げる手法の検討をおこなうという。 低コストで効果の高い手法の検討を始めているわけなのだが、海老名JCT付近の渋滞対策も課題の一つに挙がっていたというのだ。これらの検討に関して「故障車や事故車はどこに止まるのだ。さらなる大事故を誘発するだけではないか路肩から走行車線を捻出することにより、走行車線が狭くなる。車道幅員を狭くして車線数を増やすなら走行速度を落とす必要があるのではないか。車道幅員を狭くすることはすでに愛知県で行われているが、速度制限は有名無実となっていることから、もっと根本的な解決はないのだろうか」とか、「大型車と並んで狭い車線と路肩を走るのは集中力が必要で、特に高齢者運転者の増加が進んでいる時代なので、走行安全性について、さらに研究していただくことを望む」と言った意見が出たそうなのだ。 また「道路構造令についても見直す必要があるのではないだろうか。路肩を狭くする思想に疑問を感じる」といった反対意見も多いそうなのだ。「これがいいアイデアと思うと同時に、なぜもっとはやくできなかったのかなと思う。高速道路の渋滞を経験した人はみんな路肩を解放すれば解消するのにと誰もが感じていたはずである。ただ事故が起きた時の救急車はどうするのだとか、考えていくと無理だろうなあとそこで思考停止した人が多かったのではなかろうか」と言う肯定的な意見もあったそうなのだ。それに「対面通行の暫定2車線道路で過去10年間に起こった死傷事故の経済的損失は約314億円に上る」といった会計検査院の発表に、高速道路を管理する国土交通省や高速道路会社に安全性などの向上を求めているという。 この暫定2車線道路というのは4車線として計画している高速道路を、先に2車線分だけ完成させて供用した区間のことなのだが、交通量の増加に応じて残りの2車線分を整備する計画だとされている。樹脂製のポールやコンクリートの縁石などで簡易に車線を区分するのが一般的なのだが、中央分離帯がない対面通行部は今年3月末時点で全国に20路線234区間の延長は1752.1kmに上るという。暫定2車線道路では正面衝突による重大事故が起こりやすく高速道路3社が管理する区間のうち、対面通行部で発生した対向車線への逸脱事故は2208件とされ、このうち677件が死傷事故で死亡者は119人に上るというのだ。私の住んでいる愛媛県でも数日前に暫定2車線道路では正面衝突による重大事故が起こっているのだ。
2015年11月19日
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デフレ脱却とはミクロ面でいえば「物価が2%高くなる程度で安定的に推移し、それ以上に名目賃金が上がって実質賃金が上昇する」とならなければならないそうなのだが、とはいえ現実には名目賃金の上昇ペースは遅々としたままで、物価の上昇率がゼロに近づくことで実質賃金がプラス化するという状況になっていきそうだとされている。総務省が今年の5月に発表した昨年度の総世帯の家計調査によると、1世帯当たりの消費支出は1カ月平均24万9千円で、物価変動を除いた実質ベースで前年度比5.0%減だったそうなのだ。この消費支出がマイナスとなったのは3年ぶりで下げ幅は比較可能な今世紀になって最大となったそうで、浜先生曰く「きっちり決めてくれた、アホノミクス」という事のようなのだ。 この原因は安倍政権が実施した消費税の増税や、アベノミクスなるものの円安による物価上昇によって消費の落ち込みが続いたのが要因だとされている。ちなみに消費支出のこれまでで最大の下げ幅はリーマン・ショックの影響があった2008年度の2.6%減で、今回の史上最悪の消費支出の減り幅はその倍近いというのだ。リーマン・ショックのことを最悪の日々として覚えている証券関係者も多いと思われるのだが、安倍政権になってからというものそんなもんどっかに吹っ飛ぶくらい消費が冷え込んでいるというのだ。つまり内需が縮小しているわけで、日本経済が縮小しているということは消費マーケットがダンダン小さくなっていることで、つまり物が売れにくくなっているということなのだ。 もっとも現在の日本は生産年齢人口対総人口比率が低下しているため、各業界で人手不足が広まっていくことは確実だとされている。それにも関わらず「なぜ実質賃金がなかなか上がらないのか」というのは、もちろん経営者が十分な賃金引上げに乗り出せないためなのだ。それではなぜ経営者は賃金を引き上げないのかという理由は複数あるのだが、結局のところ最大の理由は国民の間に広まった「デフレマインド」なのだといわれているそうなのだ。誰もが「値上げをできない」と思い込み結果的に上昇する人件費の吸収ができない気持ちは、人件費上昇を受け企業が顧客側に「値上げ」をお願いしても、「仕事を切られるのではないか」と怯えるだけでなく、実際に顧客側が値上げを受け入れないとされているのだ。 生産年齢人口比率がこのまま下がっていけば最終的には、「実質賃金が上昇する」か「生産ができなくなる」のどちらかに行き着き、当たり前なのだが「生産ができなくなる」産業が増えていけば日本も発展途上国化するというのだ。だからこそデフレマインドにとらわれる必要がない政府が率先して、モノやサービスを少しでも高く買う必要があるわけなのだ。政府が公共サービスの人件費を率先して引上げ、公務労働者を雇用していくと実質賃金の上昇が起こるのだ。それに対し安倍政権が推進する緊縮財政や労働者派遣法改正に外国移民受け入れ拡大は、方向性が真逆となっているのだ。現在の安倍政権の政策が継続する限り、日本国民の実質賃金は上がらないということのようなのだ。 安倍政権は2年後の4月に消費税を再増税するという姿勢を崩していないのだが、現在の環境下で消費税を増税すれば前回同様に一気に実質賃金が下落することになりそうなのだ。日本の国民の貧困化や発展途上国化を食い止めるためにも、消費税増税を含めた安倍政権の緊縮財政路線に「いい加減にしろ」という声を叩きつけなければならないということなのだ。このままでは安倍政権は憲政史上「最も国民を貧しくした政権」になることが確実で、安倍首相とアベノミクスを評価しないのはおかしいという人たちがいるのだが、株価以外全部下がって上がっているのは物価と消費税だけというのが実態だろう。そもそも政治の究極の目的は一般国民の生活を良くすることなのだが全く良くならないだろう。
2015年11月18日
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政府は雇用や所得環境は着実に回復基調にあるとして景気対策は不要との立場を崩していなかったのだが、11月16日に発表された今年7~9月の国内総生産速報値が景気悪化を示す内容だったことから、補正予選の編成だけでなく政府・与党内で補正の規模の上積みを求める声が強まったというのだ。内閣府が7~9月期の国内総生産の速報値は、物価変動の影響を除いた実質は前期比0.2%減で年率換算なら0.8%減となったそうなのだ。2四半期連続のマイナス成長ということなのだが、設備投資が振るわず個人消費も回復が鈍いままで、中国経済の減速懸念が強まる中で日本経済を取り巻く環境は厳しく、景気の停滞感を確認する内容となったというのだ。 2期連続マイナスは消費税増税後の昨年4~6月期と7~9月期以来だということなのだが、物価変動の影響を反映し生活実感に近い名目GDPは前期比0.01%増で年率0.1%増と停滞という事になっているそうなのだ。企業の設備投資は前期比1.3%減と2期連続のマイナスで弱さが際立っており、工作機械やオフィスビルなどへの投資が減少しているそうなのだ。国内総生産の6割を占める個人消費は2期ぶりのプラスに転じたが、前期の0.6%減からの反発力は弱かったという。9月の大型連休で外食などは増えたが食料品などの値上がりで消費者の節約志向が続いている。それでも甘利明経済財政担当相は「在庫調整の影響を除けばプラス成長だ。景気の基調は悪くはない」と語ったというのだ。 その甘利明経済財政担当相も記者会見で補正予算編成について「当然ある」と述べ、編成の必要性に言及したそうなのだ。その上で環太平洋連携協定の大筋合意を受けた国内の農業対策や、安倍政権が掲げる「1億総活躍社会」の実現に向けた施策を挙げ、「それらを中心に組まれる補正だと思っている」との見方を示したという。政府・与党は年末に編成する補正予算案の規模を3兆円以上とする方針を固めたというのだが、景気下支えが必要と判断されたことから上積みも検討するようなのだ。財源には14年度決算剰余金などを使い、国債の追加発行は回避する。「機動的な対応を行うことで景気を下支えすることが必要だ。マレーシアから帰国後に速やかに補正予算案の編成を指示する」と述べたという。 私の所属している建設業関連では9月の関東・東北水害の復旧や、防災対策に必要な公共事業も計上するそうで、財源として昨年度の剰余金である約1.6兆円の半分を国債償還に回し残り半分を補正に活用という。金利低下により国債の利払い費用の予算が相当額余りそうなことや、今年度の税収の上振れ分も財源として想定されている。財政健全化目標との関係で大型補正は難しい情勢なのだが、安倍晋三首相は外遊前に東京都内のホテルで講演し、安倍政権の重要政策である「1億総活躍社会」の第1弾となる緊急対策について、「今月中に取りまとめて予算計上する」と強調したそうなのだ。その上で「必要なものは今年度の補正予算での対応を検討する」と表明したというのだ。 法人実効税率に関しては、「来月決定する税制改正大綱で引き下げ幅を確実に上乗せし、来年4月からさらなる引き下げを実現する」と述べ、既定方針の31.33%より踏み込んで引き下げる方針を明言しているという。安倍首相は認可保育所などに申し込みながら満員で入所できない「待機児童」を解消するため、「少なくとも50万人分の保育の受け皿を整備したい」と強調し、2年後を目途に40万人分の「受け入れ枠」を確保するとした政府目標を上積みする考えを示したというのだ。もっとも巷では「株価上げても企業を儲けさせても個人に商品券をばら蒔いてもダメだね」とか、「1億総活躍に名を借りた各省庁の予算の分捕り合戦も始まっている」との批判も出ているそうなのだ。
