全31件 (31件中 1-31件目)
1
ハチ特にスズメバチは「国内で最も危険な生物」といえるそうで、厚生労働省の人口動態調査によると一昨年にハチに刺されて亡くなった人は24人で、クマなどの大型哺乳動物によるけがで亡くなった11人を大きく上回っているというのだ。ちなみにマムシ等の毒蛇に咬まれて死亡した人なのだが、年間10人ほどの人が毒牙にかかって死亡しているそうなのだ。「有毒動植物との接触」という死因のなかでハチによる死は毒蛇よりも多く堂々のトップなのだ。明らかにヒグマよりハチのほうが人をたくさん殺しているが、それはヒグマに出会うことが滅多にないからだといわれている。最盛期過ぎたものの紅葉狩りなど行楽で野山に出かける機会は今後も増えることから注意が必要だといわれているのだ。 そのスズメバチの被害なのだが対馬市の郊外では白い防護服と手袋を身につけた2人の駆除業者が高所作業車のリフトに乗り、高さ約15メートルの電柱にできた直径約50センチの巣に近づきノズルを差し込んで殺虫剤を噴射して、巣から出てきた100匹余のツマアカスズメバチに囲まれながら巣をはぎ取りポリ袋に入れるという作業をしている映像が、TVのニュースで紹介されていたのだ。約15分で作業を終えた作業員は「作業車が使えると楽だが、木に登るときは1~2時間かかり本当に大変」と語っていた。対馬島内にある豊玉高校の事務長は今年の7月に校舎4階にある図書室の窓の外にできたバレーボール大の巣に、「こんな高いところにもスズメバチの蜂の巣ができるなんて」と驚いたという。 豊玉高校の事務長は「生徒が窓を開けていたら、と思うとゾッとする」ということで翌日には駆除してもらったそうなのだが、民家の軒下や生け垣などに作った巣に気づかず巣を守ろうと気の荒くなったスズメバチに追われる被害もでており、九州地方をでは住民からの駆除要請件数が昨年より3割以上増えた自治体もあるというのだ。ハチに刺されると痛みと腫れが起こりハチ毒に過敏な人はショック状態を起こしてしまうとされており、スズメバチは黒い色に反応し威嚇する場合には「カチカチ」という音を鳴らすそうなのだ。今までは被害が報告されるのはオオスズメバチとキイロスズメバチがほとんどで、死亡事例の大半が急激で過剰な免疫反応による「アレルギー性ショック死」といわれている。 一匹に刺されてもショック状態になったり呼吸停止を起こしたりして死亡することがあるのだが、勘違いされているのはハチに2回刺されたら確実に「アナフィラキシーショック」が起こると思われている事で、何度か刺されると「アナフィラキシーショック」を起こすだろうが二回目だからと起こる確率は低いそうなのだ。住環境の中で巣を見つけたら刺激しないで自治体に相談するのが賢明で、駆除サービスを行っている自治体は多いそうなのだ。私の住んでいる松山市でも依頼者が1500円を負担すると、松山市が契約している業者に依頼し駆除してもらっているそうなのだ。新しい問題として今年の夏に本土で初めて北九州市で確認された外来種のツマアカスズメバチは、3年前に見つかった長崎県対馬市では全域に広がったそうなのだ。 校舎やアパートの上層階にも巣を作って養蜂にも打撃を与えているが、これ以上の拡大を食い止められるのかは水際での取り組みが続いているという。環境省九州地方環境事務所はツマアカスズメバチの巣が見つかった下水処理場から約500メートル離れた小倉北区内の公園を調査したそうなのだが、双眼鏡で巣や個体がないかを確認した野生生物課企画官は「目視した限りでは確認できなかった。まだ侵入の初期段階だと思う」と述べ、木々にはツマアカスズメバチをおびき寄せる誘引剤入りのペットボトル製のわなを仕掛けていた。門司で見つかったツマアカスズメバチは腹部のオレンジ色の部分が韓国のハチに似ているため、「北九州や下関へのフェリーやコンテナ航路がある釜山から侵入した可能性が高い」そうなのだ。
2015年10月31日
コメント(0)
商魂たくましい日本人はハロウィンでも成功したいようなのだが、バレンタインに始まって今がハロウィンなら次はイースターかなという事も言われているそうなのだ。特にある居酒屋チェーンのでは秋の収穫をお祝いするハロウィンにぴったりなフードとして、フライドポテトとケチャップの取り合わせが絶妙な「ヴァンパイアポテト」や、かぼちゃの種をまぶした衣とパンプキンソースの相性抜群の「パンプキンチキン」ひ、手羽先に甘辛タレをたっぷりかけた「おばけ TEBA」の3メニューが販売開始されているそうなのだ。ここ数年日本でも急速に盛り上がってきているハロウィンなのだが、日本では仮装がメインのイベントになっているが本場アメリカのハロウィンは仮装だけでなくホームパーティーが盛んに行われるそうなのだ。 この「ハロウィンパティー」時に振る舞われるハロウィンフードは、パンプキンパイなどの伝統的な料理に加え見た目がグロテスクなホラーフードを用意するのが一般的だという。日本ではハロウィンフードというとオバケやカボチャのかたちのお菓子など子供向けのかわいらしいものが主流だが、アメリカでは手の形に焼き上げて赤いソースで血みどろの手を表現したミートローフや、アーモンドの爪をつけた指クッキーにイモ虫型のグミがにょろにょろと飛び出しているチョコレートケーキなど、「グロくて怖い、気持ち悪い料理」が楽しまれているそうなのだ。また スーパーで売られている子供向きのハロウィン菓子も、血まみれの脳みそや目玉など大人でも怯むほどリアルなお菓子が人気だというのだ。 こうなると日本との文化の違いに驚かされるのだが、もともとハロウィンのホラーフードは魔物へのおもてなしから始まったそうなのだ。ハロウィンは古代アイルランドのケルト文化の祭りが起源といわれているのだが、古代ケルトでは10月31日に死者の魂が帰ってくると考えられ、この時に死者だけでなく魔物もやってきて生きている人間をあの世に連れて行こうとするので、死者や魔物の姿に化けて身を守り魔物をご馳走でもてなして、すみやかに帰ってもらおうというのが仮装や菓子配りの由来だというのだ。魔物が好みそうな料理ということからアメリカではホラーフードという方向に進化していったのかもしれないが、ハロウィンフードというと「ユニバーサルスタジオ・ジャパン」の料理類が今は人気だといわれている。 ところで実は日本はグロくて怖い「ホラーフード」作りにとても向いているそうで、その理由のひとつは「ホラーフードづくりに重要な色食材が豊富」だという事のようなのだ。ホラーフードにはハロウィンカラーの黒や紫・オレンジのほか、血色の赤など食欲が出ないといわれる色の代表である青色や、緑色などを使うとムードが出るとされている。こうした色が人工着色料を使わずとも日本では簡単に手に入る天然食材でヘルシーに表現できるというのだ。着色料として使える食材の一例としては、黒なら食用竹炭パウダー・黒練りごま・イカ墨が使えるし、赤なら食紅だけでなく赤紫蘇や梅酢も使えそうだというのだ。オレンジはにんじんパウダーにかぼちゃパウダーでも簡単に使用できるというのだ。 次にグロくて怖い「ホラーフード」をかざるアイテムなのだが、100円ショップが充実していることから豊富にそろえられるというのだ。例えば100円ショップで売られている丸い氷をつくる製氷器を使えば、目玉型のゼリーは簡単につくれるし、100円ショップのお面にラップでカバーをして生ハムで覆えばちょっとホラーなひと皿になるといった具合だというのだ。そのうえキャラ弁で培った表現力は日本人の得意分野で、もともと日本料理や和菓子は何かのかたちそっくりに模した食べものをつくって季節を楽しむという習慣があったというのだ。さらに最近ではキャラ弁などで一般家庭でも腕が鍛えられており、その技術をネットで簡単に検索できるところもホラーフードづくりに向いている土壌といえるそうなのだ。
2015年10月30日
コメント(0)
厚生労働省が発表した就労条件総合調査によると、昨年に民間企業で働く労働者が取得した年次有給休暇の割合は47.3%となり、前年から1.5ポイント低下したそうなのだ。政府は2020年までに取得率を70%に引き上げる目標を掲げているが、今までずっと50%にも届かない状態が続いているというのだ。また日本の1人あたり平均労働時間は「週休2日制」が段階的に導入された1990年代に短縮が進んだものの、30代男性の2割近くが近年でも週60時間以上働いているなど長時間労働の問題は依然解決していないとされ、「週休2日制」は平均的日本人の休日を増やした一方で、長時間労働の削減に効果があったかといえばそう簡単には結論付けられないというのだ。 厚生労働省は来年の4月から社員に年5日分の有給休暇を取得させる義務を企業に課す方針だとされているが、次の通常国会に労働基準法改正案を提出する方向で調整を進めているというのだ。新しい仕組みでは年10日以上の年休を付与されるフルタイム社員のほか一部のパートタイム社員に年5日分の有休を取らせることを企業の義務とする。目指している姿は事実上の有休消化義務が企業側にあり取得率も 100%に近い欧州諸国だという。現行の有給休暇制度は6年半以上働けば年20日が付与される仕組みだが問題は実際の取得率にあるというのだ。昨年の厚生労働省『就労条件総合調査』によると、労働者の有休取得率は 48.8%で1人平均の取得日数は 9.0日にとどまる。 そこで今回の政策であるが企業で働いているこれまで全く休めなかった者にとって、年5日分の有給休暇を取得させる義務を企業に課す朗報だろう。変わって職場風土のために有休を「取りにくかった」人の場合はどうかというと、これまで「休みにくかった」社員が休みやすくなるには法律の仕組みだけでは足りず、ひとえに企業の運用にかかっている。例えば企業によっては夏休み・年末年始・GWなどの休暇時期に合わせる形で「5日分」の取得促進を図るケースも考えられる。その場合でも大型連休は実現しやすくなるかもしれないが、社員が「休みやすくなった」と感じるかには疑問が残るというのだ。これは「特別な時期」を除けば「休みにくい」ことには何ら変わりがないからだとされているのだ。 職場風土の改革は今後も取り組む必要のある課題で、もっというならば成果で管理されることも多い専門職や管理職などでは、ただ「休みを取らされる」だけだと良い面ばかりではない。休んだ翌日にその分業務が積み上がるならば休日はそう嬉しく過ごせないのだ。場合によっては自宅で仕事をすることにもなりかねないことになると、社員の満足にも寄与せず逆にモチベーションを下げることさえもありえるというのだ。それでも社員に年5日分の有給休暇を取得させる義務を企業に課す新しい仕組みによって、有休をこれまで全く取れなかった者やサービス業や中小企業で働く者の取得がすすみ、平均的に見れば取得率70%という政府目標に近づくかもしれないという期待はあるというのだ。 ただ多くの問題をクリアするには「仕組み」を入れただけでは十分でなく、今後の企業の運用にかかっていると言えそうだ。今回の有給取得の義務化という政策は働きすぎ防止策の一環として労働者の健康確保のほか、休み方改革による仕事と生活の調和と生産性向上までを狙うというのだが、有給休暇の取得を義務化しても結局は他の日に沢山働くようになるのであまり意味がないといえるだろう。労働時間を減らし過労を減らすには労働時間に上限を設ける以外に方法はないということのようなのだ。もっとも政府は前の国会での悪法との批判が強かった労働基準法改正案の成立を断念したことから、そのため有給休暇の消化の義務化は行われない見込みとなってそうなのだ。
2015年10月29日
コメント(0)
厚生労働省が発表した就労条件総合調査によると、昨年に民間企業で働く労働者が取得した年次有給休暇の割合は47.3%となり、前年から1.5ポイント低下したそうなのだ。政府は2020年までに取得率を70%に引き上げる目標を掲げているが、今までずっと50%にも届かない状態が続いているというのだ。労働者1人当たりに与えられた有給休暇の日数は平均18.5日と前年と同じだったが、実際に取得した日数は8.8日と0.2日減少したそうで、景気の回復で仕事が忙しくなり休暇を取得しにくい環境になったことが原因とみられている。医療法人や協同組合など民間企業以外の法人も含めた取得率は47.6%で、与えられた有給休暇の日数は平均18.4日ながら実際の取得日数は8.8日だったそうなのだ。 厚生労働省は2016年4月から社員に年5日分の有給休暇を取得させる義務を企業に課す方針だとされているが、次の通常国会に労働基準法改正案を提出する方向で調整を進めているというのだ。新しい仕組みでは年10日以上の年休を付与されるフルタイム社員のほか一部のパートタイム社員に年5日分の有休を取らせることを企業の義務とする。これまでのように社員が既に5日以上の有休を取得している場合には企業の義務は発生しないわけで、例えば社員が自ら2日の有休を取得している場合に、年5日に満たない部3日分を取得させる義務を企業側が負う仕組みだ。なぜ社員の有休取得を企業に義務付けることにしたのかということなのだが、その背景には日本の有休取得率が極めて低い現状があるからだという。 現行の有給休暇制度は6年半以上働けば年20日が付与される仕組みだが問題は実際の取得率にあるというのだ。昨年の厚生労働省『就労条件総合調査』によると、労働者の有休取得率は 48.8%で1人平均の取得日数は 9.0日にとどまる。業種や企業規模による差も大きく業種でみると「卸売業・小売業」や「生活関連サービス業・娯楽業」だけでなく、「医療・福祉」などで取得率が低く中小企業ほど取得率が低いとされている。政府は 2020年までにこの有休取得率を 70%まで引き上げる目標を掲げているが、目指している姿は事実上の有休消化義務が企業側にあり取得率も 100%に近い欧州諸国だというが、企業がどのような運用を行うかに大きく依存することになりそうなのだ。 この「年5日義務化」になった経緯は厚労相の諮問機関である労働政策審議会において、年8日分の義務付けを主張する労働組合代表と年3日分を主張した経営者代表の間の調整の結果によるものだといるが、この新しい仕組みによって休み方や働き方は変わるのかということでは期待できそうもないという指摘もされている。例えばこれまで取得率が低かった小売業や宿泊業あるいは中小企業などでは、ぎりぎりの人員配置ゆえに「休ませられない」という事情が背景にあったとしれば、そうした企業は交代で社員を休ませるために要員管理のあり方を見直す必要が生じ経営側にとっては苦労が伴うことから、休みが増えたといっても他の日の残業がその分増えるという事になるというのだ。 今回の政策は働きすぎ防止策の一環として労働者の健康確保のほか、休み方改革による仕事と生活の調和と生産性向上までを狙うというのだが、こうした政策の意図が実現するかどうかは仕組みを作る現段階では見通せないというのだ。1980年代後半以降の「週休2日制」推進による変化では、日米貿易摩擦という国際的背景もあって日本人の「働きすぎ」を改善するため「週休2日制」が政策的に推進された。たしかに土曜日が休日になる人が増えるなど働き方や休み方の大きな変化が起きた。ただ注意すべきは平日の労働時間が長くなったという指摘があることである。休みが1日増えたといっても他の日の残業がその分増えるなら我々労働者は手放しで喜べないだろう。