2015年11月17日
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交通事故防止のため制限速度を下げる取り組みも進んでいるそうで、警察庁によると日本では欧米に比べ全交通事故死者のうち歩行中と自転車乗車中の犠牲者の占める割合が高いとされている。国土交通省のデータによると欧米各国は16~30%だが日本は52%で、特に生活道路になる道路幅員が5.5メートル未満の道路での事故が目立つという。車の速度が時速30キロを超えると事故に遭った歩行者の致死率が上がる傾向があるため、警察庁が対策として打ち出したのが設定した区域全域の車の速度を時速30キロ以下に制限する「ゾーン30」なのだ。一方通行などの交通規制も併用して今年3月までに1827カ所に設定され、2年後には3000カ所に拡大する計画だという。 この「ゾーン30」効果も表れているようで、21カ所で設定した埼玉県ではサンプル調査で車両の平均時速が35.6キロから32.6キロに落ちたこともあって、半年間で人身事故が3割減ったそうなのだ。新たな機能を持った信号機が全国に登場しており、歩行者が多い時には自動的に横断歩道側の信号を長時間青色にしたり、子供の声で無理な横断をしないよう呼びかけたりする信号が出来ているそうで、多くの県では信号無視が減るなどこれらの信号機の効果が裏付けられたものもあるそうなのだ。事故抑止を目指す各地の警察が地域の特性も考慮しながら新しい機能の付いた信号機の設置を進めている。さいたま市浦和区常盤地区の道幅の狭い通学路に3月にカメラを備えた信号機が登場したそうなのだ。 映像から交差点を歩いて渡る人の数や歩行速度を計測し、歩行者が集中する時間帯には青の時間を最大15秒延長し41秒にするそうなのだが、狙いは登下校する児童の保護で信号待ちの子供たちが車線にはみ出さないようにする。埼玉県警の担当者は「信号待ちの児童が事故に巻き込まれるリスクも減らせる」と話しており、「子供の流れがスムーズになった」と住民にも好評という。カメラを使う先進的な信号機の導入が進んでいる事例だと、住宅街のスクランブル交差点に車が通らない時は歩行者用の信号を常時青にするシステムを設置したそうだ。カメラで車の通行状況を感知し信号の切り替えを調整するもので、設置前の歩行者の平均待ち時間は約100秒だったが、設置後は平均約50秒になり歩行者の信号無視が減ったという。 岡山市のJR岡山駅近くの繁華街にも車が通らなければ歩行者の青の時間が長くなる信号機が設置されたそうなのだが、センサーで車を2秒間感知しなければ青の時間が最大で13秒長い28秒になるというのだ。岡山県警が設置前後にそれぞれ18時間調査したところ、設置前は26%の歩行者が信号無視をしていたが設置後は16%になり、岡山県警の担当者は「効果が表れている」と話している。福岡県には子供の声で呼びかける押しボタン式信号機が全国で初めて登場したというのだが、福岡県の昨年1年間の交通事故死者147人中82人が65歳以上の高齢者で、うち33人は道路横断中だったことから、孫に当たる世代の声で呼びかけで無理な横断をやめてもらおうと、福岡市の西鉄平尾駅前の交差点に設置した。 信号に近づくとセンサーで感知し「押しボタンを押してください」というし、ボタンを押すと「青になりました。左右の安全を確かめてください」とか、「信号が変わります。無理な横断はやめましょう」とアナウンスされるという。声のあるじは実在する小学5年の女児だそうで、福岡県警には「守らなければいけない気持ちになる」とか、「かわいらしい。もっと増やして」などの声が寄せられているというのだ。歩行者用の信号を同方向の車用より先に青色にする「歩行者先出し信号」もあるそうで、先に歩行者が渡り始めるようにし右左折車の運転手が歩行者に気づきやすくするのが狙いだという。交差点で赤信号の時に手持ちの専用携帯端末のボタンを押すと、歩行者用の青時間を約1・2倍延長する視覚障害者用の歩行支援システムもあるそうなのだ。
2015年11月16日
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男女の婚姻を成立させるためもしくは確認するための儀式である「結婚式」なのだが、この「結婚式」をめぐるトラブルが相次いでいるとして、国民生活センターが注意を呼びかけているというのだ。国民生活センターによると全国の消費生活センターには「結婚式」をめぐるトラブルについての相談が毎年1500件程寄せられていて、具体的には「『割引は今日だけ』などと急がされて契約し、翌日キャンセルしても内金が返金されない」など契約や解約に関する相談が全体の9割近くを占めているというのだ。国民生活センターは強引な勧誘の背景には、結婚式場の顧客獲得競争があるとみていて、式場の見学をして気分が盛り上がってもその場で申込金を支払わず、契約をする前に内容をしっかり確認するよう呼びかけているという。 この「結婚式」という儀式は古くから世界各地に見られるそうで、地域により様々な様式があるがどの地域でも喜びの儀式とされている。西洋の「ウェディング」の語源は古代ゲルマニアにおいて婚約や結婚の際に保証金を差し出す習慣があり、抵当・保証を意味する言葉が由来であるとされているそうなのだ。我が国では平安期の結婚は男性が女性の下に三夜続けて通う形式であるが、女性の家ではその間訪れる男性と従者を接待する儀式があったそうなのだ。3日目には「露顕(ところあらわし)」という披露宴が行われ新郎新婦が披露されたという。列席者は妻側の関係者のみに限られ、狂言の「舟渡婿」では通い婚が露見した後に嫁と舅の家へ鯛などの魚と酒を持参し祝いをするという式を行うことが前提になっている。 現在では一般に「結婚式」の後に結婚披露宴を行うケースが主流で、「結婚式」それ自体は比較的少人数でとりおこなわれ、結婚披露宴は親族一同や知人まで含めて数十人~数百人と参加者の人数が膨らむことが多いとされている。国内の婚礼市場がジリ貧状態にあるというのも少子・晩婚化の流れに加え挙式に数百万円の出費を割かれることと、人前で目立つことを忌避するためカップルまたは親族が挙式にそのものに反対し、「挙式が法律で義務付けられていない」という割り切った考えから、婚姻届の提出だけで済ませるいわゆる「ナシ婚」で済ませるケースも増えているそうなのだ。こんなことから「結婚式」が花形だったホテル業界の危機感は高まりあの手この手で大競争時代の生き残りを図っているというのだ。 民間調査会社である矢野経済研究所が昨年2月に発表した「ブライダル市場に関する調査結果」によると、平成25年の婚礼市場は2兆6060億円とされ20年と比べると7%減となって、この5年間でも約1960億円の市場が消えたそうなのだ。式場やゲストハウスの廃業のほかホテルでは婚礼事業を縮小や撤退の動きもあるというのだ。こうした市況とは裏腹に高額商品の需要がある市場への期待感は根強く、新規参入は絶えないこともあって弱肉強食の新陳代謝が続いているそうなのだ。冠婚葬祭ビジネスは元々ぼったくりだから注意が必要だとされていたのだが、「結婚式」をめぐるトラブルの中でも多いのは「契約・解約」に関する相談で、全体の9割近くを占めているというのだ。 国民生活センターは「契約当初の見積もりとある程度結婚式の希望が出そろった際の見積もりが異なる」とか、「担当者との意思疎通がうまくいかずにトラブルになることがある」といった結婚式に携わる様々なトラブルが寄せられていることを踏まえ、結婚式に関わる全ての事業者に対して要望している。併せて市場の健全化および消費者トラブルの未然防止や、拡大防止のため「公益社団法人・日本ブライダル文化振興協会」に業界への周知徹底を求めている。申込金等の返金の有無や解約料、契約の成立時期について、事前に書面を渡して十分な説明を行うなど契約に際してのトラブルを防止するために必要な情報提供を行うことがやはり大切であるということのようなのだ。
2015年11月15日
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日本の建設投資は、ピークだった1992年度の84兆円から減少傾向が続き、2010年度には42兆円と半減していたのだが、その後は震災復興や安倍政権の経済政策によって反転し、最近では50兆円弱まで盛り返しているといわれている。私の所属している建設会社の決算も大手ゼネコンを中心に建設投資に連動し、ここ3年で急速に回復しているそうなのだ。また建設産業では相変わらず人材不足に悩んでおり、学校で土木を学びながらも他産業に就職する学生が多く、新卒者の確保に多くの企業が苦労しているのだ。こうした状況のなかであえて建設産業に入職する学生等は、建設産業への強い思いを持っている人が多いという話を大学や企業の関係者から耳にするのだ。 初めから目的意識を持って仕事に臨んで建設産業に入職する彼らは、おのずと上司や取引先からの評価が高く若くして頼られる存在に成長しているというのだが、私の愛読している業界紙が建設会社や建設コンサルタント会社・発注機関で「評価されている」若手技術者にスポットを当てて、その活躍ぶりを紹介する特集「若手の成長株」を掲載しているのだ。ただ「評価される」とは特集記事でコメントしているハタコンサルタントの降籏達生代表は、「人間性の良さや技術力で評価されたのか、それとも請負者や協力会社の言いなりになるような甘さで得た評価なのか」ということを問題にしており、社内や発注者・近隣住民などから評価される仕事ぶりが大切だと言っている。 建設の仕事は異なる会社や組織に属する多くの人が一緒にものを造り上げていくのだが、建設会社の現場で働く若手なら立場上年上の協力会社の職長に対して指示を出すケースも多くなる。その際に職長の言いなりにならず元請けの立場で毅然と対応でき、かつ一方的に自説をまくし立てるのではなく、相手の主張に耳を傾けつつ自分の意見を聞き入れてもらえるような接し方ができるのかということが必要となってくるのだ。発注者なら年上の請負会社の技術者に対して指示を出すケースも多くなるわけなのだが、その際に請負者の言いなりにならず公共事業なら住民党利用者の立場で毅然と対応できることが必要となってくる。こうしたスキルを身に付けて年上の主任や職長から絶大な信頼を得ることが大切なのだろう。 私のように先輩や上司に当たるものにとってこの記事は、若手がどんなことを考えながら仕事に当たっているのかを知るとともに、若手が周囲からの評価を高められるような仕事の任せ方について考えるきっかけにしたいと思っている。「自分ならこんなことを伝える」と考え多くの経験をしているベテランだからこそ伝えられることはあるはずだと思っているのだ。たしかにそれを言葉や文章にして伝えるのは意外と難しいもので、「自分は若手に何を伝えるべきなのか」だけでなく、もっと言えば「次世代の担い手を育てるために、自分は何を伝承できるのか」を改めて考えるきっかけにして、周囲からの信頼を得ていくためのヒントを若い衆に教えていけるようにしたいと思っているのだ。 建設投資が50兆円弱まで盛り返しているという明るい見通しの中で、その先を見据えた手を打ち始めている会社も多く、そうした将来に向けた「投資」についても焦点を当て、さらなる受注を目指して新組織や新会社を立ち上げる企業もあるそうなのだ。人材を確保するための待遇改善に力を入れているところもあって、特に自社の社員だけでなく協力会社の優秀な社員を優遇する動きがこのところ目立つというのだ。事務所などは業績が良くなって「ほっと一息」というのが本音かもしれないが、先の民主党政権時代がそうだったように建設投資が一気に減る可能性はゼロとは言えないのだから、業績のいい今のうちにどれだけ将来に向けた投資ができるのかが、景気が悪くなった時に大きな差になって表れるのだろう。
2015年11月14日
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ハロウィンではないけれど東京の街を久しぶりに歩いて思ったのだが、この街ゴミ箱少なすぎでこれだけ人が集まって物買わせる街にゴミ箱置かないでどうするのかという事なのだ。特に渋谷や六本木などでハロウィンやったら、それはゴミだらけになるに決まっていることで、これはハロウィンだからゴミが出たのではなく、人があれだけ集まって「どんちゃん騒ぎ」をして、そこにゴミ箱がなかったら当然起きる結果なのだ。ヨーロッパの観光都市であるウィーンやパリなどには当然のこと、テロに見舞われたニューヨークの駅構内でさえも多くのゴミ箱が設置されているそうなのだが、ハロウィンで渋谷がゴミだらけになるのは単純に渋谷にハロウィン・インフラが整っていないからなのだ。 TVのニュースの映像を見る限りハロウィンで捨てられたものは普通のゴミで、コンビニとかマックのゴミとか現代人の営みで普通に出るゴミが捨てられていたのだ。これが例えば渋谷の街にカボチャの皮が落ちて臭いとかだったら確かにハロウィンのせいだが、コンビニのゴミが散らかっているのはそこにゴミ箱がなかったからだといっていいだろう。同じ現象は他の場面でも起きていそうで、例えば花見なら私の住んでいる松山市の石手川公園の花見は結構悲惨な感じなのだ。これもゴミ箱たくさん配置して清掃員を雇わなきゃダメなのは、花見用の特設会場で業者が買枕頭を運営しているところでは、花見が粛々と行われてゴミも宴の後にはキチンと片付けられているようなのだ。 日本の象徴である富士山もゴミだらけで長らく世界遺産に登録されなかったし、もしゴミが原因で若者にハロウィンをやめさせるのなら富士山を閉鎖して、登山好きの人たちからも登山と言う楽しみを奪ってもいいという理屈になってしまうだろう。そこで見習うべきはディズニーランドという事が言われるのだが、ディズニーランドにゴミがほとんどないのは日本人の民度が決して高いからではなく、十分に配置されたゴミ箱と豊富な清掃員の賜物なのだ。しっかりゴミ箱を配置しそれでも出るポイ捨てに対して清掃員を配置するという二段構えがなされていることに他ならないのだ。実際夢の国でもポイ捨ては発生するだろうが、ゴミが出て近くにゴミ箱がなかったら公園内に捨ててしまうだろう。 他の人がやっているのを見たら連鎖が起きるのは道路に一度ごみが捨てられるとそこがゴミ捨て場になるように、お互いがお互いをほとんど知らない巨大な街ならなおさらだろう。これはゴミを捨てるという選択をした個人が悪いとか、日本人の品位が下がったとかそういうことではなく人間そもそもそんなもんなのだろう。こういうお祭り騒ぎのあとのゴミ問題でちょいちょい発生する「日本人論」なのだが、今は日本人に対する美しい幻想を捨てたほうがいいのではないかと思ってしまうのだ。きれい好きな日本人もゴミが出て近くにゴミ箱がなかったら、道端に捨てるという事を考えるべき時期に来ているのだろう。ハロウィンに対して怒っている人は今度なにかのイベント行った時に試しにゴミ箱使わないでみるといいだろう。 少なくとも1926年には東京都には保健局清掃課が存在しており、それから長い間は清掃事業を行っていたことが確認されているのだ。また1937年には保健局清掃課が清掃部として単独の部局に格上げされている。戦後でも昭和22年の地方自治法施行以降は都知事部局として清掃局が東京都特別区内の清掃事業を担っていたのだ。全員が全員の顔を知っている小さな集落だったら「ゴミは捨ててはいけません」で済みますが、東京の渋谷じゃそんなの通用しないのだから金使って清掃するしかないのだろう。東京都が主導する形で清掃事業に関する行政が行われ、ゴミ箱設置すべき人たちはハロウィンビジネスに参画している企業や、恩恵を受けている周辺企業でいいと思っているのだ。
2015年11月13日
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TVのニュースで盛んに紹介されていたハロウィンの渋谷は異様な光景が広がっていたそうなのだが、実は私もハロウィンに東京にいたのだ。スクランブル交差点には警察による交通規制が敷かれ四方八方への通行は禁止になっており、センター街や道玄坂は仮装をした若者で溢れかえって公道とは思えない騒ぎになっていた。警察や渋谷区は昨年より対策を強化したそうで、警視庁は警備人員を昨年の4倍にして交差点などに配置したそうなのだ。渋谷区役所もゴミ箱や着替え用のテントを設けて、衣装などが路上に散乱した昨年の二の舞いを防ぐ対策を実施していたという。関係者によると警視庁はハロウィンの日に渋谷区だけで約800人をスクランブル交差点に配置していたというのだ。 アニメや映画・ゲームなどのキャラクター仮装を楽しむ若者たちは、我こそは目立たんとばかりにコスプレをアピールし、お気に入りの仮装をした人を見つけるや声をかけ一緒に写真を撮るというのだが、何しろ公道に広がって撮影が行われるものだから、私のようにハロウィン以外の目的で渋谷を訪れた人には交通の妨げとなり、ほとんど身動きがとれない状況になってしまっていたのだ。中には仮装をしていない通行人の女性にまでも悪ノリでナンパをするといった事例もあって、三流大学の新入生歓迎コンパのノリが街中に広がっているとの批判もされていたそうなのだ。