2015年10月28日
コメント(0)
四国電力伊方原子力発電所3号機について愛媛県の中村知事は、再稼働に同意することを四国電力の佐伯勇人社長に伝えたのがTVのトップニュースとなっていた。地元の伊方町も再稼働に同意していることから、これで原発の新しい規制基準の下で再稼働に県と立地自治体が同意したのは、川内原発のある鹿児島県に続いて私が住んでいる愛媛県が2か所目となったのだ。中村知事は愛媛県庁で四国電力の佐伯勇人社長と会って、伊方原発3号機の再稼働を了解すると伝え県として再稼働に同意したそうなのだ。中村知事が「国の考えや四国電力の取り組み、地元の理解をもとに非常に重い判断をした。今後四国電力には安全対策に引き続き万全を期すよう求める」と述べたそうなのだ。 これに対して四国電力の佐伯社長は「再稼働に向けて、今後、安全対策などをしっかりと対応していきたい」と答えてはいたのだ。中村知事は記者会見を開いて「出力・コスト・安定供給の3つの要件を満たす代替エネルギーはなく、現状では安全対策を施したうえで原発に向き合っていかざるをえない」と述べたうえで、愛媛県としての責任について「同意する以上は訓練や安全対策、それに万が一のときに責任を担うことになる」と述べたという。中村知事は午後には経済産業省を訪れ林大臣に再稼働に同意したことを報告したそうなのだが、原発事故後に作られた新しい規制基準の下で再稼働に県と立地自治体が同意したのは、川内原発がある鹿児島県に続いて2か所目となってしまったのだ。 これに対し林経済産業大臣は「原発は終わりのない問題であり、今後も国民や地元に誠意をもって粘り強く理解を求めていく」と答えたという。地元の伊方町でも山下和彦町長が四国電力の柿木一高原子力本部長に再稼働に同意することを正式に伝えたそうなのだ。伊方原発3号機の再稼働の時期は原子力規制委員会による認可や、新しい設備の検査などが残っているため早くて来年の春以降になる見通しだというのだが、中村知事は「原発の再稼働の必要性や安全性について国が前面に立って国民への十分な情報公開と説明に努めること」や、「広域避難道路を優先的に整備することへの支援」など、8項目の要請をまとめた文書を林経済産業大臣に手渡したというのだ。 中村知事から再稼働の同意の報告を受けたあと四国電力の佐伯勇人社長が記者会見し、佐伯社長は「きょうの了解で大きく一歩前進したと思う。県民のみなさまにより一層安心していただけるよう、さらなる安全性・信頼性の向上を目指して不断の努力を重ねたい。今後の国による工事計画の認可や、使用前検査などについて計画的にしっかりと取り組み、1日も早い再稼働を目指したい」と述べたというのだ。これに対して林経済産業大臣は再稼働の時期については「工事計画などの審査が続いていて、具体的に申し上げられる状況ではない」と述べ、明言しなかったという。菅官房長官は記者会見で「再稼働にあたって、知事の理解を得られたということは極めて重要だ」」と述べるところがTVのニュースでも放送されていた。 松山市の愛媛県庁前では朝から伊方原発3号機の再稼働に反対するグループのメンバーら30人あまりが集まり抗議集会を開いたそうで、その参加者は「知事は再稼働を認めるな」などと書かれた紙を手に持ち、声をあげながら知事の再稼働同意に対し反対の意思を示していたというのだ。「伊方原発をとめる会」の和田宰事務局次長は「中村知事は再稼働を認めるかどうかを白紙に戻して考えるとこれまで話してきたが本当にそうだったのか。反対派の意見を十分に取り入れたのか疑問に思う」と話していた。住民説明会も開かないままの原発再稼働の「ゴーサイン」に不安もあって、人口約1万人の小さな町の受け止めは複雑のようだが事故の無いことを祈るしかないということなのだろう。
2015年10月27日
コメント(0)
木材の需要はこれまでずっと住宅業界に支えられてきたといわれているが、木造というと日本における従来からの木造住宅や寺社仏閣のイメージが強いと思われている。それでも最近は木材の使われ方や木材が使われる用途が多様になってきており、都会のオフィスでも木材が使われるようになっているし、ビルの谷間にも木材が使われてくつろぎの空間になっているのもよく見かけられる。日常生活を取り巻く多くのモノや道具が木材から金属や石油化学製品に置き換わっていくなか、日本の木材需要を支えてきたのは住宅だった結果、木材を生産する山や製材の現場は住宅での利用を前提にシステムが整備されていったのだが、住宅以外の木質材料の使用実績が広がるなか木の使われ方は変わりつつあるという。 生産現場はこの変化に対応するため森はどのような課題を抱えているのかを、住宅と木材利用に関する調査・研究に携わる研究者が、木材調達の最新事情を解説する文献が愛読している業界紙に載っていた。木材と言うとまず樹木をチェーンソーで切るというところからスタートするわけで、切った丸太は高性能の機械を使って枝や葉っぱを取ると、長さが3~4mの運びやすい長さに切ってダンプで木材市場に運ぶのだ。かなり大きな製材所だと木材市場を介さず木材が直に運ばれることもあるとされるが、運ばれた丸太は径や長さ曲り具合を見ながら選別され、それから丸太を四角にする製材という作業に入る。ただし木材はたくさんの水を含んでいるので、材料として利用するには乾燥させる必要があるのだ。 ただしやっかいなのは木材が乾く過程で縮んだり・そったり・曲がったり・割れたりすることなのだが、将来建物に使われてからそうなると具合が悪いことから、建物に使われる前にきちんと乾燥させてやることが木材を供給する側のエチケットであり、木材を使ううえで乾燥は大きなポイントになるわけなのだ。乾かした木材は現場ですぐに使えるように加工を施され、そして現場に木材が運び込まれることになる。住宅では幅10.5cmあるいは12cmの木材が構造材の規格材として使われているが、最近ではかなり大きな空間をもった木造建物が登場してきた。こうした建物では当然材料の断面が大きくなるわけで、断面が大きくなると技術的な課題がいくつか浮かび上がってくるというわけなのだ。 例えば幅が15cmで高さが24cmの材料が欲しいという要求に応えるには、対角線の長さで30cm径の丸太が必要になり、30cm径の丸太を育てるにはどれぐらいの時間がかかるかを考えると一般的な山ではおおよそ50年かかるとされている。幅が15cmで高さが36cmの材料を得るには40cm径の丸太が必要になり、40cm径の丸太を育てるには80年かかるというのだ。つまり私の住んでいる愛媛県の山林では50年の森林が多いので、30cm径の丸太を手に入れることは容易であると推測できるとされている。ただし、40cm径の丸太を手に入れようとすると量的には少ないといわれている。また別の課題として断面が大きな木材では乾燥が難しくなり、時間もかかるということが挙げられている。 わが国は国土の7割を森林が占めているとされるが、これはフィンランド・スウェーデンに次ぎ世界第第3位だという。第二次大戦後に荒廃していた森林に約1000万haの人工林が造成されたというのだが、その当時「孫のために」と植林された苗木が50年を経て、本格的な利用期に差しかかっているといわれている。成長を続ける森林は天然資源が乏しいわが国にとっては貴重な資源であるし、毎年の成長量を超えずに利用すれば持続可能な資源でもある。また毎年適正に伐採・利用することで森林も適正に維持することができ、成長量から見ると毎年1億m3の森林資源が増えているそうなのだ。わが国で使われる木材の量は近年7000~8000万m3ということでわが国の森林資源で十分にまかなえる量だというのだ。
2015年10月26日
コメント(0)
電力危機と言われながらこの夏の全国の電力需給を電力各社に取材したところ、需要が最も高まるピーク時の電力使用率が95%を超える「厳しい」日は、全国の電力会社でゼロだったことが分かったそうなのだ。節電の定着や企業・自治体の大手電力離れで需要が減る一方、電力会社間の融通や太陽光発電の増加で供給力を確保し電力の安定につながったからだといわれている。8月に鹿児島県にある川内原発1号機が再稼働した九州電力も今夏も原発なしで乗り切ったというのに、九州電力は川内原子力発電所2号機について、も原子炉を起動し再稼働したというのだ。平成23年3月の東京電力福島第1原発事故後に新規制基準に基づく原発の再稼働は、8月の川内1号機に続き2基目となったのだ。 九州電力によると核分裂反応を抑える制御棒を引き抜いて再稼働し、核分裂反応が安定して持続する「臨界」の状態に到達する見通しになって、異常がなければタービンを起動して1週間後には発電と送電を開始するという。川内原発2号機は1号機から約2カ月遅れで9月に炉内に燃料を挿入する「燃料装荷」の作業が完了し、今月には1・2号機で同時に事故が起きた場合の対応を訓練で確認していたそうで、緊急時に核分裂反応を停止させる制御棒の作動検査を行い再稼働に向けた準備が整ったというのだ。九州電力では川内原発1号機の再稼働で収益が改善しており、今年9月中間連結決算の最終利益は450億円になって5年ぶりの黒字を予想しているそうなのだ。 川内原発2号機も再稼働すれば来年3月期の決算も黒字転換する公算が大きいといわれているのだが、九州電力は原発停止による火力発電の燃料費増大を理由に、家庭向けの電気料金を平均6・23%値上げし、企業向けを平均11・94%それぞれ値上げしているのだ。九州電力以外も原発を持つ大手電力六社が値上げを実施しており、北海道電力と関西電力は 燃料費の高騰を理由に再値上げまでしているそうなのだ。それでも九州電力によると川内1号機が発送電を開始したことで収益は月に75億円ほど改善しているそうで、2号機も再稼働すれば合わせて収益の改善は月に150億円になるという。そのため地元企業関係者からは「いくらかでも値下げできるのでは」との見方が出始めているそうなのだ。 もっとも九州電力は値上げ幅を決める際に鹿児島県の川内1・2号機と佐賀県玄海町にある玄海原発3・4号機が再稼働することを前提にしていることから、電気料金の値下げにはならないとの意見もあるというのだ。新規制基準の適合性審査には計15原発の25基が申請済みとなっているが、川内原発のほか関西電力高浜3・4号機や、私の住んでいる愛媛県にある四国電力伊方3号機が合格している。ただ新基準で新たに強化された地震や津波など自然災害への対策について、規制委と事業者の間で激しい議論が繰り広げられ審査は進んでいない。規制委は当初は審査期間を「少なくとも半年程度」と予想していたが、最も早く合格を得た川内でも全ての許認可審査が終了するまでに約1年10カ月を要しているそうなのだ。 電力危機と言われながらこの夏の全国の電力需給を乗り切れた理由について、電気事業連合会の八木誠会長は「節電が大きな要因」と説明。全国の最大需要は東日本大震災前と比べて今夏は13・5%減少した。加えて企業や自治体などが、料金値上げをした大手電力を解約して新電力へ切り替える動きが進んだことも需要減の一因となり、今夏の安定につながった」としているが、全国の電力十社のうち中部電力など九社の原燃料費調整制度に基づく家庭向け電気料金が、来月から値上がりする見通しであることが分かったというのだ。原油と液化天然ガスの価格が上昇したためというのだが、電力の小売り自由化が始まって料金競争が激しくなるまではいくら原発が再稼働しても電気料金は安くならないという事のようなのだ。
2015年10月25日
コメント(0)
発注者が地元企業を優遇するために指名基準を変更した結果入札に参加できなくなったとして大分県国東市に対して市外に本社を置く建設会社が約1100万円の損害賠償を求めた訴訟で大分地裁は、国東市の行為は「裁量権を逸脱・乱用するもので違法だ」として原告の訴えを一部認め国東市に約10万円の支払いを命じたというのだ。大分地裁の判決文によると原告の石川工業が国東市を提訴した経緯は以下のとおりで、2008年9月に国東市内に支店などを持つ「準地場業者」として市から認定された石川工業は、2009年5月22日から11年7月28日までに29件の指名を受け5件の工事を落札していたそうなのだ。当時の国東市は指名する企業の選定に関して石川工業を「地場業者」と同等に扱っていたそうなのだ。 ところが国東市は2011年8月の指名委員会で同じ等級に地場業者が5者以上いる場合は地場業者だけを指名するように基準を変更したのだが、国東市は変更した基準を公表せず「準地場業者」として市から認定された石川工業にも通知しなかったというのだ。石川工業が入札参加資格を持つ土木工事C級と舗装工事C級などの工種全てに地場業者が5者以上いたことから、基準の変更後は一切指名されなくなったというのだ。このため石川工業は違法な基準に基づいて公共工事の指名を回避されたと主張し、指名を受けていれば得られたはずの利益などについて国東市に支払いを求めて提訴したのだが、国東市は指名基準を変更したのは地場業者の「育成・保護」が目的だったと主張して正当だと反論していたのだ。 大分県内の他の自治体では基本的に地場業者だけを指名していることから、地場業者を優先するのが合理的であることは明らかだとした。しかし大分地裁は「地域に精通しているので契約の確実な履行が期待できる」ことを挙げるとともに、「地元の経済活性化に寄与する、などの点を踏まえると国東市が地元の企業を優先することに合理性はあるとしつつも、どこまでが地元で何が地域密着なのかという問題があるとしたうえで、「地場業者と同様の条件を満たす市外業者もあり得る」と指摘したそうなのだ。また多くの下請業者を国東市内の建設業者と契約しているなど今までの業務実態から考慮すると、「準地場業者の存在が地場業者の受注を圧迫していることを裏付ける事実はなかった」と述べたというのだ。 そして大分県建設業協会国東支部が国東市に対して、地元企業を優先するよう要望していたことに触れ「準地場業者をことさら排除する動きがみられるなか、自治体が指名基準を定める際は、公正な競争の促進や競争性の低下防止といった趣旨を損なわないことが強く求められるべき」と強調したというのだ。変更した基準を適用すると地場業者が5者以上の場合にはそれ以外の企業が一切指名されないことから、「公正な競争の促進などの趣旨を損なうと言わざるを得ない。国東市がこうした事情を考慮せず地場業者か否かを重視している点は極めて不合理で社会通念上著しく妥当性を欠く。指名に関する裁量権を逸脱・乱用するもので違法だ」などと断じたというのだ。 そのうえ変更した指名基準を市が公開しなかったことも争点となり、国東市は変更した基準について「指名の具体的な方法を指名委員会で話し合い、申し合わせた運用指針にすぎず、公表は法律上要請されていない」などと主張したが、これに対して大分地裁は「準地場業者が指名されるか否かが機械的に定まる性質を有する。単なる運用指針にとどまるとは言えない」として、公共工事入札契約適正化法で公表を義務付けた指名基準に該当すると判断し、国東市が公共工事入札契約適正化法に違反したと認定したという。その上で国東市が指名基準を公表していれば原告は今後指名を受けられないと判断し、国東市内から撤退できたとして納めた法人住民税など約10万円の損害を認定したというのだ。 ところがこの裁判では原告が建設業法に違反する「丸投げ」と呼ばれる一括下請けを行っていたことも明らかになったというのだ。原告の石川工業は国東市から受注した工事を国東市内の建設会社に下請けに出して施工させ、なんと手数料などの名目で工事代金の3%を受け取っていたという事実が判明したそうなのだ。そのため大分地裁は指名を受けられなくなったことによる逸失利益の請求については、「丸投げ」できなくなったので遺失利益をよこせという訴訟は不都合だという事で退けたそうなのだ。判決を受けて国東市は「対応を協議中」としているそうなのだが、裁判の過程で明らかになった原告側の建設業法違反への対応については「現時点では検討に至っていない」としているそうなのだ。