「我が物顔で渋谷に集まってハロウィンだか何だかよくわかりませんが、まさに乱痴気だ」という地域住民の声も上がっている。 普段からクラブ帰りなどの若者が多い渋谷では朝方にはゴミが散乱している光景が日常だそうなのだが、それでも当日は昨年の反省をふまえ警視庁は警備人員を昨年の4倍の約800人にし、渋谷区も着替え用のテントやゴミ箱を設け、衣装などが路上に散乱しないよう対策を強化したのに、マナーとモラルというものがない状態だったというのだ。ハロウィンでは仮装衣装やガラス瓶にペットボトルなどが散乱し近くの店の従業員らが清掃に追われたため、今年は渋谷区が複数のゴミ箱を設置することにしたというのだ。しかしそれでもポイ捨てられたゴミを翌日に処分していた仮装姿の若者からは、「だって渋谷はゴミ箱が少ないじゃないですか」というような声が聞かれたというのだ。 JR東日本が発表した「各駅の乗車人員 ランキング」で5位の渋谷駅は1日平均で371,789の利用客があり、東横線と副都心線の相互直通運転が開始されたこともあって埼玉や横浜からも多くの若者が集まるようになったといわれている。ゴミを翌日に処分していた仮装姿の若者のコメントにもあるように、渋谷駅周辺にはゴミ箱の設置がほとんどないのは渋谷だけのことではなく主要エリアにもあてはまる東京の特徴だというのだ。これらには地下鉄サリン事件やアメリカでの同時多発テロ事件などを受けて、東京都内のテロ対策が強化され次第に街からゴミ箱が消えていったという経緯があるという。観光都市のスイスやパリなどには当然のこと、テロに見舞われたニューヨークの駅構内でさえも多くのゴミ箱が設置されているそうなのだ。 こうした観光都市に比べると東京ほどゴミ箱が少ない都市は珍しいというのが現状だという。ニューヨークのゴミ箱はテロ防止のため厚いスチール製の円筒状になっており、爆破されても周囲に飛び散らない構造になっているという。渋谷のハロウィンでも仮装をした外国人やお祭り騒ぎを楽しもうとカメラを構える外国人観光客の姿も多く見られたそうなのだ。たしかに路上等にゴミを放置するハロウィンの参加者には困ったものなのだが、ゴミが散乱した渋谷の掃除をするボランティアの若者も数多くいるそうで、これから2020年の東京五輪を控え観光客や若者たちのゴミ問題だけでなく、その背景にあるテロ対策についても考えねばならない時期にさしかかっているのかもしれないようなのだ。
2015年11月12日
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米海軍は南シナ海のスプラトリー諸島でイージス駆逐艦が、中国が埋め立てた人工島から12カイリの海域内を航行する「航行の自由」作戦を実施しているのだが、安倍首相は閉会中の委員会審議で「南シナ海の公海での航行や上空の飛行の自由には国際法上の一般原則の確保が極めて大事だ」と語り、米国の作戦への支持を改めて表明したうえで、米中間の緊張が続く南シナ海での海上自衛隊の活動について、「我が国の安全保障に与える影響を注視し、今後、十分に検討していくべき課題だ」と述べ、将来的に警戒監視活動などに参加する可能性を示唆したそうなのだが、9月に成立した新たな安全保障関連法制は自衛隊と米軍の連携の幅を大きく広げるものなのだ。 今回の国会答弁は米艦航行で緊張が高まる南シナ海における日米の共同作戦行動も視野に入れている模様なのだが、南シナ海における島嶼の領有権や海域の管轄権を巡る国家間の紛争は、それが激化すれば航行に支障を来たし世界経済に大混乱が生じる事態が危惧されるというのだ。ただ南シナ海への自衛隊の関与強化には課題も多く、平時の米艦防護など新法制に応じた自衛隊の部隊行動基準の整備などは今後の課題で、「日本の自衛隊は東シナ海で手いっぱい」との意見もある。中谷元防衛相は「南シナ海の状況にどう対応していくか今後とも十分に検討を行うべき課題だ」と述べるにとどめており、新法制の下で自衛隊が南シナ海で活動するとすれば何が想定されるかこれから検討するというのだ。 政府も日本国内の専門家を招聘して研究委員会を開催し、南シナ海と東シナ海の海上交通路が危険に晒され、原油タンカーが迂回した場合における経済的損失について定量分析し、エネルギー安全保障への影響について調査すると共に、シーレーン安全保障の在り方について検討しているというのだ。サウジアラビアの港から日本の太平洋岸の港までの航程は、ロンボク海峡に迂回する場合なら通常のマラッカ海峡通峡に対して片道約1,000カイリの航程増となるそうなのだが、オーストラリアの南方に迂回したとすると航程が片道約5,200カイリ増加するとされている。南シナ海の航行が制限される事態が生じれば原油価格が世界的に高騰することが考えられるというのだ。 米国側には南シナ海での対中抑止に日本も加わることへの期待が強いとされ、米海軍横須賀基地を拠点とする第7艦隊の当時の司令官は、「将来的に自衛隊が南シナ海で活動することは理にかなう」とも言及している。具体的に想定されるのは自衛隊と米軍による平時の共同警戒監視活動なのだが、海上自衛隊の艦船が米艦と「共同演習」として南シナ海をパトロール)したり、P3C哨戒機などが空から監視活動したりすることが挙げられる。菅義偉官房長官は記者会見で共同パトロール構想について「そうした作戦に参加する計画はない」と現時点での可能性を否定したが、日本側にも「南シナ海は重要なシーレーンで、航行の安全確保は人ごとではない」と積極論があるといわれている。 オーストラリアを加えた枠組みでの実現を目指す構想も語られており、共同パトロールが実現すれば新法制で可能になった「平時の米艦防護」が適用される見込みなのだ。自衛隊は演習などで米艦と共同行動中でも自己防護しかできなかったが、新法制は米艦を攻撃から守るための武器使用を制約付きながら認めており、南シナ海で米中の武力衝突が発生し「日本の平和と安全に重要な影響を与える事態」などの要件を満たせば、政府は「重要影響事態」に認定し米軍などへの後方支援が可能になる。旧周辺事態法下では南シナ海有事に日本が関与できるかはあいまいだったが、安倍首相は南シナ海も重要影響事態の認定範囲に含まれるとの考えを示していることからいよいよ紛争地への派遣という事になってしまうのだ。
2015年11月11日
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千葉市中央区で今年9月に2カ所の水門付近で浸水被害が発生した問題で、水門などの操作を担当する管理会社が市の指示を受けてから現場に到着するまで、1時間以上かかっていたことが分かったというのだ。浸水被害は水門などの操作の遅れが浸水発生の原因とみられており、管理会社の責任が問われる可能性がある。浸水が起こったのは千葉市中央区の浜野水門付近と寒川水門付近で、いずれの水門も千葉県が設置し併設した排水機場などとともに操作管理を千葉市に委託している。千葉市は今年度も両水門を含む7カ所の水門の管理業務を契約金額7290万円で東京都港区の会社に外部委託している。浸水が発生した日はチリ中部沖の地震に伴って東京湾内湾などに津波注意報が発令されたという。 これを受けて両水門は自動閉鎖を開始し深夜に閉鎖が完了したが、運悪くこの日は千葉市に大雨・洪水注意報が発令されており、千葉市は早朝にかけて管理会社に現地の状況を確認するよう指示したというのだ。その後朝になると市民から川があふれそうだと通報を受け、管理会社に再度現状を確認するよう指示したという。しかしこの時点で管理会社の社員が現場に向かっていないことが分かったというのだ。都内にある管理会社の社員が指示を受けて2カ所の水門に到着したのは市民からの通報があった後で、現地で水位が上昇しているのを確認していったん両水門を開いたというのだ。その後満潮に向けて下流側の水位が上昇することを見越して浜野水門では水門を閉じて排水機場のポンプを始動したというのだ。 ところが水門付近は停電していたので排水ポンプを始動できず、水門を開いたままにして水が流下するのを待っていたのだが、これらの対応では間に合わず、朝になると水門付近で浸水が発生してしまい。床上浸水と床下浸水を合わせて12棟が浸水し車両11台が水没するといった被害が起こったそうなのだ。千葉県は自動閉鎖後の水門の操作と排水機場のポンプ始動が遅れたことが、浸水発生の主な原因と考えられると指摘している一方、千葉市では管理会社職員の現地到着が遅れた原因などを調査している。この件で千葉葉県は9月に千葉市や有識者を交えた検討会を設置して、10月末から来年3月末までの期間で浸水のメカニズムを明らかにしたうえ再発防止策を検討すると発表したそうなのだ。 水門操作などの遅れが原因とみられる浸水被害を巡っては訴訟に発展したケースもあって、京都市で発生した浸水被害では最大水深が約2mに及ぶ浸水被害が起こったというのだが、この浸水被害に関して管理を委託した会社に7億1千万円の損害補償を請求して現在も係争中だというのだ。京都市の畑川若しくは山科川の水位が上昇し「水位監視水位」になると、「委託管理業者は『水位監視体制』を敷き30 分以内に委託職員1名を本排水機場に派遣し水位監視を行い、現地到着の旨を京都市に報告することになっている。さらに水位が上昇し運転監視水位になると、委託業者は『運転監視体制』を敷き30 分以内に委託職員1 名を本排水機場に追加派遣し合計2 名で運転監視を行う」という管理契約となっているそうなのだ。 その後「委託職員は水位監視時には水位の監視・事故・異常の報告等を行い運転監視時には、水位・運転の監視や事故・異常の報告と排水機場の状態把握・スクリーンの除塵等を行う」という事になっているそうなのだ。この実地検証の中で当日作業に従事していた委託業者の職員が「1号・2号ポンプ」の非常停止ボタンを押したとの供述があり、その非常停止を自動運転に復帰させることができずに、けがと疲労により倒れていたことが今回のポンプ停止の原因であることが明らかとなったというのだ。また本来2名体制で管理を行うところが1名体制であったことから、約4時間にわたりポンプの再稼働ができなかったということなのだが、京都市も今まではそのことを黙認していたという事のようなのだ。