2015年10月24日
コメント(1)
かねてより群集の行動に関する研究が行われ、街や公共施設は非常時も想定して計画されているそうなのだが、私の愛読いている業界紙で「歩行者シミュレーション」の事例が特集されているのを読んでみると、実際に建物等の床・壁・列を成すためのフェンスやカウンターといった物理的な構築物を設置した上で、利用者のスタート地点およびゴール地点とその間の利用者の動線を設定することで作成するというのだ。またCADなどの様々なソフトとの連携を容易としたことで、モデル化の際の負担を大幅に軽減して大量の歩行者をさばくためだけでなく、そこで働く人々や来訪者の行動をデザインに生かすために活用することもできるシステムとして利用され始めているというのだ。 例えば高層ビルの低層部分に対する歩行者シミュレーションを実施することで、テナント候補者は利用シーンをイメージしやすくなるというし、また土地勘のないグローバル企業や高いセキュリティーを求める金融機関にとっても、利用者がどのようにその場を訪れるかは非常に重要であり、セキュリティー計画に役立つと考えられているのだ。駅や空港など不特定多数の人が往来する施設について、海外では計画段階で歩行者シミュレーションを実施し、通常時の混雑状況や災害時の避難状況を確認するプロセスが一般的となっており、日本においても東日本大震災をきっかけとして建物内のみならず、都市レベルでの人の行動シミュレーションを目にする機会が増えてきているそうなのだ。 不特定多数が来場し災害時の避難の想定が必要という観点から、近年ではスポーツイベントやその会場デザインにも「歩行者シミュレーション」が導入されているそうで、北京オリンピックでは「鳥の巣」と呼ばれるメーンスタジアムの観客避難動線の検証を行い、ローマのコロシアムと比較する形で公開されていたそうなのだ。イタリアではACミランの新スタジアムに対し計画段階でシミュレーションを実施しており、ホテルや子供の遊び場、そして公開緑地などの複合施設として計画されている1万2500席のアリーナは、スポーツイベントのみならずコンサートにも利用することから、火災時の避難にチケット販売・競技前後の観客の入退場・ハーフタイムの観客の移動など様々な状況を想定することが求められたという。 最新のモデリングツールは個々の歩行者モデルに人口知能を与えることで、歩行者は複数のルートの中から混雑状況と距離に応じて新たなルートを選定することができ、それぞれの利用者に対しては各自の歩行速度や、左を選びやすいなどといった歩行者の癖だけでなく、エコノミークラスとビジネスクラスなど利用者をグルーピングして、それぞれの割合を設定していくことでより現実に近いシミュレーションを実施することができるという。個々の歩行者は物理的制約や運営上の制約に他の歩行者の影響を受けながら、自らの目的地へ向かって一歩一歩進行し、群衆としての特性を組み込んだ流体モデルや、空間を簡易なメッシュで構成するグリッドモデルとは全く異なる行動となるそうなのだ。 海外で避難をきっかけとして始まった歩行者シミュレーションが、その後の建築計画やスポーツ、イベントといった場面に応用されたように、日本でも今後様々な場面での活用が期待されているという。工事中の駅構内の評価だけでなく歩行空間が近接する都市部の開発や、工事施工時の宝光社通行に避難計画等、多様な歩行空間へ展開を図っていく方針だという。歩行者シミュレーションの最大のメリットはその場の環境について、経験による感覚や数値ではなく全ての人が理解できる形で提示できることにあるのだ。歩行者シミュレーションがオリンピックを控え複数の大規模都市開発や鉄道の新設が計画されていることから、関係者の多いプロジェクトにおいて意思決定の助けとなるに違いないとされているのだ。
2015年10月23日
コメント(0)
政府は今年度の補正予算案を年末に編成する方針を固めたそうなのだが、環太平洋パートナーシップ協定交渉の大筋合意を踏まえた農業対策や景気下支え策を盛り込み、11月に発表される7〜9月期国内総生産速報値の結果を見定めた上で、補正予算作成作業を本格化させる方向だといわれている。補正予算の規模については昨年度の補正予算3兆1千億円を上回らせる案が浮上しているそうなのだが、年明けの通常国会に提出し既に編成作業に入っている来年度当初予算案と一体的な財政運営を目指すそうなのだ。補正予算の財源としては決算の終わる一昨年度予算の使い残しとして1兆6千億円や、今年度税収の上ぶれ分などを活用する方向だとされている。 財政健全化の指標である基礎的財政収支の赤字を半減させる目標を堅持するため、従来のような赤字国債や建設国債のような国債の追加発行は避けるという。環太平洋パートナーシップ協定交渉は参加各国の手続きを経て発効するのは早くても来年で、発効しても関税引き下げが始まるまでに数年間の期間が設けられた品目が多いことから「急いで支援策を打つ必要はない」との声も政府内にはある。しかし大筋合意内容の詳細が報じられるにつれ海外産の農水産物との競争に不安を覚える生産者が増えていることから、不安を一掃するためにも予算上の措置を急ぐ必要があると判断したそうなのだ。年内にもとりまとめる環太平洋パートナーシップ協定の政策大綱の中から優先順位が高いものを計上していく方向だとされている。 このほか新内閣の「目玉」として掲げた「1億総活躍」社会の実現に向けた予算が盛り込まれる見通しだとされ、また7〜9月期の国内総生産は輸出の低迷などにより、2四半期連続のマイナス成長に陥るとの予想が市場関係者の間で広がっていることから、実際にマイナス成長になった場合は景気の腰折れを防ぐためにも公共投資予算を手厚く盛り込む案も浮上している。ただ公共事業のような経済対策や農業対策は来年夏の参議院選挙対策の色合いも濃く、規模や内容によっては「ばらまき」批判も出そうだといわれている。ばらまきということなら政府が年末に編成する今年度補正予算案に、低所得者に対する3万〜5万円の給付措置を盛り込む案が浮上していることが分かったというのだ。 本田悦朗内閣官房参与がマスコミに対し、低所得者に対する3万〜5万円の給付措置案を安倍晋三首相に提案したことを明らかにしたそうで、昨年度の消費税8%への引き上げ後に低迷している個人消費の喚起策とし、デフレ脱却を後押しする狙い政府は現時点で補正の編成方針を正式決定したそうなのだ。本田悦朗内閣官房参与は第2次安倍政権が掲げた旧三本の矢のうち、第一の矢の「大胆な金融政策」を提唱した経済ブレーンの一人で、安倍首相の信頼も厚いだけに、低所得者に対する3万〜5万円の給付措置を軸に検討が進む可能性があるというのだ。給付対象者は消費税率8%への引き上げに伴い導入された簡素な給付措置を受給している約2400万人で給付総額は最大1.2兆円になるというのだ。 現行の仕組みを活用するため新たな制度設計が必要なく、予算成立後速やかに支給できるのが利点という。本田悦朗内閣官房参与は「消費増税後、高額所得者はほとんど消費を減らしていない一方で、低所得者や無職の人などは極端に消費を減らしており、消費者の財布の紐は確実に固くなっている。そこをまず支援すべきだ」と述べたというのだが、秋の臨時国会が開かれないことが濃厚となってきていることから、低所得者給付に災害復旧対策費などを加えた総額3.5兆円規模に、環太平洋パートナーシップ協定交渉の大筋合意を踏まえた農業対策や少子化対策なども加えた4兆〜5兆円規模の補正予算案を編成し、1月後半に召集される通常国会中に成立させるべきだと提案しているそうなのだ。
2015年10月22日
コメント(0)
マイナンバー制度に関連する贈収賄事件で逮捕された厚生労働省の室長補佐の男が、贈賄側の会社の社長室で現金を手渡しで受け取っていたことが分かったという。厚労省の室長補佐・中安一幸容疑者はマイナンバー制度に関連した事業で便宜を図った見返りに、IT関連会社の社長から現金100万円を受け取った疑いが持たれている。この贈収賄事件では入札予定のシステムについて、発注者である厚生労働省で作成すべき「仕様書」の原案を、贈賄側のIT会社に作成させ、政府の意図に響く提案が出来るような便宜を図っていたことが捜査関係者への取材で分かったそうなのだ。これらのこともあって警視庁は厚生労働省の家宅捜索を再度行ったそうなのだ。 激しい受注合戦が繰り広げられる中で生まれた官業の癒着が今回の贈収賄事件なのだが、警視庁は仕様書を作らせることによって入札で高い評価が得られる便宜を、逮捕されている厚労省の室長補佐の中安一幸容疑者が図ったとみているそうなのだ。厚生労働省によると贈賄側のIT関連会社「日本システムサイエンス」は今年度までに、逮捕容疑の2つを含む6つの事業で総額14億円以上を受注していたというが、逮捕容疑について中安容疑者は自ら賄賂を要求した趣旨の供述をし、贈賄側の会社も同様の供述をしているという。また中安容疑者は100万円をIT関連会社の社長室で社長から手渡しで受け取り、賄賂の発覚を防ごうとしていたとみられることが捜査関係者への取材で分かったというのだ。 厚労省の室長補佐・中安一幸容疑者は贈賄側のIT関連会社「日本システムサイエンス」側から「顧問料」や「指導料」名目で、現金3百数十万円を受け取っていたことが捜査関係者への取材で分かったそうなのだ。IT関連会社「日本システムサイエンス」側への助言などの見返りとみられ警視庁で詳しい経緯を調べているが、捜査関係者によると中安容疑者は2011年春から約1年間に渡り、システムサイエンス社の元社長が代表を務めていたソフトウェア開発の関連会社から月10万円の顧問料を自分の口座に送金させ、計百数十万円を受け取っており、2012年夏には「日本システムサイエンス」社から指導料名目で約200万円を受け取っていたというが警視庁は癒着の実態解明を進めているそうなのだ。 贈賄側の会社は厚労省の7つの事業で総額約15億円を受注しているが、すべて中安容疑者の所属部署が発注元だったということで、警視庁は癒着の実態解明を進めているというのだ。来年1月の運用開始に向けて準備が進むマイナンバー制度をめぐる汚職事件では、制度では情報処理システムの大規模な改修や新設が必要で発注総額は「1兆円規模」とされている。政府関係者によると制度導入に絡み今年も3千億円弱を情報処理システム関連に投入する見込みだというのだが、民間側のシステム更新も含めると市場規模は1兆円以上ともいわれる。関係者も「IT業界にとってのマイナンバーは建設業界にとっての東京五輪と同じ。巨大な需要をめぐり業界は沸いている」と言われているそうなのだ。 信用調査会社などによると「日本システムサイエンス」社は資本金3千万円で従業員15人の中小企業だが、医療関係のシステム開発を中心に最盛期には計8億9800万円の事業を受注していたそうなのだ。仕事の中心は官公庁で立件対象となった2件の応札だけで売り上げの3割を占めていたというが、「官との関係が会社の業績を左右していた」という指摘もされている。事件の舞台となった企画競争入札では業者の出した企画書を発注元が審査して委託先を決めることからコストだけでなく、政府の意図に響く提案が求められているわけなのだが、捜査関係者は「政府の意図を知っていれば大手でなくても受注できる。そこに中安容疑者と業者の間に癒着が生まれる素地があった」と指摘しているのだ。
2015年10月21日
コメント(0)
三井住友建設が工事を行い三井不動産グループが販売した横浜市内の大型マンションで、建設時に必要な地盤調査の一部を実施せずに別のデータを転用するなどして、基礎工事を行った問題で大型マンションの建物は傾いており、国土交通省は施工不良があったとみて販売元の三井不動産レジデンシャルと施工主の三井住友建設に原因究明を指示したという。また横浜市も建築基準法違反の疑いがあるとみて調査を始めたそうなのだ。国土交通省や横浜市が建築基準法だけでなく、建設業法違反の疑いもあるとみて本格的な調査に乗り出したそうなのだが、マンション管理組合の理事という男性が事業主の三井不動産レジデンシャルに対し「昨年から指摘しているのに、ずっと無視され続けた」と批判している。 男性は昨年から傾いた11階建てのマンションの棟の廊下の手すりが、渡り廊下でつながる別棟の手すりより約2センチ下がり、床が約1.5センチ低くなっていることを知ったという。「昨年からずっと指摘していたが初めは『東日本大震災の影響だ』とはね付けられ、施行記録も見せてもらえなかった」と三井不動産側の対応を明らかにした。何度も訴えたところ今年2月になって三井不動産はようやくボーリング調査が開始し、基礎工事で打ち込むくい8本が地盤の強固な支持層に約3メートル達していなかったことが判明したというのだ。マンション管理組合の理事の男性は「個人的には昨年の時点でマスコミにすべて話したかった。誠意ある回答がないことに憤りを感じる」と厳しい表情を見せていた。 問題となっているのは横浜市都筑区の大型マンションで施工不良から建物が傾き、このうちの11階建ての棟で他の棟と接続する渡り廊下の手すりがずれていることに気づいた住民が、昨年に三井不動産レジデンシャルに指摘していたというが、調査したところずれは最大で2.4センチだったほか52本あるくいのうち6本が強固な地盤である「支持層」まで届いておらず、別の2本も長さが不十分だったことが分かったという。また三井住友建設で施工記録を確認したところ問題のくいを含め10本の部分の地盤調査で別のデータの転用や加筆があったことが判明したうえに他の2棟でも28本で同様のデータが使われており、下請け業者がデータを転用・加筆したとみられるという。 傾いた棟の1階に住む男性は前から玄関の扉が閉まりにくくなったと語り、「部屋を貸して生計を立てている人もいる。他の3つの棟への風評被害が心配。ちゃんと補償してくれるのか」と不安そうに話していた。男性が参加した住民説明会には約80人の住民が集まり、出席した三井不動産側の常務取締役が「元に戻すためには1~2年かかる」と説明すると、住民からは「全力あげて直せ」と怒号にも似た声が飛び交ったという。建物を支える杭のうち短いという「重大ミス」のためジワジワと傾いたという。マンションの利便性を考えて新築で購入したという住民は「こんなことが発覚すると思わなかった」と残念そうに話していたが、広さにもよるが立地条件などから高級物件とされ、長期ローンを組んでいる住民も少なくないというのだ。 三井不動産側は「お客さまに対しては誠意を持って対応する」としているが、マンションを施工した三井住友建設からくいを支持層へ打ち込む工事を請け負った旭化成建材が取材に対して基礎工事の際に行った地盤調査のデータを偽装していたと認めた。現場の施工状況などを記録する「施工報告書」に転用・加筆したデータを記載していたといい、旭化成建材の広報担当者は「建物の補強、改修にかかる費用を全額補償する」と謝罪した。欠陥が見つかった住居棟に娘が住んでいるという70代の主婦は「娘は『不安で夜も眠れない』と言っている。今日も心配で様子を見に来た。これからどうなるのか」と表情を曇らせた。三井不動産レジデンシャルは横浜市に「震度6~7まで安全性は確保している」と説明している。
2015年10月20日
コメント(0)
4月に入庁する土木職員を予定どおり確保できず、年が明けてからも追加で募集を掛ける自治体が相次いでいるそうで、民間企業やほかの自治体との人材の取り合いは激しく、なかには定期採用試験の受験者さえゼロだった自治体もあるそうなのだ。その中で福島県は来年4月入庁の採用試験で大卒土木職の合格者数が、採用予定を大幅に下回ったことから追加募集することを決めたそうなのだ。福島県で大卒者の正規職員を追加募集するのは土木職以外も含めて初めてで、定期採用試験では「土木」枠で採用予定25人に対し合格者は11人で、「農業土木」枠では14人に対し10人といずれも下回ったというのだ。昨年も下回っていたのだが民間企業などの実務経験者や任期付き職員などの採用で補ったというのだ。 多くの土木技術者を他の自治体から応援してもらっている福島県では、今年は新規採用の応募者が少なかったことから再募集で土木技術者の職員を確保する方針だというのだ。採用予定は土木が13人程度に農業土木が4人程度だったというのだが応募者が集まらず、このように土木職員の確保が難しくなっている背景には、東日本大震災の復興需要などで土木技術者の需要が高止まりしていることがあるというのだ。福島県では震災前に比べて募集人数を増やすとともに、震災後の募集からは民間企業などで実務経験を積んだ土木職員の採用試験も始めており、この経験者枠で昨年は4人程度の募集に対して8人を合格者としたし、今年も3人程度の採用を予定して試験を実施しているそうなのだ。 復興需要が続く被災地では他県でも土木職員の採用に苦戦しているが、様々な工夫で追加募集せずに乗り切っているそうなのだ。同じ被災県でも宮城県は大卒者の土木職員が2年連続で採用予定を下回ったものの合格者は昨年より増えているそうで、採用予定は昨年と同じ30人程度だったが合格者は昨年より7人多い23人が合格しているそうなのだ。宮城県の人事委員会によると9年ぶりに東京にも試験会場を設けたのが功を奏したのではないかという。岩手県は大卒者を対象とした「総合土木A」の採用試験で合格者が20人と採用予定を3人上回ったそうで、岩手県では土木部の職員などが出身大学を訪ねて採用試験の受験を促す活動を続けており、こうした活動が実を結んだとみているそうなのだ。 被災県ではないが土木職員の採用に苦戦していた宮崎市は、民間企業で職務経験を積んだ土木技術者など合計7人程度を正職員として中途採用すると発表しており、即戦力になる職員を確保するのが目的だが緊急雇用対策の一環としても位置付けているという。受験者数も昨年の27人から今年は19人増えているが、技術職というのは民間のほうが給与は高いとされており、それに技術職は行政職にバカにされ出世もできないそうなのだ。また技術職を目指す人にはチャレンジ精神旺盛な人が多いことから、民間で自分の力を試したいなんて人もけっこういるそうなのだ。そして技術力の高い人であればあるほど給料も高くなるのだが、公務員はどんなにがんばっても同じペースでしか昇給しないのもネックだというのだ。 総務省の調査によると都道府県の土木部門の職員は10年前と比べ19.3%減となっており、市区町村にいたっては16.3%減となっているというのだ。東日本大震災の被災地だけでなく構造物の総点検が始まっている市町村でも技術者の確保に苦慮しており、支援策を打ち出す県も出始めているというのだ。就職に関して20年ほど続いた建設業界冬の時代には、大学の建築学科や土木工学科を卒業した学生はまず国家公務員を受験し、次に地方公務員を志望するとしていたのだが、民間企業と比べると公務員は試験が難しいこともあって、二の足を踏む学生も多いそうなのだ。もっとも最近では仕事と家庭を両立させたいということで、女性でも一生働きやすい環境の公務員が土木系の学科に所属している女性に人気だというのだ。
2015年10月19日
コメント(0)
国家公務員のイメージとして思い浮かぶのは業者から接待を受けることができ、官舎は立派なところに住んでそのうえ定刻の17時には家に帰れる。そのうえ法律というのは公務員の都合の良いように作られることから、規制とは公務員の仕事を増やすためにあって、そのおかげで公務員数は多いし給料も高いということになっている。こんなことから「実にけしからん、人を減らせ」という論調が多いのだが、公務員の給与を下げるべきだという議論は公務員の給与は私たちの税金で払われているのに「公務員が民間よりも高い給与を受け取っているのはけしからん」ということが前提となっており、公務員の給与が私たちの支払う税金によってまかなわれていることは間違いないことなのだ。 ところが政権内で臨時国会見送り論が浮上している影響で、国家公務員の給与引き上げに来年の通常国会まで「待った」がかかる可能性が高まってきたというのだ。毎年8月に出される人事院勧告に基づく法改正のめどが立たないためだが、例年とおりなら12月には4月にさかのぼって給料がアップした分と、冬のボーナスは増額されるはずなのだが、今の情勢なら来年に持ち越しとなればさかのぼって支給されるとはいえ、公務員にしてみればアベノミクスの恩恵を感じにくい年末となりそうだ。国家公務員の給与は民間企業の水準に合わせるのが基本で、人事院は8月に月給を0.36%とボーナスを0.1カ月分引き上げるよう勧告しており、勧告どおり実現すると平均年間給与は5万9000円増えるといわれている。 ただし実施するためには給与法の改正が必要で、例年は夏の勧告後に秋の臨時国会で法改正し年内に給与を改定しており、このまま臨時国会が開催されず越年して、通常国会で法改正されるとなれば平成初の珍事だというのだ。給与法の法改正が遅れても月給は今年4月でボーナスは12月にさかのぼって、増額分を後から支給することに変わりはない見通しだが感覚的には「寒い冬」となりそうだというし、過去には凍結ということがあって給料のアップさえもされなかったこともあるというのだ。この国家公務員の給与引き上げ待ったが地方への影響も懸念されるというのだ。都道府県などでは給与引き上げを求める人事委員会勧告が相次いでなされており、給与条例改正作業が進む見通しとなっている。 しかし地方公務員法では国の給与水準などを参考に県庁職員等の給与を決めるよう定めていることもあって、これまで総務省は国の給与改定に先行しないよう各自治体に求めてきていたというのだ。給与法改正が遅れれば地方でも改定時期が遅くなる可能性があって、そしてより肝心なことは地方公務員給与の引き下げは公務員だけにとどまらず、必ず地方の民間給与に波及するということである。私の住んでいる愛媛県でもそうなのだが公務員の賃金業績が一向に上向かない民間企業の経営者が従業員の賃金にも影響を与えるのだ。そうして民間の賃金水準が上がらなければまた公務員の給与引き下げ圧力が出てきて、公務員の賃金カットが行われそれに連れてまた民間の賃金カットがおこなわれるというのだ。 もっとも消費を支える所得の動きは悪くないそうで今年の賃上げ率は昨年を上回り、実質賃金も7月からプラスに転じ物価上昇率を上回る所得増加が実現しているという。にもかかわらず消費の伸びは鈍く子育て世帯や高齢世帯では、7月の実収入が今年初めより2%以上伸びている一方で逆に消費支出の水準は減少しているというのだ。「所得の伸びに比べて消費の伸びが鈍い」との懸念は政府内でも広がっており、その背景に賃金上昇の恩恵を十分に受ける世帯数が減少しその波及効果が小さくなっているというのだ。「国民生活基礎調査」では平均年間所得が415万円を下回る世帯は全体の6割に上り、「生活が苦しい」との回答率も10年前から7ポイント増えて5割を超えているというのだ。
2015年10月18日
コメント(0)
今月から国民一人一人に通知が始まる「マイナンバー制度」について、国民生活センターに寄せられた報告例では「マイナンバーには手続きが必要で、早くしないと刑事問題になるかもしれない」と電話がかかってきたり、「マイナンバー制度の導入で個人情報を調査している」と個人宅を訪問し、資産や保険加入情報などを聞き取られたりする人もいたという。いずれもマイナンバー制度にかこつけて電話やメールだけでなく、直接訪問といった形で個人情報を盗もうとするもので、専門家によると「不正なサイトを設けてマイナンバーを入力するよう求める手口のほか、マイナンバーそれ自体ではなく銀行の口座番号や暗証番号を盗もうとする手口も考えられます」と指摘している。 インターネット上の行政サービス「マイナポータル」の偽サイトなど、マイナンバーを使ったサービスを装うサイトが作られることは十分考えられ、そのほか「マイナンバー占い」など一見制度とは関係のない面白そうなサービスを装って、個人番号や氏名などの個人情報を入力させようとするサイトにも注意が必要だというのだ。国民全員に配布されるマイナンバーなのだが、個人情報を守るために何に気をつければいいのかというと、大前提としては役所や勤務先の手続きに必要なとき以外、他人に「マイナンバーを教えてほしい」と求められても絶対に教えないことだというのだ。その上で対策として挙げるのは詐欺の手口を知っておくことで、マイナンバーが配布される今月以降にはより多くの犯行例が報告されるというのだ。 マイナンバーは原則として同じ番号を一生使い続けることになっていて、1月から源泉徴収票や行政手続きでマイナンバー番号の使用が始まるという。受け取った通知カードに必要事項を記入し写真などを添付したうえで、自治体に持っていくか郵送などをすると、希望者には来年の1月以降に顔写真やICチップのついた「個人番号カード」が無料で交付されるのだ。マイナンバーの通知カードや個人番号カードを受け取ったとき、ITCなどのアプリにマイナンバーや個人番号カードの写真を掲載してしまったり、インターネット上で巧妙に個人番号を聞き出そうとするサービスに騙されて番号を入力したりすると、情報が番号とセットで漏れる危険性は高まっていくと警鐘が鳴らされている。 還付金詐欺といったことに詳しい専門家は「銀行のネットバンクではサイト上に詐欺の注意喚起が大きく書かれているように、官公庁のサイトでも『メールでマイナンバーを伺うことはありません』などの忠告が書かれている。騙されないために警告に目を配り、そのときどきの詐欺の方法や特徴を事前によく知っておくのが大事です」としているし、マイナンバーを利用してITC等で納税するなどの必要性からパソコンにマイナンバーを保存しておく場合、そのパソコンがウイルスに感染すればマイナンバーやパスワードなどのさまざまな個人情報が盗まれかねないことから、「パソコンのソフトのバージョンやウイルス対策ソフトを最新の状態にし、セキュリティーの高い状態を守っておくのが大切です」と語っている。 また「諸外国でもマイナンバーと類似の制度を悪用するケースが報告されています。このため通知カード自体を届かないようにするために、今回の措置があるわけですが、その割には手続期間も短いですね」と懸念している。また「DV等支援措置」を申し出ることに関して弁護士は「役所への届け出は手続ができる人であることが大前提になっています。そして多くの人が、そういう被害者に対して『手続しないのが悪い』といった扱いをしがちです。被害者に障がいがあるようなケースもありますし、『自分ならできるからみんなできるはず』ということではなく、本当に被害者の立場に立った現場の対応を期待したいですね」と語り、行政におけるきめ細かな対応の必要性を指摘しているそうなのだ。
2015年10月17日
コメント(0)