2015年11月10日
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昔ながらの夜汽車の雰囲気が非常に色濃く残っている寝台特急「ブルートレイン」は、鉄道ファンでなくとも知名度の高い言葉なのだが、もはや1列車しか残っておらず「死語」になるかもしれないとさえ言われているのだ。私も久しぶりに旅行に行って東京からの帰りは寝台特急に乗ったのだが、廃止が相次ぐそうした夜行列車の理由としては、車両の老朽化などがよく挙げられるが必ずしもそうとは言えなさそうなのだ。昭和31年11月19日に戦後初の夜行特急「あさかぜ」が東京~博多間で運転を開始したそうなのだ。この「あさかぜ」は登場から2年後の昭和33年10月1日に使用車両を青地に白帯が入った20系客車に変更され、最初の「ブルートレイン」になったというのだ。 山陽新幹線の岡山~博多間が開業する直前の昭和49年10月には、東京発大阪・九州方面行きの定期夜行列車だけで13本が運転されていたというのだ。それが定期的に運転される夜行列車が「サンライズ瀬戸」と「サンライズ出雲」のみになる可能性があるとされており、ちなみに寝台特急でも客車の色が青いなどの要件を満たさないと「ブルートレイン」とは呼ばず、「サンライズ瀬戸」と「サンライズ出雲」は寝台特急「ブルートレイン」とは呼ばれない。なぜそれほど隆盛していた夜行列車がいま風前の灯火なのかというと、鉄道会社が夜行列車を廃止する理由として「夜間に乗務員や駅員を確保することによるコスト等の問題」や「車両運行に必要な乗務員訓練の手間」ことをよく指摘するという。 また「長距離を走るため複数の鉄道会社をまたぐことがあって調整や手間が増える」・「寝台車両を日中も活用することは簡単ではなく、日中は車両を使えず効率が悪い」ことも廃止の理由だとされているのだが、しかしこうした理由は夜行列車の需要が非常に旺盛で収益性も悪くなければ問題にならないものも多いというのだ。夜行列車の廃止は新幹線や航空機などの発達によって移動を目的とした需要が大幅に減少していることが根本にあり、JR各社にこのように発生した諸問題をコストと手間をかけクリアしてまで運行する十分な理由も社会的責務もないとするのが自然なのだ。ところがJR各社は今年の冬の臨時列車について、定期運行されるものがごくわずかしか残っていない夜行列車が、この冬は臨時で追加運転されるというのだ。 今年の11月現在で定期運行されている夜行列車は青森~札幌間の急行「はまなす」と、東京~高松間の寝台特急「サンライズ瀬戸」に、東京~出雲市間の寝台特急「サンライズ出雲」のみとなっているのだ。このうち急行「はまなす」は来年の3月の北海道新幹線開業に伴い廃止される予定となっている。また臨時寝台特急「カシオペア」(上野~札幌)も同じく来年の3月で運行を終了する見込みだという。現在夜行列車で活性化しているのは「ななつ星in九州」や「四季島」といった移動目的ではなく周遊型の列車で、旧来の夜行列車とは存在の仕方が土台から異なる豪華クルーズトレインであることも、移動を目的とした列車ではないということを物語っているかもしれないようなのだ。 先日私が利用したのは唯一頑張っている「寝台特急サンライズ瀬戸号」で、東京と高松の間を結ぶ夜行列車なのだ。東海道本線・山陽本線・宇野線・本四備讃線・予讃線を利用して、横浜・静岡・岡山・児島・坂出経由で結ぶ寝台特急列車なのだ。私の利用したシングルは一人用B寝台個室なのだが、この列車でもっとも主たる個室で1編成に80室あり、定員が80名となっているのだ。「寝台特急サンライズ瀬戸号」には車内販売がないので、乗車前に飲食類は東京駅でたっぷりと仕入れて乗り込んだのだ。特に酒好きの私は車内で酒類の購入はできないことからウィスキーと氷まで購入して乗車したのだ。遅れることも考えておにぎり類を朝食として購入しておいたのだが、岡山駅でうどんを食べて朝食としたのだ。
2015年11月09日
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わが国は国土の7割を森林が占めているとされるが、これはフィンランドやスウェーデンに次いで世界第第3位だといわれている。日本の森林資源は第二次大戦後に荒廃していた森林に約1000万haの人工林が造成されたというのだが、その当時「孫のために」と植林された苗木が50年を経て、本格的な利用期に差しかかっているといわれているのだ。成長を続ける森林は天然資源が乏しいわが国にとっては貴重な資源であるし、毎年の成長量を超えずに利用すれば持続可能な資源でもある。この豊かな森林資源もかつては伐採されすぎ、山が荒廃する状況が続いてきたそうで、飛鳥時代には天武天皇が「伐採禁止の勅」を発令したほどであったとされ、こうした森林の荒廃は明治そして戦後まで続いてきたという。 ただし現在はこれとはまったく逆の状況になってしまっている模様で、間伐などの手入れが行われないことで森林環境が損ねられている。これは林業採算性の悪化から木材が利用されず森林の手入れがされないことで、森林の機能低下を起こしているというのだ。仮に植樹したとしても生育のための環境を整えてあげなければならないが、近年は鹿等の増加が林業の天敵として大きな問題になっているというのだ。九州では適正な頭数の3倍の鹿がいるといわれているそうで、この鹿の増加の原因としては天敵であるオオカミが絶滅したことや、温暖化により冬を過ごしやすくなったことが挙げられている。また天然記念物のカモシカも増えておりこうした動物は苗木や樹皮の下の始原細胞を食べたり身体をこすりつけたりするのだ。 こうなるといくら植林してもやられてしまうのでやがてあきらめて植えなくなり、山は荒廃してしまうというのだ。なぜ若い森林が少ないのかということでは、戦後の住宅が不足していた時代にはとにかく山の木を切って家をたくさん建てないといけない状況にあった。気がつくと山は丸裸になり雨が降ると土砂災害があちこちで起こってしまったので、使う材料を木材から鉄骨あるいはコンクリートに変えていった。また木材を使う場合は外国産材に頼って輸入材が大幅に増加したというのだ。その一方で山にたくさん木を植えていったのだが、そしてやがて植えられる場所には植え終わり新たに植える場所がなくなった。そのためにいまは若い樹齢の森林が少なくなってしまったというのだ。 どう対処すればよいのかということなのだが、建築に使える森林は計画的に伐採し次の世代の樹木を植える場所を造っていかなければならないという事に尽きるそうなのだ。樹木は光合成で二酸化炭素を吸収して酸素を放出する一方で、生物なので当然呼吸もするということは酸素を取り込んで二酸化炭素を排出するということなのだ。光合成によって樹木が取り込む炭素量と呼吸によって吐き出す炭素量では、その差し引いた部分が樹木による炭素の貯蔵量を示すことになる。若い森林では樹木が成長すると炭素の貯蔵量は上がってくるが、あるところまで到達すると炭素の貯蔵機能は落ちて行く。しかも落ちていった枝とか葉っぱによる収支は入っておらず、落ちた枝や葉っぱは腐ると二酸化炭素が排出されるのだ。 つまり樹齢を重ねた樹木だけで構成される森林は炭素貯蔵機能がなくなっていくことになるわけなのだ。ただし植えるには当然お金が必要になるが木材の取引価格は近年大きく低下し、切るところまでがせいぜいで、植えるところまでお金が回っていないのが実情だというのだ。これがいまの林業の現実でこれからは私の所属している建設業でも、森を守っていかなければいけない時代になってきているといわれ始めている。こうした先人がつくってくれた資源をうまく使って山村振興にもつなげていくことが私たちの課題だといえるのだ。水害防止をはじめ森はさまざまな機能を持って下流域の街を守っていたのだが、このままでは森は街を守れなくなっていくと予想されているのだ。
2015年11月08日