かねてより群集の行動に関する研究が行われ、街や公共施設は非常時も想定して計画されているが、私の愛読いている業界紙の特集で「歩行者シミュレーション」の事例が紹介され、イベントでの交通規制の影響や災害時に建物から全員が退避する所要時間計測などシミュレーション結果を設計にフィードバックして、より安全性の高い計画へと進化することができるようにしているそうなのだ。この「歩行者シミュレーション」は災害をきっかけに始まったそうで、英国・ロンドンのキングスクロス駅で発生した火災事故では、31人の死亡者と多くの負傷者を出す大惨事がおこり、この事故をきっかけとしてロンドン地下鉄や鉄道会社は、施設やオペレーションの面で様々な改善が求められたそうなのだ。 その一貫として火災時の避難シミュレーションを開始することになり、歩行者モデリングはこのシミュレーションを火災時のみならず、ピークタイムの歩行者シミュレーションにも利用したことをルーツとしているという。駅だけでなく空港などの交通機関でのシミュレーションにも対応したソフトが製品化されたのだが、いずれのソフトも歩行者をモデル化して群衆密度を確認することはできるものの、コンコースやゲートにラウンジといったそれぞれのエリア内に限定したものであり、歩行者の一連の行動をシミュレーションできるものではなかったそうなのだ。次世代のモデリングツールとして歩行者の特性を加味した再現性の点で改良が加えられたが、実際には歩行者の意思はデーターでユーザーが細かく設定を行う必要があったという。 最新のモデリングツールは個々の歩行者モデルに人口知能を与えることで、歩行者は複数のルートの中から混雑状況と距離に応じて新たなルートを選定することができ、またユーザーインターフェースを大幅に改良しCADなどのソフトとの連携を容易としたことで、モデル化の際の負担を大幅に軽減しているそうなのだ。これらのアップデートによって多くの変更を伴う設計段階においても、その変更が歩行環境にどのような影響を与えるのかをより正確にシミュレーションできるようになったそうで、実際に建物等の床・壁・列を成すためのフェンスやカウンターといった物理的な構築物を設置した上で、利用者のスタート地点およびゴール地点とその間の利用者の動線を設定することで作成するというのだ。 それぞれの利用者に対しては各自の歩行速度や、左を選びやすいなどといった歩行者の癖だけでなく、エコノミークラスとビジネスクラスなど利用者をグルーピングして、それぞれの割合を設定していくことでより現実に近いシミュレーションを実施することができるという。これらのパラメーターの設定には様々な経験が必要であり、これこそがコンサルタントの腕の見せ所となってきているそうなのだ。駅の歩行者環境を評価した最初のプロジェクトは、カナダのトロントユニオン駅だそうなのだが、このトロントユニオン駅は国内外の鉄道に加えて複数の地下鉄や路面電車が乗り入れ、また歩行者にとっては地下道へのアクセスポイントにもなっていることから、カナダでも有数の利用者数を誇っているそうなのだ。 新しい商業施設が建設され2021年にはピークタイムの時間当たり想定利用者数が7万人にも達することから、引き続きシミュレーションのサービスを提供しているそうなのだが、シミュレーションでは歩行者同士の追い越しや交錯などに関しても加味されており、そのデーターを基にチケットホール・改札・階段やエレベーターなど既存の駅施設への影響を確認するという。また駅舎内の商業スペースや券売機などの最適な配置を導き出すことも可能で、また最近では施工段階への応用も開始しているというのだ。仮設および搬出入計画をシミュレーションすることにより、施工期間中の歩行者の動線および安全確保を事前に確認することができるシステムとなっているというのだ。
2015年10月16日
コメント(0)
今月から国民一人一人に通知が始まる「マイナンバー制度」について、およそ8割の人が「不安」に思っていることが世論調査で分かったそうなのだが、赤ちゃんからお年寄りまで全国民に番号をつける「マイナンバー制度」に関して、今月から番号の通知が始まって私のところに保保険会社から説明会の案内が来ていたのだ。来年の1月からの運用スタートに向けすべての国民に対し、住民票のある住所あてに「通知カード」が届く見通しだというが、マイナンバーは社会保障手続きや納税といった社会生活に必要不可欠な個人情報で、日本に住む1人ひとりに12桁の番号を割り振る「マイナンバー」制度の通知カードの送付が始まり、住民票の住所に簡易書留で送られ本人でないと受け取ることができないというのだ。 受け取った通知カードに必要事項を記入し写真などを添付したうえで、自治体に持っていくか郵送などをすると、希望者には来年の1月以降に顔写真やICチップのついた「個人番号カード」が無料で交付されるのだ。マイナンバーは原則として同じ番号を一生使い続けることになっていて、1月から源泉徴収票や行政手続きでマイナンバー番号の使用が始まるという。副業も含めた所得を国や自治体が一括して把握できるようになり、脱税や生活保護の不正受給などの防止に役立つという。一方で年金情報が漏えいしたようにセキュリティーを疑問視する声も出ており、国内に住む一人一人に番号を割りふり社会保障などの情報をまとめて国が管理する「マイナンバー制度」の問題が指摘されている。 今月から番号の通知が始まるのだがある新聞社の調査によると、この制度に「不安だ」と答えた人は79%で「不安はない」と答えた人は17%だったという。また国による個人情報の管理については「信頼する」と答えた人が17%で、「信頼しない」と答えた人はなんと77%となっていたそうなのだ。来年1月からは市区町村への申請で身分証明書代わりに利用できる「個人番号カード」の発行も可能になるわけなのだが、マイナンバー制度の開始にあたっては行政手続きの簡素化など利便性が高まるとされる一方、マイナンバーの流出による個人情報漏えいのリスクも懸念されており、マイナンバー制度開始にあたり気をつけるべきリスクや対策について専門家の話もその新聞には掲載されていた。 マイナンバーは国民1人1人に与えられる12ケタの番号で、10月から住民票の住所宛てに届けられるのだが、専門家は「この12ケタの番号だけが漏えいしただけではすぐにセキュリティーのリスクがあるとは言えない」とする一方、「今後産業利用が進んでいくと個人番号と名前や住所・銀行口座・病気の治療情報などの情報が番号とセットで漏れる事態が起きれば、危険性は高まっていく」と警鐘を鳴らしていた。今後産業利用が進めば個人になりすまして還付金を受け取るなどの「なりすまし」のリスクも高まるというが、マイナンバーの用途が限定されている現時点での当面の危険性は、これまで起きていた古典的な詐欺の手口がより巧妙な形で出現することだと語っていたのだ。 具体的にはどんな手口が考えられるのかということでは、「メールによる還付金詐欺という従来からある手口の詐欺でも、名前・個人番号・メールアドレスがセットで漏れた場合、そのメールに騙そうとする相手のマイナンバーや氏名を明示して書くだけで、より信憑性の高いメールを送ることができる。これまで起きていた詐欺事件をその人のユーザープロフィールに特化した攻撃に変えてより巧妙化させることが考えられます」と言うし、実際にマイナンバーがまだ配布されていないにもかかわらず、国民生活センターには早くもマイナンバー制度を口実に個人情報を聞き出そうとする事例が各地から報告されており、マイナンバーそれ自体ではなく銀行の口座番号や暗証番号を盗もうとする手口も考えられるというのだ。
2015年10月15日
コメント(0)
以前から「原発は安全だ、安全だ」と政府等は言っていたのだが、東日本大震災での福島原発の事故が起きて放射能をばら撒いてしまったのだ。今度は原発事故が起きた場合などと言っているというのは、原発事故が起きるのは想定の範囲内ということなのだろう。政府の原子力防災会議は会合で、私が住んでいる愛媛県伊方町にあって四国電力が再稼働を目指している伊方原発3号機の周辺住民の避難計画について「具体的かつ合理的だ」として了承したそうなのだ。この原子力防災会議で安倍首相は「原発事故が起きた場合、国民の生命や身体、財産を守るのは政府の重大な責務だ」と明言したそうなのだが、伊方の再稼働について判断を保留している愛媛県の中村時広知事も出席していたというのだ。 中村愛媛県知事は会合後のインタビューで「政府の説明を評価する」と話したそうなのだが、中村知事は伊方原発3号機の再稼働の判断に際して、政府が過酷事故時の最終責任を持つようかねて求めており、条件の一つがクリアされた形にはなったという判断のようなのだ。中村知事は「経済産業相の来県を引き続き求め、条件がそろったら判断する」と述べたのだが、 政府による原発の避難計画の了承は8月に再稼働した鹿児島県にある州電力の川内原発1号機に次いで2例目となってしまったのだ。しかも愛媛県伊方町議会は本会議で四国電力伊方原発3号機の再稼働を求める陳情を全会一致で採択したとされ、愛媛県議会の特別委員会でも再稼働賛成の請願が採択されてしまっているのだ。 これで再稼働に必要な「地元同意」が大きく進んだとされるのだが、伊方町議会原子力発電対策特別委員会の中村敏彦委員長が特別委で3件の再稼働賛成陳情を採択し、4件の反対陳情を不採択としたことを報告したそうなのだ。採決では議長を除く15人の全会一致で賛成の陳情を採択し反対陳情を不採択としたというのだ。伊方町議会の閉会後に山下和彦町長は取材に対して、「再稼働の賛否を判断する材料は出そろった」と述べたというのだ。経済産業相との面会が実現した後中村時広知事に判断内容を伝えるというのだが、原子力防災会議は原発事故を想定した国の原子力総合防災訓練について、11月上旬に伊方原発周辺で関係者を動員して実施することも決めたそうなのだ。 避難計画の対象は愛媛県と山口県の8市町の約12万4000人で、住民が避難する際の経路や避難先の施設などについて盛り込んでいるそうなのだ。伊方原発は東西約40キロの細長い佐田岬半島の付け根にあり、先端部分には約5000人が住むことから地震や津波などの複合災害でこれらの住民が孤立した場合、政府は屋内退避を進める方針だが放射性物質の防護対策がとられている避難施設は、約500人分しかなく課題を残したままの了承となっている。そのようなこともあって伊方町役場前では脱原発グループのメンバー10人が抗議活動をし、「八幡浜・原発から子供を守る女の会」の斉間淳子代表らは「伊方町民の半数は再稼働に反対。町民の心の叫びに耳を傾けて」と呼びかけ町議らにチラシを配ったというのだ。 また脱原発団体の「原発いらんぜ宇和島市民の会」は伊方原発3号機に関する宇和島市民アンケートの結果を公表したのだが、再稼働反対が88%で賛成が3%だったそうなのだ。アンケートは電話帳で無作為抽出した男女300人に調査用紙を送付し99人が回答したそうで、反対の理由は「安全への不安」が70人で最も多かったという。また脱原発団体「原発止めようや西予市民の会」の代表幹事ら16人が西予市役所を訪ね、伊方3号機の再稼働を巡り「原発事故が起きた場合、市長としてどう責任を取るのか」等について三好幹二西予市長の見解をただしたそうなのだ。伊方原発周辺の市町では事故の危険があるのに経済的な恩恵の乏しい所が多いことから、原発立地の伊方町や八幡浜市と対応が違っているみたいなのだ。い
2015年10月14日
コメント(0)
がんによる5年後の生存率の平均は60%だとされているが発見が早ければ90%となっているそうで、がんの多くは「共に生きる病」であるのに理解不足から生まれる偏見が、がんを患った人たちを苦しめるケースも多いので気をつけなければならないといわれている。「とりあえずやっておこう」と受けたがん検診で見つかるかもしれないし、ちょっと具合が悪いと病院に行って分かるかもしれない、いつなんどき家族や会社の同僚あるいは部下から「がんが見つかった」と告白されるかもしれないのが今の現実だというのだ。部下に「がんが見つかった」と告白されたらどうするかという問題もあるが、上司に病気を「言えない」だなんてしんど過ぎるし、言った途端に会社員としての立場が危うくなる可能性は存分にあるというのだ。 日本では企業内福利厚生が公的福祉を補完してきたのだが、そしていまだに働く人の生活の安定や健康・安全の確保など、企業の役割に対する期待は依然として大きいことに警鐘を鳴らしている。確かに終身雇用や年功序列の賃金制度だけをとってみても、「病と仕事の両立」を可能にしてきた部分は多く、「病気であることを伝えれば、昇進できなくなる」と不安になることはあっても、「病気であることを伝えれば、会社にいられなくなる」と絶望的になることは少なかったとされている。だが時代は変わってしまい、企業経営の価値観の変化や非正規雇用の増加など、もはや企業は働く人の生活安定を保障する場ではなくなっている。「健康に働く人」を基準にした政策ばかりが横行しているというのだ。 さる事例によると40代で胃がんになった男性がいたが、半年ほど休んで復職したものの3カ月後に退職したのだが、「治療に専念するため」というのが退職の理由だったという。ところが「治療に専念」という理由は表向きのもので、この男性はがん治療のために定期的に休むことに対して上司に苦言を呈され会社を辞めたというのだ。もうひとりの男性は同僚たちに「申し訳ない」と思う度に仕事への意欲がどんどんと萎え、耐え切れずに会社を辞めたというのだ。がん患者が急増し国も就労支援策を進めているにもかかわらず、診断後の依願退職や解雇になった人の割合はこの10年間でほとんど変わっておらず、厚生労働省によれば34.7%で10年前と変わっておらず、国の支援策は全く効果が出ていないのだ。 がんの死亡率の抑制やがんとの共生のための「がん対策加速化プラン」の概要によれば、「がん検診の受診率アップ」だけでなく「全国のハローワークにがん患者の就職相談を担う専門職員を配置」や、「がん患者の在宅療養を支える地域緩和ケア連携調整員の育成」などの取り組みをするそうなのだ。アメリカではがん患者は障害者と認定され雇用上の差別は禁止されているのでがんによる離職率が極めて低くなっており、従業員が医療機関などの証明をベースに「抗がん剤治療の日は休みが必要だし、治療後3~4日は免疫力が下がるので自宅勤務が必要」 と声を上げれば、企業は従業員に便宜を図らなければならず、配慮にかかる費用が企業を倒産させるほどのものであることが証明されない限り免除されないというのだ。 当然ながら企業側には負担がかかるが米国政府もただ指をくわえて見ているわけではなく、障害専門のコンサルタントへ依頼があれば、政府の責任でコンサルタントが企業に出向き相談にのるシステムがあるというのだ。年間60回以上のセミナーや研修会の実施や電話によるコンサルティングサービスなど、さまざまな方法で政府が企業をサポートしているというのだ。ハローワークに「相談窓口」を設置する日本とは大きな違いで、「障害」を個人ではなく「社会」の問題と考、「自立」と「共存」を当然とする考え方がこういった政策を可能にしているという。がん患者の場合でも合理的配慮で仕事との両立問題の多くはカバーできると考え、実際米国ではそれが離職率の低さとして数字で表れているそうなのだ。
2015年10月13日
コメント(0)