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電気通信事業法では「市街地ではおおむね500メートル四方に1台とされ、それ以外の地域ではおおむね1キロ四方に最低1台は設置する」と定められている街頭の公衆電話が減り続けているそうなのだ。携帯電話の普及による利用者減が背景にある一方で、公衆電話には災害時の有効な通信手段として重要な役割を担っている。大規模地震などの発生時には無料で使うことができるうえ通信を遮断されずに通話できる。NTT東日本は「行政などからの要望もあり、非常時のインフラ対策として、できるだけ一定の台数を維持していきたい」と話しているのだが、基礎的通信役務を提供する電気通信事業者に責務として課されているため、設置されている公衆電話は高コストであるといわれている。 NTT東日本などによると公衆電話は全国的に利用者が減っているそうで、固定電話の需要も利用者の減少は売り上げの低下につながってしまい、採算が合わないため公衆電話の撤去が進んでいるそうなのだ。15年前には全国で73万6千台が設置されていたのが、5年前では28万3千台まで減ってしまい、今年の3月末時点では18万3千台まで落ち込んでいるというのだ。急速に設置台数が減っているのは全国どこでも同じで、店舗内に設置しているスーパーでは「高齢者も携帯電話を持つようになり、ほとんど使われていない」と話しているという。それでも利用者からは「昔は駅に必ずあったのにないところが多い。携帯がとまった時に便利だ」という声も聞かれているのだ。 公衆電話は電気通信事業法施行規則第14条に定める基準に則って設置されており、最近の国勢調査の結果による人口集中地区においてはおおむね500メートル四方に1台設置されていないというのだが、私も先日公衆電話を利用したのだが駅の構内でもやっと見つけたというくらいに少なくなっているのだ。一般的に公衆電話は鉄道駅構内・市役所や公立病院等の公共施設・市街地大通りの電話ボックス・空港・大規模な宿泊施設などに設置されている場合が多いが、ほとんどの事業者では設置場所を公表していないことから、利用者が容易に設置位置を知ることができない状態にあるうえ、携帯電話等の普及によって次第に設置数が減少してしまっているのが実情なのだ。 NTT東日本は「駅や公共施設・病院・ホテルなどでは設置を維持するよう努めている」と説明する一方で、従来は電話機窃盗防止などの理由から設置情報を公開しなかったが、設置場所公開に踏み切るというのだ。その背景には東日本大震災ばかりではなく常総市の浸水被害等の発生直後に電話回線が輻輳し、都市部では地震直後に災害時でも繋がりやすい公衆電話の前に行列ができたことで利用が急増し、公衆電話の重要性が改めて世間一般に再認識されたということがあるというのだ。多くの自治体でも防災訓練に公衆電話を利用するなど、これを踏まえて情報通信審議会の委員会は、公衆電話の設置情報公開を求める報告書をまとめ設置場所公開に踏み切ったそうなのだ。 私の住んでいる愛媛県は災害時の避難所になる公共施設特に学校には常設してほしいとしており、災害時の帰宅困難者や避難者対策として市町村に避難所に「特設公衆電話」を設置するよう勧めている。災害時には無料で使うことができるとともに優先的につながるうえ、回線の引き込みもNTTが負担してくれるというのだ。防災担当者も「特設公衆電話を知らない市町村がある。必要とされる公衆電話は設置・維持してほしい」と、市町村の防災担当者会議などを通じて市町村に呼び掛けているという。ただし公衆電話は1台当たりの維持費が月約4千円程度で1カ月当たりの利用者の通話料が4千円を下回ると取り外しの対象となることから、NTTの衆電話の事業赤字は約83億円に上るとさえいわれているのだ。
2015年11月07日
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安倍晋三首相はイージス駆逐艦が南シナ海のスプラトリー諸島で中国が埋め立てた人工島から12カイリの海域内を米海軍のイージス駆逐艦が航行したことについて記者団の質問に関して「国際法にのっとった行動だと理解している」と述べ支持する意向を表明した。安倍首相は南シナ海での中国の行動について「現状変更して緊張を高める一方的な行動は、国際社会の共通の懸念だ」との認識を強調し、「開かれた自由で平和な海を守るため、同盟国である米国をはじめ、国際社会と連携していく考えだ」と語ったそうなのだ。またアメリカのカーター国防長官が議会で証言しアメリカ海軍の艦船が南シナ海の中国の人工島から12カイリの海域内に入る作戦を今後も数週間から数カ月継続すると明らかにしたそうなのだ。 米海軍のイージス駆逐艦が南シナ海の南沙諸島で「航行の自由」作戦を実施したことに合わせ、海上自衛隊の護衛艦と米海軍の空母部隊が南シナ海で共同訓練を実施することが分かったというのだ。緊密な日米同盟をアピールし中国をけん制する狙いとみられるが、今まででも海上自衛隊が米海軍とインド海軍がインド洋で実施した共同訓練「マラバール」に護衛艦「ふゆづき」を参加させているのだ。その後に護衛艦「ふゆづき」と米空母「セオドア・ルーズベルト」の部隊はシンガポールのチャンギ港に寄港した。防衛省によると護衛艦と米空母部隊は南シナ海の南側をボルネオ島北方付近に航行し、その際に通信訓練や米兵と自衛隊員による艦船乗り換えなどの共同訓練を実施したそうなのだ。 オバマ大統領の行為に韓国の関係者は「わが国の輸出の30%と石油輸入の90%が南シナ海を通っており、この地域での紛争は望ましくない」と指摘したうえで、「国際的に確立された規範にのっとり、平和的な紛争解決をしなければならないという立場をこれまでも明らかにしている。我々がこれ以上踏み込んだ立場を表明することは適切ではない」とし、新たに対応する必要はないとの考えを強調したそうなのだ。米韓関係に詳しい峨山政策研究院の崔剛副院長は「航行の自由による恩恵を受ける国として韓国も何らかの寄与する立場表明はすべきだというのが米国の立場だ。韓国は中国とも米国とも良い関係を維持しなければならない。朴政権の間はずっとジレンマが続くだろう」と見ているそうなのだ。 米国は中国と軍事衝突することを恐れていないことから、中国が譲歩するまで一歩も引くことなく主張を押し通そうとするみたいだとされている。米国は水面下で中国と協議することはしないことを米中首脳会談で示したわけで、これは中国が求めている新型大国関係を否定したのと同義だとされることから、習近平国家主席のメンツが丸つぶれになったともいわれている。米国防総省は5月ごろから実力行使を主張していたそうなのだが、軍事行動に訴えたくないオバマ大統領が決断を留保していたというのだ。もし米艦に被害を与えることがあれば米国は自衛権を発動して一層多くの部隊を南シナ海に派遣するだろうし、中国海軍がこれを阻止しようとすれば最悪の場合軍事衝突になってしまう危険性もあるというのだ。 我が国の護衛艦は今回の日米合同演習任務では南沙諸島における、中国が埋め立てた人工島から遠く離れた場所を航行するため12カイリ内に入ることはないが、将来的な自衛隊の南シナ海での警戒監視活動を念頭に置いた訓練の可能性があり、護衛艦「ふゆづき」は任務完了後の来月に帰国する予定だとされている。海自部隊が洋上訓練やソマリア沖・アデン湾での海賊対策に向かう際に南シナ海を航行する場合はあるし、各地で訓練に参加した海上自衛隊と米海軍が母国へ戻る途中で共同訓練することも少なくないというのだ。南シナ海ではアメリカと中国という世界の2大大国の間で、このような劇的な安全保障ドラマが展開されているそうなのだが、われわれは今後も注視していかなければならないみたいなのだ。
2015年11月06日
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千葉市中央区で今年9月に2カ所の水門付近で浸水被害が発生した問題で、水門などの操作を担当する管理会社が市の指示を受けてから現場に到着するまで、1時間以上かかっていたことが分かったというのだ。浸水被害は水門などの操作の遅れが浸水発生の原因とみられており、管理会社の責任が問われる可能性がある。浸水が起こったのは千葉市中央区の浜野水門付近と寒川水門付近で、いずれの水門も千葉県が設置し併設した排水機場などとともに操作管理を千葉市に委託している。千葉市は今年度も両水門を含む7カ所の水門の管理業務を契約金額7290万円で東京都港区の会社に外部委託している。浸水が発生した日はチリ中部沖の地震に伴って東京湾内湾などに津波注意報が発令されたという。 これを受けて両水門は自動閉鎖を開始し深夜に閉鎖が完了したが、運悪くこの日は千葉市に大雨・洪水注意報が発令されており、千葉市は早朝にかけて管理会社に現地の状況を確認するよう指示したというのだ。その後朝になると市民から川があふれそうだと通報を受け、管理会社に再度現状を確認するよう指示したという。しかしこの時点で管理会社の社員が現場に向かっていないことが分かったというのだ。都内にある管理会社の社員が指示を受けて2カ所の水門に到着したのは市民からの通報があった後で、現地で水位が上昇しているのを確認していったん両水門を開いたというのだ。その後満潮に向けて下流側の水位が上昇することを見越して浜野水門では水門を閉じて排水機場のポンプを始動したというのだ。 