ラグビーのワールドカップイングランド大会で日本が過去2度の優勝を誇る南アフリカに逆転勝ちし、英メディアは「W杯史上最大の衝撃」と異例の大きな扱いで報じたことから始まった英国で開催されているラグビーワールドカップは、今週末でプールステージの戦いである1次リーグがすべて終了し、オーストラリア・ウェールズ・南アフリカ・ニュージーランド・アルゼンチン・アイルランド・フランス・スコットランドが準々決勝進出を決めており、英国西部のグロスターなどで1次リーグ最終戦が行われB組の日本は米国と対戦し28―18で勝って、3勝1敗の勝ち点12で大会を終えたのだ。日本はアジア王者として1987年の第1回大会から8回連続でワールドカップに出場しているが、決勝トーナメントに進んだことは一度もなかった。 そのうえ今大会が始まる前は1991年大会でジンバブエに勝ったのみで、1勝2分21敗という戦績だったのだが、本大会の初戦で優勝候補の南アフリカを倒すという歴史的番狂わせを遂げランキング上位だったサモアにも勝ち、世界中から称賛されているというのだ。日本は3勝1敗だがボーナスポイントが取れておらず、ボーナスポイントの差で涙を飲み目標の8強入りは果たせなかったのだ。スコットランドはサモアと引き分けてもその試合で4トライ以上していれば勝点は13となるため日本は上回ることができなかったため、日本が順位を逆転して準々決勝に進むためにはサモアがスコットランドを下すことが絶対条件だったのだ。そうすればベスト8入りの扉は開いたままでアメリカ戦を迎えることができたのだ。 それが1次リーグB組では決勝トーナメント進出残り1枠を日本と争う世界ランキング9位のスコットランドが世界ランキング15位のサモアと対戦。36―33と苦しみながらも勝利し、勝ち点を14に伸したことで2位となって1次リーグ突破が確定していたのだ。それでも歴史的3勝目へ向け日本は勝利にまい進し勝利したのだ。日本ラグビーフットボール協会は日本の1次リーグ敗退が決まった日に公式ツイッターでエディー・ジョーンズ・ヘッドコーチのコメントを発表していたのだが、エディー・ジョーンズ・ヘッドコーチは「まず始めに、スコットランド代表、おめでとうございます」と称えた上で「ただ、この結果で我々のやるべきことは特に変わらない。自国開催となる次回のW杯へ確かな光が見えている」と語っていたのだ。 そしてエディー・ジョーンズ・ヘッドコーチは「明日のアメリカ代表戦に勝利し、ラグビーワールドカップで初めて3勝しながらも準々決勝に進出できなかったチームになるでしょう。素晴らしい大会を過ごしているので、選手たちは最後まで集中して任務を果たしてくれるだろう」と、最後の戦いに臨む決意を示すと、リーチ マイケル主将も「スコットランド対サモアの結果にかかわらず、日本にとってはワールドカップでの3勝目というのが何より大事」と語ったというのだ。ラクビーW杯1次リーグが5チーム制になった2003年大会以降3勝1敗で決勝トーナメント進出を逃した例はなく日本が米国に勝てば史上初めてで、エディー・ジャパンが「最強の敗者」という新たな歴史をW杯に刻だということなのだ。 本日対戦したアメリカは今大会3戦全敗中で世界ランキングは16位と日本よりも下だが決して楽な相手ではなく、大敗した南アフリカ戦からは中3日だが日本戦にターゲットを絞って主力13人を温存していたのだ。しかもワールドカップでは過去2回対決しいずれもアメリカに接戦で負けているのだ。しかも今年7月にカリフォルニアでおこなわれたパシフィック・ネーションズカップでも日本は18-23で敗れていたことから、大会前からリベンジしたいチームだったというのだ。私も朝から試合を見ていたのだが前半5分にPGで米国に先制を許した日本は、17―8とリードを広げて前半を折り返すと、後半4分にも五郎丸選手のペナルティゴールで先手をとり、28―18で逃げ切ったのだ。
2015年10月12日
コメント(0)
資源エネルギー庁の日下部聡長官が愛媛県庁を訪れ、伊方町にある四国電力伊方原発3号機の再稼働に関し、中村時広知事が国に要望した8項目への回答を示した。その時には中村知事が最もこだわった安倍晋三首相の意思表示については満足な回答がなく、知事は「複雑な民意があるので、総理の言葉にこだわりたい」と改めて求めていたというのだ。中村知事は要望の中で事故が起きた場合は国が最終責任を負うと、安倍首相が明確に表明するよう求めており、日下部長官の回答では満足せず「最悪の事故の場合、電力事業者や県レベルでは対処できない。国のトップの決意は欠かせない条件だ」と重ねて要望し、近いうちに上京して安倍首相と面会する可能性も示していたのだ。 私も傍聴した愛媛県議会は本会議の最終日に、四国電力伊方原発3号機の再稼働を求める請願を賛成多数で採択し同意してしまったのだ。また本会議の最終日に最大会派の自民などが提出した「電力の安定かつ安価な供給のため再稼働が必要」とする決議案も賛成多数で可決し、再稼働に向けた地元手続きは山下和彦町長と中村時広知事の判断を残すのみとなったのだ。 愛媛県議会の本会議では「エネルギー・危機管理対策特別委員会」の中畑保一委員長が、「エネルギー・危機管理対策特別委員会」で4件の再稼働賛成請願を採択し、県外からも提出されていた56件の反対請願を不採択としたことを報告すると、議長を除く46人による採決の結果賛成請願を賛成多数で採択し反対請願を不採択とした。 また自民党や愛媛維新の会に公明党の3会派が共同提出した四国電力伊方原発3号機の再稼働を容認する決議案も賛成多数で可決したのだ。県議会の閉会後に中村知事は記者団に「県議会の判断は重く受け止める。山下町長の同意と宮沢経産相の視察が実現すれば、近いうちに判断する」と述べたという。愛媛県の中村時広知事は再稼働について「白紙」の立場としているが、伊方町の山下町長は経済産業相と面会して国の方針を確認後、中村知事に同意を伝える方針だとされている。中村知事は伊方町や県議会の結論を踏まえて再稼働に同意するかどうか判断するわけなのだが、東京電力福島第1原発事故を受け愛媛県は住民避難のシミュレーション結果を加え広域避難計画を改定しているのだ。 伊方原発は佐田岬半島の付け根にあって、避難計画が必要な半径30キロ圏内には7市町が含まれ13万人が住んでいる。シミュレーションによると13万人が圏外に出るのにかかる時間は避難ルートの指定や車の相乗りなどで渋滞を抑制した場合最短で6時間15分になるという。 佐田岬半島のほぼ全体を占める伊方町は人口約1万人で、うち約5000人は原発の西側に住むが原発事故で放射性物質が漏れた場合は、原発近くの道路を通って避難するわけにいかないため半島の先端近くにある三崎港から船で大分県などに避難する計画となっているのだ。 5000人が海路で30キロ圏外へ避難する場合、民間のフェリーと自衛隊や海上保安庁などの協力を得れば最短4時間半で可能という。 しかし伊方原発差し止め訴訟の原告で伊方原発から約20キロ西の三崎地区に住む物販会社社長は計画の実現性に疑問を抱いているそうで、東日本大震災と福島原発事故の際の津波で破壊された港湾をニュースで見て映像が目に焼き付いているという。「福島事故のときは着岸すら難しく、逃げられる状態ではなかった。船で避難というのは最初からあり得ない。これを計画する神経が理解できない」と語気を強めたている。四国電力伊方原発3号機の再稼働についてその伊方町議会は本会議で、早期の再稼働を求める陳情を全会一致で採択しているのだ。伊方町議会の再稼働同意を受け山下和彦町長は記者団に、「宮沢経産相と面会してから判断する」と述べているが面会の日程は決まっていないという。
2015年10月11日
コメント(0)
短命に終わった第1次安倍政権では当時の柳沢伯夫厚生労働相が、女性を「産む機械」に例えた発言で物議を醸したことがあるのだが、今回は菅官房長官がTV番組に出演して歌手で俳優の福山雅治さんと俳優の吹石一恵さんの結婚に関し、「この結婚を機にママさんたちが『一緒に子どもを産みたい』という形で国家に貢献してくれればいいなと思う。たくさん産んでください」と発言したというのだ。菅長官はこの後の記者会見で女性は出産が義務付けられていると受け取られかねない発言だと指摘され、「全くそういう趣旨ではない。結婚や出産が個人の自由であるのは当然だ」と反論し、「子どもを産みやすく育てやすい社会をつくるのが政府の役割で、女性の輝く社会を実現するために努力していく」と説明したそうなのだ。 ところが認可保育施設に入れない待機児童は今年の4月時点で2万3167人になり、前年同時期よりも1796人多く5年ぶりに増加しているというのだ。保育の受け皿は計画以上に整備が進んだが利用申込者が前年より約13万1千人も増えたためで、待機児童が増えた背景について厚生労働省は今年の4月に始まった「子ども・子育て支援新制度」への期待感から需要が掘り起こされたとみている。待機児童問題は依然深刻で表に出ていない分も合わせると、全国に60万人はいるといわれており、働く女性は年々増えていることから担当者は「新制度で子どもを預けられるとの期待が高まった」と分析しているが、想定を超える申込者に対応しきれなかったということのようなのだ。 「子ども・子育て支援新制度」では定員が6~19人の小規模保育などを新たに認可対象とし、幼稚園と保育所の機能を併せ持つ「認定こども園」の整備も促しており、定員20人以上の保育所も含めた認可施設や、自治体が独自に補助を出したり国の補助を受けたりしている認可外施設も整備されてきたことから、幼稚園での長時間預かりを加えた定員数は約262万7千人で前年より約14万6千人分増えたというのだ。また国の5年間で40万人分の保育施設を整備する方針を受けて、認可保育所や保育所型・幼保連携型認定こども園の利用者は前年より約6万4千人増の約233万1千人で、小規模保育や家庭的保育などで約2万4千人となり、幼稚園型認定こども園などで約1万9千人を受け入れたとされている。 待機児童増加の原因は施設整備だけでなく、3年連続で待機児童数が全国最多となった東京都世田谷区の担当者は「施設は造ったのに保育士が確保できず、定員を減らさざるを得なかった」と打ち明ける。都市部を中心に保育士の求人倍率は上昇しており、施設整備だけでは待機児童を解消できないのが実情だというのだ。別の自治体担当者は「自治体間で保育士の奪い合いになっている」と明かしており、世田谷区の待機児童は1182人で入所できなかったために保護者が育児休業を延長した子どもを除いても868人に上るという。保育士は拘束時間が長いし給料も安いので、結婚して子供が出来ると辞める人が多く、“潜在保育士”は、全国で70万人以上いるが待遇をよくしないと長続きしないのが実情のようなのだ。 私の住んでいる松山市は「待機児童ゼロ」だとされているが、認可保育所を新たに15カ所設けるなどして定員を約130人増やす計画だったが、保育士不足で実際には約120人増にとどまったそうで、全国平均では保育士求人倍率は約7倍だというのだ。厚生労働省も保育士のなり手を増やそうとこの3年間で給与水準を平均5%増額するなど待遇改善を進めており、保育士試験の実施回数は年1回から2回に増やしているというのだ。 保育士とか子供を預かる仕事は何か起きた時に、不注意でもないのにマスコミに叩かれたりするし、昨年には認可保育園で6人が事故で亡くなっているし、認可外保育園でも12人もの児童が事故で亡くなっていることから、それに対応する保育士を確保するのは不可能に近いのが実情のようなのだ。
2015年10月10日
コメント(0)
宮城県が発注した東日本大震災の道路復旧工事で、資材を調達できずに工事が遅れたことを理由に県が契約を解除したのは不当だとして、愛知県名古屋市の舗装会社である宇佐美工業が解除されるまでの工事費約5000万円の支払いなどを宮城県に求めていた裁判で、仙台地方裁判所は宇佐美工業の請求を棄却したそうなのだ。宇佐美工業が契約を解除されていたのは県道塩釜吉岡線の「鶴巣(1)道路災害復旧工事」等の道路災害復旧工事の3件で、工事金額は約1億6000万~2億3000万円となっており、工期はいずれも2012年8月から13年2月末までだったが、予定していたアスファルト合材の供給会社から合材の提供が受けられなくなったことから、いずれの工事も舗装の本体工事に着手できない状態が続いていた。 その後新たな供給会社が見つかったものの、新たな供給会社から施工場所までの運搬時間は1時間30~40分で、待ち時間を考慮すると約2時間かかということだったのだ。1月から3月までの寒冷期では一定の温度を保つ必要があるアスファルト合材は、時間をかけて運搬すると品質を保持できなくなる恐れがあることから春以降でないと施工できないとして、宇佐美工業は宮城県に対して8月末まで工期の延長を求めたというのだ。これに対して宮城県は新たなアスファルト合材の供給会社との合意書に基づく供給量が、工事に必要な数量を満たしていないことなどから工期を延長しても、工期内に完成させられるかは不透明と判断して宇佐美工業との契約を解除したというのだ。 宇佐美工業は裁判でアスファルト合材の確保が困難だった原因として、県外企業である宇佐美工業に対する地元舗装業界の人為的な嫌がらせがあったと指摘したが、仙台地裁は的確な証拠がないとして退けたというのだ。東日本大震災の影響でアスファルト合材が不足していたとする主張についても、宮城県全体でみれば供給量が需要量に満たなかったとは認められないとしたそうなのだ。また談合しない会社に対しての嫌がらせだということで、監督官庁としての土木事務所が調査指導をしなかった点や 寒冷期にアスファルト合材を長距離運搬することは困難とする宇佐美工業の主張については、そうした時期に舗装を行う必要があることは入札公告で認識できたと仙台地裁は指摘したというのだ。 裁判所の判断によると工事の入札に参加するのであれば、現場近くのアスファルト工場から合材の供給を確約しておくか、合材の低温化対策のコストを見込んで入札に参加すべきだったというのだ。私の経験ではいくら資材不足であっても、入札前の契約が取れるか取れないか判断できない状況で、合材プラントとの供給確約を取ることは一般的な経験則からみても有り得ないのではないかと思うのだが、あくまで落札後に行う範囲の責務であるし入札の要件として定められていることでは無いはずだと思っているのだ。更に1審の判決で人為的な嫌がらせについて的確な証拠が無いとしたが、もし控訴するならば状況証拠をも含めて恣意的な排除行為を立証するに足る証拠を用いなければならないという事のようなのだ。 仙台地裁は宮城県の契約解除は契約条項に基づいて有効に行われたものと判断し、宇佐美工業に対して3件の工事の違約金計約5800万円を支払う義務があると言い渡し、さらに契約解除までに要した工事費約5000万円については賠償請求できないとしたのだ。たしか 国土交通省は被災地における生コン等の資材不足で入札不調の発生等の課題に対応するために「復旧・復興事業の施工確保に関する連絡協議会」を設置して、復旧・復興事業の円滑な実施を図ることとしていたはずだったし、宮城県も資材供給の課題に対して「地域ごとの連絡を密にし、確度の高い情報を仕入れ、問題解決に当たりたい」と述べていたが、地元業者優先で外様は割を食ったということのようなのだ。
2015年10月09日
コメント(0)
安倍首相は経済財政諮問会議で「携帯料金等の家計負担の軽減は大きな課題だ」と述べ、高市総務相に携帯電話料金の引き下げ方策を検討するよう指示したそうなのだ。総務省は携帯電話大手3社に対し料金制度の見直しを度々促しているというのだが、安倍首相は家計負担を軽減して消費を拡大するには携帯料金の値下げが欠かせないとみて、新たな引き下げ策を求めたとみられる。高市総務相はスマートフォンの普及によるデータ通信量の増加などに伴って携帯電話の料金は上昇していて、総務省の家計調査によると2人以上の世帯の通信費は去年なら年間18万8000円となっているそうなのだ。これは10年前より家計に占める通信費の割合としては2割増えているというのだ。 こうしたなか政府の経済財政諮問会議で民間議員は、家計の負担を軽減し消費を喚起するための具体策のひとつとして、増加傾向にある携帯電話の使用料金など、情報通信に関わる負担を軽減することを提言したというのだ。「家計支出に占める通信量の割合は10年で2割増えた」と指摘し、「総務省は格安スマホの振興やSIMロック解除など事業者間の競争を促す努力をしてきた」とした上で、「細かい料金設定をする方法もあると思う。さまざまなアイデアをいただきたい」と述べたという。総務省はこれまでも国内キャリアに対して様々な指導を行い、その結果キャリアが絶対に認めようとしなかった事項も実現してきたわけなのだが、安倍首相からするとまだまだ手緩いということのようなのだ。 総務省では携帯電話料金などを含めた電気通信サービスの料金に関する状況を適切に把握する目的で、毎年度電気通信サービスに係る内外価格差について調査を行っているが、今年度分の調査結果では日本は音声通話中心のユーザーにとってお得な国と言えるというのだ。スマホユーザーにとって日本は取り立てて高くもなければ安くもないという結果で、多かれ少なかれ各国の各キャリアも似たような状況にあり、もはやユーザーにとって携帯電話の1契約あたりの正味の通信料金を国際比較することの意義は薄れているとされている。今後通信事業者の間でよりシンプルで分かりやすい料金プランへの移行競争が期待されるが、そのためには消費者が誠実で分かりやすい料金体系の通信事業者を選ぶことが必要だとされている。 現在は端末を買い換えるユーザーや他事業者から移ってくるユーザーに対して、スマホやタブレットの代金の大幅値引きやキャッシュバックが行われているが、これらの販売奨励金は同じ端末や同じ通信事業者を長く使い続けている人を含めた全ユーザーの通信料金から、一律に回収されるという構造になっているというのだ。本来10万円もする高価な端末が2年間使うことを条件に実質負担金ゼロ円で購入できてしまうというのだが、ここまで極端に端末を値引く国は日本以外にないという。つまり日本の携帯電話料金には端末の代金が形を変えて含まれているということになっている。欧米諸国でも端末と回線は分離されていないが、端末を安く買おうとすればその端末値引き分だけ、自分の月々の通信料金は割高となるという。 端末販売と回線販売が分離されれば端末を正価で購入し回線だけを契約することになると、通信料金からは端末代金の回収分が除外され、通信料金の家計消費に占める比率も下がることになるのだが、これは携帯電話だけでなく光ファイバーやインターネット接続業者も同様だとされており、パソコンや家電の値引き分は通信料金から回収されているというのだ。端末と回線を分離し端末代金と通信料金を配分し直すことで、家計支出における通信料金の比率を下げるのか、端末と回線の一体化を是認し通信料金の比率上昇を受け入れるのか。我々は一体どちらを選択すべきなのかという議論にあるというのだが、月額通話料金値下げによる業績への影響について影響は軽微とされているそうなのだ。
2015年10月08日
コメント(0)
ノーベル医学生理学賞の受賞が決まった大村智北里大特別栄誉教授は、長年にわたり微生物が作る有用な化合物を探求してきたそうで、中でも1979年に発見された「エバーメクチン」はアフリカや東南アジア・中南米など熱帯域に住む10億人もの人々を、寄生虫病から救う特効薬へとつながったことが評価されたそうなのだ。大村智北里大特別栄誉教授は大手製薬会社メルク社と共同研究を開始し、さまざまな微生物が作る抗生物質などの探索を進める中で、静岡県内の土壌から分離された微生物が生産する「エバーメクチン」を発見したというのだ。この物質は線虫などの神経系をまひさせる一方、哺乳類の神経系には影響しない特性があることが分かったという第発見だったそうなのだ。 この「エバーメクチン」を基にさらに効果を強めた「イベルメクチン」は、家畜の抗寄生虫薬として世界的なベストセラーとなったという。さらに失明につながるオンコセルカ症やリンパ系フィラリア症(通称:象皮症)など、熱帯域にまん延する寄生虫病にも効果があることが判明した。 世界保健機関はメルク社の協力を得てアフリカなど寄生虫病に苦しむ地域に「イベルメクチン」を配布するプログラムを開始し、メルク社によると2012年までに延べ10億人以上に「イベルメクチン」が無償提供されたという。世界保健機関によると西アフリカでは4000万人のオンコセルカ症の感染を予防し、象皮症でも53カ国で「イベルメクチン」などの集団投与が進められており、2020年までのこれらの疾病の制圧も視野に入ってきているというのだ。 米国留学から帰国した大村智北里大特別栄誉教授は、北里研究所の室長として微生物の探索を始めたそうで、各地の土壌を集め薬に使えそうな物質を作り出す微生物がいないか調べる地道な研究を行ったそうなのだ。静岡県伊東市内のゴルフ場近くの土壌中から新種の放線菌「ストレプトマイセス・アベルメクチニウス」を発見し、共同研究していた米製薬大手メルクに試料を送りマウスで実験したところ、寄生虫に対して有効なことが分かったというのだ。大村教授とメルク社はこの菌から抽出した化合物を「エバーメクチン」と命名し、薬剤として使うための改良を重ね分子の構造を一部変換して「イベルメクチン」という化合物を開発したのだが、寄生虫や昆虫など節足動物の神経に作用し少量の投与で高い効果を発揮したというのだ。 当初は家畜やペットの寄生虫駆除剤として販売されたが、人間の感染症にも有効なことが臨床研究で判明させ、アフリカや中南米の人々を苦しめていた「オンコセルカ症」という風土病に効果があることを突き止めたという。オンコセルカ症は「河川盲目症」とも呼ばれブユに刺されることで糸状の微小生物である線虫が目などに侵入する。発病するとアフリカでは年間数万人を失明させていた恐ろしい病だったそうなのだ。「イベルメクチン」の効果は劇的で少量の服用で有効性を示し副作用も少なかったという。「イベルメクチン」は動物薬としてメルクが発売し多大な売り上げを記録し、ヒト用の「メクチザン」の商品名でメルク社が無償供与を開始すると、画期的な治療薬の登場は患者に福音をもたらしたという。 ノーベル医学生理学賞を受賞した大村智北里大特別栄誉教授は、現役の研究者でありながら美術愛好家としても知られており、北里研究所名誉理事長でありながら女子美術大理事長も務めているそうなのだ。絵画や陶器・彫刻など美術品の著名な収集家として知られており、薬の開発関連の特許料は北里研究所に入った分だけで250億円だとされるが、本人は「食べるだけで十分」と特許料の大半を購入に充てた約3500点にのぼる作品群は、購入費だけで総額5億円にのぼる「大村コレクション」とも呼ばれており、故郷である山梨県韮崎市にコレクションを新築の美術館ごと寄付したそうなのだ。大村教授は美術館の開館当時「この美術館は、若い人たちへの投資でもある」と説明していたそうなのだ。
2015年10月07日
コメント(0)
安倍晋三首相は米・ニューヨークで開かれている国連総会の演説で、シリアやイラクの難民・国内避難民に対し、我々の税金から約970億円を支援することを明らかにしたのだが、昨年の支援額の3倍にものぼる額で、止せばいいのにセルビア・マケドニアなどの「EU周辺国で難民の受け入れと格闘する諸国」に対しても経済支援をしていくと発表したというのだ。ただし国外での難民や難民受け入れ国への支援が拡充される一方、日本で昨年認定された難民数は申請のあった5000人のうち11人で、問題のシリア難民は約60人の申請者のうち3人の受け入れにとどまっており、対外的な難民支援には積極的な反面国内では、これほどまでに難民の受け入れを厳しくしているという。 難民条約での「難民」の定義は「人種・宗教・国籍もしくは特定の社会的集団の構成員であることまたは政治的意見を理由に迫害を受けるおそれがあるという十分に理由のある恐怖を有するために、国籍国の外にいる者」と定められているそうなのだ。難民認定を申請するにあたってはこの条約上の「難民」にあたるかどうかについて、難民が自ら証明しなくてはならないということのようなのだが、国内で難民認定手続きの支援をしている法律事務所の弁護士によるとこの「難民性」の認定が、日本は他国と比べて極めて厳格であると指摘する。「難民が本国から逃れるときに、迫害された体験や迫害を受けるおそれを示すための証拠を、持ち出してくることは例外的です」と指摘するのだ。 難民性を判断するには本人の供述を吟味することが重要になることから、国際的には難民性を判断する側にも関連する事実を確認したり、本人に釈明を求めたりすることが求められていつというのだ。それが日本では客観的な証拠がないことや供述の細かい矛盾点を指摘することで、本人の供述を信用できないと判断する傾向が強いというのだ。また確実に本国の警察当局などからターゲットにされていなければ難民ではないという誤った考え方もあって、実際に昨年に難民認定された11人の難民のうち5人は、一次審査で自分では「難民性」を説明できなかったことで「難民であること」を立証できずに不認定となっており、その後に異議申し立てをして再度審査をしたことで難民認定されているそうなのだ。 弁護士や支援団体の力を借りてようやく認定に至る難民も少なくないというが、支援を受けることができている難民は申請者のうちのごく一部だとされ、難民問題に詳しい弁護士は日本では出入国管理を扱う法務省入国管理局が難民の認定を兼任していることも、難民受け入れのハードルとなっていると指摘している。「外国人の出入国を管理・取り締まる法務省入国管理局が難民の認定も兼ねていることで、保護すべき難民を排除すべき対象として見てしまいがちである」ということなのだが、海外では難民の1次審査が入国管理を行う部署で担当しても、最終決定は入国管理を行う部署とは独立した難民認定組織が担うことが多いといい、入国管理を行う部署が難民認定を兼ねると「どうしても難民保護が後退してしまう」というのだ。 日本でも難民と認められなかった人が異議申し立てをすると、学識者らで構成される「参与員」が難民性を審査して法務大臣に意見を述べる制度はある。しかし意見に法的拘束力はないこともあって「参与員が法務大臣に『この人は難民だ』と意見しても、最終決定者である法務大臣がそれを却下してしまうことが増えている」といわれている。つまり第三者の視点を入れた制度が効果的に機能しているとは言いがたい状況だというのだ。難民認定されるとしても審査に数年単位での時間がかかることも課題の一つで、今年8月の国会での政府の答弁書によると結果がでるまでの一連の審査に要する期間は平均約3年とされ、難民認定される人に限っては6年弱の時間がかかっているそうなのだ。
2015年10月06日
コメント(0)
今年4~6月に日本を訪れた外国人旅行者の消費額が四半期で過去最高の推計8887億円に上ったことが分かったそうなのだが、中国から九州へのクルーズ船客が急増する中で、国内を観光案内する通訳ガイドの「質」が問題となっている。国家資格である「通訳案内士」が付き添うことが望ましいが実際は「無資格ガイド」も活動し、一部では高額な商品を売りつけるトラブルも発生しているそうなのだ。国は対策に乗り出す一方で、「通訳案内士」という60年以上前につくられた資格制度が訪日客増加に対応できていないとの指摘もあり、制度の見直しを進めているというのだ。通訳案内士法と言う法律があって「通訳案内士」という資格者以外は、報酬を得て外国人を通訳案内してはならないと定めているというのだ。 この「通訳案内士」とは通訳案内士法に基づく国家資格で、語学力や歴史・地理などの知識が必要とされ、全国で1万7736人が登録しているが6割は英語の通訳で、観光客が急増している中国語や韓国語の人材育成が課題だとされている。福岡市にある九州観光推進機構は国の特区制度を活用し、昨年から九州限定の「特区ガイド」を育成しており、現在中国語は51人が登録しているそうなのだ。また通訳案内士法は1949年に制定されており、観光庁の担当者によると「有資格者だけに通訳案内を認めるのは、外国人旅行者が少なかった終戦直後の状況でつくられた制度だった」ためで、「観光の質を担保するため」と説明し無資格者のガイドは法律違反に当たる可能性があると語っている。 安倍政権は成長戦略に外国人観光客の呼び込みを盛り込み、外国人の旅行消費を年間4兆円とする観光立国行動計画を6月に決定しており、アベノミクスの成果としてアピールする構えということもあって、「違反者を処罰出来るようにして有資格者を増やせば良いだけ」との意見もあるが、訪日客が拡大する中で有資格者だけで観光案内を担うのはもはや現実的に難しい状況になっているそうなのだ。サービスとして観光案内する分には実害はなさそうだが、複数の観光関係者によると無資格ガイドが参加するクルーズツアーの一部では「1本10万円」の磁気ネックレスや高額な健康食品をバス車中で販売しており、「商品の売り上げに応じてだけ、ガイドに給料を支払う会社もある」というのだ。 観光庁にも「返品に応じてくれない」などの苦情が今年に入り寄せられるようになったといわれているのだが、無資格ガイドが活動する背景にはクルーズ旅行の価格競争激化があって、国内ツアーを請け負う旅行会社は経費削減のため、通訳案内士に依頼する代わりに中国人留学生のアルバイトなどで対応し、特定の免税店へ案内する「キックバック」や商品販売で利益確保を図る構図があるというのだ。なによりも通訳案内士の人数不足も課題に挙がっており、九州7県での中国語の登録者は124人しかおらず、昨年度の中国語合格者数は全国でも81人にとどまっていることもあって、福岡市の旅行会社は「有資格者を集めるのは現実的に不可能だ」と主張していつそうなのだ。 「添乗員は時間管理だけで観光案内はしておらず、うちはグレー・ゾーン」と答える旅行社もあるそうで、JTB九州の場合は通訳案内士が乗車しないバスでは観光情報を書いた紙を配ったりCDの音声を使って観光案内したりする代替策で対応しているそうなのだ。行政の担当者は「もし厳しく『無資格ガイド』を取り締まればガイドがいなくなり、クルーズ市場が成り立たなくなるジレンマもある」と打ち明ける。国は昨年制度見直しに向けた有識者検討会を発足させ、年内にも方向性をまとめる方針だというのだが、観光庁観光資源課は「全国に『地域ガイド』のような制度を設け、研修で資格を付与するなどして質を担保したガイドを増やしたい」として、来年度からツアーの内容に応じて旅行会社を支援するなどを始めるというのだ。
2015年10月05日
コメント(0)