ところが水門付近は停電していたので排水ポンプを始動できず、水門を開いたままにして水が流下するのを待っていたのだが、これらの対応では間に合わず、朝になると水門付近で浸水が発生してしまい。床上浸水と床下浸水を合わせて12棟が浸水し車両11台が水没するといった被害が起こったそうなのだ。千葉県は自動閉鎖後の水門の操作と排水機場のポンプ始動が遅れたことが、浸水発生の主な原因と考えられると指摘している一方、千葉市では管理会社職員の現地到着が遅れた原因などを調査している。この件で千葉葉県は9月に千葉市や有識者を交えた検討会を設置して、10月末から来年3月末までの期間で浸水のメカニズムを明らかにしたうえ再発防止策を検討すると発表したそうなのだ。 水門操作などの遅れが原因とみられる浸水被害を巡っては訴訟に発展したケースもあって、京都市で発生した浸水被害では最大水深が約2mに及ぶ浸水被害が起こったというのだが、この浸水被害に関して管理を委託した会社に7億1千万円の損害補償を請求して現在も係争中だというのだ。京都市の畑川若しくは山科川の水位が上昇し「水位監視水位」になると、「委託管理業者は『水位監視体制』を敷き30 分以内に委託職員1名を本排水機場に派遣し水位監視を行い、現地到着の旨を京都市に報告することになっている。さらに水位が上昇し運転監視水位になると、委託業者は『運転監視体制』を敷き30 分以内に委託職員1 名を本排水機場に追加派遣し合計2 名で運転監視を行う」という管理契約となっているそうなのだ。 その後「委託職員は水位監視時には水位の監視・事故・異常の報告等を行い運転監視時には、水位・運転の監視や事故・異常の報告と排水機場の状態把握・スクリーンの除塵等を行う」という事になっているそうなのだ。この実地検証の中で当日作業に従事していた委託業者の職員が「1号・2号ポンプ」の非常停止ボタンを押したとの供述があり、その非常停止を自動運転に復帰させることができずに、けがと疲労により倒れていたことが今回のポンプ停止の原因であることが明らかとなったというのだ。また本来2名体制で管理を行うところが1名体制であったことから、約4時間にわたりポンプの再稼働ができなかったということなのだが、京都市も今まではそのことを黙認していたという事のようなのだ。
2015年11月05日
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私は建設業に従事している関係で「技能と技術」ということをよく若い衆に行っているのだが、ITCに面白い記事が載っていた。建設業に関係のない寿司を握るという技能のことで、寿司職人として一人前になるためには「飯炊き3年、握り8年」の修行が必要、などという話なのだがホリエモンこと堀江貴文氏がツイッターで、問題なのは職人としてのセンスであって「何年も修行するのはバカだ」と切り捨てたというのだ。「今時、イケてる寿司屋はそんな悠長な修行しねーよ。センスの方が大事」とつぶやいたところ、フォロアーから「ご飯を炊く時の水分調節やシャリを握るのはそう簡単に会得できるものではない」と意見されたそうで、それに対して「そんな事覚えんのに何年もかかる奴が馬鹿って事だよ」と返したというのだ。 ホリエモンは自分が発信している「ホリエモンチャンネル」で、コロンビアに寿司店を出したいという男性からの相談に、寿司職人について「長い期間の修行や苦労によって手に入れたものは価値があるというのは偏見であり、寿司職人の修行というのは若手を安月給でこき使うための戯言に過ぎない」と語っている。また別のところでも「寿司職人になるには10年くらいかかると言われてきたけれど、半年くらいでプロを育成する専門学校も出来ている。長い期間修業が必要なのは『1年間ずっと皿洗いしていろ』などと寿司作りを教えないから、今は独学で寿司を出したり短期養成の専門学校に行ったりして、寿司職人になる人が増えている。問題は寿司を作る人のセンスだ」などと語ったそうなのだ。 これに対して「寿司は日本の伝統食であり、美食の象徴でもあります。やはり一流を目指すとなると、現在第一線で活躍する巨匠たちの辿ってきた道、つまり『飯炊き3年、握り8年』を実践するのが一番確かな道です」と反論した。今回のホリエモンはこの記事に対する再反論というわけだが、「寿司職人になるためには修行をするのはナンセンスで、料理学校に数か月間通えばなれるし、自己流でやっている人もいる」というのだが、こうしたやり取りに「ホリエモンのほうが正論。目で見て盗めとか日本の精神文化はおかしすぎる」という賛成意見から、「飯炊き3年握り8年とはそれだけ場数を踏まないといけない事を表した表現であり、それだけやったからOKってわけでもない」といった様々な意見が出たそうなのだ。 大阪が本社の「3ヶ月で江戸前寿司の職人になる」と看板を掲げた専門学校に話を聞くと、「授業は厳しいですが、3か月で海外に店舗を出した生徒さんもいるなど、短期間で寿司作りから経営まで学ぶことはできます」と説明していた。そこで「10年以上も修行する人と3か月で店を出せる人の違いは何なのか」と質問してみると、「海外での寿司屋の需要はものすごくあります。ヘルシー&エキゾチックな料理として多くの国で既にメジャーですし、まだ食べたことない人にとっても知名度は抜群。寿司職人は、ビザがきびしいことで有名な欧州の国々でも、比較的容易にビザがとれるほどです。そして、海外で働く寿司職人になるために必要なスキルは、高級江戸前寿司を握るスキルではありません」という答えが返ってきた。 また海外で寿司を握っている人と話を出して「日本ではとてもお客様に出せないようなネタしか手に入らないこともある。せっかくいいネタが入ってもお客様に『チリソースを出してくれ』と言われることもある。そんな環境でもできる範囲でお客様が喜ぶような寿司を出すのが仕事です」ということだった。そのために必要な技術は「10年の修行」ではなく、最低限の寿司職人としての技術と、今できる最善のことを実行する気持ちなのだということのようなのだ。たしかに技能を学ぶならセンスがあれば上達はするだろうが、歴史や文化はそういったセンスだけじゃどうにもならないし、独学や数ヶ月で形にしたとしてもお客さんへの心遣いおもてなしの考え方なんかは数ヶ月じゃ絶対育たないということはわかってないようなのだ。
2015年11月04日
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歩行者にとって自転車はたとえスピードを出していなくても危険極まりない存在で、交通問題に詳しい大阪大大学院工学研究科の都市交通計画教授は「自転車は『歩道の暴君、車道の弱者』と言われる」と指摘する。この「暴君」の部分の解消を目指した内容を盛り込んで昨年12月に改正道交法が施行されたのだ。「自転車マナーが悪い」との評判をどうすれば払拭できるのかということに専門家は、「危険行為」の摘発に罰則が伴うことを「損得勘定」に訴えれば事故抑止やマナー改善につながるのではと指摘する声も上がっている。先月の初めに大阪市内のある交差点で直進する自転車と、脇道から出てきた自転車が出合い頭にぶつかりそうになったのだが、双方とも急ブレーキとともにハンドルを切って事故は免れたという。 通勤・通学の自転車が歩道や車道に関係なく平然と行き交う光景は私の住んでいる松山市でもおなじみなのだが、事故寸前になった大阪の光景はもはや日常の風景といえるようだ。悪質な自転車運転者に対し安全講習を義務づける改正道交法が今年の6月に施行されて以降、講習の対象となる「危険行為」の摘発数は現在で、都道府県別で大阪が1171件と全国最多であることが大阪府警への取材で分かった。全国の摘発総数である3894件の3割を占めているそうなのだが、2位以下は東京都が1029件で兵庫364件・神奈川310件などとなっているそうなのだ。東京都と大阪府は僅差だが人口は大阪府の約860万人に対し・東京都が約1330万人ということから、大阪の自転車マナーの悪さが浮かび上がった形だ。 改正道交法では自転車による信号無視やブレーキ不良など14類型の危険行為を規定し、危険行為を2回以上繰り返すなどした場合には、公安委員会から安全講習を受講するよう命令されるそうなのだ。摘発される内訳は信号無視が最多で、遮断棒が下りた踏切への立ち入りにブレーキ不良などが続いているという。大阪ではおばちゃん御用達とされる傘スタンド「さすべえ」を使って走行中に歩行者と接触し負傷させ摘発されたケースもあったという。その大阪では男性会社員が全国で初めて公安委員会から安全講習を受講したそうなのだが、さらに男性2人が講習対象となっているそうなのだ。私の住む愛媛県も含め他の都道府県では9月末現在では講習対象者はいないそうなのだ。 この件で大阪府警自転車対策室は「事故抑止のため積極的に街頭で取り締まりを行い、摘発件数が多くなった」と分析している。また大阪府内の自転車事故は他の都道府県と比べても多いそうで、今年の9月の統計では大阪府内で8962件の事故があって、死者の数はなんと42人だというのだ。9月末時点の全国データはまだ集計中だが、事故数・死者数ともに全国ワーストであることに間違いないそうなのだ。私の住んでいる松山市は自転車を利用する市民が多いそうで、通勤・通学に自転車を使う市民の割合は高く、4人に1人以上が電車やマイカーでなく自転車を使うとの結果だった。松山市役所の担当者は「住居と勤務地が近い上に市内は道も平坦で、マイカーだと渋滞も多く自転車が好まれるのでは」と分析していた。 世界の主要都市で実施した通勤・通学に自転車を使う市民の割合調査と比較すると、日本で一番自転車の利用率の高い大阪市は、1位のデンマーク・コペンハーゲンに次ぐ2位に該当するそうで、3割近くの人が自転車を利用して通勤・通学を行っているというのだ。もっとも自転車利用者が多いとはいえ事故の多発やマナーの悪さが許されるわけではなく、自転車摘発のさらなる強化の必要性が大阪の場合指摘されているそうなのだ。ある大学の教授は車のドライバーの場合にはスピード違反や信号無視など交通違反によって得られる時間短縮などの利益と、罰則による損失とを無意識にてんびんにかけるという。実際に罰金や免停がある車の交通違反は大阪市が特段多いわけではないということのようなのだ。