大きな被害を出した先日の東日本豪雨の中でより重要なことは、災害という最も情報ニーズの高いタイミングで、タイムリーに必要とされる情報をスムーズにアクセスできるよう出せているかどうかだとされている。災害時には平時の感覚のままでは上手くいかない情報伝達上のトラブルが頻繁に起きそうで、たとえばそれは昨年に起こった広島市の土砂災害の際や、あるいは今回の東日本豪雨でも指摘されたことなのだが、平時にはクリアに聞こえる地域の防災無線の声が豪雨などで聞こえないなどだというのだ。東日本大震災などの教訓から多くの自治体で緊急速報・エリアメールが配信できるようになったが、文字数の制限もあって「詳しくはウェブで」と案内してしまうケースがあるというのだ。 これは日頃から自治体の広報が文書を公開する時に、タイトルだけでリンクを貼って終わりにする「手抜き広報」の悪いクセと言えるとの指摘がされている。災害時のユーザー環境や回線状況に配慮なく、なんでもかんでもウェブサイトに案内するのは、災害広報の最も初歩的かつ致命的なミスだというのだ。緊急時にわざわざネット上に情報を探しに来た利用者が、ある自治体では必要な情報が得られたのに、ある自治体では得られなかったとなるのは大きな問題となっているというのだ。自治体の広報には基準らしい基準がないこともあって、それは言い換えれば生活する自治体によって情報発信に差があるということで、それは自治体の「危機管理」に災害広報の概念がほとんどないことが問題だという。 私の住んでいる愛媛県でもそうなのだが多くの自治体では、情報システムや情報インフラの整備までは行っているのだが、その「ハード」をどう活用するかという「ソフト」の概念が抜け落ちているという指摘がなされている。どうすれば少しでも減災につながる情報発信になるかについて考えていないというのだ。少なくとも緊急事態と認識した時点で自治体には、発信の体制を変えいち早くその認識や注意を促す情報の発信を期待したいところだというのだ。また災害時の情報チャンネルとして議員の存在は無視できないそうで、今回の東日本における大雨でも地元の市議会議員が被害状況や避難状況をツイッターで伝えるなどしているというのだ。こうした現場の細かな情報はエリアごとの深刻さを把握する上でも貴重だというのだ。 先日の東日本豪雨でもそうなのだが、現地は災害等によって大きく風評被害を受ける場合があるというのだ。災害の際にメディアが最も被害の深刻な様子を繰り返し報じることが多く、大量に書かれた資料の文字を見て、こんなに問題の場所が多いようなら今は避けようという気分になる人も出てくるというのだ。ところが自治体はその懸念を払しょくするような広報をしているかというと、甚だ疑問を感じる自治体が少なくないというのだ。たとえば鬼怒川温泉は露天風呂が流された「鬼怒川プラザホテル」を除いて営業を継続しているそうなのだが、日光市のサイトには懸念を払しょくする力がないばかりか、手抜き広報によって自治体が地元の風評被害を助長しているかもしれないというのだ。 風評被害を少しでも食い止めるには自治体などの公的機関が、遠く離れた利用者の懸念にもきちんと向き合い、分かりやすい最新情報をこまめに発信し続けることなのだが、それはおそらく今週起きた阿蘇山の噴火や、レベルダウンしたとはいえ箱根町の噴火となどでも言えることなのだろう。また災害時の対応として地理的に離れていても自治体職員は、被災地等の状況を必ずウォッチしていますので、別の自治体でスキルがあって災害広報の役割や立場を認識している人物が肩代わりできる可能性は非常に高いはずだというのだ。おそらくそんな人の中にはネット上で最新の情報を探し、すぐに反応してくれる人がきっと少なくないことから、こうした人たちの果たす役割が小さくないものと考えられているそうなのだ。
2015年10月04日
コメント(0)
全国の総合スーパー各社が相次いで大規模な閉店に追い込まれているそうなのだが、流通最大手のイオンがプライベートブランドである「トップバリュ」の改革を急いでいるという。これまではプライベートブランドの基本となる「安さ」に重点を置いた商品を展開してきたが、プライベートブランドにも「高品質」や「おいしさ」を重視するように変化した消費者のニーズに十分対応しきれておらず、高付加価値型のPBで先行するライバルであるセブン&アイ・ホールディングスに後れを取ってきたといわれてきた。イオンは当面は鮮度にこだわった刺し身や牛肉などを切れ目なく売り出し、顧客に品質の変化を実感してもらってライバルであるイトーヨーカ堂の追い上げを図る構えだというのだ。 イオンは大規模な店舗閉鎖とは一線を画しプライベートブランドである「トップバリュ」改革を急ぐほか、ファッションや生活雑貨の専門店「FT(エフティ)」などの新業態の導入で客足の回復に全力をそそぐというのだが、イオンで総合スーパー事業を担うイオンリテールの今年2月期の本業のもうけを示す営業利益は、前期比90.8%減の25億円と大きく低迷しており先行きは苦しいとされている。大胆に売り場を改革できなければさらなるリストラという厳しい現実からは逃れることはできないという。ある大手食品幹部は「コンビニが全国的に5万店を超える中、総合スーパーの意義は薄れている」と話しているが、総合スーパーの中でも地域特性に合致した品ぞろえなどに売り場を変えた結果顧客に支持される総合スーパー店もあるというのだ。 イオンは昨年4月の消費税増税に伴って消費者が節約志向を強め、価格を重視した消費行動を取ると想定し、メーカー品よりも価格が1~2割も安いトップバリュをそろえて顧客を取り込もうとしたが、どの店でもトップバリュの商品ばかりが目立つ売り場となった結果、60代の主婦が言うように「買い物をする楽しみに乏しい」といった来店客の不評を買ったそうなのだ。イオンの総合スーパー事業を担うイオンリテールの岡崎双一社長は「お客さまのニーズの変化に十分対応することができず、全部が問題だった」と、今年の7月に東京都内での会見で反省の弁を述べたという。増税の影響を見越した戦略が結果に結びつかなかった反省もあり、プライベートブランドの魅力改善を具体化する商品を矢継ぎ早に投入するそうなのだ。 このため今春以降は付加価値を高めたトップバリュの新商品を続々投入してきており、イオンは今秋以降も継続的に高付加価値型の商品を売り出し、プライベートブランドの魅力改善を強くアピールしたい考えのようなのだ。そして従来の店舗では来店頻度が低かった30~40代のファミリー層や単身者向けなどの品質や価格でライバルのセブン&アイ・ホールディングスに負けない品ぞろえを強化し、来客数や収益の底上げを図る考えだという。そして衣料品などを扱う従来型店舗の改革が遅れた部分を、創業時から強みとしてきた食への原点回帰で巻き返しを狙うというのだ。今後は知名度の高い中部エリアなどに新規出店を特化する方針で、新規投資は改装などにとどめる方向だというのだ。 魅力ある商品を次々と提供しなければ顧客は変化を実感できない一方で、既存の加工品のトップバリュ商品も対象に大規模なスクラップ&ビルドを進めるというのだ。トップシェアを持つナショナルブランド商品に近い高品質で開発した既存品も含め、リニューアルしても販売目標に届かないと判断した場合は販売を取りやめる方針だともいわれている。厳しい基準で見直しすると相当の数のトップバリュ商品が今年度中に姿を消す可能性もあるというのだ。ライバルもあの手この手を繰り出す中で消費者の足を自らの店舗に向かわせるには、徹底した顧客目線への転換が欠かせない。イオンのプライベートブランド改革が成功するかどうかは、消費者に寄り添った商品や売り場づくりをいかに早く実現できるかにかかっているといえそうだ
2015年10月03日
コメント(0)
政府も消費税率10%への引き上げに伴う負担軽減策として財務省が示した還付制度案について、平成29年4月の増税時の導入を断念する方針を固めたというのだ。財務省案での負担緩和策は多くの国民にとって増税負担が給付額を上回る見通しで、増税分の給付額に上限を設ける内容となっていることにも「反対」が55%で「賛成」は30%だったというのだ。与党の税制協議会で財務省案が示されると、マイナンバー制度活用に伴う個人情報の流出や小売店での基盤整備など導入への懸念が続出し、そのいえ大半の世帯で増税負担をまかなえないなどの欠陥も発覚したことから、報道各社の世論調査でも財務省案に反対する声が賛成を大きく上回っていたのが導入を断念した理由だという。 麻生財務大臣は消費税を10%に引き上げた時の軽減税率制度に関する財務省の提案に、公明党や新聞社から批判の声が高まっていることについて、「気に入らないというのであれば、自分たちの案だから、自分たちで直して提出すればいい。財務省が『この案をぜひやってほしい』と言ったことは一度もない。間違えないでよ」と反論していたそうなのだ。麻生大臣は「マイナンバーカードを使って増税分を還付する財務省の軽減税率案は、安倍晋三首相らが財務省幹部から説明を受けており、与党税制協議会での軽減税率の議論とともに財務省案の提示を了承している案だ」と述べたうえで、導入時期は消費税10%増税と同時にはこだわらないとして、消費税導入と同時の提言税率導入を求める公明党を牽制していたのだ。 政府は菅義偉官房長官が「与党の協議を見守りたい」として静観する構えだったが、政府高官は「国民の納得を得られないなら導入は無理だ」と明言したというのだ。来夏の参院選を前に国民の反発が大きい財務省案の導入検討を急いでは、安倍首相の政権運営に逆風になりかねないとの判断もあったという。政府は商品ごとに税額や税率を請求書に記載するインボイス方式のほか、公明党が代案として検討する現行の帳簿や請求書を使う案や低所得者に一定額を給付する案を軸に議論し、年末の税制改正大綱の取りまとめに向け結論を出す考えだというのだ。財務省も実現可能な案とは思っていなかったとみるべきだとされてはいるが、あまりに早い方針転換にシナリオが狂いかねない面もあるというのだ。 財務省がまとめた消費税率10%時の負担緩和策は、多くの国民にとって増税負担が給付額を上回る見通しであることが分かっており、他省庁からはエリート財務官僚は消費者や零細小売店主の心理がわかっていない、マイナンバーカードを使う案など受け入れられないと揶揄する声がでている。しかし賢い財務官僚がそんなことがわからなかったとは思えないとされ、現実的でないと見送られるのを見越して出している「当て馬」の案という意見もあるそうなのだ。財務省案が反発でもみくちゃになり、さらに導入には時間がかかるとの論議が高まるなかで、平均的な家庭ならこれぐらいの食品支出になるから、一定額のみなし還付金をすればいいという議論に収束していくのを狙っていたというのだ。 すでに一人当たり4000円という還付上限を設けた案になっており、所詮は一定額しかもらえないなら「みなし還付金」で同じことだと考えたくなるよう仕組まれており、還付金という名目だが給付金方式そのものということから、消費税率を8%に上げた際にも住民税を課されない低所得者を対象に2年半分で1万6000円を給付した実績もあることから、あのときと何も変わらないという考えを持っていたようなのだ。年末の税制大綱にどう盛り込むかをめぐり、末までには公明党の求める軽減税率の形を具体化しなければならないが、公明党を含め関係者が検討作業に疲れた結果、年末に軽減税率を実質的な給付金方式に落とし込むことができるのではないかと見込んでいるようなのだ。
2015年10月02日
コメント(0)
大阪市は職員基本条例に基づき市の職員2人を民間の解雇にあたる分限免職とする方針を固めたそうなのだ。人事評価が2年連続で最低ランクとなり研修などを受けさせたが、改善が見込めないと判断したというのだ。「大阪市職員基本条例」は橋下徹市長が率いる大阪維新の会の主導で2012年に大阪府と大阪市で成立したが、地方自治体の幹部の登用は準特別職を創設して首長の政策に賛同する有能な人材を任期付職員で公募するとし、一般職員にはすでに導入されている人事評価制度を厳格化し、成績下位職員の明確化を行うことで2年連続での下位職員に対して改善の余地がないことと、職務命令に違反した職員への分限免職の適用を行うことを明確化しているのだ。 職制や定数の改廃や予算の減少によって過剰となった職員を免職させることも条例化しているだけでなく、十分な指導・研修を行っても職務命令違反を繰り返す職員については、3回目の違反をもって分限免職とすることを標準例している、また懲戒処分の量定はこれまでは懲戒処分に関する指針に定めた標準例を参考に行ってきたが、条例に規定する基準に従って決定することとするとしているのだ。この時は「行為と処分内容の対応表を作成することになるが決して処分を重くすることが目的でなく、より公正に処分を行うためのものである考えている」と人事当局は職員組合に説明したそうなのだ。また相対評価による新たな人事評価も職員基本条例で規定したというのだ。 そんな大阪市役所でも「能力不足」とした職員に分限免職を適用するのは初めてなのだが、2年間の成績評定が「D評価」でそれが2回続くような職員は、適性に問題のある可能性があって7カ月にわたる研修を行っても改善されなかったという事で9月30日に分限免職の辞令が発令されたそうなのだ。公務員は憲法の立場で住民の命・財産を守ることを職責としており、そのために現行の身分保障が存在しているとされているのだが、この身分保障は選挙により交替することが前提の首長による恣意的な処分や免職の横行により、行政の大前提である政治的中立性と行政の安定性・継続性が損なわれることを防ぐための規定であり、行政の原則を守るものであるというのが今までの通説だったのだ。 この「分限免職」は職務に適格性を欠く場合に行われ、犯罪行為等不祥事を起こした職員への「懲戒免職」とは異なるのだが、地方公務員法で規定され長期の病気休職などを理由に適用されるのが一般的だったそうなのだ。それが大阪市役所では相対評価について下位評価の基準を設定し、相対評価が連続で下位であって改善されない場合は職員を簡単に「分限免職」としてしまったのだ。大阪市役所では客観的に良好な成績で合った場合であっても、一定の職員がマイナス評価をうけることは違法となる可能性が高いとされており、必ず最下位評価者をつくって処分するということになるというのだ。成績良好な職員が頑張っても最下位に入れば処分の対象になるというのは非常に違法性のある可能性が高いとされている。 公務員の「分限免職」は例えば交通事故にあって半身不随で仕事ができなくなったとか、勤務していた職場が組織替えなどでなくなったなどで、勤務時間にしっかり真面目に仕事をしていれば普通は「分限免職」なんかにはならなかったのだ。それが「S評価」5%・「A評価」20%・「B評価」60%・「C評価」10%・「D評価」5%という比率を定め、必ず最高評価と最低評価の職員を一定比率出すようにしているのだ。本当に「条例でダメな職員を辞めさせれば、組織を活性化させる起爆剤になる」という主張が正しいかは、今年の12月に橋元大阪市長が退任してから検証されることになるというのだが、今まで数字入力も満足にできない職員が大阪市に在職していたこと自体が私には不思議なのだ。
2015年10月01日
コメント(0)
全31件 (31件中 1-31件目)
1