2015年11月03日
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「口で言っても聞かないなら実力を行使する」という方針だということなのだが、米海軍のイージス駆逐艦が南シナ海のスプラトリー諸島で中国が埋め立てた人工島から12カイリの海域内を航行したことについて、中国外務省の陸慷報道局長は定例会見で、「国連海洋法条約などの国際法と中国の関連する法律に違反した」と改めて批判した。ロイター通信によると、イージス駆逐艦「ラッセン」はベトナムやフィリピンが領有権を主張する岩礁の12カイリ内にも進入しており、特定の国に肩入れしない「中立性」を強調する行動とみられている。これに対し中国外務省の陸慷報道局長は「自らの行動を米国がどう説明しようと、それは彼らの事情だ」と米国の説明を突っぱねたそうなのだ。 中国外務省の陸慷報道局長は今回の「航行の自由」作戦が国際法などにどう違反するかについては言及しなかったが、国連海洋法条約では他国の領海内でも安全を害さない「無害通航」であれば軍艦を含む艦船の航行を認めている。しかし中国が1992年にかってに制定した領海法では他国の軍艦が、中国のいう領海内を航行する場合には中国政府の許可を得るよう義務づけている。また中国は南シナ海のほぼ全域を9本の破線で囲った「九段線」の範囲内に主権と権益が及ぶと主張しており、中国外務省の陸慷報道局長の発言はこうした立場に基づいたものとみられている。また北京の外交当局者によると米国のハリス太平洋軍司令官が訪中し中国軍幹部と会談するという。 米国のハリス太平洋軍司令官の訪中は米艦船の進入前から計画されており、米中の軍幹部が軍事交流や南シナ海情勢で意見を交換する見通しだという。さらにロイター通信によると米国防総省当局者はイージス駆逐艦「ラッセン」が作戦に先立ち数週間にわたって中国艦船から追跡されていたことを明らかにした。一方で別の米国防総省当局者は、イージス駆逐艦「ラッセン」が人工島の一つのスービ礁付近に近づく際に無線で、中国艦船と交信していたと説明しているそうで、人工島の12カイリ以内に入った後も中国艦船は極度に接近して追跡するような行動を取らなかったという。米国は作戦の「中立性」を強調しているが中国は主張を受け入れない構えを鮮明にしているそうなのだ。 南沙諸島最大の太平島と東沙諸島を実効支配する台湾では、国防部幹部が記者会見で「米国の巡航は通常活動。台湾軍は南シナ海の海空域での活動を掌握できている」などと述べるにとどめ米国と中国の双方に配慮を示したというのだ。台湾にとって米国は安全保障を含め事実上最大の後ろ盾なのだが、その一方で馬政権は対中融和路線で中台関係改善を進めてきただけに、中国への刺激も避けたいところで慎重に情勢を見極めている模様だという。 フィリピン軍が拠点を置くセカンドトーマス礁は中国艦船が巡回しているため補給活動すら困難になっていることから、ガズミン比国防相はフィリピンを訪問したハリス米太平洋軍司令官にこの海域への哨戒機派遣を求めており、フィリピンなどは支持を鮮明にしている。 大半の東南アジア諸国連合加盟国にとって最大の貿易国である中国との対立は避けたいのが本音で、中国から多額の経済援助を受けるカンボジアやラオスは「親中派」とされる。タイも昨年のクーデター後に軍事政権に理解を示す中国と親密で、カンボジアの外交官は「我々はASEANと中国の対話による平和的解決を望んでいる」と語り、米国の介入に否定的な反応を示したそうなのだ。韓国外務省報道官は米軍による「航行の自由」作戦実施について「事実関係を確認中」と述べるにとどめた。メディアや識者からは踏み込んだ立場表明をすべきだとの指摘が出ているが、韓国政府は北朝鮮問題などでの協力が必要として中国を刺激したくないのが本音だとされている。
2015年11月02日
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これから増加してくると予想されている中大規模建築物の木造化にとって、断面が大きくなると技術的な課題がいくつか浮かび上がってくるというのだが、そもそも樹木はどのように育つというと樹木は幹の先端に頂端分裂細胞というのがあって、これが細胞分裂することによって上にせり上がるような形で成長していくそうなのだ。なかには横に出てくるのがいてそれが枝をつくるというのだ。また頂端分裂細胞から分化した始原細胞は樹皮のすぐ下にあり、細胞分裂して内側に幹の部分を残しながら自分自身は外側に押し出され幹は肥大成長していく。実は木材の生きている部分というのは山に立っているときも基本的にはこの始原細胞だけだといわれており、私たちが建築資材として使っている木材は生きてはいないというのだ。 それで建物に使った木材が成長することも枝が出てくることもないのだ。樹木が成長するための栄養源はどこから得ているのかというと、地面から栄養を取って成長していると解説されているのを聞いたことがあるが、基本的には空気中の二酸化炭素を取りこんで光合成して有機化合物を作り出し成長しているのだ。つまり光がどう当たるかで木材の成長は随分と変わってくるという事に他ならないのだ。樹木は周りの草花と光の獲得競争をしながら成長するのだが、樹高が低いときは周りの草花のほうが成長は早いので、人間が草花を刈るなどの処理を施さないと順調な成長は望めないのだ。しかしやがて成長すると複数の樹木が足元に陰をつくるようになり他の植物はあまり成長できなくなる。 こうなると樹木自身の下方にもあまり光が当たらなくなって、下の葉には太陽光が届かなくなって光合成ができなくなり、光合成のできない葉を支えている枝も役割を終えて勝手に落ちていくそうなのだ。したがって茂った森に足を踏み入れるとある高さから下には枝がなくなり、その高さに枝があるときに成長していった幹を樹冠材というそうなのだ。一方枝が落ちた後に成長していった部分を枝下材というのだが、枝下材だけから取ればまったく節がない木材が取れることになり、一般的に多くの建築家はこうした枝下材を使いたいという。しかしこうした材料を取るには相当の時間と手間をかけて育てなければいけなくなる。木の真ん中から構造材を取ってもまだ周りが残っており、その部分から取った板には枝が入っていないというのだ。 樹木の成長に影響する因子は様々で、50年経てば必ずスギは30cm径まで育つかといえばそうではなく、ある程度樹木が乱立して混みあっている森では当然ながら成長するのが早い樹木と遅い樹木があって、成長が遅いと光が当たらないので自然淘汰されるというのだ。上に向けて周辺の樹木より早く成長しないと光が獲得できないので負けてしまうように、環境にマッチしたものだけが生き残り結果的に径が細く背が高い樹木で森林は構成されていく。こうした森林では細くて背が高い木しか取れないしさらに樹木が込み合えば根は広く張れないため、風に弱く雪の重さで折れてしまうというのだ。よって適正な太さの材料を手に入れるためには適正に間引くことによって1本の樹木に当たる光の量を調整することが大事になる。これがいわゆる間伐なのだが間伐を行うことで地面に光が当たるようになると、そこにまた次の植物が育ってくるわけで森の環境を守るためにも間伐は欠かせないのだ。また森林はいろいろな機能を持っているが、土砂災害防止あるいは森林涵養といった下流域の街を守る防災・減災機能を果たすにも間伐作業は必要になるのだ。間引いた木をどう使っていくのかという点についても責任を持たなければならず、齢級ごとの森林面積を示した地図等を見ると10齢級前後は多いのだが、それより若い1~7齢級がかなり少ないというのだ。将来を考えるとこれはよくないこととされており、つまり樹齢を重ねた樹木だけで構成される森林は炭素貯蔵機能がなくなっているといわれているのだ。
2015年11月01日
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